【ちークラフト】完全一点物!女性ブッシュクラフターによる武骨すぎる革細工
キャンパーにとってなじみのあるレザークラフトですが、本当に「一生モノ」の革というのは、なめしの過程から違うもの。さらに、アウトドアという過酷な環境でハードに使っても耐えられるような革製品は、実はなかなかありません。そんな中で、愚直なまでにこだわってレザークラフトの真骨頂を見せてくれる「ちークラフト」を紹介します。
洋裁女子「ちーさん」、レザークラフターになる
ひと目見れば、「これはちークラフトの作品だ」と、恐らくはほとんどの人がわかる作風。あえて端を処理せず、ときには革の生き傷もそのままにしたレザークラフトは、荒々しく武骨なテイストが多くの人を魅了しています。
でも、よく見ればステッチのていねいさ、レース編みにした紐の繊細さに「おや」と思うはず。商品だけを見ていればブッシュクラフトの酸いも甘いも噛み分けた男性が作者だと勘違いしてしまいますが、ちークラフトの「ちーさん」は女性なのです。
学生時代からオリジナルスーツをつくるほどの洋裁好き!
そんなちーさんは、子どものころから洋裁が得意で、学生時代には自分でデザインしたスーツまでつくっていたほど。結婚が早く、3人の子どもにも恵まれて、子どもの服をはじめつくれる物はハンドメイドやDIYで全て手作りしていたといいます。
自然の中でパワーチャージしながら道具を自作しはじめる
子育てもひと段落したあと、女性特有の病気で長年苦しんでいたというちーさん。自然の中にいると元気になれたためキャンプを始め、そのときに道具を自作するようになったのだそう。
2018年当時、
個人輸入でしか手に入らなかったベーカーテント(帆布の大型テント)をつくったり、ナイフシースをつくるためにレザークラフトを始めたりと、ハンドメイド好きな主婦が
キャンプをきっかけに「ちークラフト」ルートに入ります。
作品をInstagramに上げていると、野営の師匠と仰ぐ
せいたさん(@seita2220)からバックパックの製作を依頼されてつくることに。それを見たキャンプ仲間のクチコミで広まり、少しずつ依頼が入りはじめたころ、新型コロナウイルスの流行でキャンプに行けなくなって本格的にレザークラフトに没頭していきました。
父親の影響もあり、武骨なブッシュクラフトにハマる
レザークラフトの腕前もさることながら、ブッシュクラフトも相当に極めているように見えるちーさん。
2019年ころから始めたというので、2024年現在まだ5年ですが、父親が元レンジャーだったこともあり、子どものころからなじみはあった、と語ります。見よう見まねで一人でブッシュクラフトをしていたら、見かねたせいたさんが教えてくれるようになり、ブッシュクラフトの師匠に。
野営するちーさん。斧やノコギリは使わず、なんでもナイフ一本でこなします
火打石で火をおこしたり、無人島にいってカメノテ(甲殻類の一種。その名の通りカメの手のような見た目をしている)を採取して食べたりと、
ちーさんのInstagramにはワイルドなブッシュクラフトの様子が満載。そして、
映り込んでいる道具のかっこよさにも惚れ惚れします。
ブッシュクラフトには、山を散策しながら木を拾い、シェルターやテントのポールにペグ、スプーンやお箸までつくる、「
現地調達で楽しむおもしろさがある」とちーさん。そんな中で生まれるインスピレーションやアイデアが詰め込まれたレザークラフトだから、実用的で自然の中になじむのも頷けます。
ガチな野営から生まれる、冒険心をくすぐるデザイン
革の魅力を存分に引き出した風合いや武骨なデザインは、ちークラフトの大きなアイデンティティ。
「ブッシュクラフトで得た知識を込めている」という作品は、全てが完全オリジナルです。野営をしながら閃いたり、せいたさんやお客さんとの会話から思いついたりと、アイデアの根幹にあるのは全てブッシュクラフトの経験。
また、「アウトドアで使う革製品は見た目だけでなく耐久性を要する」というのも大事にしているポイント。実際に使用テストをし、ハードに使って問題がないものを提供しています。2024年10月現在、約2年待ちですが、それでも「ちークラフトのレザークラフトが欲しい!」という人が後を絶ちません。
昔ながらの「ピットなめし」にこだわった最高級レザー
もう一つ、ちークラフトのクオリティのために欠かせないものがあります。それは材料となる革。
