キャンプ・アウトドア情報メディア | hinata〜もっとそとが好きになる〜
犬と注射器

【獣医師監修】ダニ・ノミ・フィラリア・ヒル…。アウトドアに不可避の「寄生虫」から愛犬を守れ!

2023.05.16ノウハウ

※本記事には一部プロモーションが含まれます

5月になると気温も上がり、アウトドアもオンシーズンに!ところが同時に、虫たちも活発になるのが事実。蚊やダニは人間にとってもいやな害虫ですが、ワンちゃんにとっては命取りになりかねない病気を持ってくることも。夏に向かう季節にこそ気を付けたい「予防法」、お出かけ時に持っていきたい「便利グッズ」を獣医師&愛玩動物飼養管理士が解説します!

春から夏は寄生虫が大繁殖!?お出かけ前に知ってほしい予防と対処法

草むらや藪、水辺まで…。どこにでも潜む寄生虫の恐怖

草むらでボールを加えている犬

出典:PIXTA

自然いっぱいのフィールドは愛犬にとっても気持ちいい!でも、寄生虫予防は大丈夫!?
自然の中で遊ぶアウトドア。人にとってもワンちゃんにとっても楽しいものですが、暖かい季節になると寄生虫の心配が出てきます。特に、隠れ家となる毛皮があり、地面との距離が近いワンちゃんは寄生虫の格好の餌食。アウトドアで特に気を付けたい寄生虫と、その対処法を日本橋動物病院の園田開院長先生に聞いてみました。
icon

日本橋動物病院 院長

園田 開

2007年に開業した「日本橋動物病院」(東京都中央区)の院長であり、皇居の警察犬担当獣医師。年間のべ10,000匹以上もの犬・猫・その他動物を診療し、豊かな経験を基にした、動物と飼い主に寄り添うスタイルが好評。近々、愛犬のボーダーコリー・さよちゃんとのアウトドアデビューを計画中。診療で出会う物語を分かりやすくかきとめたブログ「かいぼっち」は、愛犬・愛猫家必見!

園田先生のブログはこちら:かいぼっち
icon

hinata編集部

舟橋 愛

乗馬のインストラクター、制作会社などを経て編集ライターとして独立。幼少期からずっと犬と暮らしているが、甲斐犬に魅せられて2020年に房総半島に移住。本業の傍ら、保存のために甲斐犬のブリーダーをしている。現在、一緒に暮らす犬は7頭。休日は自然の中で遊ぶことが好きな犬達と共に房総で野山を満喫中。愛玩動物飼養管理士2級、ペット共生住宅管理士。

【1】マダニ/人畜共通感染症を連れてくる、油断ならないアイツ

国内で確認されている犬につくマダニは20種類。バベシア症とSFTSが特に怖い!

繊維にくっついているマダニ
person icon

hinata舟橋

春くらいから、山に入るとかなりの確率で付いてきちゃうダニなのですが…。そもそも、犬につくダニの生態ってどんなものなのでしょうか?
person icon

園田 開先生

外で犬につくのはほとんどマダニです。郊外の山や森の草むら、ウサギ、シカ、イノシシなどの野生動物が出没するところに多いようです。 地域差もありますが、だいたい3~11月頃にかけて活動が活発になり、動物の体温や振動、二酸化炭素を感知して近づいた犬や人に飛び移るんです。 また、マダニには幼ダニ期、若ダニ期、成ダニ期と三段階の成長段階がありますが、成ダニのメスが血を吸って地面に落ちると産卵を開始。およそ2~3週間で2,000~3,000個の卵を産んで死滅します。
person icon

hinata舟橋

2,000~3,000個!?マダニは、取ったら潰さずにテープなどでパウチしてから捨てるように猟師さんから言われたことがあるのですが、卵を産むかもしれないからなんでしょうか。
person icon

