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ナムチェバザール

【シン・茨城県の歩き方】キャンプ+トレッキングが“これからの”アウトドアスタイルだった

2023.04.22キャンプ場

全国の人気アウトドア店のオーナーが、地元のキャンプ場やグルメ情報を教える「名物ショップの地元自慢」。今回は、茨城県「Namche Bazar(ナムチェバザール)」のオーナー・和田幾久郎さんが、茨城県の魅力を紹介します。広大なトレイルコースの整備も行っている和田さんにとって、茨城はアウトドアに“最高の場所”。特に、トレッキングを中心とした「歩くからこそ」見えてくる茨城の魅力を語ってもらいました。

魅力がないとは言わせない!茨城から発信するアウトドアの可能性

有名な観光名所が少なく、魅力度が低いと言われがちな茨城県。しかし、アウトドア好きに向けて声を大にして言いたい…「茨城県は最高のそと遊び場である」ことを! 「茨城県は、さまざまなアクティビティを楽しめる自然環境があり、同時に日本の里山文化にも触れられる“唯一無二”の場なんです」。そう語るのは、アウトドアショップ「ナムチェバザール」のオーナーである和田幾久郎さん。1993年から続くお店は、登山家の三浦雄一郎さんなど多くのアウトドア著名人も愛する老舗です。 和田さんはお店の枠を超え、キャンプ場の運営やトレイルコースの整備を進め、茨城の新しい魅力を最前線で発信しています。そんな和田さんに、茨城が日本に誇るアウトドアスポットを教えてもらいました。
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ナムチェバザール 代表取締役

和田幾久郎(わだ・いくお)

総合商社のトーメン(現豊田通商)勤務を経て、1993年に茨城県水戸市にアウトドアショップ「ナムチェバザール」を開く。実家は明治23年創業の雛人形店「祐月」で、その代表取締役も務める。さらにキャンプ場の運営やトレイルコースの整備など、茨城県を中心に精力的に活動している。

【サブスク・サウナ・ワーケーション】次世代キャンプ場はこれだ!「OKUKUJI BASE CAMP」

奥久慈ベース
「OKUKUJI BASE CAMP」は和田さんが運営・プロデュースするキャンプ場。那珂ICからクルマで50分ほどの奥久慈エリアに位置します。久慈川を目の前にした開放感あるローケーションとともに、新しいキャンプ場のあり方を提案する和田さんのこだわりが詰まっています。
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和田さん

OKUKUJI CAMP BASEは、ソロキャンパー向けにつくったキャンプ場です。イメージしたのは山の「テン場」。ファミリーやグループで使うのに適したオートキャンプ場とは異なり、クルマを乗り入れしないで、一人ひとりが自分だけの時間を味わえるような環境を目指しました。 目の前に流れる久慈川は、カヤックの大会に使われたり、釣りも楽しめたりとアウトドアにはうってつけの川なんです。

バレルサウナで絶景を見ながらいつも以上に「ととのう」

奥久慈ベース
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和田さん

キャンプサイトのすぐ裏手にはセンターハウスとバレルサウナがあります。サウナは薪ストーブを使う北欧式。もちろん水風呂も外気浴スペースもあります。久慈川を目の前にすれば、いつも以上に「ととのう」ことができますよ。その後のキャンプサイトでの“一杯”はたまらない!

これからはキャンプ場が仕事場!“サブスク”でもっとキャンプを身近に

奥久慈ベース
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和田さん

センターハウス内には、フリーWi-Fi完備のワーケーションスペースがあります。日中はここで仕事をし、サウナでととのいながらキャンプを行う。日常とキャンプが溶け合うような場所を目指しているんです。あまりにもいい環境なので「仕事が手につかない」とならないように注意してください(笑)。 月額料金で自由に使えるサブスクリプションサービスも実施しているので、より普段使いに適したキャンプ場になっています。企業の研修などにも使ってもらえる取り組みもしており、キャンプ場の「新しい姿」を茨城から提案しています。
【基本情報】 住所:茨城県大子町袋田3708-1 定休日:水曜日 料金:[キャンプ場]2,000円〜/大人 チェックイン/チェックアウト:10:00〜/〜17:00 予約はこちら:OKUKUJI BASE CAMP

