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マットの上でくつろぐ藤崎未夢さん

春のキャンプシーズン本番!失敗しないマットの選び方と画期的な進化とは?【みゆキャンプ】

キャンプでそろえていきたいものといえば、テント、チェア、寝袋…。「ちょっと待ってください、大事なものを忘れています!」。キャンプ女子で、アイドルグループNGT48のメンバー藤崎未夢さん(20)が後回しにされるアイテム上位にあげるのが「マット」。「銀のマットでしょ?」と思ったら、情報のアップデートが必要。藤崎さんが進化を続けるマットの世界を取材しました!

キャンプにまた行きたくなる分岐点はマット!

マット3種類を持つ藤崎さん
家で寝るときに、布団やマットレスにこだわるように、キャンプで大事なのはマット。初心者の家族や仲間と宿泊するときに「キャンプにまた行きたい」と言ってもらうには、外で食べるおいしい料理だけでなく、ぐっすりと睡眠できる環境作りも大事です。食べるのと寝るのが大好きな藤崎さんも、キャンプの回数を重ねる中で、その重要性を感じている一人。「そろそろ、もっといいマットがほしい!」。そこで新潟のアウトドアのカリスマのいるあの場所へ足を伸ばします!

カリスマバイヤーの加藤さんに相談!

WESTバイヤーの加藤さん
藤崎さんが訪れたのは、新潟のアウトドアカルチャーの発信拠点である大型アウトドア専門店「WEST(ウエスト)の長岡店。同店は、カフェ併設のおしゃれな雰囲気だけでなく、スタッフが実際に使えるものを厳選したアイテムを販売。約400ブランド、10,000種を超えるアイテムを販売する本格派店舗です。 特に、WEST本部チーフバイヤーの加藤俊さんは、お客さんの疑問を丁寧に聞きながら「買い直さずに済む、本当に使えるもの」を選んでくれる人気のスタッフ。釣りに、登山に、キャンプにと、新潟を拠点に飛び回っています!

マットの主流は3タイプ

一番人気は断然クローズドセル!

マットをながめる藤崎さん
▲(左から)クローズドセル、インフレータブル、エアマット
藤崎:(店内のマットコーナーを見渡しながら)小さいときはみんな銀マットを使っていた記憶がありますが、マットと言っても、今は本当にいろいろありますね。 加藤:寝袋の下に敷くマットは、おおまかに分けると3種類に分けられます。ポリエチレン素材を使ったクローズドセル、空気と一緒に中のウレタンがふくらむインフレータブル、空気だけを入れるエアマットの3つのタイプです。 藤崎:もう銀マットの時代ではないのですね…。実際のところ、どのタイプが一番人気なんですか?

一番シェアが高いマットとは?

クローズドセルのマットレスを持つ藤崎さん
▲ニーモのクローズドセルマット「スイッチバックレギュラー」
加藤:一番シェアが高いのは、クローズドセルのタイプです。これは銀マットのように敷くだけでなので、設営、撤収も楽で、キャンプだけでなく、登山のテント泊の定番でもあります。クルクルと巻くタイプは外径が大きくなってしまうのと、置いておくと丸く戻ってしまうので、アコーディオンのようにたためるこの蛇腹状がおすすめです。 特に、サーマレストZライトソルが山やキャンプでは定番。最近はニーモのスイッチバックレギュラーなんかも、独自のパターンと硬さの異なる二層のフォームの組み合わせで、こんなに薄く見えても体が痛くなるようなことはありません。ちょっと硬めのマットレスぐらいの感覚ですね。

お財布にやさしいクローズドセル

マットについて話を聞く藤崎さん
▲サーマレストのZライトソルを手に持ち解説する加藤さん(左)
藤崎:クローズドセルのタイプは、サーマレストもニーモも6,000円ちょっと。お財布にやさしいですね。 加藤:限りなく荷物を減らしたいツーリングや野営派のキャンパーはチェアを使わず、クローズドセルの上に座って過ごす人が多いです。寝心地と汎用性の高さ、シンプルさを考えると、多くのキャンパーに選ばれるのも納得です。 藤崎:そんな万能なマットなんですね! 加藤:お客様によく説明するクローズドセルの特徴をまとめると、次のようになります。 ◎長所:【価格がお手頃】【パンクがない】【簡単設置】 ▲短所:【かさばる】【保温力が低い】【長期間の使用でへたって薄くなる】 加藤:最初の1枚としてはおススメですが、買い替えのときが来ることも視野に入れていただきたいですね。ただマットとして使わなくなった後も、小さく切って座布団や荷物の緩衝材、地面に直接敷くゴザとして使うなど、アレンジした使い道も多くあるのがクローズドセルの長所です。

R値を調べずにマットは買えない!

マットの保温力は数値で分かる!

