「18kg500円」の薪で福島を変える!“林業×キャンプ”で未来をつなぐ、郡山「ロガーズギアサプライ」
【日本一探検隊】最も「縄文人」的なキャンプ場を発見!竪穴住居で過ごす温故知新な時間とは?
2023.06.29キャンプ場
キャンプにまつわる日本一のモノ・コトを、hinataが勝手に認定する連載【日本一発掘隊】。第2回で取り上げるのは、日本一「縄文人になれる」キャンプ場です。歴史の授業でもおなじみの「竪穴住居」に宿泊すれば、あっという間に数千年前にタイムトリップ!古代と変わらぬ大自然に抱かれ、星空を見上げる。多摩川源流域の魅力溢れるキャンプ場を、自称・日本一ハンターの筆者が深堀りしていきます。
制作者
hinata編集部 松本璃子
登山、キャンプ、温泉が大好き。父から譲り受けた30年もののギアと新作ギアを織り交ぜつつ、アウトドアを楽しんでいます。自然の魅力をたくさんの人にお届けできるよう、頑張ります!
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もくじ
独断と偏見で「キャンプの日本一」を探っちゃう!
出典:PIXTA
どんな分野にも必ず存在する「日本一」。一見普通のモノやコトも、視点を変えれば何かの「日本一」だった、なんていうことも少なくありません。それは活況続くアウトドア・キャンプ業界でも同じこと!
そんな隠れた「日本一」を、hinata編集部が勝手に認定して深堀りしていくのがこの連載。「日本一○○なキャンプ場」「日本一○○なキャンプギア」などなど、実は知らなかった豆知識に出会えるはずです。
第2回は、山梨県にある「最も縄文人的」なキャンプ場をピックアップ!
縄文時代にタイムトリップ!?「竪穴住居」に泊まれるキャンプ場
原始村キャンプ場に宿泊した「ふたりアウトドア」さん
キャンプ情報を求め、夜な夜なネットサーフィンに興じる筆者。あるとき出会った1枚の写真に、目が釘付けになりました。ベージュの衣装に身を包んだカップルキャンパーの後ろに立つ、茅葺きの建物。これは歴史の教科書、縄文時代の章でおなじみの、「竪穴住居」だ…!
博物館の展示品かと思いきや、なんとキャンプ場のコテージだというから驚き。竪穴住居に泊まれるキャンプ場なんて、気にならないワケがない…!
「なぜキャンプ場に竪穴住居があるの?」「竪穴住居で寝るってどんな感じ?」
ユニークすぎるキャンプ場の謎を、解き明かします!
東京から約2時間で到着「原始村キャンプ場」
hinataの独断で選定された「日本一縄文人になれるキャンプ場」は、山梨県北都留郡小菅村の「原始村キャンプ場」。奥多摩のさらに奥、東京都を横断する多摩川の源流部に位置します。
原始村キャンプ場
大自然の中ながらも東京都心からクルマで2時間弱と、比較的気軽にアクセスできる立地。山道を走っていると唐突に現れる、茅葺きの三角屋根が目印です。
小菅川の支流である白沢川のほとりに佇む、360°山の中の小さなキャンプ場。夜の静けさと、朝のひんやりした空気が心地よく感じられます。宿泊は1日11組限定で、コテージも河原のテントサイト(砂利場)も予約必須。場内には薪や調味料を購入できる売店のほか、バンガロー宿泊者が利用できるバーベキュー棟や、シャワールームも完備されています。- 住所:山梨県北都留郡小菅村1970
- 電話:080-9297-6609
- サイト数:11(竪穴コテージ3棟/横穴コテージ1棟/テントサイト7区画)
- 受付時間:10:00~17:00
- チェックイン/チェックアウト:14:00/10:00
- アクセス(クルマ):上野原ICより県道18号にて約50分/大月ICより国道139号にて約40分/青梅ICより国道411号にて約1時間
- アクセス(バス):奥多摩駅より「西東京バス小菅行き」で約50分、バス停「棚沢橋」下車徒歩10分
- 冬季休業:12月~3月頃
- 公式サイト:原始村キャンプ場
原始村キャンプ場全体MAP。オートキャンプ場ではないため、荷降ろし場からテントサイトまで荷物を運ぶ必要があります
このキャンプ場で「原始」の世界を味わった感想を、冒頭の写真で登場したカップルキャンパー、ふたりアウトドアさんに聞いてみました!