一般に流通している「本革」のほとんどは、「クロムなめし」という化学薬品を使ったなめし方。また、ヌメ革も「天然のベジタブルタンニンなめし」と謳っていても安価なドラムなめしがほとんどで、これらの革はエイジングに差が出るし、繊維の詰まりが全然違う。そのため、本来の風合いを引き出せていないのだとか。
ちークラフトでは、昔ながらの「ピットなめし製法」という、国内でも限られたタンナーでしかつくられない手間暇をかけた最高級のヌメ革やイタリアンレザーを使用。ほかにも、害獣とされる国産の鹿などから採れたジビエレザーを主に使っています。
「化学薬品を一切使わずなめした天然の革は、エイジング次第で肌のようになじんでいく」とちーさん。お手入れ次第で孫の代まで引き継げるほど長持ちし、最後は自然へと還る、一切の無駄がない革がちークラフトの選ぶ革です。
「ちーさんの世界観」が凝縮!絶対手に入れたい革細工3選
ブッシュクラフト経験から生まれた革細工は、収納物に合わせてサイズが変えられる「巻き巻きポーチ」や、充電部分が汚れないよう底が付いた「ゴールゼロフルカバー」など、実用性も抜群。また、使い方に応用が効いたり、アレンジができる作品が多いのも魅力です。
2024年10月現在、即納はhinataストアだけ!hinataストアのラインナップからおすすめを3つ教えてもらいました。なお、完売中の商品も入荷予定はあるため、気になるアイテムはこまめにチェックしてください。
【海賊ポーチ】中から金貨が出てきそうなルックスがたまらない
2つめは映画の『パイレーツ・オブ・カリビアン』でジャック船長が腰に下げていそうな、その名も「海賊ポーチ」。
もともとはコーヒー豆を入れるためにつくられた鹿革のポーチでしたが、火口などを入れて腰にぶら下げるキャンパーを見て、それが海賊みたいな出で立ちだったため閃いたのがこちら。少し大きめサイズにし、素材ももっちりとした手触りのイタリアンオイルレザーを使って、海賊ポーチとして登場しました。
「海賊に憧れる男性も多く、こちらを皮切りに海賊シリーズの作品が次々増えています」と、ワイルドな作風に拍車をかけた人気商品です。
【パクパクビーンズミトン】「焚き火の荷物が減った!」とULキャンパーも絶賛
一見すると、かわいい豆の形をした「パクパクビーンズミトン」。
一般的な焚き火グローブと比べるとちょっと心もとなく見えますが、なんとこれでアツアツの薪を直につかめるスグレモノ。「火バサミやグローブが不要になった」という声が続々届いている人気アイテムです。
イタリアンオイルベロアを使ったやわらかな質感は肌触りも抜群。小物やカトラリーを入れたり、鍋敷きにしたりと使い道もいろいろ。「あったらいいなを3年かかって形にした作品」とちーさんもイチオシの逸品です。
燃え盛る薪もそのままつかめるから、火バサミいらず!
【海図ボーン】まるで宝の地図!リバーシブルで使えるトレー
ラストは海賊シリーズとしてつくられた「海図ボーン」。四角をスナップボタンで留めて縁を立てるタイプのトレーに海図とコンパスをレザーバーニングし、海賊が持っている古地図のようなビジュアルに仕上げました。ちなみに、名前は「トレー=お盆」をもじって「海図ボーン」なのだとか。
表は小物入れに、裏側は火おこしや火器を使う際のシートとして使え、活躍シーンがいろいろ。あえて入れた切れ込みも使えば使うほど味が出て、クルクルと巻けば本当に古地図のようです。「海賊ポーチ」と合わせて腰に装備すれば、冒険に出かける準備は万端!
「生きている限り生涯保証」!ちーさんと一生モノのレザーを育ててみては
出典:Instagram(@chii_craft_)
ちーさんが一番気に入っている作品は、せいたさんがmillio(兵庫県三木市)に依頼してつくった手打ち鍛造のコンパクトなフライパン専用「フライパンケース」。型取りをして試行錯誤のうえ完成した渾身の作で、有名キャンプ芸人からもオーダーされたという代表作
ちークラフトのレザークラフトは、「
ちーさんが生きている限り永久保証が付く」という驚きのサポートも。
「
商品ではなく作品なので、売りっぱなしにはしません。無償修理だけではなく、場合によってはつくり直すこともあるし、メンテナンスもしています。末永く使っていただきたいから、お客様と密にコミュニケーションを取ってしっかりサポートもしますよ」とちーさん。
昔ながらの方法でていねいになめした生きた革を、
プロと二人三脚で育てられるというのはなかなかない贅沢。愛用のナイフシースやレザートレーを子どもや孫に受け継ぐ…なんていう憧れも、ちークラフトの革細工ならかなえてくれそうです。
公式Instagramはこちら:
ちークラフト