遊具やグッズがなくても!キャンプ場で親子で楽しめる自然のアソビ教えます〜心得編〜
【春は自然遊びの絶好チャンス】草むらや池の中から「お宝」を探してみよう
2023.04.06ノウハウ
冬の間は活動をお休みしていたキャンパーも、そろそろ動き出す時期なのでは?大人は焚き火やお酒でルンルンな傍ら、春キャンプは、夏のように川遊びなどができず、子どもが退屈することも。そんなときキャンプ場付近を散歩すれば、そこは宝の山!道端や小さな池からでも、いくらでも遊びは広がります。冬眠から覚めたばかりのパパママも一緒に、手放しで楽しめる“道具なしのアソビ”を紹介!
制作者
hinata編集部 朝倉奈緒
ファッション誌の広告営業、音楽業界であれこれと経験し、出産を機にフリーランスへ転身。フェス取材や夫が出演するキャンプインフェスへの同行を重ねてキャンプの経験値を上げ、hinata編集部へ。気づけば夫婦でのキャンプ歴12年目。主にファミリー、料理系の記事を担当。
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もくじ
春の兆しは、桜だけじゃない!
子どもも大人も、ウキウキする春。まだ寒い日もあるけれど、外では植物や生き物が春になる準備を進めています。普通の速度で歩いていたら、通り過ぎてしまいそうなささいな変化。キャンプ場付近の自然豊かな場所なら、少し視点や目線を変えるだけで、いくらでも発見できます。子どもと散歩に出かけて、小さな春を見つけてみましょう!
この人にアドバイスしてもらいました!
TOKYO PLAY理事 / プレイワーカー
矢野真利那さん
光が丘プレーパーク、練馬区立こどもの森、屋外型子育てひろば等、外遊びの場の常駐スタッフを経て、フリーランスに。二度の出産を経て、子どもの遊び環境に様々なアプローチで携わる一般社団法人TOKYO PLAYに入職。2022年より、自然と人、人と人のつながる暮らしをもっと極めたく山の麓に移住。二男一女の母
木や葉っぱの変化を感じる
散歩にテーマをつけて、子どものやる気スイッチオン!
キャンプ場付近に、公園や遊具のある広場がなくても大丈夫。子どもと歩けそうな山道や森があれば、散策してみましょう。滑り台やブランコのない場所を目的もなく歩くことに、はじめは面倒くさがる子もいます。「探検してみよう!」と声をかけ、「黄緑色と赤色の枝を探してみない?」と散歩にテーマをつけることで、子どものワクワクスイッチが入りますよ!
「タラの芽だ!」と子どもの一人が何かの枝を発見。タラの芽といえば、タラの木の若葉で、この時期山野の日当たりのよい場所に生えています。春の香りが楽しめる天ぷらなどの料理が人気の山菜ですが、よくよく観察してみると…
残念!似ていますが、タラの木はもっと太くトゲがあり、ずっしりとしています。これは、他の種類の木の芽のよう。タラの芽を知っていたからこそ、他の木々や芽に目が止まってじっくり観察することができました!山菜のごちそうではなかったけれど、気づいて、ワクワク観察して…いい体験ができましたね。
「赤い枝」を発見!秋〜冬にかけて枝が赤くなる「サンゴカクモミジ」です。春先は、赤い枝を保ったまま新芽まで赤らんで、幻想的な姿に。桜も咲く直前につぼみが赤らみ、木全体が「今にも咲くぞ!」という空気をまとっていますよね。この瞬間が、植物の生命力にあふれた美しさを感じられる一番の時季なのかもしれません。
池や川の中をのぞいてみる
どろ沼にもいろんな生き物が潜んでいます
お散歩の途中に池や小川を見つけたら、立ち止まり、中をのぞいてみましょう。子どもと一緒にしゃがみ、しばらくじーっと観察していると、わずかに動く小さな生き物がとらえられます。石の下や水草の隅に隠れていることも多いので、いろんな角度から探してみましょう。
この時季なら、流れのない池や川のよどみにアメンボがスイスイ泳いでいたり、透明の体に黒いすじの入ったスジエビ、トンボの幼虫であるヤゴが見つけられるかも。きれいな川にはサワガニや、カタツムリなどの小さな魚が泳いでいたりもします。
カエルの卵を発見!
