【ZEROGRAM】ストレス「ゼロ」の軽量ソロテントも!日本上陸10周年ギアに注目
人が自然に入る影響を限りなく「ゼロ」にしたいという思いと共に、韓国で生まれた「ZEROGRAM」。環境に配慮しながら自然を楽しむアウトドアスタイルと、それを可能にするギアを提案しています。2024年、日本上陸10周年を記念して登場した軽量ソロテントとバックパックも必見です!
自然や環境への影響に配慮した韓国発のブランド
ゴミ拾い(Plogging)を想定して誕生した水漏れに強いロールトップ型スタッフサックの「UPC Plogging Bag(ユーピーシープロッギングバッグ)」(左)。これ自体も、生産過程での余剰生地をアップサイクルしたもの
2012年に韓国で産声を上げたZEROGRAM(ゼログラム)は、今や登山家を中心に、日本でもすっかり定着。
みずからもロングトレイルや登山を愛好するブランド創設者のウディ氏が、自然主義思想家ジョン・ミュアー氏(ヨセミテとシエラネバダの自然環境を守った人物)をはじめとするアウトドア愛好家たちに共感し、「バックパッカーが自然の中へ踏み入るのに、なるべく自然への影響を少なくしたい」という強い意志を持ってスタートしました。
2024年に日本上陸10周年を迎えて日本限定ギアもリリースと、改めて注目が集まっている同ブランド。これまでの歩みや今回の新作について、ゼログラムのディレクターである藤田さんにお話を聞きました。
韓国では低山と里山をつなぐロングトレイルが主流
出典:PIXTA
北漢山国立公園内の東北部にある道峰山(トボンサン)の最高峰である紫雲峰(チャウンボン)も標高約720m。韓国では見晴らしのいい低山が多い
低山が多い韓国では、日本のように2,000~3,000m級の山があるわけではありません。でも、ゼログラムのように実用性のあるULギアが生まれ、支持されているのも確かです。韓国の登山スタイルや求められるギアとは、どんなものなのでしょう。
取材の中で、藤田さんからはたびたび「どんどん前へ進めるギア」という言葉が出ました。その通り、悪天候でも悪路を長く歩いても、ストレスがないことが韓国で求められるULギア。そして、ハイカーに余力があることが環境を守ることにもリンクしていたのです。
ストレスフリーな軽量ギアは自然も人もWIN&WIN!
2024年7月下旬発売予定のEl Chaltenシリーズ最新作、EL CHALTEN Pro DAC(エルチャルテンプロダック)。片手で軽々と持ち上げられる
ゼログラムが自然環境への影響をできる限りなくすために参考にしているのが、世界的な環境保護団体である「Leave No Trace(以下、LNT)」が掲げる7つの行動指針。
7つの行動指針はさらに細分化されており、たとえば「2.影響の少ない場所での活動」には「ぬかるんでいるトレイルでも真ん中を縦一列で歩く」「キャンプサイトは最小限にする」などが挙げられています。
林間やちょっとしたスペースでも設営できるゼログラムのテント
軽く実用的な装備はバックパッカーのストレスを減らし、より深く自然を楽しむ心の豊かさを与えてくれます。環境を損なわず、悪天候でも「ぐんぐん前へ進む」ことができ、さまざまな自然の表情に出会う。そんなトレイルをかなえるのがゼログラムのギアです。
2024年は日本上陸10周年!新旧のマストギア3選
2014年9月に日本上陸を果たしたゼログラム。10周年を迎えた今年は、4月・5月に立て続けに日本限定記念ギアを発売しました。ファン待望のソロテントと日本のユーザーから支持が高かったバックパックのアップグレード版という新作2つに加え、藤田さんおすすめの定番人気ギアも紹介します。
【EL CHALTEN 1p ZEROBONE】アイコニックなテントに満を持してソロ用が登場
