熾火(おきび)を早わかり!意味や取り扱い方、簡単な作り方もわかりやすく紹介
BBQや焚き火を使ったアウトドア料理の際に、ぜひ知っておきたい「熾火(おきび)」。熾火の意味、いったいどんなもので、なぜ料理にむいているのか?熾火の作り方、炭火との違いや仕組みなど、熾火について詳しく紹介していきます。また熾火を使ったおすすめレシピもぜひチェックしてみてください。
「熾火」とは
「熾火」とはなにか、まずは読み方やその意味、炭火との違いについて知っていきましょう。
「熾火」の読み方
「熾火」=「おきび」と読みます。「燠火」や「熾き火」と記すこともあり、英語訳は「growing ember」や「live charcoal」。ちなみにキャンプギアの名前などでたまに見かける「ember」だけの直訳は「燃えさし」「残り火」という意味になり、やはり火に関係した単語です。
熾火の意味
「火の勢いが強くて赤く熱した状態にある炭火」という意味で、着火した薪や炭が炎をあげずに、その芯の部分が赤く静かに燃えている状態を指します。炎の上がっている状態は高温で火力の調節も難しいですが、熾火は煙も少なく火力も安定、遠赤外線効果で料理にムラなく火が通るので、熾火は調理に適しているのです。
炭火との違い
熾火は火の状態を表した言葉なので、炭はしっかり熱が入ったら熾火状態、薪は燃えて炭化した状態が熾火状態となります。炭でも薪でも芯が真っ赤になっている状態のことを指すので、どちらも熾火に変わりありません。ただ炭の方が熾火状態にしやすいので、より調理に向いています。
熾火の作り方
熾火の作り方はシンプルでとても簡単です。
- 薪や炭を組む
- 着火剤や燃えやすいものと一緒に火を付ける
- 炎が落ち着くまで放置
- 薪や炭の芯が赤くなったら完成
火が弱くなったタイミングで薪や炭を追加し、熾火になるまでは動かしたり追加したりせずに待ちましょう。特にに薪が熾火状態になるのには時間がかかるので、いじらずに
焚き火を楽しみながらのんびり待つのがポイントです。
熾火について詳しく知ろう
熾火についてもう少し深く知るため、熾火の仕組みについて紹介していきます。
熾火の仕組み・温度
熾火は、炎が上がっている状態よりも燃焼に必要な酸素の量が少なくなるため、燃えるスピードも熱エネルギーも抑えられ、火が安定した状態で長持ちし暖かさも保てます。熾火の温度は700〜900℃。調理中は熾火に近づけると強火、離せば弱火と火加減の調節もわかりやすく、料理によっての使い分けもしやすいです。
酸素状態によって変わる熾火の持続時間
酸素の供給状態によって熾火の持続時間も変わります。酸素を送りすぎると燃焼速度が上がりすぐに灰になってしまいますが、逆に酸素を抑えすぎると不完全燃焼となり煙がモクモクあがります。この場合、赤くなっている部分にうちわや火吹き棒で酸素を送ってあげると再度炎があがり、煙が消えて燃焼状態となるのです。
薪や炭の種類によって変わる熾火の持続時間
針葉樹(松・杉)と広葉樹(桜・くぬぎ)では、針葉樹の方が火の着きが良いが、広葉樹の方が燃焼時間は長くなります。また黒炭は着火しやすく、白炭(備長炭)は燃焼時間が圧倒的に長いのが特徴です。薪も炭も熾火をつくる際には種類をうまく混ぜ合わせ、その利点を上手に使いながらつくると簡単に安定した熾火をつくれます。
熾火の注意点
熾火を使用してのアウトドア料理はメリットも多くおすすめですが、安全にまた効率よく調理するためにも注意点も理解しておきましょう。
調理中の注意点
熾火をつくるのには時間がかかるため、調理したい時間から逆算して火の準備をはじめる必要があります。特にに炭より薪を熾火にする方が時間を要し、約1時間程の焚き火状態の後に、炎が落ち着き熾火状態となるので、調理に使う際は目安にして早めに火の準備をはじめましょう。
消火の際の注意点
熾火は消すのにも時間を要します。ほぼ灰状態になったらトングで灰を崩し、燃焼速度を短縮。しっかり消えたか見た目では判断がつきにくいので、手を近づけ暖かさを確かめます。どうしても急ぐ場合は水の入ったバケツや缶に1つずつ入れて消火。直接水をかけることは、熱い水蒸気が上がったりして危険なので避けましょう。