春〜夏にかけて、田んぼや池などで大量のオタマジャクシをみることはありますが、その前の段階、カエルの卵を観察できる機会は少ないのではないでしょうか。卵が見られるのは、冬眠から覚めたカエルが卵を産み、孵化する1〜2週間程の貴重な時間。
「アカガエル」の卵
2〜3月頃に「ヒキガエル」(別名ガマガエル)や「アカガエル」、5〜6月頃に小さな緑色の「アマガエル」が産卵します。いずれも透明なゼリー状の卵塊を数回に分けて、一匹のメスが500〜3,000個も産むのだそう…!ヒキガエルの卵塊は細長いホース状、アカガエルとアマガエルはまるい大きな塊になっています。
種類によっては、7月頃まで見られるオタマジャクシ。チョロチョロと動く姿やフォルムがかわいらしく、小さな子どもでも見つけやすい
うしろ足にまえ足が生え、しっぽがなくなるところまで。短期間でハッキリとした変化が観察でき、生き物好きな子どもなら採取して、飼育するのも楽しいですね。しかしその場合は、カエルは希少な存在のため、元の場所か育ちやすい環境に還してあげましょう。
地面の様子を観察する
食べられる?野草を見つけてみよう!
山野を歩いていると、雑草と見られる中にも食べられる野草が自生しています。「食べられるかも?」というだけで、子どもは目をキラキラさせ、四つ葉のクローバー探しのように夢中に。キャンプ場付近であれば、管理人さんや地元の方に採ってももいいかまず許可を取り、どんな種類の野草があるか聞いてみましょう!
独特の香りが特徴の薬草「ヨモギ」
各地で群生し、道端でも頻繁に見かけられるヨモギ。深緑色の「草もち」は、春先の柔らかいヨモギの新芽を混ぜ込んだものが一般的。独特な香りとほんのり苦みがあり、団子や天ぷら、おひたしにして食べられます。
よく似た形状の葉で有毒な「トリカブト」があるので注意!葉の後ろが白っぽく、鼻を近づけるとしっかり香りが感じられるのがヨモギの葉です。抗菌作用やデトックス効果が期待できるので、アトピー性皮膚炎や美容に有益な薬草として活用することも。
花や実も“まるごと”食べられる!「カラスノエンドウ」
ヨモギと同じくらい遭遇率が高い「カラスノエンドウ」。3〜5月頃に咲くピンク色の花と、細かな丸い葉っぱの連なりがかわいらしく、葉・花・実・サヤのすべてが食用として活用可能。クセのない葉っぱを天ぷらにしたり、夏前に黒く熟して弾ける実を豆ごはんにしたりと、さまざまな料理が楽しめます。
ワラビと並ぶ人気の山菜「ゼンマイ」
湿気の多い、痩せた崖地に生えやすい「ゼンマイ」。全国どこでも採れますが、関東では4〜5月の春ころのみ味わえ、季節感あふれる山菜として人気。スーパーでもこの短い間、少量が割といい値段で販売されています。よく洗ってワタを取り、沸騰したお湯で2〜3分湯がいてから、おひたしや和え物にするのがおすすめ。
【実食あり】採った野草を料理してみた!