原始人コーデで宿泊体験!
竪穴コテージの鍵もその気にさせてくれるデザイン
――「原始村キャンプ場」を訪れたきっかけは何だったのでしょうか?
ふたりアウトドアさん:奥多摩トリップを計画してWebで調べていたところ、出会いました。「普段はなかなか体験することができない、めずらしいキャンプ場だな」と思ったのがきっかけです。
円錐状の住居の内部は、天井が高く開放感がある
――実際に宿泊してみてどうでしたか?
ふたりアウトドアさん:「昔の人はこんなところで暮らしていたんだな」と感動し、まるでタイムトリップしたかのような気分を味わえました。竪穴住居の中は、かなり天井が高いんです。宿泊したのは夏でしたが、とても涼しく過ごせました。
ワークマンで手に入れたというベージュのおそろいコーデで宿泊。縄文人になりきって石を持って撮影したそう!
ふたりアウトドアさん:竪穴住居の他にも、横穴住居があったり川が流れたりしていて、キャンプ場全体が村のようになっていました。併設の食事処ではジビエ料理が食べられたりと、他では体験できないキャンプを楽しめるのが魅力です。「縄文人コーデ」で写真を撮り、良い思い出になりました。また行きたいです!
原始村キャンプ場が「原始村」になったワケ
竪穴住居、横穴住居、ジビエ料理…と、「原始村」のネーミングも納得の施設をもつ原始村キャンプ場。そもそもなぜ、こんなにユニークなキャンプ場が生まれたのでしょうか。
原始村キャンプ場を運営するboonboon(ブンブン)の鈴木さんが、質問に答えてくれました。
縄文人も暮らした小菅村
出典:PIXTA
小菅村では、縄文中期~後期にかけての土器や石器が出土している
――なぜ、原始村キャンプ場には竪穴住居があるのでしょうか。
鈴木さん:原始村キャンプ場がある小菅村では、縄文時代の土器が多く見つかっています。古代から人が生活してきた土地なんです。村が観光施設としてキャンプ場を設立した際、小菅村の歴史を象徴するように、場内に宿泊用施設として竪穴住居が建てられました。
出典:PIXTA
長野県で多く産出された黒曜石。小菅村の石器からは、黒曜石を使った鏃(やじり)も見つかっている。約4千年前からこの地で、ほかの地域と交流しながら暮らしていたことがわかる
悪天候に強く、快適な「竪穴住居」
地面を数十センチ掘り、その上に屋根を架した半地下構造の住居。定住化が進んだ縄文時代~弥生時代に盛んにつくられた
――竪穴住居は、維持管理が大変そうですが…。
鈴木さん:実はそんなこともないんです。茅葺き屋根の葺き替えは行政が定期的に行っていますが、一度葺き替えると10年以上はもつとされています。一番注意しなくてはならないのが、燃えやすいという点。利用者の方には、竪穴住居周辺での火気厳禁を呼びかけています。
――令和を生きる私たちでも、安心して過ごせるのでしょうか?
鈴木さん:皆さんが想像されるより、快適だと思います。雨が降っても雨漏りすることはなく、風にも強い。内側はフローリング仕様になっているので、悪天候でも気持ちよく過ごしていただけますよ。
「こぢんまり」だから、大自然を心ゆくまで味わえる
宿泊は1日11組までと、キャンプ場としては小規模な原始村キャンプ場。どんな体験ができるのでしょうか?
特別なことは何もしない。ありのまま自然を楽しんで
――古代の世界観を演出するために、何か工夫されているのでしょうか?