消した熾火の置き場
熾火が消えるまでの待ち時間、また夜寝る際の置き場にも注意。前述の通り消えにくいので、消えたと思っていても消えていないこともあります。やけどや火事などの事故が起きないように、うかつに触ったり足で踏んだりしない場所、子どもが近寄らない場所、燃えやすいものが近くにないか、よく確認しておくことも大切です。
熾火をつかった料理がさらに快適になるおすすめキャンプギア
火起こし器
熾火は長持ちするとはいえ、何時間もキープできるものではないので途中で炭や薪を追加する場合に便利な火起こし器。焼肉屋さんでも見かけることがありますが、あらかじめ火起こし器内で熾火状態にしたものを追加していくと、安定した熾火状態をキープさせることができて便利です。
焚き火台
昇降式BBQコンロ
熾火を使った料理の火力調節は火に近づけると強火、離すと弱火となります。その近づけたり離したりが手元のハンドルで簡単にできるBBQコンロは、アウトドア料理をさらに快適にしてくれます。
火ふき棒
火起こしの時や熾火が酸欠状態になってきたときに、薪や炭の赤い部分に直接酸素を吹き込むことができます。うちわに比べて効率よく酸素を送れ、灰が舞い上がったりも少なくておすすめです。
ダッチオーブン
煮込み料理や揚げ物、焼き物など万能。高温にも強くそのまま焚き火の中へ放り込んで使えるものもあるタフさ。また密閉性が高く、ふたの上に熾火をおいてオーブンのように使うこともできるタイプもあって、アウトドア料理の幅を一気に広げてくれます。
熾火をつかったおすすめキャンプ料理
焚き火は火加減が難しいので、強火で短時間で火を通す料理向き。それに対し熾火は火加減の調節もしやすく、じっくりと火を通していく料理に向いています。強火でまわりだけに火が入って中は生焼け、というような失敗も、熾火を使えば上手に調理ができるのです。熾火をつかったおすすめ料理を紹介していきます。
焼き芋
焼き芋といえば焚き火のイメージがありますが、燃えている火の中でつくると焦げてまわりが固くなってしまったりと、意外に失敗も。洗ったさつまいもを濡らした新聞紙で包み、さらにアルミホイルで包んで熾火でじっくり焼くと、遠赤外線効果でホクホクとおいしい焼き芋が失敗なくできあがります。
じゃがバター
つくる工程は焼き芋と同じで、15〜20分間熾火の中へいれます。できあがったら切り込みをいれ、バターと塩で味つけしてできあがり。熾火の中で直接焼きながらつくるじゃがバターは、家では出せないおいしさが味わえておすすめです。
ホイル焼き
アルミホイルにきのこや野菜、魚、バターやチーズなどお好みの材料を入れて包み、熾火の上にセットした焼き網にしばらく置いておくだけ。野菜や魚介のうまみがしっかりと引き出され、手軽で洗い物もなくおいしい1品が完成します。包むものによってレシピのバリエーションも豊富なので、毎回作っても飽きません。
焼き鳥
熾火の上にセットした網の上でじっくりと時間をかけて焼いていきます。熾火で焼いた焼き鳥はこんがりと焼き色がついて最高においしく、子どもも大人も手が止まりません。串打ちなどは家で済ませてくるか、焼くだけのものを利用して、キャンプ場ではじっくり焼けるのを眺めながら、ゆっくり過ぎる時間も楽しみましょう。
焼きリンゴ
りんごの芯をくり抜いてバターと砂糖を入れ、シナモンを振りかけてアルミホイルで包み熾火の隅へ。焼き時間はトロトロが好みなら長めに、食感が残っている方が好みなら短めに。食後においしい焼きリンゴのデザートがでてきたら、みんなびっくりすること間違いなしです。アイスを添えるのもおすすめです。
熾火をマスターしてキャンプ料理をもっと美味しく!
アウトドア料理は大事なキャンプの楽しみのひとつ。熾火は簡単な手順で準備でき、料理に手間をかけなくても普段味わえないようなおいしい料理ができあがります。料理だけに時間をとられないので、ほかのアウトドア時間の楽しみも邪魔することはありません。ぜひ熾火を使ってキャンプ料理の幅を広げてみませんか。