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DUNLOP R227

【アウトドアおやじが100回使ったギアvol.4】廃番になっておやじが絶望した「神テント」とは!?

※本記事には一部プロモーションが含まれます

キャンプをするのに欠かせない最重要アイテムといえば、なにはともあれテントです。キャンプ以外にも登山、釣りなどあらゆるアウトドアに精通するキャンプ歴40年以上のおやじライター、丹羽孝之は、長年ダンロップの「R227」を溺愛。バイクでのツーリングキャンプにベストな機能性を備えた一張りの魅力を熱弁するとともに、ドームテントの選び方について「アウトドアおやじ」ならではのこだわりや見るべきポイントを紹介します。

連載企画「アウトドアおやじが100回使ったギア」

キャンプの相棒となる道具選びで意外と大事なのが、自分のキャンプスタイルに応じた「妥協と割り切り」。どんなシーン、どんなスタイルにも合う万能ギアはそうそう見つかるものではありません。 登山やバイクツーリングでのテント泊を入り口に、キャンプ歴は40年ほどになる筆者。ファミリーキャンプや夫婦キャンプを経て、現在はもっぱらソロキャンプに勤しむ、自他ともに認める「アウトドアおやじ」です。その時々のキャンプスタイルに合わせ、今までさまざまなキャンプ用品を使ってきました。 いろいろな失敗も経験してたどり着いた「完成形」とも言える現在の装備は、「使いまわしやすさ」を追求した精鋭ぞろい。自信を持っておすすめできるアイテムを紹介します!!
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アウトドアおやじ/ライター

丹羽孝之(にわ たかし)

キャンプ歴40年。登山(クライミング、沢登り、縦走)、ヒマラヤ山域や北インドでのトレッキングとバイクツーリングなどなど、アウトドア全般を愛する。 年間のキャンプ泊数は約20泊。2021年はバイクでの北海道一周と九州一周のソロキャンプツーリングに繰り出し、50泊を達成。

アウトドアに欠かせないテントの選び方

涸沢のモルゲンロート
「キャンプをしよう」「登山でテント泊をしてみよう」と思った時に、テントの購入で壁にぶち当たった覚えのある人も多いはず。世の中には形やサイズ、仕様の似たテントが山のように存在し、慣れていないと何をどう見て選べば良いかわからない場合が多いからです。 一番定番、かつ使い勝手の良い形として筆者がおすすめするのは「ドーム型テント」。その上で、バイクでのツーリングキャンプに最適なテント選定の大事なポイントをお伝えします。

何はともあれ、購入予算と相談

最近は安価でしっかりしたドームテントがたくさん販売されています。1泊のキャンプを年に1〜2回しかしないのであれば、1万円前後のテントで正直十分です。だって天気予報でがっつり雨予報だったら、ほとんどの人はバイクで出かけないでしょ? 1泊ならば万が一テントが浸水したって、すぐに朝が来て温泉に浸かって帰れるんですよ。 テントの選定って最終的には自分の使い方によってだいぶブレるんです。5万円の高価なテントが2年でベタついてきたらガックリでしょ…。1万円のテントを短期間で買い換えるという選択肢もあるわけです。だけど、長期のツーリングとなると状況が変わってきます。雨は避けられないし、道の駅などで泊まることになるかもしれない。びしょ濡れのテントを撤収して、その日にまた設営しなければいけなかったり…。中には「どうせ買うならしっかりしたテントを買いたい」という人もいるでしょう。 いずれにしても限られた予算の中で、良し悪しを判断するためには選定ポイントの知識が必須。おやじが長年愛用する至高のテントを例にあげながら、押さえるべきポイントを順番に説明していきますね。

【おやじの愛用品】ダンロップのツーリングテント「R227」

バイク乗りならみんな知っている?ツーリングテントの名作

DUNLOP R227
山梨県・道志の森キャンプ場での「R227」を使ったサイト
筆者が愛用するのは、「DUNLOP(ダンロップ)」のツーリングテント「R227」。ダンロップはもともと、日本の山岳用テントを作り続けており、その技術をツーリングに応用した、知る人ぞ知る名作テントです。実は山岳用テントをそのままツーリングに使ったら、決して快適ではないんですよ。そのあたりは記事の後半で詳しく説明しますね。 「R227」を筆頭としたRシリーズの評判は、バイクでのキャンプツーリングの経験を重ねていくと、きっと耳に入ってくると思います。「ツーリングにはダンロップのテントがいいよね」と。筆者もキャンプ場でたびたび「やっぱダンロップっすか?」って聞かれたことがあります。それぐらい、バイク乗りの間では使いやすさに定評のあるテントです。

現在は廃盤ながら、ドームテント選びの観点がよくわかる一張

DUNLOP R227
R227の構成
「R227」は残念ながら廃版となってしまいましたが、この記事での説明ポイントはそのまま皆さんがドームテントを選定する際の考慮ポイントにもなります。 長年テント泊での登山もやってきたライター丹羽がドームテントに求める性能を、バイクツーリングやソロキャンプに置き換えた場合にどんなことに着目しているのかご紹介しちゃいますよ!単なるサイズや重さの数字比較ではありません、あらゆる環境でテント生活をしてきた経験からのフィードバックです。ドームテント選びで失敗したくない人は最後までしっかりと読んでくださいね!

