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【ブランドラブ】100年続く老舗アウトドアブランド「ogawa」の新しい姿とは?

アウトドアブランドに勤める方にブランド愛をうかがう連載企画「ブランドラブ」。第5弾は、長年積み上げた信頼と実績で、広くキャンパーに愛されているアウトドアブランド「ogawa」にフォーカス。ogawaのこれまでと現在、そしてこれからアウトドアをどう考えているのか、テントへの愛をたっぷり織り交ぜて語っていただきました!

「ogawa」に吹く新しい風

アウトドアがレジャーとして広まる以前から、テントを作り続ける「ogawa」。老舗ブランドとして、ユーザーからの信頼を獲得し続けてきました。しかし、初心者にとっては、少し高価な上級者向けブランドとして認識されがちだったこともまた事実…。信頼は厚いけれど、少し敷居が高い。そんな「ogawa」のイメージは、近年払拭されつつあります。 その理由は、いちファンからogawaで企画・広報を担当することとなった大木さんが知っていました。

入社5日目で意識した、"ブランディングの徹底”

━━━ 大木さんが入社されたのは、いつごろだったのでしょう? 大木:ogawaを創っていた前社名「小川キャンパル(株)」が「キャンパルジャパン(株)」として改めて、会社を立ち上げ1年ほど経った2016年に入社しました。前職は広告業界に勤めていたので、グラフィックデザイナーとしてカタログ製作をするつもりで入ったんです。 ━━━ するつもりだった、というと…? 大木:もちろん、カタログ制作もしています。しかし、次から次へと今まで経験したことのない仕事を任され驚きました!仕事が増えるたびに肩書きも増えるので、名刺に書ききれないほどです。例えば、入社5日目でイベントに駆り出されたこともあったな(笑)。でも、初めから様々な業務に携わらせてもらったおかげで、ogawaの課題はすぐに発見できました。 ━━━ ズバリ、その課題とは? 大木:それは…ブランディングに対する会社自体の意識の低さです。普通キャンプギアって、そのブランドのロゴがどこかしらに入っていますよね?以前、ogawaのテントには、ロゴが一切入っていなかったんです!そのテントの名前だけが大きくドーンと入っていて…。 いちファンとして前から気になってはいたのですが、実際に入社して確認してみると、誰もそのことを意識していなかったんですね。テントに入っているロゴは、キャンプ場では一番ブランドの宣伝になるのに…。という経緯もあって、まずは社内でのブランド意識の改革をすることから僕の仕事は始まりました。 ━━━ なるほど…!きっとそれは、ファンならではの視点だったんですね。職人気質で、長年良いテントを作ることだけ考えてきたからこその落とし穴だったのかもしれませんね。

会社再生の時期に入社した大木さん

━━━ これまでは老舗ブランドとして、ogawaはどっしり構えているイメージを持っていたのですが、最近は構えて待つというよりは、なんだか勢いがすごいですよね…!? 大木:おかげ様で、色々と手を広げさせていただいています(笑)。僕も入社前から20年来のogawaファンなのですが、昔とは随分変わりましたね。 ━━━ ファン歴もかなり長いんですね!大木さんがogawaと出会ったのは、いつ・どんなきっかけだったのでしょうか? 大木:「PVCマルチシートL」という、今はもう廃盤サイズのグランドシートを購入したのがogawaとの出会いでしたね。何とコレ、今でも現役で使っているんです! 学生時代、仲間とよくキャンプをしていたんですが、学生ってやっぱりお金がなくて。それで安価な物を使っていたのですが、耐久性が低かったりすぐくたびれてしまったりして、長く持たなかったんです。 一度本当にびっくりしたのが、雨の中、テントで寝ていたら浸水してきて溺れかけたこと…(笑) 「やっぱりいいものを使わないとダメだな」って、そのとき身をもって感じました。 ━━━ 溺れなくてよかった…!(笑)それにしても、20年前のものが今でも現役だなんて驚きです!色々買って、試した上でたどり着いたのがogawaだったのですね! 大木:そうですね。その頃からogawaはすでに老舗という印象で、やっぱり信頼感がありましたから。実際に使ってみると、比較対象があったのも幸いして、その品質をさらに実感しましたね。それ以来ずっとogawaのファンです!こうして縁あって働くことができて、本当にありがたいです。 ━━━ 入社前からブランド愛に溢れていたんですね!とても素敵なご縁です。

開発の枠を超えた仕事!?