茨城の魅力をひとつなぎにする「茨城県北ロングトレイル」

キャンプとともに、和田さんが力を入れているのがトレッキング。トレッキングには、キャンプや星を眺める「スターゲイジング」など他のアクティビティと組み合わせることで楽しさが倍増する魅力があるといいます。 そこで、自らトレイルコースをつくることを提案。「茨城県北ロングトレイル」と名付けられたコースづくりは、全長320kmにおよぶ一大プロジェクトとして2020年から本格的にスタートしました。和田さんを中心に、県や地域の有志が一丸となり完成に向けて進めています。 一部のコースは整備され、トレッキングを中心としたアクティビティを楽しめる茨城の新たなアウトドアの拠点になりつつあります。
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和田さん

個人的に、茨城はトレッキングに最適な場所だと思っています。茨城には標高があまり高くない里山が多く、歩いてめぐるにはぴったりです。 そこで、日立、髙萩、北茨城、大子、常陸太田、常陸大宮の6市町からなる県北部のエリアをつなぐコースを思い立ったんです。トレイルの途中にはOKUKUJI BASE CAMPをはじめ、キャンプなどを楽しめるスポットがあります。 それに加え、何百年と続く里山文化がいまだに根付います。トレッキングを中心にさまざまアクティビティを複合的に楽しめて、日本のすばらしい歴史や文化を体験できるのは、「唯一無二」の環境です。
茨城県北ロングトレイ

出典:茨城県ロングトレイル

茨城県北ロングトレイルの標識。これを目印にコースを楽しもう!
アクセスのしやすさも茨城県北ロングトレイルの魅力です。決まったスタート地点はないので、コースの好きなところから始められますが、初めての人はコース中央部エリアの袋田地区から歩くのがおすすめ。JR水郡線の袋田駅を下車すれば、すぐにコースが見えてきます。クルマであれば、那珂ICまたは日立南ICから国道118号線へ40分ほど北上すると袋田に到着します。 2023年4月には100kmのコースが開通され、5日〜1週間程度で踏破が可能。全長320kmのコースが完成すれば、約1カ月間かけて歩き通す広大なトレイル環境になります。 開通済みのコースには専用の標識があります。コースマップは県内のアウトドアショップや道の駅で入手できるほか、県北ロングトレイルのホームページからもダウンロードできます。 年に数回、1泊2日の体験イベントも開催しているので、トレッキングに慣れていない人でも楽しむことができます。 ここからは、和田さんがおすすめする県北ロングトレイルの見どころスポットを紹介します。

最も原始的。だけど“今っぽさ”もあるトレッキング

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和田さん

トレッキングのおもしろさは、好奇心の赴くままに自由に自然の中を歩き回れること。これは人間が太古の昔から行ってきたことであり、最も原始的な活動ではないでしょうか。特別な技術は必要ありません。自分の思うままにお気に入りのスポットを見つけちゃってください! 例えば、国道349号沿いには「河鹿沢の雄滝」をはじめとした大小さまざまな滝が点在しています。名瀑から、名もなき小さな流れまで、自分だけの“推し滝”を見つけるトレッキングなどもおもしろそうですね。
県北ロングトレイル

出典:PIXTA

滝神ダムからの夜空の眺め
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和田さん

トレッキングとスターゲイジングの組み合わせも素晴らしいですよ。常陸太田市の竜神ダムには、星空を観察するのにぴったりなスポットがあります。流星群の時期などに来れば、降り注ぐ流れ星を堪能できてロマンチック。 昨今のアウトドアブームでは、複数のアクテビティを組み合わせて楽しむ人が増えてきました。さまざまなそと遊びと一緒に行えるトレッキングは、とても“今っぽい”のではないでしょうか。

あの漫画にも登場!?真っ二つに割られた「太刀割石」

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和田さん

一風変わったスポットもご紹介。高萩市と日立市十王町の境には、標高658mの竪破山がそびえ、その頂上付近にある「太刀割石」という岩がおもしろいんです。まるで真っ二つに斬られた姿をしており、平安時代の武将・源義家が太刀で切り裂いたという伝説があります。大人気漫画『鬼滅の刃』にも、岩を刀で真っ二つにするシーンがあり、その聖地としても知られています。歴史と現代のコンテンツが交わる、穴場スポットです。お子さんを連れてくれば絶対に喜びますよ!