オヤジも感心してるR227の良いところ

DUNLOP R227
テントウォールの立ちあがり角度
まず注目すべきは、115cmという天井の高さ。2人用ドームテントとしては高い方かと思います。ここで注意したいのがテントウォールの立ち上がり具合なんです。天井に追加された1本のサブフレームのおかげで、天井がフラットになり、前後の入口側(長辺方向)のウォールが垂直に近い形で立ち上がります。そのため、スペック上の高さ以上に、室内が広く感じます。居住性に直結するすばらしいフレームワークです。
DUNLOP R227
前後対角配置の出入り口
続いては、出入り口の配置。地味ですが、使い勝手をかなり左右するポイントです。R227は、前後で対角になるように2箇所の出入り口が配置されており、ドアパネルの開閉は中央にあるタテヨコ2つのファスナーで行います。開口部の面積が調整できるので、雨天での荷物の出し入れでテント内への吹き込みが最小限で済むのです。 コットの出し入れをする際も絶妙な加減で可能。コットはサーマレストのウルトラライトコットが使用可能です。
DUNLOP R227
センターハブとサブフレーム(赤)
メインポールの仕様も細やかな配慮が行き届いており、設営・撤収がとても楽。 ショックコードで連結されてるメインポール4本はセンターハブによって一気に組み上げられます。組む時もたたむ時もあっという間です。全部繋がっているので、暗闇でも組み上げられます!これはとても画期的なことですね。このセンターハブのおかげでX字状のフレーム交差部はズレないので、テントの剛性が高くなるんです。
DUNLOP R227
倒立スリーブと差込口タブ
まだまだあります(笑)。テント本体下部、X字状のポール先端が収まる四隅は10cmほどの筒状ポケットになっています。一度差し込んでしまえば、反対側に移動して立ち上げる際に、片側がうっかり外れてしまうなんて事はありません! さらに、この構造によってフロアのバスタブ部分がしっかりと立ち上がります。細かいところでは、スリーブにポールを差し込みやすいように、斜めにカットされてて掴みやすい工夫がされています。ついでにワンポイント!ポールをしならせる際は先端を持って、全体的にしならせます。中間部分などを持ってしならせると曲げたり折ったりしてしまいますよ!
DUNLOP R227
インナーテントつり下げのスクリューフック
つり下げ式インナーテントのフックも気が利いています。互い違いになったスクリューフックで、強風下でも外れることがなく安心。このあたりも山岳テントからのノウハウが活かされており、すごく引っ掛けやすい形状です。 インナーがつり下げ式だと、設営撤収の容易さだけではなく、雨や結露した水がインナーの生地に伝ってこないというメリットもあるんですよ。
DUNLOP R227
前室内側から見た換気口とメッシュポケット
ツーリングテントはコンパクトさ・軽量さ重視で前室のないものも多いですが、R227は広々とした前室をそなえています。サブフレームがあることで、フライシートをかぶせた際にヒサシのような張り出しができ、朝一にテントから出る際に、結露したフライの内側に頭が接触しづらいメリットも。 インナーテントのウォールがほぼ垂直に立ち上がっているので、タープを小川張りするときに後ろ側のポールをインナーテントギリギリに立てる事もできるんです。小型テントでは、頭付近のスペースが狭いととてもストレスを感じるもの。特に腰痛持ちの人はね! 防水性もかなり優秀。筆者はR227を購入してから4年間で80泊以上酷使していますが、いまだに雨漏りはゼロです。フロアの浸水は設営テクニックにもよるところはあるけど、フライシートのシームテープの浮きや雨漏りが全く無いことには感心しています。焚火の火の粉での穴はあちこちにありますが…。 気に入っている点をあげればまだまだキリがないですが、一旦このくらいにしておきます(笑)。

欠点はほぼないものの、強いて挙げるなら、ちらほら「ちょっと短い」部分が

DUNLOP R227
正直言って、残念なところは "あえて言うならば" と言うレベルです。今でも他のテントに目移りする事も無いし…。参考までに、下記2点ぐらい。 短辺方向のフライシートとインナーテントの隙間が狭い サイトの起伏や傾きによるのですが、短辺方向のフライシートとインナーテントの隙間が狭いため、雨天や秋冬の結露が激しい際にベタっとくっついちゃうことがあります。しみてくる事はないけど、気分的にうーんって感じ…。 フライシートの短辺方向真ん中のゴム製ぺグループが短い ループが微妙に短くて、ペグを打つとテンションがかかりすぎるのと、地面の起伏によってはペグの長さが足りなくなることがあります。

デザイン重視でテントを選ぶのはNG?

