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インタビューを受ける田中ケンさん

【雨キャンプ勝利の法則】キャンプ歴30年以上のレジェンド直伝、雨ならではの楽しみ方【過ごし方・撤収編】

2021.07.02ノウハウ

「雨キャンプ=おこもり」というイメージは誰しもなんとなく持っているかと思いますが、では、実際に雨でおこもりスタイルに徹する際、どう過ごせば良いのでしょうか?業界を30年以上見続けてきたアウトドア界のレジェンド、快適生活研究家の田中ケンさんに、雨の日のキャンプ中の過ごし方、撤収のコツと注意点を聞きました。

雨の日はタープの下にテントもテーブルもすっぽり。おこもりスタイルを楽しむ

誰もいないキャンプ場で家族との時間を楽しむ

だれもいないキャンプサイト
「雨なら予約をキャンセルする」という人が多い中、あえてキャンプを決行すると、想像以上にまわりの宿泊客が少なく驚きます。土日はいつも混雑する人気のキャンプ場も、運がよければひとりじめできるかもしれません。準備や片付けなどに多少手間はかかりますが、静かにキャンプを楽しみたい人、予約のとりづらい有名キャンプ場に行ってみたい人は、あえて雨予報の日を狙ってみる、というのも作戦のひとつです。
インタビューに応じる田中ケンさん
——今回は、様々な環境でのキャンプを重ねてきた快適生活研究家・田中ケンさんに雨キャンプの極意を教わります。 田中:晴れた日は設営後にあちこち動き回りたくなりますが、雨が降ってしまえば"今日は一日中屋根の下で過ごそう"と開き直れます。キャンプそのものをゆったりと楽しむには、雨の日が絶好のチャンスです。
雨仕様のサイトでのんびりと過ごす田中ケンさん
田中ケン/1964年生まれ。東京都出身。ファッションモデルを経て、快適生活研究家として、数々のアウトドアイベントやキャンプ場「outside BASE」(群馬県北軽井沢)、「ファミリーパーク那須高原」(栃木県那須町)をプロデュース。「アウトドアを取り入れることで、生活はもっと快適になる」を信念に、アウトドアを通じて様々な活動中。
——雨の日は、大きなタープの下にテントもテーブルもすっぽりおさめるのがケンさんのスタイルですね。 田中:寝場所とリビングスペースの両方で雨をしっかり防げることを重視しています。"濡れない"という点ではツールームテントも便利ですが、設営・撤収に少し手間がかかるのがネック。設営の簡単さを考え、私はこのスタイルに落ち着きました。

田中ケンさんの雨の日の過ごし方は?

インタビューを受ける田中ケンさん
——雨の日はサイト内でゆったりくつろぐとのことですが、具体的にはどのように過ごされていますか? 田中:最近では、煮込み料理など食事作りに時間をかけています。私にとってのキャンプは目的ではなく、アウトドアに行くための手段としての意味合いが大きく、普段はさっさと設営を済ませて、川に行ったり山に行ったりしてしまうんですよね。なかなかサイト内にずっといることがないのですが、雨だと出かけないので、じゃあサイト内でできることをじっくりやってみようと思える。息子とキャンプするときは、設営は若いのに任せて料理に専念しています(笑)。そして夜は静かに酒を飲む、と。
テントを設営する田中ケンさん
田中:子どもたちが小さい頃は、ナイフなど道具の扱い方を改めて教えたりしていました。普段は流れでやっていることにじっくり時間を割けるというのは雨の日の特権ですね。コーヒーをミルで挽いてみる、とか。家族でキャンプに行くと、どうしてもせわしなく動き回ってしまうものですが、雨の日は「キャンプ場に休憩しに行くか」ぐらいの気持ちでいくほうが楽しめると思います。

雨キャンプ堪能後の撤収・片付けの極意

撤収はとにかく手早く!

雨キャンプのサイト
雨の中の撤収作業は、道具の水濡れや泥汚れに気を付けながら慎重に…というわけにはいきません。どのみち積載時や帰宅後に拭いたり乾かしたりするので、できるだけ撤収時間を短くするのがポイントです。サイト内に設置する道具は最小限に抑えるなど、設営の段階から撤収時の効率を考えておくといいでしょう。

濡れたテント・タープはとりあえずゴミ袋に突っ込む

ゴミ袋にしまったテント
田中:雨キャンプの片付けで一番重要なのは「キレイに撤収すること」ではなく、撤収後に「しっかり乾燥させてキレイにすること」。現地ではひとまずテントやタープを大きめのゴミ袋に入れ、帰りの車内で他のギアに汚れや水分を広げないようにしておけば十分です。
▼事前準備、設営編はこちら

帰宅後の注意点は?

テントやタープは濡れたままにしない!1秒でも早く乾燥させる

テントを干している様子

出典:PIXTA

田中:濡れたテントやタープをそのまま放置すると、カビや悪臭の原因に。キャンプから帰宅したら、面倒でもすぐに通気性のいい場所に広げるようにしておきましょう。浴室乾燥や物干し竿を利用するか、どうしても家の中に干すスペースがない場合は、水分と汚れを軽く拭き取り、晴れた日に近くの公園などに干しに行くのがセオリーです。 布類以外も、次に使うときのためにペグやチェアの脚についた泥汚れはできるだけ早いうちに洗い、しっかりと水分を拭き取ってから収納ケースにしまうのが肝心。
▼自宅でのテント乾燥アイディア集はこちら

乾燥しきったら、またキレイにたたんで収納

収納袋にしまったテントとタープ
田中:汚れを落としてしっかり乾燥させたテント・タープは、またキレイに畳んで収納袋へ。多少面倒でも、乾ききらないままたたんで放置すると生地に細菌が繁殖し、結果的に道具の寿命を縮めることにもつながります。人が少なく、静かなキャンプ場を味わえる分、帰宅後の片付けにはいつも以上の丁寧さが必要です。

万が一カビてしまったら?

——しっかり乾燥させたつもりでも、万が一道具がカビてしまったらどうすればいいでしょうか。 田中:中性洗剤で洗った後に専用のカビ除去スプレーを使うなど、カビをある程度薄くする方法はあります。しかし生地が色落ちするなどの弊害もあるので、自分でどうにかしようと無理をせず、テントクリーニングに出すことも考えてみてください。

背伸びせず、自分なりの楽しみ方を見つける。それが雨キャンプの極意!

談笑する田中ケンさん
田中:私が初心者向けのイベントなどでよく伝えることが、最初から「食・住・遊」すべてを完璧にやろうとしなくていい、ということです。快適なサイトを組んで、凝った食事を食べて、アクティビティも満喫して…というのは経験を積む中で徐々にできるようになるもの。雨の日はとくに不測の事態が発生しやすいので、宿泊はコテージを使って食事作りに凝ってみるとか、逆にテント泊に挑戦するなら食事はレトルトで済ませるとか、「食・住・遊」のうち何かひとつだけできれば十分です。 その上で自分なりに心地いい過ごし方や環境作りのコツを見つけて、思い思いに雨キャンプを楽しんでもらえればいいのかなと思います!

雨キャンプ勝利の法則

設営・撤収や帰宅後の片付けが面倒だからと、避けられがちな雨キャンプ。しかし、実は人気のキャンプ場に空きが出やすかったりとメリットもあります。雨でもキャンプを楽しむためのテクニックや、みんなのキャンプスタイルを紹介します。


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