マットでくつろぐ藤崎さん
藤崎:そういえば、寝袋の紹介では欧州基準の快適温度がありましたが、マットも選ぶ上で、判断する基準はあるのでしょうか。 加藤:マットでも、断熱力を表すR値という数値があります。マットは初心者のキャンパーや登山者にどれだけの断熱性があるのかわかりづらかったのですが、このR値が一般的になり、だいぶ説明しやすくなりました。数値が高いほど、断熱性がより高いということになります。
マットの上でくつろぐ藤崎さん
藤崎:例えば、3シーズンのキャンプならどれぐらいの数値のものを使えばいいのですか? 加藤:だいたいR値2〜3ぐらいですね。さきほど紹介したサーマレストのZライトで1.7、アルミを蒸着させて保温力を高めたZライトソルで2.0。夏プラスアルファぐらいは問題のない断熱性です。冬なら4以上のものがおすすめ。もちろん冬山登山に行くような人でも
Zライトソルだけの場合もあったりするので、体質によってベストなマットは異なります。 藤崎:人気のクローズドセルでも、初春や晩秋、冬はちょっと足りない状況が出てくるということですね。じゃあ、やはりシーズンごとにあったものを持っていたほうがいいのでしょうか。

R値は足し算できる!

マットを見る藤崎さん
加藤:さらに、このR値というものは足し算ができます。最初に買ったマットが薄く、寒く感じた場合でも別のマットを重ねれば単純にR値が上がり、より断熱性が高くなります。クローズドセルの下に数ミリの薄い銀のマットを敷くだけでも、だいぶ断熱性は高まりますよ。例えば、R値2.0のZレストを2枚重ねればR値4になるので、4シーズン使えます。 藤崎:最近寝袋を購入したのですが、やはり最大限のパフォーマンスを発揮するには、マットの断熱が大事ですね。 加藤シュラフと違い、マットはR値の高い物を夏に使っても暑苦しくならないので、最初からR値4以上の物を買って、オールシーズン使うことができます。R値の高いマットは厚みがあるので寝心地もよく、初心者にもおすすめです。

マットのR値のめやすはこれ!

【R値2以上】春夏秋のスリーシーズン 【R値4以上】冬も含めたオールシーズン 【R値5以上】積雪地 【R6値以上】厳寒地

進化し続けるインフレータブルの注目アイテム

インフレータブルがやっぱりいいの?

(左から)クローズドセル、インフレータブル、エアマット
▲(左から)クローズドセル、インフレータブル、エアマット
藤崎:夏ならクローズドセルで決まりな気もしますが、インフレータブルも人気ですよね。手のひらで押してみてもふわふわしているのがわかり、インフレータブルより快適な気もします。 加藤:クローズドセルにも弱点があって、そのまま使えるということは、それはつまり、かさばることですね。価格も安いので家族でそろえるのに負担がないのですが、やはり4人分をクルマの中にいれるだけでも荷物になってしまいます。その点、インフレータブルは、だいたい1Lのナルゲンボトルぐらいの大きさで済みます。

寝心地とコンパクト性のバランスの良さ!

マットを押してみる藤崎さん
藤崎:特に地元、新潟のモチヅキさんが輸入代理店のサーマレストは有名ですね! 加藤:よくご存知ですね(笑)。サーマレストの定番インフレータブルマットプロライトRは、価格は1万円ちょっとしますが、収納時のサイズは長さ28cm、直径10cm。クローズドセルと比較すると、バツグンのコンパクトさですね。バックパックの中にもおさまるので、公共交通機関を使った徒歩キャンパーやツーリングキャンパーにおすすめです。
マットをセットする藤崎さん
▲プロライトRが気になる藤崎さん
藤崎:加藤さんからみて、プロライトRはスペック的にはいかがでしょうか。 加藤:厚さ2.5cm、R値も2.4あるので、スリーシーズンに最適。重量は500gあり、クローズドセルのZライトソルのレギュラーサイズより100gほど重くはなります。キャンプ場ではまったく気にならない重量差です。 藤崎:でも、息を吹き込んでふくらませるのは、女性には大変そうです。 加藤:これまでのインフレータブルの欠点としては、息を吹き込んでふくらませる手間があったのは事実です。しかし、2020年以降のサーマレストのマットは別売りのブロッカーライトポンプサックなどのアタッチメント付きポンプで簡単にふくらませられるようになったので、複数のマットを使用するファミリーユーザーにもおすすめしやすくなりました。 藤崎:モンベルのマットも有名ですね! 加藤:モンベルの人気モデル「U.L.コンフォートシステムエアパッド180」も、別売りのポンプバッグですぐにふくらませられます。

厚さ5cmでベッドのような寝心地!?

