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キャンプに潜む食中毒リスクを有名専門家が解消!意外と知らない肉の保存と温度【食品衛生アドバイザー監修】

2021.07.06ノウハウ

菌も増えやすくなる暑い時期には、安全に屋外での食事を楽しみたいものです。そこで今回は、意外と見落としがちな食中毒について食品衛生の専門家に取材。これからの季節、キャンプやバーベキューなど、青空の下で飲食をする機会も増えてくるので、一度チェックしてみてください!

気温が高くなってきたこの時期、いつも以上に気をつけて!

キャンプで気をつけたい食中毒の危険

バーベキューやキャンプなど、屋外での食事が増えるこの時期。楽しく安全に楽しむためには、食中毒について気に掛ける必要があります。屋外での調理は、衛生的に整っている自宅のキッチンとは違い、食中毒の危険があちこちに潜んでいます。普段気をつけているつもりでも、意外と見落としていることも。そこで今回は、キャンプで気をつけたい食中毒の危険について、食品衛生の専門家に詳しくインタビューしました!

専門家の小暮実さんに教えてもらいました!

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食品衛生アドバイザー

小暮実さん

食品衛生アドバイザーとして、さまざまな企業のサポート・コラム執筆を手掛けています!

お話を伺ったのは、食品衛生アドバイザーの小暮実さん。アドバイザーとしてさまざまな企業に勤務しながら、洗浄・消毒剤メーカー「サラヤ」(東京)で食中毒に関するコラム連載を担当するほか、数々のメディアで記事を執筆するなど、幅広く活躍しています。 今回はそんな小暮さんに、キャンプならではの食中毒対策や、見落としがちな食の危険について、詳しくお話を伺いました。しっかりと食中毒対策のポイントを押さえてから、キャンプやバーベキューに行きましょう!

【危険その1】温度が肝!食料の保存

クーラーボックスでの保存、正しくできている?

キャンプに行く際、多くの人がクーラーボックスを利用していますが、実は正しく保存できていないかもしれません。食材の保存には、一般的に10℃以下が望ましいとされています。夏場の暑い時期だと、クーラーボックスの中の保冷剤などがすぐに溶けてしまい、適切な温度を保てないことも。食材を冷凍して入れたり、生ものを氷で挟むなどして、食材が悪くならないように工夫しましょう。
もうひとつ見落としがちなポイントがお肉の保存です。小暮さんは「お肉の汁がクーラーボックス内にこぼれることによって、二次汚染を引き起こす可能性がある」と指摘しています。
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食品衛生アドバイザー・小暮さん

ビニールで包んであるお肉でも、時間が経つと汁が漏れてしまうことはよくあります。できるだけクーラーボックスを他の食材と分ける、ビニール袋を二重にするなどして肉汁を他の食材や手指につけないよう、安全に保管しましょう。

食材を家で下準備。これって大丈夫?

肉にミルで挽いたこしょうをかける様子
調理時間の短縮のために、自宅で食材の下準備をしてからキャンプ場に持っていくという人もいますが、これは衛生的に問題ないのでしょうか? 小暮さんに尋ねると、「実は下準備をしていくのは、むしろ衛生的に良い」とのこと。キャンプ場などの屋外では、水道や調理する場などの調理環境が整っていない場合もあるため、きれいな環境が整っている自宅のキッチンで下ごしらえをしておくのが安心です。
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食品衛生アドバイザー・小暮さん

ただし、消毒をしたり清潔な袋を使用するなど、衛生面には十分気をつけて準備しましょう!

【危険その2】意外と見落としがち!要注意な食材

キャンプに不向きなお肉とは?

バーベキューのメイン食材でもあるお肉。しかし、小暮さんは「屋外での調理に向いていないお肉がある」と言います。バーベキューでは火力の調節が難しいため、良く焼いているつもりでもしっかりとお肉の中まで火が通っていないことも。内臓部位やひき肉、鶏肉は火が通り切っていないと危険な食中毒を引き起こすことがあるので、調理に注意が必要です。

野菜はよく洗う!だけど…

ミニトマトとクッカー
きれいな水が確保できない・適切な温度で保存ができない屋外の環境では、基本的に生ものの料理を避けた方が良いです。お肉だけでなく、野菜でも同じ」。小暮さんはこう強調します。
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食品衛生アドバイザー・小暮さん

土の残った野菜は菌がついている可能性があるため、よく洗う必要があることは誰でも知っています。しかし、使う水にまで注意を払えていますか?飲用が認められている水を使わなければ安全とは言えません。きれいにみえても川や沢の水は使わないようにしましょう。飲用の水がないキャンプ場などでは、野菜も肉と同様、生で食べるのは危険です!

【危険その3】調理中と後も気を抜かないこと!

調理時間の長いカレーは大丈夫?

ダッチオーブンで凝った煮込み料理をしたり、みんなでカレーを作ったりと、キャンプで本格的な料理を楽しむ人も多くいます。小暮さんによると、調理時間の長い料理でも、しっかりと火を通せれば基本的には問題ありません。煮込み料理の場合は、お肉の中心部分がしっかりと加熱されているかを意識します。

残り物は出さず、なるべく2時間以内に食べよう

食中毒を引き起こす菌の中には、一度熱を通してもその後、一定の温度まで下がると増殖する菌も存在します。すぐに冷まして保存ができる自宅とは違い、キャンプでは常に料理が常温であるため、特に注意が必要です。小暮さんは「カレーなどの鍋料理には注意が必要」と呼びかけています。
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食品衛生アドバイザー・小暮さん

鶏肉にウェルシュ菌という菌がいる場合がときどきあります。火を通しても芽胞を持ったウェルシュ菌は殺菌されにくく、加熱放冷中に45℃前後になると繁殖する特性を持ちます。キャンプなどで食べたカレー鍋を翌朝もう一度食べようとする人もいますが、再度熱しても芽胞菌が死滅しないため、要注意です。キャンプなどの屋外では、残り物は出さずに、なるべく2~4時間以内に食べきることをおすすめします。

ひとことアドバイス:時間と水と温度に注意しよう

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食品衛生アドバイザー・小暮さん

細菌は、水、食べ物、温度と時間の条件がそろうと繁殖していきます。そのため、保存や調理してから食べるまでの「時間」に気をつけたり、適切な温度で調理することで、菌を増やさないように心がけてみてください! また、意外と見落としがちですが食器やふきんを水に濡れたままにせずしっかりと乾かすことも大切です。食中毒だけでなく感染症も水を媒介して感染を引き起こします。乾燥させることは、細菌汚染の予防には大切な要素となります。周りの食器やテーブルにも注意を向けられると安心です。

細心の注意を払って、キャンプ飯を安全に楽しもう!

意外と知らなかった!ということがあった人もいるのではないでしょうか?自宅でいつも気をつけている基本的なことから、屋外だからこそ注意が必要なことまで、キャンプではより一層注意する必要があります。しかし、しっかり気をつけていれば菌をつけることも増やすことも予防できます。ぜひ、安全で楽しいキャンプ飯を楽しんでください!


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