【0から始める山小屋DIY】待ちに待った「骨組み」の建築がスタート!
2024.02.09ノウハウ
おやじライター丹羽孝之が、念願の山小屋をフルDIYで仕上げていく過程をお届けする連載【アウトドアおやじの秘密基地づくり】の第二回です。テント生活をしながらの山小屋セルフビルドも、基礎工事が終わり、いよいよ骨組みの建築がスタートします!
制作者
丹羽孝之
北アルプスを愛するアドベンチャー系オヤジ。黒部川源流部の釣り旅、バイクでの全国テント泊ツーリング、北インドやヒマラヤ山域のトレッキングやバイクツーリングなど活動の幅は広い。アウトドア経験はあっという間に40年。酒は強いが高山病には弱い。モットーは、”広く深く” 。
JAC オートキャンプインストラクター、YouTube: @outdooroyaji
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基礎工事で早くもバテバテ
キャンプ歴は40年。自他ともに認めるアウトドアおやじが、永年の夢だった「山小屋のセルフビルド」を敢行。この連載では、2022年6月からスタートした小屋建築作業をまとめていきます。
筆者が実際につくった山小屋内部の設計図
連載初回となったvol.1では、小屋のコンセプト設定や土地の選び方について紹介。セルフビルドを検討するうえで、押さえておきたいリアルな情報をまとめました。
vol.2では、いよいよ基礎工事がスタートします。地中に埋まっていた強敵や寸法を合わせる苦労など、今回もDIYならではのハードルが満載。
アウトドアおやじの人生で最大規模となる工作。果たしてまともな建物ができるのだろうか…。夢の詰まった山小屋ができあがっていくストーリーを最後までお見逃しなく!
アウトドアおやじ/ライター
丹羽孝之(にわ たかし)
キャンプ歴40年。登山(クライミング、沢登り、縦走)、ヒマラヤ山域や北インドでのトレッキングとバイクツーリングなどなど、アウトドア全般を愛する。 年間のキャンプ泊数は約20泊。2021年はバイクでの北海道一周と九州一周のソロキャンプツーリングに繰り出し、50泊を達成。
地中に埋まる大敵!基礎工事の下準備
灌木の伐採は抜根する際の目標になるよう幹を残しておく
土地をゲットしても、すぐに基礎工事を始められません。雑草や根っこ、大きな石などを取り除き、基礎をつくりやすい土地に造成するところからスタートです。
まずは草刈り。120坪の土地を鎌で刈りましたが、おやじの腰にとってはこの作業もダメージ大です…。次に背丈ほどになっていた灌木の伐採。この際、抜根の目印のために30cmほど根元を残しておくのもポイントです。
ここまできたら、いよいよ重機の出番。あとは一気に片付く!このときはまだそう思っていました…。
石だらけの土地は重機でないと歯が立たない
地面が見えてきたところで、地元の友人が重機で整地してくれました。ほぼ河原のような土地なので、ひと抱えもある石も沢山埋まっており、手作業ではどうしようもありません。本当に助かりました。
地中深くに伸びた葛の根を掘り返す日々
ここで、強敵が登場します。葛の根っこです。まるで大蛇のようで地中深くに潜っており、掘っても掘っても先端に辿り着かないのです。聞くところによるとイノシシの好物でもあるようですが、これには泣けてきます。
整地後ogawaのアポロンTCを設営し生活が一気に快適になった
地面がほぼ平らになったところで、居住スペースとなるogawa(オガワ)のアーチ型テント「アポロンT/C」を設営。
建築作業中の生活拠点用として一年前に購入しておいたのですが、さすがogawaのフラッグシップテント。リビングスペースが確保できたので、それまでの生活に比べて一気に快適になりました。
いよいよ小屋建築の入り口、基礎工事がスタートします!
ウッドデッキ作製の経験が基礎工事に生きる!
基礎はコンクリート製の束石を使った
いよいよ基礎工事です。小屋の配置を決めたら、“遣り方(やりかた)”と呼ばれる位置の基準となる杭と板の囲いを設置します。基礎には羽子板(金具)付きのコンクリート束石と、整地で出た大きめの石を活用しました。
束石の設置は、過去に自宅のウッドデッキを作製した際に経験しています。当初は東屋程度の小屋を想定していたので、束石同士のレベル出し(水平出し)は大まかに済ませて、後から柱の長さで調整するつもりでした。
待ちに待った「骨組み」の建築がスタート!
基礎工事がようやく終わり、いよいよ骨組みの建築がスタート。一気に小屋らしさが強くなる工程で、やる気とテンションもうなぎのぼり!
しかし…。この段階で設計の大変更が発生しました。バイク仲間の先輩(工務店経営者)が様子見に来てくれて、いろいろアドバイスしてくれたからです。
築城でも使われていた“水盛り”で土台のレベル出しをした
耐用年数、小屋サイズ、積雪仕様、自分の年齢、体力、技術、コストなど多角的にプロのアドバイスをもらえました。
とても参考になったのは、「水平、垂直のレベル出しは基礎、土台、柱、小屋束の各段階で調整しなきゃダメだよ」というアドバイス。「素人は不安定な高所での丸ノコ作業はとても危険なのでNG」と言われ納得。その後の建築工程でも「このことを言っていたんだなぁ」と何回も思い出しました。
12個の束石と土台のレベル出しはホースを使った水盛りで対応。ホースの中に入れた水の水面の高さで水平を出すのです。束石の下に敷く小砂利の量で高さ調整をするので、何度も何度も束石を置いたり外したり…。
とにかく地道な作業なのに加え、8月だったこともあり、猛暑とアブの攻撃で心が折れそうでした。あいつらは微調整で両手が塞がっているときに襲ってくるんです!許さん!
