キャンプ・アウトドア情報メディア | hinata〜もっとそとが好きになる〜
スキレット

スキレットがキャンプに欠かせない日本ならではの理由とは?老舗ブランド「ロッジ」の取扱店舗、A&Fカントリースタッフに直撃取材!

キャンプでよく使われる定番の調理器具といえば「スキレット」。そもそもなぜ、キャンプ≒スキレットというイメージが日本で根付いたのでしょうか。そこで、スキレットをはじめとした鋳鉄調理器具の代表的ブランド「ロッジ」を取り扱うA&Fカントリースタッフにインタビューを敢行。スキレットと家庭用フライパンの違いや、キャンパーがスキレットを使う理由など、その魅力や正しい使い方について話を聞きました。

キャンプの定番「スキレット」の魅力とは?

スキレット
キャンプ料理で使う調理器具として、何かとよく聞く「スキレット」。よく耳にしたり目にしたりしますが、「なぜキャンプで使うことが多いのか」「家庭用のフライパンとは何が違うのか」など、初心者にはわからないことも多くあります。そこで、スキレットについて詳しく知る方に話を聞いてみました。

スキレットの元祖「LODGE」に話を聞く

教えてくれたのはA&Fカントリー本店店長の平戸さん

平戸さん
平戸 隆志(ひらと たかし)さん A&Fカントリー本店で店長を務める。ロッジ製品の愛用歴は20年。好きなスキレット料理は「キッシュ」。 愛用するロッジ製品 ・スキレット 10-2/1インチ(現行品は10-4/1インチ) ・キャンプオーヴン 12インチ ・グリルパン  …など
話を聞きに来たのは東京・新宿にあるアウトドアショップ「A&Fカントリー本店」。エイアンドエフは長年アウトドア用品の輸入と販売を行っている会社。取扱うブランドの中でも「LODGE(ロッジ)」は、125年もの歴史を持つ鋳鉄調理器具メーカーの老舗。 A&Fカントリー本店店長の平戸 隆志(ひらと たかし)さんは、ロッジの愛用歴20年と商品について熟知するベテランです。今回は平戸さんに、スキレットの魅力や使い方、おすすめ料理までを聞いていきます。

創業125年!鋳造調理器具の代表格「ロッジ」

ロッジ
──まず、ロッジとはどのようなブランドなのでしょうか? 平戸 隆志さん(以下、平戸):ロッジ社は鉄製のキャストアイロン(鋳造)調理器具を作り続けている会社で米国テネシー州で創業し、今年で125年を迎えます。世界で初めてスキレットを作ったメーカーです。設立当初は家族経営の小さな鋳鉄所でしたが、今では鋳鉄調理器具メーカーとしてアメリカで1番のシェアを持っています。 ロッジが日本に入ってきたのは30年以上前。エイアンドエフでは1990年代中頃に「煮る、焼く、蒸す、燻す」ができるダッチオーブンの取り扱いを開始しました。

ロッジが鋳造にこだわるワケ

スキレット
──ロッジといえば、鋳造なしには語れませんが、どのような特徴があるのでしょうか? 平戸:鋳造とは、砂でできた型の中に鉄を流し込んで形成する製法です。製品の特徴としては、肉厚の鉄で蓄熱性が高いこと。温まるまで時間はかかりますが、食材を入れても調理器具自体の温度変化が少なく、食材にむらなくじっくりと熱を伝えます。 蓄熱性が高いことは揚げ物にも最適です。天ぷら屋さんに行くと、大きなお鍋になみなみ油で揚げているのを見かけますが、あれは食材を入れた時の温度変化を抑えるため。鋳鉄であれば少ない油でも温度が下がりにくく、おいしく揚げ物ができます。

キャンパーがスキレットを使う理由

普通のフライパンと何が違う?

フライパンとスキレット
──スキレットと一般的なフライパンにはどのような違いがあるのでしょうか? 平戸:水を使わずに食材だけで作る「無水料理」ができるのは、大きな特徴ですね。基本的にアルミやステンレスの家庭用フライパンでは、水を使わない「空焚き」ができません。アルミでは最悪、溶けて穴が空く場合があります。しかしスキレットやダッチオーブンはフタを使うことで、食材の旨味が詰まった無水料理を作れます。 他の料理でも、スキレットを使うだけで味が変わってきます。例えば、中華料理。コツは必要ですが、スキレットの蓄熱性の高さが中華料理屋さんの高火力を再現し、野菜炒めは野菜がシャキシャキ、チャーハンはパラパラになりますよ。