大木:ブランディングのために奔走した結果、いつの間にか僕自身が何でも屋さんになってしまいました(笑)。構造力学を勉強したこともないのに、入社1ヶ月後にはテントのデザインをしていたり、イベント業務を回したり、商品の仕入れまで!でもそれが苦痛だった訳ではなくて、むしろモノづくりの一から十まで全てに関われるので本当に面白いんですよ。 ━━━ 大変そうですが、その分やりがいはたっぷりありそうですね!特にどんなところが面白いと感じますか? 大木:モノづくりをすること自体楽しいのですが、作って終わりじゃないところがより面白いです。僕たちの仕事は、社員が少ないという理由もありますが、商品を作って終わり。ではなく、商品をどう売るか、そのためにいかにしてその良さを伝えるか、というところまで考える必要があります。 例えば、グロッケ12T/Cを作ったときに、タープと連結させて設営した様子をSNSにアップしてみたんです。自分にとっては当たり前のスタイルだったのですが、これに結構な反響があり、グロッケと一緒にタープを購入してくださる方がかなり増えたんです。「自分の伝え方次第で、商品が売れたり売れなかったりするんだ」と、強く実感した経験でした。 ━━━ 大木さんの発信のおかげで新しい魅力が発見されて、それがユーザーに伝わったということなんですね!嬉しい連鎖!目に見えて反響があると、嬉しいですよね。 大木:さらにイベントに出たりすると、ユーザーの方から直接意見がうかがえるので、それもまた嬉しいですし、次にも活かせるのでモチベーションにもつながります。

未経験・独学で始めた"商品開発”

━━━ 本当に多くのお仕事を担っているのですね!初めはグラフィックデザイナーとして入社されたとうかがいましたが、専門外のことなどはどうやって勉強されたのでしょうか…? 大木:これはもう、全て独学ですね!(笑)アウトドア自体はずっと趣味として楽しんでいたものの、例えばテントのデザインをすることになったとき、縫製の方法なんかは本当に何も知らなくて…会社のリペア部門のところに出向いて修理の様子を観察したり、自社に限らず他社のテントを見に行ってみたりしました。とにかくがむしゃらに勉強して、何とか一年後、無事にグロッケとアポロンを作って店頭に並べることができました…。 ━━━ すごい、独学なんですね!しかもあの有名なグロッケとアポロンを…!かなりの努力が必要そうです。途中で辛くなることもあったのではないでしょうか?例えばアイディアが出なくて苦しい、とか…。 大木:もちろん大変ではありましたが、アイディアで行き詰まりを感じたことはまだないです。遊び道具を作る仕事ですから、いい意味で、ずっと遊んでいるような感覚でものづくりと向き合えているんじゃないかな。どうしたらもっと楽しく遊べるか、こうなったら楽しいのに!という考えがどんどん湧いてきて、それを商品に落とし込んでいるという形です。せっかくのアイディアを、湧いたそばから忘れがちなのが玉に瑕ですが(笑) ━━━ なるほど!(笑)もっと楽しく遊びたいという純粋な感覚で仕事をしているからこそ、忘れてしまうほど次から次へとアイディアが湧いてくるのですね。