日本上陸10周年記念ギアその1は、ゼログラムを代表するテント「EL CHALTEN 1p ZEROBONE」(エルチャルテン1pゼロボーン)。
EL CHALTENといえば、フライとインナー、フットプリントが一体型となっており、3本のポールでつり下げればあっという間に設営が完了する「設営ストレスゼロ」がウリ。また、長辺側の前後どちらも出入口&前室になり、通気性と場所を選ばない使い勝手もデビュー当時から好評を博しています。
悪天候にも強い3本のポールを重ねる構造。連結したフライ、インナー、フットプリントをつり下げるだけで快適な基地が完成
設営のしやすさと長辺の両側が開ける開放感はそのままに、日本の山岳シーンを想定し、雪が落ちやすいように屋根のフラット部分を短くして山型にしたり、凍りにくいファスナーを採用していたりするのもポイント。
「アルパイン用ではなく、あくまでも3シーズン用のテント」ということですが、悪天候にも強く、重さは約1,136gに抑えた、3,000m級の山でも頼れるソロテントになっています。
【LOST CREEK UL 40(45L) SP】日本のユーザーの声をベースにアップグレード
もう一つの10周年記念ギアは、軽量ロールトップ型バックパックの「LOST CREEK (ロストクリーク)UL40(45L)SP」。
日本ではゼログラム=テントなイメージでしたが、2年くらい前にバックパックが登場すると日本のハイカーや登山者から好評を博しました。そこで、EL CHALTEN1pと共に日本限定ギアとして選ばれたのがこちら。
背負ったままでもサイドポケットのものが取りやすいよう斜めにカット。2Lのペットボトルが入る大きさもうれしい
日本のユーザーや取扱店の声をベースに改良し、サイドポケットは下ろさなくてもアクセスしやすいように斜めにカット、トレッキングポール用のループを装備、耐負荷が従来品の最大12kgから14kgにアップと、より使い勝手を向上させました。
さらに、EL CHALTEN1Pがポケットに入るそう。荷物をコンパクトにまとめ、CREEK(障害物)をものともしない機動性で自然の中へ分け入ることができそうです。
【Ramen Pan Plus】韓国でも定番人気!「野外ラーメン」の必需品
最後は10周年記念ギアではないものの、本拠地・韓国でも定番人気の「Ramen Pan Plus(ラーメンパンプラス)」。
韓国も日本と同じ麺文化で、キャンプでのラーメンは鉄板。こちらは、乾麺がそのまま入る四角い形状で、袋麺を崩さず持って行くことができます。さらに、四角い方が空間を無駄なく使えてパッキングしやすいのもさりげない魅力。
チタンコーティングされているためくっつきにくく、お手入れも簡単。韓国人キャンパーの間でも定番の人気アイテム
ラーメンのみならず、焼く・煮る・炒めるがこれ一つでOK。さらに、取っ手が角にあるため、汁を注ぐときなども扱いやすい、側面のロゴは500mLの目安になると、細部まで考え抜かれたロングセラーです。
節目を迎え、ゼログラムは原点回帰へ!軽量ギアにいっそう期待
日本で10年、ブランドとしては12年目を迎えたゼログラム。コンセプトである「軽量」「ストレスフリー」のなかで、近年はストレスフリーの方に重点を置きがちだったけれど、今後は原点回帰でさらに軽さも重視していこうという動きがあるそうです。
2024年7月からロゴも「月から見た地球」をモチーフにしたものから、「モンゴル民族の移動式住居・ゲル」をモチーフにしたものに変更。実は、ブランド設立当初もロゴはゲルだったのだとか。
「ロングハイクで移動して行くバックパッカーと同じように旅をするモンゴル民族。彼らの知識や経験、ライフスタイルをリスペクトし、原点回帰でより魅力的なギアを発信していきたいと思います」と藤田さん。「原点回帰」という名の進化を予感させるゼログラムから、ますます目が離せません。