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ホンダなのにアメ車?観音開きも楽しい、再バズり中のSUV「エレメント」
2024.09.27ライフスタイル
主に1990〜2010年ころに発売された、「ちょっと古いけどツウならいま乗りたい」そんなキャンプな自動車をサラリと紹介する当企画。今回hinata的名車としてお届けするのは、当時はイマイチ…でも最近になって熱く再注目されるようになった、ホンダ「エレメント」です。アメリカ生まれの“道具感”あふれるスタイルは、いまのキャンプの気分にぴったり!
制作者
増田 満
国産旧型車専門誌『ハチマルヒーロー』創刊編集長、『ノスタルジックヒーロー』編集長を経て独立したフリーランスライター&編集者。
以前は頻繁にキャンプに出かけたが、コロナ禍前に山間部へ移住して自然を満喫中。現在クルマ3台、バイク4台を所有して持て余し気味。
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もくじ
「エレメント」って、どんなクルマ?
かつてアメリカでは、私たち日本人が思う以上にホンダ車の人気は凄まじいものでした。
長年、ホンダ・アコードが乗用車販売台数のトップに君臨していたほど。“ホンダ=賢くスマート”なんていうイメージも持たれていたようです。
そんなホンダ人気が絶頂を迎えていた2002年、“ライフガードステーション”をモチーフにした「エレメント」がアメリカで発売(日本では2003年に発売)されました。
ライフガードステーションとは、海の安全を守るライフガードたちが待機する場所
アメリカのライフガードステーションがデザインソースとされ、海や空を眺められる安全な場所・自由なライフスタイルが表現されていたのです。
アメリカ生まれの“道具”な相棒
実はエレメントはホンダ車でありながらにして、開発も生産もホンダR&Dアメリカが担った、ある意味でアメリカ車でした。だからこそ、アメリカ風味をプンプンに感じられる、ほかにはなかなかないスタイルに仕立て上げられていたのではないでしょうか。
バンパー周りをはじめとするふんだんに用いられた未塗装の樹脂パーツも、いま見ると“キャンプ的な道具感”が満載。エレメントならではのアイコニックなポイントです。
高い全高×広い全幅ながらもSUVとしては短めの全長(4,300mm)とされているのは、アメリカの若者(主に20代)をメインターゲットに据えていたことも理由に挙げられます。
ホンダによるリサーチの結果、彼らの多くは2人での乗車が前提であることが判明。さらに、クルマを生活に欠かせない道具として捉えていることもあって、このようなサイジングとなったよう。
「ライフスタイルに最適な存在であって欲しい」そんな願いも開発の根底にあるというわけです。
観音開きドアがもたらす、圧倒的な開放感
エレメントの特徴として「観音開きドア」も忘れてはいけません。
荷物や人の乗り降りがとても楽にこなせることはもちろん、全て開け放った際の開放感も抜群。最近のクルマではダイハツ・タントにも採用されていますが、それでも左側のみなので、この感覚は得られなさそうでもあります。
また、フロント側を先に開けないとリヤ側が開けられない、そんなエレメントの観音開きドアならではの不便さも、ギミック感が大好きなキャンパーなら美点に感じる部分かもしれません。
ちなみに、側面が大きく開くのでボディが弱そうなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ドアを閉めればしっかりと剛性が確保されているのでご安心を。知人のエレメントに乗せてもらったときも不安を感じることはありませんでした。
そと遊びの可能性を広げてくれる「使いやすさ」
上下セパレート式のテールゲートによる荷室の使い勝手の良さも魅力です。荷物のサイズや重量によって上側だけ開けたり両方を開けたりと、柔軟に対応できるというわけです。
また、フロアの表面にはウレタンコートが施されているので、傷や水に強いのもキャンパー向き。雪山やウォーターアクティビティのお供にも活躍してくれるはずです。
全てのシートを倒してフラットな空間を設けられるのも、そと遊び派にぴったり。身長180cmの人でも足を伸ばして横になれたり、10フィートのロングボードも積載できたりと、その使い方は自由自在です。
さらに室内高1,140mm&前席間のウォークスルー構造による、自由度の高さも見逃せません。子どもなら停車時にわざわざ車外にでることなく、スムーズに後席に移動できるのはうれしい限り。
安心感を提供してくれる「リアルタイム4WD」
アメリカ販売モデルにはFF(フロントエンジン・フロントドライブ)やMTも用意されていましたが、日本販売モデルは4WD・ATのみのラインナップとされていました。
ホンダ独自のリアルタイム4WDが、走行状況によって後輪へも駆動力を配分(通常走行時は基本的には前輪駆動のみ)。雪道や未舗装路でも安定したドライブを楽しめます。
また、2.4L・4気筒DOHCのエンジンには、ホンダが得意とする可変バルブタイミングリフト機構を備えるi-VTECが採用されていました。
低回転域と高回転域のそれぞれで最適なパワー&トルクを発生してくれるので、どのようなシーンでも理想の加速力が得られるのです。
とはいえエレメントはあくまでも道具感を大切にしているので、誰にでも扱いやすいフィーリングに仕上げられているのも特徴です。
ついに時代が追いついた!?中古価格は200万円に迫る場合も
いまにだからこそとても魅力的なSUVにも映りますが、発売時は全く人気がなかったのも事実でした。確かに、筆者も当時はなかなか見かけることがなかった記憶も…。
ところが、その道具的でタフな個性にようやく時代が追いついたのか、発売から20年以上経過した現在、静かなブームになっているように感じています。
当然のように、中古車市場では高値安定という具合です。
当時の新車価格259万円に対して、100万円前後が平均的な価格とされています。また、その中でも5万〜10万kmほどの走行距離が短い個体なら、200万円に近い驚異的な価格で販売されていることもあるようです。
そのような状況にもあるので、走行距離20万kmなどのリーズナブルな個体を選ぶのもアリかもしれません。知人の中には、50万kmまでエンジンの分解メンテナンスをすることなく乗り続けた例もあるほど、ホンダのエンジンは丈夫だからです。
また、カスタマイズされている車体が多いのもエレメントの特徴のひとつです。
アメリカ生まれの個性をもっと楽しむために、ホイールやボディパーツが変更されている場合も多いからです。
その姿に惚れて楽しむもよし、リセールバリューを重視するなら、高値で売却しやすいカスタマイズしていない車体を手に入れるもよし。自身のクルマとの付き合い方に合わせて選ぶのがおすすめです。
<基本情報>
2003年・エレメント
- 全長×全幅×全高:4,300×1,815×1,790mm
- 車両重量:1,560kg
- エンジン種類:直列4気筒DOHC
- 排気量:2,354cc
- 最高出力:160ps/5,500rpm
- 最大トルク:22.2kgm/4,500rpm
- 発売当時価格:259万円
次回は、SUVとミニバンをミックスしたようなスタイルの、ホンダ「クロスロード(2代目)」の魅力をお届け予定です。キャンプの相棒を探している人はお見逃しなく!
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