テントを極める、という選択肢

品質の良さだけで勝負していた時代も…

大木:苦労というところでいうと、ogawaの歴史の長さが時として障害になりうることもあります。テント屋として、品質は一流だという誇りはあるのですが、それを自分たちで外に発信していく力が弱かったんです。歴史の長さと品質への信頼があれば、自然とユーザーが増えるはずだとどこかで過信してしまっていたのかもしれません。 ━━━ 確かに、いいものを作っているからこそ、宣伝なんてする必要ない!と思ってしまいそうです。 大木:でも今の時代は特に、それだけじゃダメなんですよね。雑誌などのメディアや、SNSなど、伝える手段がたくさんあるから、こちらからどんどんアピールしていかないといけないな、と。そのことに気づけた今は、品質の良さが伝わるよう、きちんとアピールするようになりました。 ━━━ せっかく良いものを作っているのに、ユーザーに伝わらないともったいないですもんね!時代に合わせて、ogawaもどんどん変わってきているのを感じます。

時代に流されない、品質への信頼感

大木:変化もありつつ、もちろん良い意味で変わっていない部分もありますよ! ━━━ 例えばどんな部分でしょう? 大木:一番大事なところでいうと、テント屋としてのプライドはずっと持つようにしています。やはりogawaの原点は「テント作り」なんです。最高の一張りにこだわる。それがogawaらしさだと思いますし、そこは時代に流される必要はないんじゃないかな、と考えています。 ━━━ なるほど、とても素敵な考え方ですね!テント作りへの誇りとこだわりが、ogawaの品質の信頼感に繋がっているんですね。

体験して、実感して、伝えられる場を

大木:こだわっているからこそ、テントの良さをユーザーの方に知っていただきたくて。どうしたら伝わるか考えた結果、体験してもらうのが一番手っ取り早い!それが直営店「ogawa GRAND lodge」です。 ━━━ 実際に手に取ると、それがどんな商品なのか一番よくわかりますよね。その商品を作っているブランドの店員さんがいるとより頼もしいし、嬉しい! 大木:そうなんです。だから店舗では、設営体験ができるようになっているんですよ。店員がしっかりと知識を身につけてくれているので、ポイントなどを説明しながら、理解してもらいながら、実際にテントを建てていただいています。お客さんにはきちんと商品のことを知り、納得した上で購入していただけるので、お互いにメリットがあるんです。 ━━━ win-winというやつですね!確かに、お客さん目線で言えば不満なく購入できますし、店員さん目線で言えば自分の説明で購入してもらえるのはモチベーションに繋がりそう! 大木:他にも、僕はイベント業務担当でもあるので、会場でエンドユーザーさんと話をすることで、新しい知識が入ってきたり、商品の改善につなげられたりするので、これはかなり貴重な場ですね。 ━━━ 良さを伝える場をどんどん拡大して、ユーザーの間口を広げているんですね!

ただのトンネル型テントじゃない?!話題沸騰中の「アポロン」

「こんなに売れるなんて…」開発者の語るアポロンの真実

━━━ 大木さんの宣伝活動の賜物なのか、最近勢いがすごいogawaのテントといえば、「アポロン」ではないでしょうか! 大木:あれは本当に、作った僕でさえびっくりでした!(笑) もちろん他の商品も力を入れて作ってはいますが、正直アポロンは売れるかどうか微妙で…。 ━━━ そうだったんですか!?今ものすごく人気ですが…! 大木:トンネル型テントって、あまり珍しい形ではないですし、すでに有名なブランドも作っていますからね。後発だからこそ、色々と工夫を凝らしました。それがユーザーまで伝わったのかなと思うと、本当に嬉しい限りです。 ━━━ ユーザーからの信頼を感じて、聞いているこちらまで嬉しくなってきてしまいました!

「アポロン」の持つ、独特の広さ

━━━ 設営してあるこのアポロンの中に入ってみてとてもびっくりしたのですが、写真で見ていたよりはるかに広いですね!やっぱり実際に目で見て体験することは大事だなあ…。それにしても、この広さは一体…? 大木:トンネル型テントって、そもそも大きいテントなので広さはあるのですが、両端に向かってだんだんと狭くなる形なため、実はデッドスペースがかなり生まれてしまっているんですよ。それがもったいないな、と思っていて。アポロンは、余分な尺を削って端を垂直にすることで、デッドスペースを撲滅しました! ━━━ 本当だ!?空間を無駄なく使えますね!でも、どうやってこの形ができたのでしょう?
大木:秘密は上にある3本のポールです。ここにポールを追加することで、両端の角度が引き上がり、デッドスペースを無くしたんです。実はこのアイディアは、構造力学をよく知る妻からのふとした助言がきっかけでした。 ━━━ 的確なアドバイスのおかげで、こんな新しい形のトンネル型テントができ上がったんですね!