園田 開先生

うーん、卵が散乱するからかどうかは分かりませんが…。人の服などに付いてくることもあるので、移動しないようにテープにくっつけて取るという方法を推奨している自治体などもあるみたいですよ。
person icon

hinata舟橋

なるほど…。そして、血を吸うだけではなく、結構怖い病気も持っているんですよね?
person icon

園田 開先生

そうです。マダニは世界には800種類くらいいるのですが、日本にいるのは47種類、そのうち20種類が犬にも付くことが分かっています。彼らが媒介する病気は多くて、バベシア症、日本紅斑熱、ライム病、Q熱、エールリヒア症、重症熱性血小板減少症 (SFTS)などが代表的。無症状のものもありますが、多くは発熱、食欲不振、関節炎、貧血などの症状が出て、酷いと死に至る場合もあります。Q熱などは不妊や流産もあるんですよ。 特に多いのはバベシア症とSFTSで、かかると3割くらいが死んでしまう怖い病気。しかも、SFTSはマダニから直接、あるいは感染した犬を介して人にも感染することがあるんです。
person icon

hinata舟橋

数年前に、マダニに噛まれて人が亡くなったというニュースが話題になりましたね。
person icon

園田 開先生

あれが重症熱性血小板減少症 (SFTS)でした。ウイルス性の病気ですが、地域差があって、今のところ九州、四国、中国地方、 さらに石川県と静岡県で、5月から8月に発症が報告されることが多いんです。 かかってしまうと、対症療法しかなく、出ている症状をやわらげて、免疫がウイルスに打ち勝つのを待つしかない病気。数はそんなに出ていませんが、かかった時の致死率は決して低くありません。 ちなみに、他の地域なら安心かというと、マダニがいることには変わりありません。SFTS以外のウイルスや細菌、原虫も媒介するので、予防は大事です!

一番いいのは月に一度の投薬やダニ除けスプレーによる予防

犬にダニの薬をつけているところ

出典:PIXTA

person icon

hinata舟橋

薬やシャンプー、天然由来のスプレーなどいろいろ出ていますが…。マダニの予防って何が一番いいんでしょうか?
person icon

園田 開先生

一番効果的なのは、やっぱりお薬です。マダニが出るシーズンに駆虫薬を投薬するのですが、首に液体を垂らすスポットタイプ、スプレータイプ、口から摂取するチュアブルタイプのものなどがありますね。1カ月に一度投薬するタイプのほか、3カ月に一度でいいものもありますよ。
person icon

hinata舟橋

うーん、でもあれって犬の体には危険ではないのでしょうか?投薬して数時間で血を吸ったマダニやノミが落ちるなんて、結構強いのでは…と心配になるんですが…。
person icon

園田 開先生

よくぞ聞いてくれました(笑)。 よく病院でも聞かれるのですが、マダニやノミを落とすお薬は哺乳類には影響がなく、節足動物の神経を麻痺させる成分なんです。また、医薬品には「LD50」と呼ばれる安全と危険の境界を示す数値があり、ここから使用数値を下げても効果があるかを試験して製品化されます。 人間にとってのお酒やしょうゆも同じですが、適量を守ることが大事。少しならおいしいし、一気に大量摂取すれば毒にもなる。適切な投薬なら何も問題はありませんよ。
person icon

hinata舟橋

なるほど…。薬の副作用を心配して、ダニを付けてしまったら本末転倒ですね。ちなみに、天然由来のスプレーやシャンプーはどうですか?
person icon

園田 開先生

多分、それだと弱くて、水で流れたり時間が経ったりしたら、薬より早く効果がなくなってしまいます。それに、顔や耳の中まで洗ったりスプレーしたりは難しいので、完全な予防にはなりにくいんですよ。 マダニが付いても、病気にまでなるケースは正直なところ、さほど多くはありません。でも、なってしまえば犬にとってリスクが高いし、治療費だって高くなります。 アウトドアによくお出かけするならなおさら、月に一度、約1,000~2,000円(犬の体重による)のお薬で済むのなら予防薬をあげるのがやっぱりおすすめです。

