葉っぱとドングリだけで、子どもと1日楽しめるアソビ教えます
焚き火の暖かさが身にしみるこの季節。薪を焚べ、お酒を片手に何時間でも炎を眺めていられるものです。一方子どもは風の子!寒さそっちのけで、何時間でも外で遊んでいられる生き物です。子どもとせっかくキャンプに来たのなら、思い腰を上げ、キャンプ場で一緒にできる遊びをしましょう。見渡せば、自然の中に遊びの素材はたくさん落ちています。遊具やおもちゃがなくても。親子で楽しめる、葉っぱやドングリを使ったアソビを紹介!
何もないところこそ、宝の山
秋や冬のキャンプは川や水遊びができず、キャンプ場で子どもと何して遊ぼう?と悩む方も多いのでは。大人は焚き火を囲み、明るい時間からお酒を飲むだけで何時間でも過ごせますが、子どもたちは体を動かしたくてウズウズしているはず。バドミントンやキャッチボールもいいですが、特別な道具がなくても視点を変えれば、キャンプ場がアミューズメントパークに変身!
今回は遊具のないキャンプ場や公園でできる、葉っぱやドングリを使った遊びを教えます!
アソビのプロフェッショナルに教えてもらいました!
TOKYO PLAY理事 / プレイワーカー
矢野真利那さん
光が丘プレーパーク、練馬区立こどもの森、屋外型子育てひろば等、外遊びの場の常駐スタッフを経て、フリーランスに。二度の出産を経て、子どもの遊び環境に様々なアプローチで携わる一般社団法人TOKYO PLAYに入職。バックオフィスと各プロジェクトのコーディネートを務める。2022年より、自然と人、人と人のつながる暮らしをもっと極めたく山の麓に移住し現職。二男一女の母
“葉っぱ”で遊ぶ
形・色・柔らかさ。まずはいろいろな葉っぱを集めよう
キャンプ場や公園には必ず樹木があり、いろいろな種類の葉っぱがあります。ただ「葉っぱを集めよう」というより、「できるだけたくさんの形や大きさ、色の葉っぱを集めてみよう」と提案すれば、子どもの目はたちまち光り、宝探しのように葉っぱ集めに没頭し始めます。
春〜夏は色とりどりの花、鮮やかなグリーンの植物が見られ、秋〜冬は紅葉した葉っぱや、地面にたくさんの落ち葉が見られます。太陽の光を浴びて栄養を生み出す光合成の働きのため、緑色だった葉っぱは秋から冬にかけて紅や黄色に色づきます。
「紅色になる葉っぱと黄色になる葉っぱは何が違うんだろう?」「こっちの葉っぱは紅葉してるけど、こっちは紅葉しないのはなんでかな?」など、道すがら、子どもから疑問がポンポン飛び出てきます。
その場でスマホで調べるもよし。疑問をメモしておき、帰ってからまとめて図鑑で調べるのも学びが深まります。
葉っぱの種類が気になったら、特徴をよく観察してみましょう。ひとつの葉から、もしくは複数の葉からなっているのか。形は細長いのか丸いのか、もしくは卵形なのか。葉縁は波状のギザギザか、尖ったギザギザか、ギザギザはないのか。
スマホで撮影するだけで、植物を判定してくれる
便利なアプリもあり、出会った植物の種類を瞬時に調べることも(ただし、判定結果は100%でないこともあり)。図鑑は、調べるのに時間がかかるぶん、たどり着くまでに関連情報が得られたり、記憶に残りやすくなるといったメリットもあります。
▼何の落ち葉か気になったら、図鑑で調べよう!