鈴木さん:原始村キャンプ場としては、特別な体験を提供しているわけではありません。それよりも、太古から変わらない、多摩川源流エリアの豊かな自然を味わって欲しい。小さなキャンプ場ですので、ゆっくり静かに自然を楽しみたい方にぴったりだと思います。
選べる3タイプのキャンプサイト
地面の中にある横穴住居。岩と生い茂る植物に囲まれ、まるで秘密基地のよう。竪穴住居と同じく内部にはフローリングが敷かれ二段ベッドもある
紹介した竪穴住居3棟の他にも、横穴住居1棟、テントサイト7区画をもつ原始村キャンプ場。一番の人気は竪穴住居だそうですが、横穴住居や河原のテントサイトでも非日常的な体験ができます。
清流を目の前にした河原のテントサイト。川のせせらぎに癒されつつ、食事や焚き火ができる
竪穴住居と横穴住居の室内及び周辺では、電気調理器を含む火気の使用ができない。調理は河原のほか、バーベキュー棟も利用できる
- 竪穴バンガロー(最大6人):3
- 横穴バンガロー(最大8人):1
- テントサイト:4
- テントサイト<ソロ区画>:1
- テントサイト<広々区画>:1
人気のテントサウナ&薪割り体験も
鈴木さん:宿泊体験の提供のほかに、テントサウナのレンタルも実施しています。目の前を流れる白沢川の天然水風呂でクールダウンをし、緑に囲まれて外気浴をする、大自然ならではの「ととのい体験」がおすすめです。
鈴木さん:また、小菅村の林業従事者の方から丸太を購入することも。薪割り用のハンマーも用意しているので、その場で親子で簡単に薪割り体験ができますよ。
テントサウナ(要予約)
- 料金:3時間5,000円~
- 人数:大人4人まで(1人追加に付き+1,000円)
- 設備:テントサウナ・薪ストーブ・サウナストーン・リラックスチェア(2)・サイドテーブル・ロウリュ用桶+柄杓・薪1束
ジビエ料理が味わえる「食事処ムッカ」
築100年の古民家を利用した「食事処ムッカ」
併設の「食事処ムッカ」では、定番の「蝦夷鹿のジビエバーグ定食」をはじめとしたジビエ料理などを満喫できます。キャンプの前後にここで食事をするキャンパーも多いのだそう。
食事処ムッカ
- 平日/土日:ランチタイム11:00〜14:30(L.O.14:00)
- 土日:カフェタイム〜16:00(L.O.15:30)
- 定休日:月曜・火曜(12月〜3月下旬まで冬季休業)
キャンプ場休業期には、鈴木さんがガイドを務める「狩猟体験」も
――小菅村では、狩猟体験も行われていますよね。こちらも「原始」な体験ができそうです。
鈴木さん:毎年12月~3月にかけて、原始村キャンプ場と食事処ムッカは冬季休業に入ります。この時期に小菅村で行われる、「ジビエを味わう、狩猟体験ツアー」のガイドを担当しているのが、猟師である私たち(boonboon)です。キャンプ場ではなく、村内の民宿を利用した1泊2日のツアー。1日目にわな猟の現場をお見せし、2日目の昼はあらかじめ用意したジビエをバーベキューで食べます。獲物が捕獲されていた場合、止め差しと解体を見学することもできます。
鈴木さん:回によって参加者の年齢層はバラバラですが、小学生から70代まで、幅広い年代の方に楽しんでいただいています。
「原始村キャンプ場」と、「キャンパー」への想い
――原始村キャンプ場でのおすすめの過ごし方を教えてください!
鈴木さん:やはり、多摩川源流エリアの自然をのんびりと味わいたいという方におすすめのキャンプ場です。夏は川遊び、秋は焚き火…といったように、四季折々の楽しみ方があります。川は浅瀬なのでお子さん連れでも安心です。
鈴木さん:近隣には観光施設の「道の駅こすげ」もあり、日帰り温泉やフォレストアドベンチャー こすげが併設されています。キャンプの前後に立ち寄って、小菅村を楽しんでください。
原始村キャンプ場の星空
鈴木さん:夏休みは、子どもたちの団体が竪穴住居・横穴住居に宿泊することも多いです。キャンプ場では貸し切り対応も行っているので、大勢で楽しみたい方は是非ご検討ください。今後は企業研修などにもご利用いただきたいですね。
――ありがとうございました!!
竪穴住居に泊まり、日本一「縄文人的」な体験ができる原始村キャンプ場。縄文時代を生きた人々の目にも写っていたであろう大自然を、全身で感じてみてはいかがでしょうか。
次回の「日本一発掘隊」は2023年7月29日(土)配信予定。キャンプの知られざる「日本一」、乞うご期待!
日本一探検隊
日本で最も人気のあるキャンプ場は?一番売れているキャンプギアは?そんな「キャンプにまつわる日本一」を発掘していく連載です。あなたが知らなかったベスト・オブ・ベストがここにある!