もしマダニが付いてしまったら!?マダニ取りの正解と不正解

ダニ取りスティックとダニ
ダニ取りスティック(O'tom Tick Twister)で取ったマダニ。吸血前はこんなに小さい
person icon

hinata舟橋

マダニが付いてしまった場合、家で取ってもいいのでしょうか?
person icon

園田 開先生

口器までしっかり外すことができれば、家庭で取っても問題ありませんよ。でも、マダニの体をつまんで引っ張っちゃうのは不正解!皮膚についたマダニを無理に引っ張って口器が残ると化膿することがあるので、専用のピンセットなどを使って慎重に取りましょう。 ピンセットは、マダニ本体ではなく、必ず口器を挟んで、ゆっくりと左右に動かしながら口器がちぎれないように慎重に引き抜くのが正しい使い方です。
person icon

hinata舟橋

ダニ取りスティック」というのもありますね。あれは使っても大丈夫ですか?あと、お酒で取る方法もあるとか…?
person icon

園田 開先生

マダニを挟んでくるくる回すスティックですね。あれも口までちゃんと取れれば問題ありません。 お酒についてですが、動物病院では、アルコールなどの薬剤を使って取ることがあります。70%のアルコールをマダニの口(犬の皮膚に入り込んでいるところ)に垂らして、しばらくしてから取り除きます。また、マダニが隠れるくらいに塩を盛り、その塩を水で濡らして10分ほど後にマダニを取る方法もありますよ。 ただ、これらは犬の目の近くなどだとやれないので、うまく取れなさそうな場合は、動物病院を受診してください。

【2】ノミ/2~3週間で500倍!?犬が頻繁にかゆがっていたら要注意!

犬にとっては皮膚病の原因に。人にとっては、爆発的な繁殖力で住環境が侵される!

犬が体をかいているところ
person icon

hinata舟橋

昔は野良猫や外飼いの犬などにノミがいるのをよく見かけましたが、最近はあまり見ることも、周囲の人から聞くこともなくなってきました。でも、やっぱりノミは外に遊びに行くときは注意すべき寄生虫ですよね?
person icon

園田 開先生

そうですね。私たち獣医師は「犬がかゆがっていたら最初に疑うべきはまずノミ」と言っています。それは、原因がノミだと断定できれば治療や根治のゴールが見えやすいからというのもあるのですが…。繁殖力がすごいので、実際、ノミによるアレルギー性皮膚炎というのは今も多いんですよ。 ノミの唾液に反応するアレルギーで、強いかゆみがあるため、犬がかきむしって皮膚が炎症したり脱毛したり。ノミアレルギーは、寄生しているノミの数に関係なく起こるので、駆虫のほか皮膚炎の治療も必要になることが多いです。
person icon

hinata舟橋

ま、また繁殖力が…。
person icon

園田 開先生

はい(笑)。まず、ノミは2,000種類くらいいるのですが、犬に付くのはほとんどが「ネコノミ」です。「イヌノミ」というノミもごく稀に付くけれど、臨床現場で見るのはほぼネコノミですね。 これらノミのメスは、吸血後、24時間で産卵をスタート。1日27個の卵を産みますが、8時間以内にそのうち7割くらいが犬の体から落下します。
person icon

hinata舟橋

え?1日に27個で、そのうち3割しか残らないなら1日8個くらいですよね。そんなに大したことないのでは…?
person icon

園田 開先生

と、思うでしょ?ノミが犬についている期間は大体2~3週間なんですけれど、この間に1匹が500個くらいの卵を産みます。3割残るとして170個。でも、当然、最初に犬についているノミは1匹だけじゃないし、増えたメスノミがまた産卵して…
person icon

