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雨水でごはんをつくる!?雨キャンプでしかできない、子どもがよろこぶ外遊びアイデア

2023.06.21ノウハウ

もし、キャンプに行く日が雨予報なら?テントの中で、ボードやカードゲームもおもしろいけれど、せっかくなら雨を活用して遊びましょう!今回、外遊びのプロが教えてくれるのは、「雨水を使ったごはん」の安全なつくりかた。炊事や後片づけも雨水だけででき、「雨だけど外で遊べる」と子どもも大喜び。水の循環のことも学べます。さぁ、雨が降ったら、お外に出発!

雨水も、きちんと処理すれば飲めます

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街で空に向かって口を開け、雨水を飲む人はほとんどいませんよね(子どもはよくやりますが…)。「雨水はなんとなく汚く、そのまま飲むのはNG」という認識が一般的のようですが、実は飲めないことはありません。 山で飲み水の確保が困難なとき、川で水を汲んだり、雨が降ればそれを集めて貴重な水分として摂ることもあります。ただ、そのまま飲むのではなく、適切な処理が必要。 今回は、雨水を集めて調理に使い、安全にごはんをつくる方法を紹介。雨の日にしかできない「外遊び」として、親子でぜひチャレンジしてみてください。

野外活動のプロフェッショナルに聞きました!

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NPO法人リーブノートレイスジャパン代表理事/backcountry classroom代表取締役

岡村泰斗さん

筑波大学にて野外教育に関する論文では国内初となる博士号取得後、奈良教育大学、筑波大学で野外教育を指導。2011年にbackcountry classroomを設立。日本全国で野外企業研修、野外指導者養成などの人材育成を行い、幼少年向けのキャンプも実施。環境に対するインパクトを最小限にした、責任あるアウトドアの楽しみ方の教育と普及に務める。

「ろ過」するだけでも雨水はかなりキレイになる

タープにくぼみをつくって雨を溜める

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キャンプの場合は、まず、タープに雨を溜めます。ビシッときれいにタープが張れている場合は、水滴になった雨が、タープの表面については落ちますが、効率的に集水できません。まとまった量の雨を集めるために、どこか一カ所、わざと弛ませるなどして、くぼみをつくります。
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雨の強さにもよりますが、本降りの雨ならくぼみに数分で水が溜まります。風で落ちてきた葉っぱやタープに付着していた小石なども、ひとまず混ざっていて大丈夫。

集水は、雨が降り始めて30分以上経ってから

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集水するのは、本降りになってからの雨のみ。降り始めの雨は、大気中の汚れが吸着しているため、清潔とはいえません。30分ほど経つと、雨によって空気が浄化され、汚れのないきれいな雨水になります。溜めてしまった降り始めの雨水は、タープに付着した汚れと一緒に流しましょう。
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くぼみに溜めた雨水を、2〜3度に分けて集水。このときばかりは、じゃんじゃん溜められるので、土砂降りの雨がうれしい!本降りになってからの雨水は、ミネラルなどの不純物をほとんど含まず、蒸留水に近い超軟水。とはいえ、そのまま飲むことは避け、飲用に使うなら必ずろ過と煮沸をしましょう。

固形物はバンダナでろ過します

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集めた雨水には、枯れ葉や小石などが混ざっています。布やバンダナで濾しましょう。もうひとつ鍋を用意して置き、布を鍋の口を覆うようにかぶせます。布の上に、少しずつ溜めた雨水を移します。
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布をピンと張ったり、勢いよく雨水を移すと、せっかく溜めた雨水がこぼれてしまうので注意!
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布で濾すだけで、混ざり気のないきれいな水に。雨水は水質の純度が高く、実はそのまま飲んでもあまりおいしくありません。スープやお茶、コーヒーなどに利用するのがおすすめです。

雨水を煮沸したら、スープやお茶づくりに活用

インスタントでも、雨水の料理は特別な味!