山岳用テントのエスパースデュオ
ここまで、機能面を中心に「使いやすいドームテント」について語ってきましたが、せっかく買うならデザインの気に入ったものを…と考える人も多いでしょう。デザイン重視でテントを選ぶことは、環境の整ったキャンプ場なら全然アリだと思います。3,000m級の本格登山にチャレンジする場合は、見た目は二の次で機能を見なければなりませんが(笑)。

ツーリングキャンプにおいては、「収納サイズ」が一番大事

バイクでのキャンプツーリングにおける検討事項の優先順位は、おおよそは以下。 ①収納サイズ ②居住性 ③換気性能 ④耐風/耐水性 ⑤重量 山岳用では、重量→耐風/耐水→居住性→換気性能→収納性と言ったところかな。テントもTPOによって比較検討する優先順位が大きく変わるんです。現在筆者は、ツーリングテントにダンロップR227、山岳テントにエスパースデュオ、ファミリーテントにogawa アポロンTCというラインナップですが、これだって私の活動範囲やキャンプスタイルによって選定された製品なので、万人に当てはまるわけではないのです。前述の優先順位で自分の使い方に合ったテントを探してみましょう!

「軽くてコンパクト」な山岳用テントがキャンプではベストではないワケ

涸沢
北アルプス穂高 涸沢のテント場
ダンロップ ツーリングテントR227
北海道・屈斜路湖のキャンプサイト
「ツーリングキャンプにおいて"収納サイズ"が最重要なら、軽さ重視の山岳用テントが結局一番良いのでは?」。そう思う人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。 山岳テントは、総じてドアパネルや換気口などが最低限のサイズだったり、生地も薄く、グラム単位の軽量化が図られています。他にも出入り口が短辺方向にあったり、インナーがつり下げ式ではなかったりと、キャンプを想定して作られたテントとは随所に仕様の違いが。入り口が短辺にあると換気性が多少落ちてしまったり、2人で使う際に出入りしづらかったり、居住面ではデメリットも出てきてしまうんです。 ということで、山岳テントをキャンプで使うこと自体は可能ですが、快適度合いはどうしても妥協が出てきてしまいます。筆者はささっと寝るだけのツーリングにエスパースを使うことがありますが、キャンプツーリングにはやはりR227に軍配が上がります。

ツーリング用にテントを選ぶなら、これだけは押さえておこう!

ダブルウォールである インナーとフライシートの2重構造の物を選びましょう。 サイズ ソロでのキャンツーには2-3人用を基準に選ぶ。目安として二人用で幅120cm程度。高さは110cm以上(115cmは欲しい)。 出入り口 長辺方向に前後2ヶ所あるものが使いやすいです。 前室 ドームテントの前室は構造上、広さの確保には限界があります。絶対に広い物が良いと思う方は、ogawaの「ステイシー」の一択になるかも (設営/撤収には手間がかかります)。 バスタブの立ち上がり寸法 フロア生地が持ち上がってきてる部分をバスタブと呼びます。高さ10cmは欲しいかな。 ポール 廉価なテントのポールはグラスファイバー製が多いです。グラスファイバーは重量がかさんで、ショックコードで繋がっていないものがほとんどなので、個人的にはジュラルミンのポールを使っているテントをおすすめします。

とりあえずキャンプツーリングを始めるなら、おやじ的おすすめはこのあたり

熱くおすすめする「R227」がすでに廃盤なので、現行品でいくつかおすすめのツーリングテントを紹介。あくまで筆者が自分で使うなら…という想定でピックアップしたので、もちろんキャンプスタイルや使い方次第でベストなアイテムは変わってくると思います。

やればやるほど奥深い、テント選びの世界

以上、おやじライター丹羽のテントに対する見方をご紹介しました。「そんな事まで考えてるの?」と思った方も多いのでは!? これからキャンプツーリングで2泊以上の旅をしてみたい方は、自立するテントをお勧めします。同じキャンプツーリングでも、寝るための手段がキャンプである場合と、キャンプを楽しむための場合とでは内容も大きく違います。かんばって自分に合うテントを見つけてくださいね! この記事で取り上げたR227ツーリングテントの設営手順や各部の説明を動画で見たい方は、私のYouTubeチャンネル"アウトドアなチャンネル"をご覧ください。 では、また!

今回紹介したアイテム

商品画像キャプテンスタッグ  トレッカー アルミテント2UVMSR エリクサー2コールマン ツーリングドームST
商品名キャプテンスタッグ トレッカー アルミテント2UVMSR エリクサー2コールマン ツーリングドームST
商品リンク

アウトドアおやじが100回使ったギア

キャンプ歴40年。登山に渓流釣り、バイクでのアドベンチャーツーリングと、国内外でさまざまなアウトドア経験を積んできたライター丹羽孝之。数々のキャンプギアとの出会いと別れを繰り返してきた"アウトドアおやじ"が、「100回は使った!」と断言する至高のアイテムを紹介。


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