hinata舟橋

怖い!
person icon

園田 開先生

さらに、床に落ちた卵もサナギになって再度、室内飼いの犬や猫にくっつこうとします。ノミってね、卵が床に落ちると、 「卵」→「ふ化」→「蛹化(ようか)」→「サナギ」→「羽化」というステップを経て成虫になる のですが、サナギから成虫になるまではわずか8~13日間。しかも、血だけが栄養源だから絶対生き物に付こうとする。 ノミの寿命は2~3週間ですが、犬に付いているノミが死ぬ頃には、床で待機していたサナギの第二部隊がまた犬に上ってくるわけです。 あと、人が見つけられるノミって、5~10%程度らしいです。1匹見つけたら、実際はその10~20倍いると思った方がいいんですよ。
person icon

hinata舟橋

すごい怖い!
person icon

園田 開先生

住環境が侵されますよね…。ノミのサナギは、乾燥に強いので生き物が通りかかるまで結構辛抱強く待つんです。それで、生き物が通るとサナギから出てきて飛びつく。キャンプなんかで野生動物がいるような場所に行くと、落ちたノミの卵から孵化したサナギが落ちている可能性は充分あります。とにかく家に持ち込まないことが重要です。
person icon

hinata舟橋

吸血してもマダニより小さくて見つけにくいし、手では取り切れないし…。これも予防が肝心ですね。

ノミ取り首輪やシャンプーでは完全な除去が難しい。やっぱり投薬が安心!

犬を洗っているところ

出典:PIXTA

person icon

hinata舟橋

ノミの予防といえば、ノミ取り首輪やノミ取りシャンプーがメジャーな気がしますが、これまでのお話だとそうでもなさそう…。
person icon

園田 開先生

そうですね(笑)。 ノミ取りシャンプーはダニと同じで、やっぱり顔や耳の中まで洗う訳にはいかないので、どうしてもノミが残ってしまいます。シャンプーをすることで体のノミが顔に避難してきますしね…。ノミ取り首輪は、ノミが嫌がるガスが出ているのですが、有効期間があるため、定期的な取り換えが必要です。でも、ほとんどの人はずーっと効果があると思っていて、同じのを着けているんですよね…。
person icon

hinata舟橋

ノミ取り首輪って、そうだったんですか!確かにあれって半永久的なものというイメージが…。とすると、やっぱり医薬品を使う方が良さそうですね。
person icon

園田 開先生

はい。マダニと同じでいろいろな薬のタイプがありますが、種類によるものの、付いているノミはだいたい6~8時間で落ちますし、新しく付いたノミも24時間程度で落とせます。ノミは先ほどもお話したように、とにかく繁殖力がすごいので、ライフサイクルを断つことが大切。吸血から24時間で卵を産むとするなら、その前に薬で落としてしまえるので、迅速さや安全面からいっても薬で落とすのが一番です。

【3】フィラリア/かかれば命取り!身近な蚊が媒介するだけに注意

フィラリア症の犬+蚊。この2つがそろうと近くにいる犬は危ない!

蚊が血を吸っているところ

出典:PIXTA

person icon

hinata舟橋

夏といえば蚊の季節!ノミやマダニよりも怖いイメージがある、フィラリアについてもお伺いしたいです。
person icon

園田 開先生

フィラリアというのは、犬糸状虫という虫が、犬と蚊の間を行き来して起こる病気です。フィラリア症の犬と、その血を吸った蚊。この両方がそろわなければ、感染はしませんが、この2つがそろってしまうと、この蚊を媒介して健康な犬にも犬糸状虫が感染してしまうんですね。 蚊が媒介するというのは厄介で、外に遊びに行ったときだけではなく、家の中でも感染があり得ます。
person icon

hinata舟橋

昆虫と哺乳類の間を行き来しながら繁殖するんですね。具体的に、フィラリア症の犬の血を吸った蚊に、健康な犬が血を吸われるとどのようなことが起きるんでしょうか。
person icon