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山やキャンプ場で本降りになれば、それなりの量の水が摂れます。インスタントでもいいので、何かつくってみましょう。あくまで雨水が主役なので、具材をたくさん用意したり、味つけにこだわる必要はありません。
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水道やペットボトルから出てきた水を使うより、自分で集めた雨水でつくるごはんは格別。味やにおいも気になりません。 「いつも飲んでいる水も、もともとは雨が川に流れてきて、それを浄水場できれいにして、水道管を通ってお家に来ているんだよ」と説明してみるのも良いかもしれません。
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・雨が川に流れ込む→タープに溜まった雨水を鍋に集める ・浄水場できれいにする→バンダナでろ過する 子どもにとっては、こんな風に実体験とリンクしてイメージできると、循環の仕組みがなんとなく理解できるようです。

雨水を利用して洗い物をしてみよう

ウェットティッシュ不要!水場なしで食器をピカピカに

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雨水でおいしくごはんが食べられたら、お片づけの時間!洗い場に行かず、ウエットティッシュも使わず鍋やお皿をピカピカにする方法を紹介します!子どもって洗い物が好きで、進んでやってくれます(もちろん、その子によりますが)。理科の実験のような(?)感覚で、一緒にやってみましょう。

シリコンスクレーパーが大活躍!

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100均や無印良品、ニトリなどで大小、さまざまな形状のものが販売されている調理用シリコン製のスクレーパー(スプーン)。「炒める・すくう・盛りつける」がー本ででき、鍋にこびりついた食べ物もきれいに取れるので、キャンプにも一本あると便利です。 スクレーパーで、鍋やお皿の汚れをできる限り取っておくと、洗うのがかなり楽ちんに。
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もし食べかすが残っていたら、その鍋でお湯を沸かし、お湯とシリコンスクレーパーで鍋やお皿などについた食べかすを取ります。お湯は、もちろん濾した雨水を利用してもOK。お鍋に集まった食べかすは、薄めたスープとして飲んでしまいましょう!
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ほんのり出汁の香りがして、食後の一息にはちょうど良い!?

お湯だけでお皿もピカピカ

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お皿やカトラリーは、もう一度鍋で沸かしたお湯とスポンジで洗います。食べた後放置せず、すぐに流せば油汚れもお湯だけできれいに取れます。熱いお湯なので火傷に注意!ここは大人が担当すると安心です。
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洗い終わったお湯に固形の食べかすが残っていたら、ストレーナーで濾し、他のゴミと一緒に持ち帰りましょう。

濾したお湯は分散してバラ撒く!

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洗い終わったお湯は、川などの水源から60m以上離れたところに分散してバラ撒きます。生ごみになるような食べカスは取り除いてあるので、自然を傷つけることはまずありませんが、お湯に溶けた料理の残りが濃くて気になるようなら、捨てる前にキャンプ場やその土地の管理人さんに確認しましょう。
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つい大量に消費してしまうウェットティッシュも一枚も使うことなく、洗い場いらずでお皿がピカピカになりました。熱湯を使っているので殺菌もでき、衛生的です。
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雨が降ったら、水場がなくても炊事したり、洗い物ができることがわかりました。時にイベントや遊びの邪魔をする存在の雨で遊べることが、子どもにとっては特別な経験です。

雨の日もキャンプが待ち遠しくなる!

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梅雨は毎日雨ばかりで外で遊べないし憂鬱だな、と思う子もいるかもしれません。でも、「雨って植物にとっても人間にとっても大事なんだよ」と、興味を持ってもらうこと。雨とふれあい、遊びを通じて、雨が好きとまではいわなくても、「たまにはいいな」と思ってもらえたらいいですね! 撮影/瀧川寛 モデル/渡部由佳ファミリー 撮影協力/一般社団法人フォースウエルネス 代表理事 宮入正陽、トレーナー 師岡龍也、MOKKI NO MORI

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キャンプで何をして子どもと遊んだらいい?なんて悩みはナンセンス!キャンプは、準備から片づけも含めてぜ〜んぶが“遊び”。子どもとキャンプに行くと決めた瞬間から、遊びははじまります。子どもに伝えたい、持続可能なキャンプの“遊び”ノウハウや、すぐに実践できるテクニックを紹介!



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