歴史を裏打ちする圧倒的な丈夫さ

大木:この3本のポールには他にもメリットがあって、これがあるとクロスフレームになり、テントが自立してくれるんです。ペグを抜くだけで簡単に場所を移動することもできますよ!さらに強度もかなりアップしていて、きちんと設営すれば強風にも負けません。 ━━━ すごい!いいこと尽くしですね!トンネル型で自立するのは嬉しいポイント…!
大木:ただし、きちんと正しく設営しないと、本来の強度が出なかったり、雨の際に水が上に溜まったりしてしまうんです…。実際に、そういうユーザーからの声もあったりして。説明書をしっかり作り込んだり、補助器具をつけたマイナーチェンジ版を出したりと色々努力はしているのですが、なかなか伝えたいことをキチンと伝えるというのは難しいですね…。 ━━━ そうなんですね…。伝えることの難しさと重要さがよくわかるお話です。

時代に合ったカラーで「映える」アイテムへ

━━━ そういえばアポロンは、あの有名なogawaカラーではないんですね。 大木:そうなんです。2018年からアポロンを含めた一部のテントの配色を一新しました!社内では特に、昔からogawaを知るメンバーからの反対の声もあったのですが...。時代に合わせて、変えるべきところは変える必要がありますから。ogawaのイメージを新しくするためにも、カラーチェンジは重要だなと社長へ提案しました。 ━━━ 確かに、これまでのクラシカルな感じとは打って変わって、シックで落ち着いた印象ですね。 大木:色選びについては、ブランドイメージとすり合わせつつも単純に僕が好きな色を提案しただけですが(笑)、思いがけずサンドカラーが大流行していてびっくりでした! ━━━ 流行りの色になっているのはたまたまなんですか!?それはまさかでした…!(笑)大木さんのアンテナが自然と流行をキャッチしていたのかもしれませんね…。

「ogawa」の想う、アウトドアの次なるステージ

ブームだけでは終わらせない!

━━━ プライベート・仕事を問わずアウトドアに親しまれているからこそ、その行く末は気になるところだと思いますが、何か気になることなどあれば教えてください! 大木:今は、第二次アウトドアブームと言われるくらい、かなり盛り上がっていますよね。とても嬉しいことではあるんですが、一時的なものではあると思うんです。それこそ、第一次ブームの時のように。 ━━━ たしかに…。キャンプ場も予約が取れないくらいの熱量ですから、いずれ冷めてしまうかもしれないという不安はありますよね。 大木:そうなんです。この熱が落ち着いたとき、ただのブームとして終わらせたくないな、と。例えば年に2〜3回、家族でキャンプに行くのがどこの家庭でも当たり前になるような、自然と家族行事のひとつとして取り入れられるような、そんな風になってもらえるように、アウトドアの楽しさをどんどん発信していければと思います。 まだブームの段階ではありますが、キャンプにオフシーズンがほとんどなくなったのはいいことだな、と思っていて。冬キャンプや焚き火の楽しさが伝わったからこそ、ほとんどオールシーズンキャンプに行くようになったのだと思います。これからもそんなシーンに少しずつでも貢献していけたら、本当に嬉しいです。 ━━━ 本当にそうですね!アウトドアが生活に浸透するくらい、もっと多くの方にその楽しさを伝えていきたいですね!

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まとめ

今回はテントへ真摯に向き合う姿勢、そしてブランドに限らずアウトドア全体への愛を「ogawa」の大木さんから伺うことができました!ogawaが今後アウトドア界にどんな新しい風を吹かせることになるのか、一層楽しみですね!次回はどんなラブが語られるのでしょうか…!?第6弾もお楽しみに。


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