園田 開先生

フィラリア症の犬から吸血した蚊は、ミクロフィラリアというフィラリアの仔虫を血と共に吸い上げます。蚊に吸い上げられるとフィラリアは幼虫になり、犬の心臓に到達するまでに5段階ある成長過程のうち、第3段階までは蚊の中で成長するんですよ。蚊の中での成長期間を経て感染力を持つようになり、非感染犬を蚊が吸血した時にフィラリアの幼虫が寄生してしまうんです。 非感染犬に感染したフィラリアの幼虫は、皮下組織や脂肪、筋肉の中で約2カ月ほどかけて成長し、血管に入ります。成虫になったフィラリアは、犬の肺動脈や心臓に寄生するため、心臓の働きに異常が起こり、血液循環障害が起こるのです。
person icon

hinata舟橋

フィラリア症になると、どんな症状が出ますか?
person icon

園田 開先生

運動不耐性といって、疲れやすくなったりいつもやっていた動きをしなくなる、 咳、腹水、体のむくみ、肝臓肥大、肺動脈塞栓症、急性大静脈症候群、血尿、喀血、貧血、呼吸困難…時には急死もあります。 血管の中に入ってしまうと治療は困難なので、血管に入る前に駆虫することが大事です。

フィラリアは薬でほぼ100%予防が可能。毎年の習慣にしよう

犬の血液検査

出典:PIXTA

person icon

hinata舟橋

フィラリア症は、薬でほぼ100%予防できると聞きますがそれは本当ですか?
person icon

園田 開先生

本当です。ただし、間違えないでほしいのは「フィラリア症」にかかるのをほぼ100%予防できるのであり、フィラリアが体内に入ることを予防することは困難です。先ほどお話した、「皮下組織や脂肪、筋肉に入って約2カ月かけて成長する」という段階で幼生を駆虫する、というのがフィラリア症の予防。 「ほぼ100%」というのは、薬が正しい期間に、正しく投薬されていればという前提があるからです。
person icon

hinata舟橋

投薬期間は地域差があるようですね。蚊が出るようになってから、蚊がでなくなった1カ月後まででしたっけ。
person icon

園田 開先生

そうです。2カ月かけて血管に入るので、刺されてから1カ月後に薬で幼生を落としてしまおう、というのを蚊が出る期間の間続けるということですね。 地域ごとの発症期間や投薬期間は獣医さんに聞いてもらえば分かりますので、その間は投薬を続けてください。
person icon

hinata舟橋

あと、フィラリアの投薬前には、血液検査が必要なんですよね。もしも検査せず、フィラリアにかかっているのに投薬してしまうと、犬が死ぬことがあると聞いたことがありますが…。
person icon

園田 開先生

フィラリアにかかった犬が投薬により死亡することもありますが、今は稀です。フィラリアの薬が国内で承認された当時は突然死、ショック死、木馬様歩行など、いろいろな異常が見られたそうですが…。 当時は1匹の犬へのフィラリアの寄生数も多かったと考えられますので、寄生数が多ければこのような問題もある程度はあったと予想されます。 現在では、どちらかといえば既にフィラリア症にかかってしまっていると、もう薬が効かないので、「予防」と「治療」の分岐を見極めるために血液検査が必要なんですよ。
person icon

hinata舟橋

そうなんですね!それにしても、フィラリア症にかかった犬がいなければそもそも感染しなくて、フィラリア症自体100%予防ができるのならいずれこの病気はなくなるかもしれませんね?
person icon

園田 開先生

やはり、都心ほど予防する人が多いからかフィラリア症は減っています。でも、地方に行くとまだ見られるのが現実…。自分の家の犬がフィラリア症になってしまうと、愛犬の命の危険もありますし、近隣の犬にも感染させてしまうということなので、マナーとしても予防はしていきたいですね。

