【焚き火マイスター猪野正哉さん直伝】雨でも焚き火を150%楽しむ方法!
「朝は晴れていたのに、キャンプ場に着いて設営が終わるのを見計らったようにポツポツと雨が降り出す」。こんな出来事に遭遇して、焚き火を諦めた経験はないでしょうか。たしかに雨の日は湿気が多く、火おこしも大変。せっかく火がまわっても、雨にあたってすぐに消えてしまうことも多々あります。しかし、焚き火はキャンプの醍醐味。雨だからといって諦めたくはありません。そこで、焚き火のプロに、雨でも火を楽しむコツを聞きました。
「雨=焚き火ができない」は勘違い!コツを押さえれば十分楽しめる
サイトでのんびり過ごすのが雨キャンプの醍醐味。じゃあ焚き火は欠かせないでしょう!
雨の日のキャンプ場は、いつもよりも人が少なく静か。自分のサイトにゆったりと腰を落ち着けて雨音に耳を傾けていると、晴れの日よりも自然と一体化できるような、何とも言えない特別感があります。そんな時間に欠かせないのは、やっぱり焚き火。ゆらめく炎は、何時間だって眺めていられる最高の娯楽です。
「雨キャンプ×焚き火」という至福の時間を最大限に楽しむには、湿気の多い中でも火をスムーズにおこし、育った火をできるだけ長持ちさせるのがポイント。今回は日本一焚き火に詳しい男、日本焚き火協会会長であり
「焚き火マイスター」として活躍する猪野正哉さんに、"雨の火"の楽しみ方を教えてもらいました。
猪野さんのInstagramはこちら:
@inomushi75雨キャンプ設営の基本ポイントは?
タープは必須!最初に張ってほかのギアを守る
雨の中で快適にキャンプをするにはタープは必須。設営順もタープを最初にすると、ほかのギアを必要以上に濡らさずに済みます。焚き火をする場合は特に、薪や着火剤が濡れてしまうと火をおこすのに時間がかかるので、まずは「濡らさない」ことが肝心。
タープの素材は、乾きにくいコットンでなく、ポリエステルやTC素材がおすすめです。
湿度の高い雨の日に、スムーズに火をおこすコツ
薪と着火剤「+α」の工夫で上手に火をおこす
よく乾いた薪を使えば、火をおこすのも、焚き火を長持ちさせるのも簡単ですが、薪自体が湿っている場合は、火をおこすのに少し工夫が必要です。
必要なのは主にこちら。
薪
着火剤
焚き付けとなる杉の葉や小枝
木の皮or濡らした新聞紙
特別な道具は使いませんが、木が燃える仕組みをきちんと理解したうえで、燃焼の手助けをしてあげることで、天気が悪くても問題なく焚き火を楽しめるようになります。
とにかく薪は細かく!まずは火がつきやすい環境を整える
当然ですが、太いよりは細い薪のほうが空気に触れる表面積が大きくなり、着火しやすいです。雨で薪の表面が湿ってしまっていても、割ってみると中は意外と乾燥している場合も多いもの。雨の中焚き火をする時は、できるだけ細かく薪を割るようにすると良いでしょう。
「酸素」と「熱」がうまく薪にまわるようにして、燃焼を促進してあげる
細い薪が準備できたら、焚き火台に薪を並べていきます。ここでのポイントは、着火剤の下に木の皮や薪を並べておくこと。こうすることで、火を着けた直後に下から熱が逃げてしまわず、着火剤や焚き付けを火床に直置きするよりも火がつきやすくなります。
濡らした新聞紙で薪を覆う。火吹き棒はNG!?
薪を組み終わったら、次なるポイントは「薪をすっぽり覆う」こと。これも熱を逃さず、早く薪が燃えるようにする工夫です。
薪にかぶせるほどよい「ふた」は、手に入りやすい新聞紙や木の皮などがおすすめ。新聞紙を使う場合は、サイトの近くの水場でサッと濡らします。
薪を覆った隙間から火をつけたら、じっと数分待ちます。すると次第にモクモク煙が上がり、新聞紙が自然に燃え尽きて立派な焚き火に。
火のまわりで湿った薪を乾かす
火が安定してきたら、焚き火台のそばに薪を置いて乾かすとその後もスムーズ。火床のフチや脚の間なら、15〜30分ほど置いておけばあらかた乾きます。
二次燃焼する焚き火台を選ぶと、より火が長持ちする
薪が燃えた上部に溜まった「未燃焼ガス」が、高温の空気で再度燃えることを「二次燃焼」という。
焚き火台によっても、雨の中で火が長持ちするかどうかが左右されます。高温の空気で効率よく燃焼させる「二次燃焼」ができる構造の焚き火台なら、薪を覆わなくても雨の中でも火の勢いを保てます。
ちょっとした小道具を使って「火」をとことん楽しむ
「雨の中の焚き火」という特別感をもっと盛り上げてくれる、お遊びアイテムがこちら。焚き火に入れると青い炎が楽しめるようになる「ブルーファイヤー」です。
使い方は簡単。袋のまま焚き火にポンと入れるだけで、15〜20分ほど炎が青く燃え続けます。
少しのコツを押さえれば、雨でも焚き火を満喫できる