意識も遠くなる灼熱の「土台づくり」
土台の素材には、断熱性や調湿性に優れる「杉材」を採用
筆者の小屋サイズは3,600mm×6,000mm(約13畳)。コーナーの直角出しはレーザー距離計で行いました。しかし、ホームセンターで購入した荒材の土台は反りやねじれもあるので、小屋サイズの直角寸法出しはとにかく大変。こっちをいじればあっちがズレるってやつです。
冷静に考えたら、ここから先も同じような状況にたびたび遭遇するので、数mmの誤差は都度修正していくしかないんですよね。妥協も必要。基礎の穴掘りから土台設置完了まで25日もかかってしまっています。
猛暑や雨で2〜3時間しか作業ができない日もあり、集中力の必要な工程は季節の考慮も大事なんだなと痛感しました。
おやじのワンポイントアドバイス
出典:PIXTA
DIYで小屋を建築するとき、建物各部の寸法は尺貫法を採用して設計するのがベストです。間、尺、寸ですね。なぜなら、ホームセンターで売っている木材のほとんどは、尺貫法のサイズで製材されているから。窓のアルミサッシ、屋根材、波板なども尺貫法に基づいているのです。
これを押さえておけば、買った木材をカットせずともそのまま使えるので、工数を大幅に削減できます。
高さとともにテンションも上がる!小屋の形に近づく「柱立て」
手伝ってくれた友人と垂直を見ながら柱を立てた
工数削減のため、柱にホゾ(組み込みのための切り欠き)を切るのはやめて、一般住宅にも使われている金物で補強することに。本来、在来建築工法の小屋ならキッチリとホゾ加工するはずですが…おやじの体力やコストを考え、ここは妥協することにしました。
縦方向の建築に入るとサイズ感がわかりやすくなり、一気に実感が湧いてきます
ちょうどお盆休みの時期だったので娘たちも手伝いに来てくれ、数日間は華やいだ現場でとても楽しかったです。週末ごとに松本からの友人も手伝いに来てくれ、本当に助かりました。
ようやく立体的な作業になり、やる気スイッチも入りました。小屋のサイズ感が見えてきて、ちょっとデカすぎたかなと一抹の不安を覚えましたが、気のせいだと自分に言い聞かせ、やる気のままに作業を進めます。
梁と桁を乗せて立方体にしていく
作業にあたって、YouTubeやSNSで得た情報がとにかく役に立った
あらかじめ梁と桁の交差部などに切り欠きを刻んでから、柱に材木を乗せていきます。そもそも東屋くらいのものがつくれればと思ってはじまったプロジェクトなので、小屋の設計図はデッサン程度…。夜、飲みながら大まかに考えておき、翌日に現物を見ながら細かな部分を詰めていきました。
ときには夜中まで職人さんのYouTube動画で勉強しました。便利な世の中になったものです。職人YouTuberの皆様、大変参考になりました!ありがとうございます!
小屋が大きいと、素人による立方体の水平、垂直、直角の修正作業にはとても苦労します…
梁の寸法を調整しようとベルトをかけたりしましたが、角材のねじれなどもあり、とにかくうまくいきません。土台のほんの数mmのねじれが、2,000mmの柱の上ではその数倍もズレるんです。あちこちに板材を仮止めして追い込んでいきました。
さらに、計測ミスによる梁の切断寸法の間違いも発覚。遅々として進まない作業に、冬までに屋根と壁ができあがらないかもしれないと焦りも出てきました。寸法出しと筋交入れまでに8日間を費やし、ついに9月に突入します。
素人なら上出来!?骨組みの寸法は3〜4mmのズレで完成
耐震用の強化部材を取り付けると、「それっぽさ」が出てついニヤッとします
各コーナーの直角が出せたので、強化部材を取り付け。これによりガチガチに強化された骨組みができあがりました。
完成寸法は長辺の設計値6,000mmに対して6,003〜4mm。初経験なので、この3〜4mmの差が許容値なのかわかりませんが、素人にしては上出来という妥協でこのフェーズは終了です。
目の前まで迫る冬!急足の「屋根工事」がスタート
ここまでの作業が終わったのは、2022年10月15日。気付いたら冬はもうすぐそこ…。積雪や凍結がはじまると現地入りできなくなるので、作業が可能なのは11月の初旬まで。さらに11月中旬には、コロナ禍で延期されていた古傷の手術で入院が控えているのです…。
次回は、棟上げから小屋組み、屋根の完成までをお届けする予定。屋根工事は本当に難しかったです。全てが未経験。手戻り作業や考慮不足による失敗など、全て公開していきますのでお楽しみに!
記事でイメージがつきにくい人は、ぜひ筆者のYouTube動画と合わせてご覧ください。では、また!
アウトドアおやじの秘密基地づくり
おやじライター丹羽孝之が念願の山小屋をフルDIYで仕上げていく過程をお届け。25年前に購入した長野県大町市の土地に、遊びの拠点をつくっていきます。