地元民が運営する「地域密着型」の温泉宿

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和田さん

歩き疲れて一休みするなら、「月居温泉 滝見の湯 白木荘」。ここは、大子町の住民によって運営されている温泉宿なんです。トレッキングの疲れを癒しつつ、地元の人との交流も楽しめる地域密着型の施設です。日帰り入浴から、宿泊もできるので、ここを起点にトレッキングを行うのもいいですよ。お風呂は地元から湧き出る天然温泉です。トレッキングの疲れも、一気に吹き飛ぶ気持ちよさ!里山で採れた新鮮な野菜を使う料理も魅力です。
【基本情報】 住所:茨城県久慈郡大子町小生瀬2879-4 電話:0295-76-0373 チェックイン/チェックアウト:15:00/10:00

最強ローカルコンビニ「セイコーマート」で腹ごしらえ

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和田さん

「セイコーマート」というコンビニを知っていますか?北海道に展開するローカルコンビニなのですが、実は茨城にも多数の店舗があるんです。ここには「ホットシェフ」という店内調理コーナーがあり、おにぎり、唐揚げ、カツ丼などできたてのご飯を味わえます。ホットシェフのご飯は、コンビニ弁当とは思えないほどのおいしさ!それでいてリーズナブルなので、私も大好きなんです。トレッキング途中の腹ごしらえにはピッタリですよ。
茨城の自然はもちろん、地元民との交流や人気漫画の聖地、そしてローカルコンビニまで楽しめる「茨城県北ロングトレイル」は、多様性に満ちたアウトドアスポットです。全長320kmの完成はまだ先ですが、すでに新しい「茨城県の歩き方」として期待が高まっています。ぜひ、実際に自分の足でコースを歩き、その魅力を肌で感じてみてください。 詳しくはこちら:茨城県北ロングトレイル

「日本一の納豆ご飯」をつくれるのは、茨城だけ

茨城といえば「納豆」。そして、そのお供として欠かせないのが「白米」。そんな日本のソウルフードの二大巨頭の中でも、特に高品質を誇る銘柄が茨城にはそろっています。お土産としても、キャンプの朝食にも食べたい特別な納豆&白米を和田さんに教えてもらいました。

“納豆王国”でも一目置かれる粘り強さ!苦手な人にも食べてほしい「舟納豆」

舟納豆
「舟納豆」(税込205円)
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和田さん

茨城といえば納豆は有名ですが、その中でも「舟納豆」は特におすすめです。茨城に来たらこれは食べなきゃダメ!個人的に硬めの納豆が好きで、舟納豆はしっかりした歯応えと豆の味が強く、“納豆王国”茨城の中でも非常に人気があるんです。納豆特有のクサさがないので、苦手な人でも食べられると思いますよ。
舟納豆
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和田さん

見てください、この粘り気!箸で持ち上げても、なかなか落ちないくらいの強さがあります。粘りが出るほどにうまみが増しますから、どんどんかき混ぜちゃってください!舟納豆の本店は、OKUKUJI BASE CAMPからクルマで15分ほどのところにあります。キャンプ飯のおかずとして、茨城のお土産としてもぜひ味わってもらいたい一品です。
【店舗情報】 店舗名:舟納豆本店 住所:茨城県常陸大宮市山方477-1 電話:0120-710-593 営業時間:9:00〜17:00 定休日:元旦のみ

日本一のお米がコンビニで買える!?「大子町のコシヒカリ」

お米
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和田さん

意外と知られていませんが、茨城は日本有数の米どころなんです。特に大子町のお米は評価が高く、2022年に開かれた「全日本お米グランプリ」では大子町産のコシヒカリがグランプリを獲得しました。この事実はもっと全国の人に知ってほしい! OKUKUJI BASE CAMPからクルマで5分ほどにあるファミリーマートでは、その場で大子町のお米を精米してくれるんですよ。精米したてのお米をメスティンで炊き、舟納豆をのせれば、「日本一の納豆ご飯」のできあがり!

茨城の魅力は「歩いて」こそわかる!

キャンプだけでなく、トレッキングを起点にさまざまな魅力を感じることができる茨城県。その魅力たちをつなげるのは、和田さんが手掛ける茨城県北ロングトレイルでした。 歩くというシンプルな活動から、その土地の自然や文化を深く理解できるのはトレッキングならではの魅力。ぜひ、キャンプ+トレッキングというアウトドアスタイルで、新しい楽しみ方を見つけてみてください!
撮影/筒浦奨太

名物ショップの地元自慢

近場のキャンプ場もいいけど、新しいスポットを開拓したい。そして、どうせ行くならその地域を満喫したい!そんな欲張りなキャンパーにおくる連載「名物ショップの地元自慢」。全国の人気アウトドア店のオーナーが、地元のキャンプ場やグルメ情報を教えます。


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