藤崎さんが試したキャプテンスタッグのエクスギア インフレーティングマット
▲藤崎さんが試したキャプテンスタッグのエクスギア インフレーティングマット。厚さ5cmの寝心地は魅力的
藤崎:自動で膨張するのもあるのですね!息を吹き込むのは、たしかに大変そうです。 加藤:藤崎さんが店内で試していたキャプテンスタッグの「エクスギア インフレーティングマット」は中身のフォームの復元力が強いので、ほっておいても自動膨張して70%くらいまでふくらみます。さらに厚さはなんと5cm。お値段も1万円ほどにおさまっているので、より睡眠の質にこだわりたい人にもおすすめです。
藤崎:このふわふわ感はクローズドセルよりかなり快適です!5cmを超えるとやはり違いますね! 加藤:ちなみにインフレータブルマットの空気の入れ具合はメーカーを問わず70~80%がおすすめです。パンパンに入れると反発が強すぎて、かえって寝づらくなります。最初は少し多めに空気を入れ、ほどよく身体がマットに沈むベストな状態が見つかるまで、少しずつ空気を抜いて調節してみてください。

シートゥサミットが勢力拡大中

藤崎:数多くのマットを見比べてきたバイヤーの加藤さんからみて、今注目のマットってあるのでしょうか? 加藤:一般発売されている中では、オーストラリアのアウトドアブランド「シートゥサミット」のキャンプマットS.I.です!定価8,800円で、R値4.2。そこそこの冬もいけます。厚さは3.8cmで、プロライトRより1.3cm高いです。その分、重さはさらに200g増、収納サイズもひとまわり大きい長さ26cm、直径16cmですが、キャンプマットと名付けられているだけあって、インフレータブルマットの中でもコストパフォーマンスの高さが際立っています!

家のように快適なエアベッドの意外な弱点とは?

軽量コンパクトなエアマットが出た!

サーマレストのネオエアーウーバーライトの寝心地を試す藤崎さん
▲サーマレストのネオエアーウーバーライトはR値2.3。ラージサイズで340g、ショートサイズなら170g!
藤崎:ほかにも、エアマットがありますが、クローズドセルと比較して寝心地や温かさに違いはあるのでしょうか。 加藤:数人で寝られるコールマンのテントエアーマットなどは、本当に家で過ごしているベッドのマットレスのような快適性があります。ただ、ポンプが必要だったり、空気を全部抜いたりするなどの手間はかかります。また注意しなくてはいけないのが、冷え込む時期の使用です。地面の冷たさでマット内の空気が冷えてしまい、その空気が対流することで断熱の効果が薄れ、マットが内部から冷えてしまう弱点があります。
コールマンのエアマット

出典:Amazon

▲コールマンのエアマットなど、ベッドのマットレスのような快適性のあるものも

弱点をなくした最強のエアマット

サーマレストのマット
▲サーマレストのネオエアーウーバーライト
藤崎:やはりエアマットは季節を選んでしまうのですかね…。 加藤:エアマットでも最近は、その熱交換してしまう欠点を解消したモデルもでてきています。「冷たくなった空気がマット内で対流することで背中が冷えてしまうのなら、空気が動かないようにすれば、いいのではないか」という発想です。 藤崎:そんな素晴らしいエアマットがあるのですか!? 加藤サーマレストのネオエアXサーモは、R値6.9。現在一般販売されているマットの中では最高クラスの断熱性があります。三角形のチューブを互い違いに重ねてコールドスポットをなくす構造とマットレス内部に4枚の熱反射板を挟み込む技術を使っていて、エアマットの弱点であった空気の対流による冷えをほぼなくしています。

コット+マットでより上質な睡眠に!?

マットで快適に眠る藤崎さん
藤崎:最近では、靴を脱がないで過ごせるシェルターに簡易的なベッドをいれる人も増えてきましたね。 加藤:コットですね。地面に凸凹がある場合には、マットより影響を受けずに寝られます。キャンプ場で斜めの場所しかとれない場合もありますが、コットなら脚の下に何か敷くことで寝床を平らにできます。
藤崎:また足の下に収納もできるので、テント内がきれいに見えていいですね。 加藤:はい、収納も便利です。ただこれも何も敷かないと背中が冷えてくるので、まだ冷え込む時期はマットが必要になってきますので、忘れないようにしましょう。ちなみに、コットは耐荷重が商品によって異なるので、ベンチ代わりに使うには注意が必要です。軽量コットの中には成人の大人1人の体重だけのものもあるので、大人3人くらいで座ると壊れてしまう場合もあります。

マットの選び方でキャンプの楽しみ方が変わる

せっかくいい寝袋を選んでも、季節にあったマットを使わないと、宝の持ち腐れに。日々の仕事のリフレッシュのキャンプで疲れてしまっては本末転倒。気持ちのよく週明けからバリバリと働くためにも、自分にあったマットは重要。ネットで数値だけで比べてみても、素材の触り心地などはわからないので、店頭で見比べるのがおすすめです。

NGT48藤崎未夢さん プロフィール

WESTでくつろぐ藤崎さん
キャンプ好きの両親の英才教育を受け、幼少期からキャンプを楽しむ。一人でもキャンプができるようになるため、県内産のアウトドアギアを集めながら、アイドルキャンパーとして成長中。先日に無事に普通自動車免許を取得し、自分で運転してキャンプに行くことが目標!愛称みゆみゆ。新潟市出身。アウトドア検定3級。 プロフィールはこちら:NGT48公式サイト Instagramはこちら:miyu_miyu_ngt48 Twitterはこちら:miyu_miyu_NGT48 撮影協力:WEST
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