キャンパーがスキレット選ぶ理由

スキレット
──そもそも、なぜ多くのキャンパーがロッジのスキレットを支持するのでしょうか? 平戸:焚き火でも炭でもガスバーナーでも、あらゆる熱源で使えることはキャンプで愛用されるひとつの理由です。さらにスキレットひとつで、焼く、煮る、蒸す、燻すなど、さまざまな調理方法ができ、一つあると野外での調理に重宝します。 本来キャンプ専用というものでもないのですが、アウトドアギアを取り扱うA&Fがキャンプでの使用を提案したことも、国内でそのようなイメージがついた理由かもしれません。 個人的には、西部劇のワンシーンで幌馬車の後ろでダッチオーブン料理をしている様子が原風景としてあって、それにあこがれてキャンプでスキレットやダッチオーブンを使っています。キャンプは心を満たすものでもあるので、これぞアウトドア料理だ!というイメージも大事ですよね。

スキレットを使うなら必須の手順。シーズニング。

シーズニング
メンテ
ロッジが発売する汚れ落とし用アイテム。(左から)チェーンメイル スクラビングパッドスクラブブラシ
──スキレットの特徴として、お手入れ「シーズニング」が必要なことは大きな特徴ですよね。 平戸:鋳造の原材料は「鉄」。そのままにしておくと、さびが発生します。そのさびの発生を抑えられる作業がシーズニングです。シーズニングをすることで50年、100年と使い続けられます。 シーズニングの手順はとてもシンプル。まずは洗剤を使わず、たわしで汚れを落とします。このとき、金たわしのような研磨力の強いものは、油の膜まで削り取ってしまうので注意してください。ロッジが出しているメンテナンス用アイテム(写真上)もおすすめです。 そのあとは水ですすぎ、水分をふきとってから火にかけ、乾燥させます。そのとき、油を垂らして煙がたつくらいまでしっかり熱します。熱いうちに油を塗って冷やします。 このとき、油を"薄く"塗ることがポイント。厚めに塗ってそれを何回も繰り返すと、スキレットの縁に酸化した油がたまり体にもよくありません。そうなった場合には、表面の膜を全て削り取って1からスキレットを育てることになるので、薄く塗るのがうまく育てるコツです。

担当者おすすめのレシピを実際に作ってみた

平戸さんおすすめ「手羽先の素揚げ」

手羽先
──スキレットで簡単にできる平戸さんのおすすめ料理はありますか? 平戸:手羽先の素揚げは簡単でおすすめです。先ほど言ったように、スキレットは揚げ物がおいしくできます。外側はカリッと、身も柔らかく、骨からスルッと抜けて、これがビールにもよく合うんですよね。

調理手順

準備するもの
──ぜひ、平戸さんの作り方を教えてください! 平戸:用意するものはスキレットと油と塩こしょうだけ。スキレットはフタを忘れないようにしてください。味付けは塩こしょうでなくても、お好みのスパイスで大丈夫です。
塩胡椒
平戸:まず下準備として、手羽先に味付けをします。キャンプではお酒に合う濃い味付けがおすすめですね。キャンプは繊細な味より、ガツンとした味がおいしく感じます。
油の量
平戸:次はスキレットに油を注ぎ火にかけます。油の量は少なめでOKです。手羽先が半分浸かるくらいで大丈夫。
手羽先を入れて蓋
平戸:スキレットを火にかけたあと手羽先をに入れるのですが、油が低温のうちに手羽先を入れてください。入れた瞬間に油がジュワーってならないくらい。そしたらフタをして弱〜中火のまま揚がるのを待ちます。場合によってはひっくり返してみてください。
完成
平戸:ふたを空けてお肉の様子をときどき見ながら、揚がっているかどうか確認してください。揚がり具合も、お好みで大丈夫です。僕は塩こしょうだけで食べますが、レモン果汁も合うと思います。シンプルですが、とてもおいしいのでぜひ試してみてください。

スキレットは自宅でも使用可能

IH
──スキレットは自宅のキッチンでも使えるのでしょうか? 平戸:もちろん使えます。本来、キャンプ専用でもありません。IHでも使用可能です。IHは熱が伝わるのに時間がかかったり、火を消してもヒーターに熱が残っていたり、火加減の勝手がガスコンロと少し違いますが、使っているうちに慣れてきます。どんな熱源を使うにしても、使っていればどんどんコツが掴めてくるので、諦めずに使い続けてほしいですね。

スキレットで食卓をより豊かに

スキレット
今回のインタビューで、「スキレット使うことで料理がおいしくなる」という言葉が何度もでてきました。味付けではなく、調理器具で料理の味が変わるという「フライパンの実力」は、使ってみなければわかりません。ぜひ、キャンプから家庭料理までスキレットで料理にチャレンジしてみてください。 ロッジについて詳しく知りたい方はこちら:LODGE

特集・連載


あわせて読みたい記事