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靴を修復する職人

靴は語る——。リペア工房から見た「修理して、履き続ける」ダナーのシューズの魅力【取材】

アウトドアシューズの名ブランド「Danner(ダナー)」。過酷な環境下でのアクティビティを支えるタフさで、ブランド設立以来、90年に渡って愛され続けています。1つひとつの靴の価格は決して安くはありませんが、そこも大人の冒険心をくすぐるポイント。適切なメンテナンスや修復をしながら、履き込んで自分だけの"味"を出していく過程がたまりません。ブーツのリペア工房を併設し、日々多くのダナー愛好家が集う専門店に話を聞きました。

タフさが求められるアウトドアシューズ

ダナーのブーツ
キャンプやハイキング、本格登山…。アウトドア活動を存分に楽しむためには、どんなコンディション下の地面でも歩みを支えてくれる、屈強なシューズが欠かせません。「安全の上に成り立つ楽しさ」、それがアウトドアに生きる者の絶対条件です。

履き込むごとに「自分だけのもの」に育っていく感覚が人々を魅了する

足の形や行った場所、趣味によって「味」が出てくるダナーのシューズたち

履き込んだダナーライト
▲左から「ダナーライト」の新品、1年間着用したもの、8年間着用したもの。同じモデルでも履き込むことでここまで違う風貌になる
「アウトドアシューズ」は数あれど、特にそのタフさで世代問わず愛され続けているのが、アメリカ・オレゴン州ポートランド生まれのブランド「ダナー」。もともと労働者向けのワークシューズとして誕生したダナーは、1932年の創業以来、ずっと職人の手作業による実直なものづくりを続けてきました。 「優れたシューズ」への飽くなき探究心による頑丈なシューズは、履くほどにどんどん、持ち主が一番使いやすい、履きやすいように進化していくのが特徴。

話を聞いたのは、スタンプタウン渋谷店のプロスタッフ

ダナ−を語る平井さん
ダナーのアウトドアブーツ、ひいては「一足の靴を長く履き続けること」の魅力を語ってくれたのは、ブーツのリペア工房を併設するシューズショップ「スタンプタウン渋谷」スタッフの平井岳史さん。休日はキャンプや登山に繰り出し、仕事の日も出勤前のランニングを欠かさないという根っからのアウトドアマンです。

「新品が一番未完成」。それがダナーのブーツのおもしろさ

ダナーのマウンテンライト
▲店頭に展示されている経年変化したシューズは、平井さんが実際に数年間履き込んだもの。こちらは8年愛用した「マウンテンライト」
セールスアドバイザーとして店頭に立ちながら、工房に月150〜170足ほど持ち込まれる個性的な靴たちを見続けてきた平井さん。 自らもダナー愛用者として「履けば履くほど革が柔らかくなって、足になじんでいくのがダナーのブーツ。一度その"靴を育てる"感覚を味わうと、もう病みつきになります」と語ります。

靴からはその人の息づかいがわかる

リペア工房に持ち込まれるシューズも、一足ずつ個性が違う

修理町のアウトドアブーツ
修理に持ち込まれるシューズのほとんどはソールの貼り替えが必要。「靴なので当然といえば当然ですが、地面に接する靴底のすり減りが一番多い、かつわかりやすい消耗です」
使い込まれたダナーのシューズ
▲使い込まれ、かかと部分のソール(靴底)がすり減ったダナーのブーツ。滑り止めの凹凸がなくなってしまったり、ソールの厚みが半分ぐらいまですり減ったりしたら交換の目安
上の写真のように、かかと部分からすり減っていくのが靴としては一般的。しかしバイクや自転車によく乗る人は、つま先や土ふまずの側面など、ペダルに当たる部分が消耗していきます。そういった特徴的なシューズが持ち込まれると、平井さんや工房の職人たちは「この方はバイク乗りだな」とすぐわかると言います。

ソールをはがして感じる、フィールドのなごり

ダナーのシューズのソール部分
キャンプや登山など土の多い場所、濡れた地面によく履いていく人の靴は、ソール交換の際にどれだけアウトドアフィールドを踏みしめてきたかがわかります。
ダナーライト
▲アッパーとソールを縫い合わせるステッチ部分。ソール全体を張り替える場合、縫い目を一つずつほどき、職人の手作業で再度しっかりと縫い合わせる
ソールを剥がしたダナーのブーツ
「ダナーのシューズはソールとアッパーを糸で縫い合わせる"ステッチダウン製法"を採用しています。水溜りや雨水は内側に染みないよう設計されていますが、細かな砂や土ぼこりは縫い目の隙間から入ってくることも。アウトドアでダナーを長年愛用しているお客さまのブーツは、ソールをはがすと作業台に土がバラバラッと落ちてくる場合があります」 さまざまなフィールドを共に歩いてきたシューズの奥深くに、これまでの軌跡が刻まれている——。そんなちょっとしたロマンが詰まっているのも、修理を重ねて長く履く「本物」のアウトドアシューズならでは。

日々のメンテナンスと適切なリペアで「育てる喜び」がより長く楽しめる

渋谷店内の工房の様子
▲スタンプタウン渋谷のリペア工房内。レザーブーツ専用のミシンなど、独自の機械がズラリと並ぶ
履き込むにつれ、持ち主の足型や歩き方にどんどんフィットして、唯一無二の個性が生まれるダナーのシューズ。改めて「靴を育てる」「同じ靴を長年履き続ける」ことの魅力を、平井さんに聞きました。
取材に応じるスタンプタウンの平井さん
「安い買い物ではないですし、買った時点から"大切に履くぞ"とモチベーションが上がりますよね。大切に、と言っても、ダナーのシューズは飾って眺めるものでなく、ガシガシ履いてこそ魅力が輝くもの。僕なんかは新品のブーツを買うと、最初から登山やキャンプに履いていきます。街でおろして"知らない内に誰かに踏まれた"とか"ガードレールにこすった"とかで傷や汚れがつくとショックですが、"山で枝に引っ掛けた"ならそれも思い出になりますからね」
経年変化するダナーのブーツ
「あとはやはり、履けば履くほど自分の足になじんで歩きやすくなっていく感覚がたまりません。最初は固かった革に自分の履きぐせがついて、どんどん足首や指が曲げやすくなって…。履き心地と、見た目の味わい。どちらもどんどん良くなるので、毎回ヒモを締めるたびに気合が入ります」

「本物」は長く使うほどに輝きを増す。一生モノの靴を育てる楽しさを体感あれ!

ダナ−の店内
▲スタンプタウン渋谷の店内には、修理に訪れたダナー愛用者の笑顔の写真がズラリと並ぶ
アウトドアで履けば履くほどやみつきになるシューズ。設立90年という歴史に裏打ちされた、たしかな技術力とタフさが、ダナーが世代を超えて愛される理由です。「ガンガン履いて、直してまた履く」中で味わう、自分だけのシューズが育っていく最高の感覚を、ぜひ体感してみてください!

ダナーのシューズがもっと見たい



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