【0から始める山小屋DIY】建てる場所と小屋のコンセプトを決めよう
【0から始める山小屋DIY】ついにオヤジの秘密基地が完成!想定費用の倍かかりました
2024.04.28ノウハウ
約一年半かけてセルフビルドしたオヤジの秘密基地。人生最大の工作となった山小屋です。“やればできる、夢はいつか叶う”を実現することができました。最終話となる今回は、ロフトや小上がり、土間の仕上げ、薪小屋や焚き火スペースなど小屋内外の作成過程をお伝えします。非日常感のある「自分オリジナル」の間取りになってますので、ぜひ最後までご覧になってくださいね!
制作者
丹羽孝之
北アルプスを愛するアドベンチャー系オヤジ。黒部川源流部の釣り旅、バイクでの全国テント泊ツーリング、北インドやヒマラヤ山域のトレッキングやバイクツーリングなど活動の幅は広い。アウトドア経験はあっという間に40年。酒は強いが高山病には弱い。モットーは、”広く深く” 。
JAC オートキャンプインストラクター、YouTube: @outdooroyaji
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前回までのあらすじ
冬になる前に、屋根と外壁がなんとか完成しました。失敗だらけでした…。五寸勾配の切妻型の屋根は横葺き屋根材の貼り直しと棟板金との寸法不足、ガルバリウムの角波鋼板は下穴開けや窓部分のカットミス、他にも細かいことはたくさん…。まぁ、自分の小屋なので「良し」としたのです。
そして東京に帰宅後、すぐに左膝手術のため入院。
前回の記事は以下をチェック!
左膝半月板損傷からの復活
入院生活で一番辛かったのが、寝たきりで腰が痛くなったこと…
小屋作りでの負傷ではなく、バックカントリースキーで痛めてた古傷…。そもそも2022年2月に手術する予定がコロナ禍で外科手術は後回しになってしまい、11月に予定変更となっていました。その間に山小屋建築を進め、バイクでオフロードも走り、半月板のヒビが大きくなってましたとさ…。万が一膝が回復しなかったら高所建築作業ができなくなるので、なんとしてでも手術前に屋根は完成させておきたかったのですよ。
手術は半月板の部分切除と上下に裂けてた部分を二針縫合。人生初の車椅子生活と松葉杖でのリハビリ…老後に向けて考えさせられる経験になりました。
おかげさまで順調に回復して、2023年4月から山小屋建築を再開できました。オヤジの目論見通りです!
まずは電気の引き込み
山小屋に電気が来た!
建築再開後、まず初めに電気の引き込みです。前年は仮設電源を引いてましたが、電気代が毎月5,000円前後かかっていたのでした。高い…。
電力の調達方法については太陽光発電とバッテリーでのオフグリッドも検討しましたが、そこそこの機器をそろえると初期投資金額が高くなることと、コスト回収する前に機器の入れ替えや産廃の手間がかかりそう。いろいろと調査した結果、電力会社の引込みの方が間違いなく安いことが判明しました。
山小屋の電気代ってどのくらい?
2023年は4月から11月まで月に1週間前後滞在していました。電気料金を平均したら1,200円/月ほど。未使用の月は基本料金の300円のみです。年間で11,000円程度。
ちなみにオフグリッドだと、家電が賄える電力相当の設備投資は最低200,000円くらいはかかりそうなので、コスト回収に20年近くかかってしまう。しかもその間はいつも電気使用量の制約付きです。
いよいよ小屋の「中」を作ります
筆者の小屋は土間がメインなので、整地した凸凹地面が剥き出しでした。土間の仕上げ方法や、約13畳の床面積をどう活用するのか入院中もずっと考えてました。
小屋と土間は相性バッチリ
土間に敷いた花崗岩の山砂のおかげで小屋の中が明るくなった
筆者が土間メインにした理由はいくつかありますが、オヤジの外遊びのパターンは決まっているので使いやすさを追求した結果なんです。
- 仲間が集まった際の小屋への出入りがスムーズ(靴の脱ぎ履き不要)
- ズブ濡れ姿のまま逃げ込める(汚れも気にならない)
- 中で焚き火ができる
- バイクが乗り入れられる(将来はガレージにするかもしれない)
キッチンというか…調理スペースかな
小屋の調理スペース
水道は引いて無いのでキッチンとは言えませんが…調理スペースもつくりました。
端材でカセットコンロ台を作ったり、柱に棚を作って電子レンジ(頂き物)とトースターを設置したりしています。イワタニのポータブル冷蔵庫(借用品)とウォーターサーバー(借用品)も導入。せっかく電気が引き込んでありますからね(笑)。
痩せ我慢はしません!お一人様のキャンプ飯は意外とお金かかりますからね。スーパーの特売お惣菜と冷凍食品の恩恵にあずかりますです。ハイ。
照明器具はちょっとオシャレ(だと思ってる)
娘の手作りステンドグラスランプ
メインの照明は柔らかい電球色のLED球。点灯中の画像が無かった…
山小屋の雰囲気とマッチした電球色で統一しました。調理台の部分照明だけは調理しやすいように白色に。他には雰囲気を出すためにと、長女がステンドグラスの小さなつり下げランプを作ってくれました。機材をそろえるのはコストもかかるため、ステンドグラス作成の体験教室を利用したそうです。さすが女の子はしっかりしてますね。オヤジがやったらまず道具から購入しちゃいますよ…(笑)。
メイン照明のつり下げランプは2箇所。位置決めと、引っ掛けシーリングのブラケットをどうやってつくるのか、飲みながら天井を見続けてたら翌日首が痛くなった甲斐もあってか(?)、完成したら村の電気屋のオヤジさんに「上手いことつくったねぇ」とほめられちゃいました。へへへ。
山小屋と言えばロフトでしょ!