【4】ヒル/気持ち悪さはNO.1!?水辺や湿気のある山林に潜むゲリラ

吸われると血が止まりにくくなる「ヒルジン」が厄介

枯れ葉にくっついているヒル

出典:PIXTA

最後はヒルに関してですが、こちらは獣医さんとはあまり縁のない生き物のため、房総半島でイヤというほどヒルに遭遇している筆者が実体験を交えてお伝えします。 ヒルの中でも吸血するヤマビルは、水辺のほか、湿気の多い山林で枯れ葉の裏などに潜んでいます。特に4~11月に活動が活発になり、この時期の雨上がり直後などは川の近くに行けば、地域によるのでしょうが、房総半島内陸部ではほぼ100%吸血されることに…。 最初は短いイトミミズのような形状で、くっつかれても気づかないことがほとんど。しかも、「ヒルジン」という痛みを麻痺させて血を止まりにくくする成分を分泌するため、気付かないまま吸い逃げされることもあります。吸われた後は血がなかなか止まらず、多少の痒みを伴いますが、それ以上の悪化をしたことはありません。(まれに傷口から細菌感染などを起こすことはあるそうです) 犬の場合は指の間、目の近くや肛門まわりなど、毛のないやわらかい部分を狙われることが多く、水遊びの後はこれらの部位チェックは必須です。

実は酢や塩で簡単に撃退可能。できればポイズンリムーバーで毒を吸い出して

犬が水遊びしているところ

出典:PIXTA

対処方法は意外と簡単で、3~5倍程度に薄めた酢水や、塩を直接振りかけるとすぐに取れます。タバコの火を近付けても取れますが、こちらは火の始末には充分注意しつつ、人に限っての対策となりそうです。 取った後は、ポイズンリムーバーなどでヒルジンを吸い出してから、虫刺され用の軟膏を塗って絆創膏を貼ればベスト!犬の場合はきれいな水でよく洗い流して、軟膏を塗ってあげましょう。 ちなみに、ヤマビルはジャンプ力がすごく、生き物の体温や二酸化炭素を感知して寄ってくるそうです。リュックにもくっつくので、リュックなどの布目のあるものを地面に置かないようにしましょう。 靴下の布目からも入り込んでくるので、靴を履いていたとしても、人間も最後に一度靴下まで脱いで足をチェックするのがおすすめです。

何といっても予防第一!そと遊び後はワンちゃんの様子もしっかり観察を

寄生虫は、付かせない、付いたとしても発症させないことがとにかく大事。特に、マダニやノミ、フィラリアは薬でほぼ確実に予防ができるので、アウトドアに行くときはもちろん、日常でも、シーズン中は正しい予防を実施しましょう。また、そと遊びのあとはボディチェックを習慣にして家に持ち込まないことも大切です。 園田先生からは、「違う環境で遊んで帰ってきたあとに、お腹を壊す子がとても多い」というアドバイスもいただきました。どんなに楽しくても、体が付いていけないことがワンちゃんにもあるので、帰宅後の様子もしっかり見てあげてください。 次回は今回の教訓も生かして愛犬との山登りにチャレンジ予定! 「犬との外遊びでこんなことが知りたい」「犬とのおすすめお出かけスポットがある」など、情報があればInstagramで 「#hinataいぬ部」のハッシュタグを付けてどんどんお寄せください。Instagram(@hinata_outdoor)と「#hinataいぬ部」もぜひフォローよろしくお願いします!

「#hinataいぬ部」で投稿しよう!

今回紹介したアイテム

商品画像フロントラインプラスO'tom Tick Twister ClipBoxフロントラインスプレータイプSafety Lifeポイズンリムーバー
商品名フロントラインプラスO'tom Tick Twister ClipBoxフロントラインスプレータイプSafety Lifeポイズンリムーバー
商品リンク

#hinataいぬ部

飼い主もワンちゃんも「もっと外が好きになる」、みんなでつくる外遊びガイド。読者からも情報を募って、小型犬はもちろん、中・大型犬も楽しめるアウトドア情報を発信します。


特集・連載


あわせて読みたい記事