身近な環境で見られるもの、特徴的なもの、約260種の落ち葉を写真と解説入りで紹介。また、落ち葉を落とす樹木や、落ち葉にかかわって生きる生物についても解説
みんなでできて、盛り上がる!「葉っぱジャンケン」
いろいろな葉っぱを集めたら、ぜひやってもらいたいのが「葉っぱジャンケン」。子どもから大人まで誰にでもわかりやすく、楽しめる遊びです。
「葉っぱジャンケン」のルール
- 制限時間(例:10分)を決め、時間内にそれぞれが袋などに葉っぱを集める
- 一カ所に集まり、誰か一人がお題(例:大きい・細い・長いなど)をいう
- 「葉っぱっぱ」の合図で、それぞれがお題に沿った葉っぱを一斉に出す
- お題に一番見合った葉っぱの勝ち
- お題を変えて、2〜4を繰り返す
今回は、4組の親子ごとにチームになって対戦することに。1回目のお題は、「葉っぱたたくさんついている葉っぱ」。それぞれ、勝負する葉っぱが見えないように、該当する葉っぱを袋の中から探します。
「さっき拾ったあれは?」「こっちの方がいいんじゃない?」など、親子でヒソヒソ相談しながら、葉っぱを選定。「〇〇くんはこんなお題を出しそうだから、拾っておこう」と収集の段階で先手を打つ子もいました。相手の趣向を把握するのも、戦略のひとつです。
「葉っぱっぱ!」の合図でそれぞれのチームが代表の葉っぱを出しました。
左側のふたつがいい勝負。参加者全員が審査員になり、葉っぱをよく観察しながら、どちらがたくさん葉っぱがついているか判定します。
全員一致で、複数の小葉から成っている葉っぱに決定。本当に細かく小さな葉っぱがたくさんついています。こういう形状を羽状複葉というのだそう。ふだん、まじまじと見ることはあまりありませんが、植物は身近にあるようでその世界は奥が深く、宇宙のようです。
次のお題は「大きな葉っぱ」。これは一目瞭然です。ホオノキの葉でしょうか、一番大きいものは50センチほどあり、子どもたちの頭から胸あたりまで覆ってしまうほど。
こちらのお題は「色のついている葉っぱ」。レモン色や桃色、黄緑色に緑色と、カラフルな葉っぱが並びました。他にも、「かわいい葉っぱ」や「乾いている葉っぱ」、「模様のある葉っぱ」など、持ち札がなくなるまで勝負は続きました。お察しの通り、「かわいい」など抽象的なものは、判断基準が難しく。ケンカになりそうなときは、いつものジャンケンで決着をつけました。(勝敗にこだわらない場合は引き分けでOK!)
秋の風物詩!落ち葉かけ
春は桜の花びら、夏は水、冬は雪、家ではまくら…と「かけ(投げ)あいっこ」が大好きな子どもたち。秋〜冬は「落ち葉かけ」がし放題!紅葉したイチョウが一斉に落ち、黄金色の絨毯になっているのを見ると、かき集めて宙に放ちたくなるもの。
よちよち歩きの小さな子でも楽しめますが、肌についたりして痒がる場合は、桜の葉っぱなど柔らかい種類のものを選んであげてください。前の日が雨なので湿っているときは、小さな生き物が潜んでいることもあるので注意!
“ドングリ”で遊ぶ
実と帽子の形や大きさ。いろいろなドングリを集めよう
子どもの頃から慣れ親しんでいる「ドングリ」。ブナ科、とくにカシ・ナラなどコナラ属樹木の果実の総称で、日本固有種で22種といわれています。落ちている果実だけで種類を判別するのは難しいですが、ドングリが生っていた木や葉っぱの形と、ドングリの実(堅果:ケンカ)や帽子(殻斗:カクト)を照らし合わせれば、見分けることができます。
コナラ・クヌギ・シラカシ・マテバシイ・スダジイが見らる、という場所でドングリ拾いをスタート。「できるだけたくさんの種類を集めよう!」と、地面を見つめながら歩きます。スマホにドングリの種類一覧を表示させ、「これはコナラだね」「クヌギの帽子だ!」「この葉っぱはシラカシかな?」などと、答え合わせをしながら集めるのも楽しい。
ドングリは、森に住む生き物の大切な食べ物であり、新しい木のための種でもあります。見つけたら全部拾わずに、他の生き物やお友達、種の分もとっておきましょう!
帽子の形を見てみよう
ドングリの実を覆う、その姿から通称「帽子」と呼ばれる殻斗は、形や模様がさまざま。しましま帽子(シラカシ)、うろこ状帽子(コナラ・マテバシイ)、ケバケバ帽子(クヌギ)、バナナの皮みたいな帽子(スダジイ)。実と帽子をバラバラにして、組み合わせを当ててみても。
帽子を指にかぶせて、指人形に。目と鼻、口を描いてもかわいいですね。小さな子どもがまねっこしたりと喜びます。
ドングリたちの転がり競争「ドングリころころ」
坂の上から、どのドングリが一番速く転がるか競争!あまり急勾配な坂よりも、ゆるやかな斜面でドングリが「ころころ」と転がる様子を観察するのがおもしろいです。
大きさや形、転がし方で速度が変わるので、ドングリの選別や、「どう転がしたら速いか」「まっすぐ転がるか」など、何度も考えて試します。予想しづらいところが、大人も一緒に楽しめるところ。
そのまま食べられるドングリ「スダジイ」
帽子がバナナの皮のような「スダジイ」は、アクがなく、食べられるドングリとして有名。生でも食べられますが、炒ると栗のように食べやすくおいしくなります。「マテバシイ」も食べられるドングリですが、アクが強いので生食には向きません。実が小さいスダジイですが、見つけたらぜひご賞味あれ。
子どもから大人まで幅広く楽しめる、どんぐり大全。日本産どんぐり22種を網羅しています。
キャンプ場で葉っぱやドングリを探そう!
特別なことをしなくても、視点を変え、少し目線を下げれば、自然の中に遊びの種は無限にあります。子どもと一緒にいると、親がそれに気づかされることも。その季節でしか味わえない発見もたくさんあるので、ぜひ外で未知の体験を楽しんでください!