キャンプの教科書 きほんの「き」〜vol.5 撤収編 〜
5回目はキャンプで効率よく撤収するための基本を解説します。焚き火マイスターとして知られる著名アウトドアプランナー猪野正哉さんが講師を務め、初心者はもちろん、独学の中級者、教えることの多い上級者に役立つ基礎知識をレクチャーします。
初心者から教える立場の上級者まで!キャンプの教科書
キャンプの基本を5回に分けて紹介する連載企画「キャンプの教科書 きほんの『き』」。これまでの連載で、キャンプの準備、テントの設営、焚き火、雨対策について、学んできました。5回目のテーマは、キャンプの撤収についてです。
▼前回の「vol.4 雨対策編」はこちら
講師は焚き火マイスター・猪野正哉(いのまさや)さん
猪野さんは、焚き火マイスターとして、焚き火の楽しさと正しい知識を全国各地のワークショップなどで広めています。初心者へのわかりやすい解説が好評で、テレビ番組のキャンプ特集でもひっぱりだこ。大物有名人との出演が相次ぐ人気ぶりです。現在は千葉県にあるアウトドアスペース「たき火ヴィレッジ〈いの〉」を、イベントや撮影場所の提供に限って運営。一般開放できるように開墾中。焚き火文化の普及を目指す
日本焚き火協会の会長も務めています。
猪野さんのSNSはこちら!
Instagram:
@inomushi75
Twitter:
@takibimeisterきほん【24】テントの乾燥を早める
フライシートを拭く
スムーズな撤収のために、朝起きたら、まず行なっておきたいのが、テントの乾燥の準備。テントの表面についた夜露を吸水性の高いタオルなどで拭きます。アウトドアでは、雨は降っていなくても、夜露でテントが濡れます。さらに、出入り口を開いて風通しをよくして、結露したフライシートの内側を乾かすことも忘れずに。
インナーテントを拭く
フライシートが乾いたら、フライシートを取り外し、インナーテントを干します。設営の段階で、グラウンドシートを敷いておけば、インナーテントの底面を濡らさずに済むので撤収の時間と手間を省けます。こちらも、入り口やベンチレーションを開き、風通しをよくしておきます。
きほん【25】テントポールの扱い
ポールは引かずに、押して抜く
ドーム型やトンネル型のテントでは、チューブ(スリーブ)にポールを通す構造のものがほとんど。そういったタイプのテントの撤収でありがちなのが、ポールがスリーブに詰まり、スムーズに抜けずに手間取ってしまうこと。ここでのポイントは、ポールを引いて抜くのではなく、押して抜くこと。そうすることで、ポールが節の部分で抜けることなくスムーズに取り外しできます。
ポールは真ん中から折りたたむ
ポールのたたみ方にもコツがあります。それはポールの真ん中からたたむこと。ポールの中に通されたショックコードと呼ばれるゴム紐への負担を減らすためです。ポールの端からたたむと、ショックコードのテンションが片側に偏ってしまい、寿命が減りやすくなります。ショックコードは交換できますが、長持ちするに越したことはないので、ポールを真ん中からたたんで、均等に負荷かけるようにします。
きほん【26】テントをたたむコツ
①テントの「辺」と「頂点」を意識
テントをきれいにたたむと、次回の設営がスムーズになるほか、シワだらけになって見た目が悪くなるのを防げます。最初のポイントは、テントの「辺」と「頂点」を意識すること。
左右対称の形のテントの場合、まずはテントを半分にたたみます。その際にテントの「辺」と「頂点」がぴったり合うようにするときれいに仕上がります。テントによっては、上の写真のように各「頂点」の部分のベルトが、色分けされているものもあるので、目印にすると迷わずたためます。
②四角形を作る
テントを半分にたためたら、次はさらに小さくたたんでいきます。ここでのポイントは、四角形を作ること。さまざまな形状のテントがありますが、どんなテントでも、たたむときに目指す形は四角形です。上の写真のようにテントを折り、四角になるように調整しましょう。
③ポールで巻く
テントのフライシートをある程度の大きさにたためたら、のり巻きを作る要領でポールを巻きつけます。そうすることで、テントに巻き込んだ空気を抜きやすくなり、コンパクトに収納できます。
④収納袋を基準にする
テントをたたむ際にありがちな失敗が、収納袋に収まらないこと。それを避けるために、ある程度の大きさまでたためたら、テントの収納袋を横に置き、どのぐらいのサイズまで折りたためば、収納できるかを確認しましょう。
きほん【27】レジャーシートやコットを活用する
レジャーシートを活用
撤収の際は、車の荷台の近くにレジャーシートを広げておくと車への積載がはかどります。荷物を汚さずに済み、車に積む順番を考えやすくなります。
コットを活用
コットを持っている場合には、一時的な荷物置きとして車の脇に配置すると便利。車の荷台に近い高さに荷物置きを設けることで、荷物を上げ下げするときの腰の負担を軽減できます。
キャンプの基本をマスターして、快適にキャンプを楽しみましょう!
キャンプの基本をしっかり押さえれば、心と時間のゆとりができ、不要なトラブルを避けられます。しかし、しっかり準備したとしても、自然の中では不測の事態は起きます。そんなときこそ得られる自然からの学びは、アウトドアの醍醐味でもあり、そうして得た教訓はかけがえのない成長につながります。あなただけのキャンプの教科書に新たな1ページが加わることでしょう。