噂のブッシュクラフト入門キットで「火起こし」に挑戦。子供でも初心者でも玄人気分!?
【ブッシュクラフト入門】「ナイフの安全管理」と「ファイヤースターターの使い方」
2023.01.13ノウハウ
キャンプで実践者が増えつつある「ブッシュクラフト」。とはいえ、未経験者には敷居が高いのも事実かもしれません。そこで合計3回に分けてブッシュクラフトの達人「川口 拓」さんに、初心者も簡単に実践できるテクニックや知識を伝授してもらいます。第1回は、基本編「ナイフの安全な扱い方」と「ファイヤースターターの使い方」。さらに達人のブッシュクラフトギアの全貌を披露してもらいました!
制作者
すぎたま
クルマ雑誌やおでかけサイトなど約10年編集に携わる。愛車を走らせサーキットでグイグイだったかつての週末…が、今や年間約80泊、もっぱらソロキャンプ三昧。JBS認定ブッシュクラフトアドバイザー
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【指南役】ブッシュクラフトの達人「川口 拓」さん
1990年代に幾度も訪れたカナダやアメリカで、アウトドア全般や野外救急法、野外教育法、ネイティブアメリカンの古来の教え、大地と共に生きるサバイバル技術などを学ぶ。2001年からは自然学校「WILD AND NATIVE」を主催。自然の教えを基に、ネイティブアメリカンの大地と共に生きる術や哲学、アウェアネス、サバイバル技術などを、一般の人をはじめ自衛官や警察官などにも指導。
著書に『ブッシュクラフト〜大人の野遊びマニュアル〜(誠文堂新光社)』や、『焚き火入門』(コスミック出版)、『究極の野遊び野遊びスタイル ブッシュクラフト入門』(コスミック出版)、『都市型災害を生き延びる サバイバルプラン』(イースト・プレス)など多数。
ブッシュクラフトってなんだろう?
「ブッシュクラフト」とは、一般的には森などの自然環境の中で生き抜く生活の知恵のことを指します。生き残ることを目的とする「サバイバル技術」に近いイメージもありますが、より自然を身近に感じながら楽しむのがブッシュクラフトです。
さまざまな便利なギアを使って楽しむのが「キャンプ」とするなら、できる限り自然の物を現地調達して、必要最低限の装備で楽しむのが「ブッシュクラフト」の最大の特徴です。
ブッシュクラフト界の第一人者・川口拓さんは、「サバイバルとブッシュクラフトを明確に線引きするのが難しいところですが、あえて言うなら、サバイバル術で楽しむキャンプスタイルと表せるかもしれません。楽しみながらも、いざというときに役立つ技術を身につけられるもの」だと言います。
今回は川口さんに、ファイアースターターによる火おこし方法や、ナイフだけでの道具作りの方法など、初心者も手軽にできるブッシュクラフトを教えてもらいました。
簡単にできる「ファイアースターター」での火おこし
「ファイヤースターター」は、焚き火などの火おこしに使う道具です。マグネシウムやフェロセリウムなどによる棒状の「ロッド」と、それを削るための「ストライカー」の組み合わせ。コツさえマスターすれば、いつものキャンプでも大活躍するはずです。
ステップ1
火口(ほくち)用に用意したほぐした麻ひもを、ふわっと丸めて木の上などに置きます。
<ワンポイント>
・火口はシラカバの皮を毛羽立たせたものや、難易度は上がりますが、杉の枯れ葉などでも代用できます
ステップ2
麻ひもの上にロッドを固定します。この時のロッドに対してストライカーを45度くらいの角度で当てるのが基本。
<ワンポイント>
・ロッドの下側は人差し指で枕を作るようにし、上からのストライカーの圧力に負けないようにします
ステップ3
ストライカーを押し付けながらロッドを引いて、麻ひもの上に火花を散らします。火花が麻ひもに着火すれば成功です。失敗しても何度も挑戦してみましょう。
<ワンポイント>
・ストライカーの根本側を使って削ると安定して作業できます
・ストライカーは下、ロッドは上、に力を加えると火花が飛びやすくなります
安全な「ナイフの扱い方」を知る
ナイフは、キャンプなどのアウトドアで活躍する一方で、扱い方を間違えると怪我につながることも。だからこそ、まずはナイフを安全に使うための方法を知ることが大切です。
ナイフの「取り出し方」と「しまい方」
ナイフを鞘に抜き差しする際は、ゆっくり抜いてゆっくり出すのが基本です。
このとき気をつけたいのが指の位置。鞘を握る指がナイフのハンドル部分にあると、ブレード(刃)で怪我をする危険性もあります。写真のように指がブレードに触れない位置にあるのを必ず確認してから作業しましょう。
また、ナイフを抜いたり鞘に戻す際は、よそ見をしないことも重要です。
ブレードの向きに注意
ナイフで作業をしているときは、写真のようにブレードの先に手や足などの自分の体が位置しないように注意することが重要です。座った状態であれば、上半身をひねって足を避けたりと、体を安全に作業することを心がけるべき。
また、ブレードの先に他の人がいないようにすることも安全対策として有効です。
ナイフを持ったまま歩いたり、鞘に入れずに放置するのもNG。少しでも作業を中断する際は、鞘にしっかり収納するくせをつけておきましょう。
ブッシュクラフト用ナイフの「選び方」
ブッシュクラフトで使用するナイフは、安価でもすばらしいクオリティのものが手に入ります。川口さんのブッシュクラフトスクールでおすすめしているナイフは、2,000円程度だそう。木のサイズや質を選べば、バトニング用としても十分使えるはずです。
重要なのは、「どのような木に使うか」だそう。針葉樹のような柔らかい木材をバトニングしたり、ペグなどを作ったりする場合は、リーズナブルなナイフでも不便を感じることがないはずです。
「達人の道具一式」を特別公開
最後に、川口さんがキャンプでブッシュクラフトを楽しむ際に使用する道具をチェックさせてもらいました。
人それぞれにスタイルが異なるので、必ずしもここで紹介する道具をそっくりそのままそろえる必要はありませんが、これから始める人は参考になるはずです。
バックパックに収まるミニマルなギア
容量30Lのバックパックに、マット、シュラフ、シュラフカバー、クッカー、ククサ、ネイチャーストーブ、ポンチョ、ナイフ、ノコギリ、ガイロープ10本(異なる長さのものを5本ずつ)、グランドシード2枚、ペグ、ハンマー、タープ、ヘッドライト、火おこしセット、時計、マグネット式のランタンハンガーが収められていました。また、バックパックにはサイドバッグも追加して、収納力を拡張しているのも特徴です。
<ワンポイント>
・ナイフなどの刃物類の収納ケースは、安全を確保するためにも鍵付きに
・薪の運搬に使えるグランドシートなど、一つで何役もこなすものが便利
・川の水などを飲料水に変換できる浄水器を携行
・天気の変化が予測しやすい気圧計付き腕時計を携行
以上、第1回はブッシュクラフトの基本編をお届けしました。ファイアスターターで火おこしするだけでも、いつものキャンプがちょっぴりワイルドに。ブッシュクラフトはいつでも、だれでも手軽に始められるのが魅力です!次回はナイフの使い方とペグ作りの方法をお届けします。