ネギのようなぬめりがウマい「ヤブカンゾウ」
6〜8月頃にオレンジ色の大きな花を咲かせるヤブカンゾウ。土手や野原の日当たりのいい場所にたくさん生えています。交互に出ている平べったい葉っぱが比較的探しやすく、一箇所で大量に採取できるのも魅力。春の新芽は茹でるとぬめりが出て少し甘みのあるネギのようになり、酢味噌やおひたしでおいしく食べられます。
ぴょこっと突き出る姿がかわいらしい「ツクシ」
栄養茎であるスギナが地上に現れ、伸びるまでのほんの2〜3週間だけ出会える、春の風物詩「ツクシ」。日当たりの良い川沿いや、田んぼのあぜ道・畑の端などに生えていることが多いです。おひたしやきんぴら、卵とじ料理が定番。
採ったあと、茎の節にある葉っぱ部分の「はかま」は硬いので剥き、20〜30秒ゆがけば下処理完了。この作業が少し大変ですが、子どもは「自分で採ったものを食べてみたい!」という気持ちもあり、積極的にやってくれます。
下処理済みのツクシ
ヤブカンゾウの酢味噌和え(上)、ツクシのしょうゆマヨ和え(左)と卵とじ(右)。一気に食卓が春の香りでいっぱいに!
ツクシをはじめて食べるなら、まずそのままパクリ!頭は少し苦いけれど、茎の部分はモヤシのようにクセがないので初心者にも食べやすいはず。子どもたちには、しょうゆ&マヨネーズ和えや、しょうゆとみりんで煮つめた卵とじが喜ばれます。
【番外編】子どもがやる“名もなき遊び”あるある
遊具もおもちゃも何もない自然の中にいると、はじめは「つまんなーい」と言っていた子どもも、次第に遊びを創り出すようになります。ふと子どもがやっていた、“名もなき遊び”をいくつか紹介!
いきなり本気ダッシュ
ただっ広い草原や空き地に出ると、前ぶれなくダッシュ。「わぁ〜〜〜〜〜〜!」とか大声で叫びながら、端から端まで本気で、そして疲れるまで何往復も走り続けます。大人も「一緒に走って」と誘われ、面倒ながらもやってみると案外気持ちいい!(ひさびさに走る人は足をくじいたり転ばないように注意)
坂道ゴロゴロ
芝生で斜面があれば、絶対にやるやつ。両手を頭の上に持ちあげ、「おいもがゴロゴロ〜」と言いながら転がるのも定番。大人が真似すると目が回りますが、子どもはなぜか何度やっても平然としているから不思議。
秘密基地ごっこ
低木の茂みや、小さな穴を見つけるとそっと潜り込んで、見つからないようにじっとしています。子どもって狭いところが大好き。お母さんのお腹にいたときのような包まれる安心感があったり、知らない世界に来たみたいなワクワク感があるのだとか。たとえ丸見えでも、「見えてるよ」なんて野暮なことは言わず、薄目で見守ってあげましょうね(笑)。
雑草アート
雑草も、子どもの手にかかれば遊びは無限。草相撲に草笛、花かんむり、いびつな指輪…。この日はブローチのように洋服にペタン。アレチヌスビトハギのようなひっつき虫が、ズボンの裾にくっついて離れないと迷惑がるわりに、自分からくっつける分には喜んでペタペタする子どもたちなのでした。
小さな春を見つけて、幸せいっぱい!
大人がワクワクする気持ちを素直に示せば、子どもの好奇心のスイッチが入り、どんどん遊びが深まります。子どもはみんな、遊びの天才。大人が到底かなわないくらい、おもしろいことを考えて教えてくれます。親子でたくさん外に出かけ、春をめいっぱい楽しんでくださいね!
撮影/壬生マリコ モデル/佐々木一家
キャンプのアソビ大全
キャンプで何をして子どもと遊んだらいい?なんて悩みはナンセンス!キャンプは、準備から片づけも含めてぜ〜んぶが“遊び”。子どもとキャンプに行くと決めた瞬間から、遊びははじまります。子どもに伝えたい、持続可能なキャンプの“遊び”ノウハウや、すぐに実践できるテクニックを紹介!