1.4×2.5mの小さなロフトを製作
実は前年の最後にロフト作りに着手していまして、再開後に、床面の銀マット断熱やら細部を仕上げました。屋根の三角部分の真下に2〜3人用ドームテントほどの面積を確保。屋根の設計変更で切妻屋根になってしまったので、天井高が120cmしかない。
ロフトには使い古したテントのインナーテントを設置
古いテントのインナーテントを張って寝床にしてます。気分はテント泊です。ハシゴができるまでは脚立で登り降り。両サイドの妻壁から外の景色が見えるレイアウトがお気に入り。子どもの頃にワクワクした「秘密基地感」がたまらん!
小上がりも
杉の木目が綺麗な小上がり
小上がりの床は杉の無垢材にした
小屋の中での生活時間が長くなるにつれ、着替えや、汚したくない荷物を置いたり、ちょっと横になりたかったりと床面もあれば最高です。仲間達が来た際には雑魚寝もできるしね。ということで小上がりもつくりました。昭和のオヤジは小上がりが好きなのよ!居酒屋みたいだしさぁ(笑)。
材料には、数年前からホームセンターで見かけるようになった杉の無垢材“カフェ板”をチョイス。12枚使って2×2.4mサイズの小上がりができました。仕上げには、ワトコオイルを塗り込みました。足裏に吸い付くような肌触りがたまりません。
梁からハンモックチェアもつり下げられます。ゆーらゆーらするオヤジはなんだかなぁ…という気もしなくもないですが。
作業台
念願の作業台!サイズ90×180cm、厚さ24mm
DIYや、バイクのメンテナンスをしていると必ず欲しくなるのが作業台です。12mm厚の合板を2枚重ねした頑丈な天板にしました。正面の壁にも余っていた合板を貼り、フレンチクリートでレイアウト自在な収納小箱を作っていくつもりです。
我ながら、これはいいよぉ!
小屋の外回りもやってます
小屋作りの作業に行き詰まったり、飽きたりした際には気晴らしにいろいろとつくっています。
森のウッドデッキ
森への入り口に設けたウッドデッキ
裏の赤松林の入り口に小さなウッドデッキを作りました。土地から出た石をフル活用して土台を作り、6フィートの2×4材をカットせずに2×2mほどのサイズにしました。朝日を浴びながら野鳥のさえずりと共に朝食を食べたり、新緑の木漏れ日の中で昼寝したり。涼しい森の風の中で寝転べるのはとても快適です。
石で組んだ焚き火スペース
6〜7人で囲めるサイズの焚き火スペース
こちらも土地から出た大きめの石を活用してます。直径30cmほどの石を運んできて、直径120cmくらいのサークルにしました。かっこよく言うならファイヤーピットって言うのかな!?まぁ、どうでも良いけど、直火で盛大に焚き火ができます。
で、ちょっとこだわったのが焚き火を囲んだ際に、各自が石の上に足を置いて足裏が温められるようにしたこと。春先や秋口にはこれがとても気持ち良いのです。一人一個のレイアウト。マイストーン(笑)!
まだまだ満足はしていないので、これからもバージョンアップしていきます。
薪小屋
ちょっと贅沢な薪棚になりました
焚き火スペースの後方には薪棚を設置しました。ちょっと贅沢な仕様かな。山小屋の屋根材の端材を使ったガルバリウム屋根です。奥行きがあるので、40cmの薪を2列に置けます。乾燥度合いによって下段、上段と使い分けてます。焚き付けは棚の周りに松ぼっくりがたくさん落ちるので心配無し!
ここらで山小屋ver.1の完成宣言!
まだまだやる事はありますが、約一年半かけて快適に過ごせる山小屋になってきました。あくまでもアウトドア好きの筆者の目線での話しですけどね…。自分にとっては四つ星ホテルより遥かに快適なわけで(笑)。
想定していた山小屋より立派な建物になってしまった
30代の頃夢見てたハンドカットのログハウス建築…。リーマンオヤジだった筆者の器量ではそこまでの財力は築けませんでした。でも、やれる範囲でやろうと定年退職してから着手したのです。やらずに後悔するより、やって後悔する方がマシだと思いませんか?
最初は壁も無い東屋を作って、その横にogawaのアポロンを張れば良いかなと思っていたんです、マジで。それがだんだん欲が出てきて、「20年使える小屋にしたい」となり、さらに積雪に耐える躯体と雪落ちする勾配の切妻屋根が必要…ということで結果的にこんな秘密基地ができあがりました。
全ての部材の値上げの影響もあり、予算は当初想定していたものの2倍かかりました…。また頑張って稼がなければ!
そんな筆者から、これから小屋をセルフビルドしようと考えているあなたにアドバイスがあります。「安易に小屋のサイズを大きくするのはやめましょう! 」。屋根、壁、床、断熱材など全ての部材コストが跳ね上がります。途中でやめられないし(当たり前のことなのですがね)…。勢いってあるじゃないですか(笑)!
山小屋作りに終わりは無い
春を待つ山小屋
だんだんと仲間達と宴会できる環境になってきました。2024年ももう雪解け。4月に入ってから細部の仕上げ作業を続けています。小屋作りって終わりが無いと思うのです。
vol.1〜vol.4までお付き合いいただき、ありがとうございました!この連載記事は今回で終了ですが、現在の完成度をご覧になりたい方向けに筆者のYouTubeチャンネル「アウトドアなちゃんねる」の小屋作りの再生リストリンクを添付しておきます。
なお、5月からは大町での山小屋暮らしを連載コラムで不定期にお伝えしていく「予定」です。もしよければそちらもお楽しみに!では、ありがとうございました!