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車連載 スバル フォレスター

強心臓&良ホスピタリティで大ヒット!元祖SUVスポーツ「初代・スバル フォレスター」

主に1990〜2010年ころに発売された、「ちょっと古いけどツウならいま乗りたい」そんなキャンプな自動車をサラリと紹介する当企画。今回、hinata的名車としてお届けするのは、スポーツカー真っ青な実力を備えて大ヒットした「初代・スバル フォレスター」です。

「初代・スバル フォレスター」って、どんなクルマ?

1990年代後半、世界ラリー選手権(WRC)ではスバル インプレッサが快進撃を続けていました。 そんな世界中に実力の高さを知らしめたスバルが、最速の市販車インプレッサをベースにしたSUVとして開発・発売したのが「フォレスター」でした。
1997年発売 スバル フォレスターT/tb
1997年発売 スバル フォレスターT/tb
発売当初のインパクトは大きいものがありました。というのも、フォレスターには全車にインプレッサの強心臓と同じ水平対向4気筒DOHCターボエンジンが搭載されていたからです。 これはまさにWRCでワールドチャンピオンを獲得したエンジンにほかなりません。もちろん出力は抑えられていましたが、“あらゆるシーンでの使いやすさと、あらゆる道での爽快な走りを追求”をコンセプトにしているとおり、スポーツカー顔負けの走行性能を有していたのです。

手軽さと強さの両立で大ヒット

フォレスターが人気を集めた理由はそれだけではありません。 新たなSUVとしてのパッケージングを追求したボディは、普段の買い物から荷物を満載するキャンプまで、幅広シーンで活躍してくれました。
アメリカ・インディアナ モータースピードウェイ
発売前年にアメリカ・インディアナ モータースピードウェイで24時間世界速度記録に挑戦。平均速度180.082km/hを樹立しました
インプレッサがベースのため、基本的に5ドアハッチバックのみの比較的コンパクトなサイズとされていました。 そのうえで、悪路走行を視野に最低地上高を200mmと高めに設定しつつ車高が1,600mm未満に抑えられているので、重心が高くなり過ぎず快適な走行性能を両立していたのです。 いわば、一般的な小型乗用車の感覚で使える手軽さと、本格的4WD車としての側面もあわせ持っていたのです。

キャンプにうれしい「おもてなし」も満載

運動性能の高さに注目しがちですが、欧米でも人気となった理由には室内の使いやすさも挙げられるのではないでしょうか。
T/25
1998年には2L自然吸気エンジンに加えて、2.5Lエンジン搭載車も追加されました。写真はT/25
室内には30カ所もの収納スペースが設けられているほか、リヤにはセパレート式リクライニングシートも採用(グレードによってはアームレストも)されていたりと至れり尽くせり。 このリヤシートは分割可倒式なので、荷物の大小に合わせて柔軟にアレンジでき、フロントシートを前にスライドして背もたれを倒せば、フラットな空間にすることも可能です。 また、リヤシートを前に倒すとフラットなカーゴスペースが生まれることや、腰を折ることなく荷物を出し入れできるカーゴフロア(地上高656mm)が設定されているのも、キャンパーにうれしいポイントでした。
2000年 S/tb-STi
2000年にはスポーツムードを強調したS/tb-STiが追加されています
また、忘れてはいけないのが“スバルらしい4WDシステム”です。 乗用4WDのパイオニアでもある同社が得意とする、低重心かつシンメトリーに配置された駆動系を採用。スマートな操縦性と高い走行性能を特別なテクニック不要で得られるというわけです。 とうぜん悪路や悪天候にも高く、降雪時の高速道路でも不安なく運転できるほど。この安心感は、自然を相手にすることが多いキャンパーにも心強い味方になってくれるはずです。 ちなみに、発売後しばらくして自然吸気エンジン車も追加されます。ターボほどの加速力は不要かも…なんていう声にもしっかり応じてくれたのです。さらに排気量の大きな輸出向けの2.5L車も追加され、選択肢が大きく広がりました。

中古相場は100万円前後がメイン

初代・フォレスターは2000年にマイナーチェンジを受けて後期型になり、2002年まで製造が続けられていました。ところが、現在の中古車市場にはそれほどタマ数がないことに気付かされるはずです。 これは、フォレスターの良さが海外でも認められ、中古車相場がいまより低い時代にどんどん輸出されたからかと筆者は考えています。
C/20スペシャル
2000年のマイナーチェンジで後期型に移行します。写真はC/20スペシャル
タマ数が少ないことも手伝って、中古車価格は100万円前後に設定されていることが多いのも特徴です。近年、1990年代のクルマがネオクラシックカーとして人気を博していることも、この強気な価格に関係しているかもしれません。
S/20タイプA
スポーツSUVとして海外でも人気です。写真はS/20タイプA
とはいえ、今回筆者の調査でヒットした中古車たちはいずれも走行距離が10万km未満だったので、この価格帯に納得できるものもあります。 また、2代目インプレッサを20万km走るまで所有していた筆者の経験を踏まえても、同エンジンを搭載するフォレスターなら、メンテナンスさえ怠らなければ10万km以上走っても大きなトラブルが発生しにくいだろうと想像します。 中古車としては少し高額に感じる人も多いかもしれませんが、今回紹介したように、初代・フォレスターには車格が大きくなった現行モデルには見られない美点が盛りだくさんです。いまこそ、キャンプはもちろん普段の相棒として選ぶのも間違いではないはずです。
【基本情報】 1997年・フォレスターT/tb
  • 全長×全幅×全高:4,450×1,735×1,580mm
  • 車両重量:1,390kg
  • エンジン種類:水平対向4気筒DOHCターボ
  • 排気量:1,994cc
  • 最高出力:250ps/6,250rpm
  • 最大トルク:31.2kgm/4,000rpm
  • 発売当時価格:248.5万円
ホンダ Z
次回は、ミッドシップレイアウトで広い室内を実現した「ホンダ Z」の魅力をお届けする予定です。キャンプの相棒を探している人はお見逃しなく!

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