【登山未経験でも標高2000m級】長野・白馬だからできる!1泊2日のキャンプのち、絶景山旅
国内の標高2,000m級の山は高山と呼ばれ、そこにあるのは圧倒的な非日常の感動。初心者がいきなり登れる山は限られる中で、長野県白馬村にある八方池(2060m)は、リフトを乗り継けば、誰でも簡単に天空の世界を楽しめます。hinata編集部は、アウトドア仲間2人のショートトリップに同行。1泊2日という限られた時間でも大満足な「キャンプのち、絶景山旅」の様子を取材しました。
制作者
キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
公式Instagram:@hinata_outdoor
公式X:@hinata_outdoor
もっと見る
もくじ
いつか見てみたい山上の絶景が「お手軽」に
装備、体力、経験…。素人が高山に登るのは、難しい?
キャンプで自然の中に行くことは多くても、山に関して「ながめる専門」の人は多いはず。麓からの山も雄大で素敵ですが、山上の神々しさは別格。雲海や日の出など、山でしか味わえない醍醐味があり、標高が高ければ高いほど、神秘的な景色との出会いが待っています。
白馬なら日帰りで標高2000mの絶景を味わえる
一般的に高山に登るためには、登山の装備や経験、体力など、それなりの準備が必要とされています。初心者がいきなり登るのは難しい場合がほとんど。しかし、一概に全ての2000m級の山に登るのが難しいわけではありません。
手軽に山の魅力に触れられる代表格が、標高2,060mにある長野県白馬村の八方池。標高1830mまで運んでくれるゴンドラとリフト、木道や石段で整備された道は、装備や経験がなくても簡単に辿り着けます。
ある2人の「1泊2日ショートトリップ」に同行。
▲五十嵐 将人さん(左)と大極 蘭さん
五十嵐さん:マウンテンハードウェアPR。趣味はトレイルランの本格派アウトドアマン。
大極さん:コロンビアPR。登山歴5年の山ガール。
hinata編集部は、人気アウトドアブランドの「コロンビア」と「マウンテンハードウェア」でそれぞれPRを務める2人の、1泊2日ショートトリップに同行。初日にキャンプをして、翌日の早朝から八方池の絶景を見に行きます。2つのアウトドアを同時に楽しむのは、自然に恵まれた白馬だからこそ実現できる時間の過ごし方です。
明朝のトレッキングへ向けて、今日は麓でゆっくりキャンプ
山でのテント泊は初心者に難しく
2人が最初に訪れたのは、白馬アルプスオートキャンプ場。朝7時に都内を出発し、昼食をとった後13時に白馬に到着。今回の旅行の1日目は、キャンプ場でゆっくり過ごします。
五十嵐さんは、手慣れた様子で準備。この登山の前か後にキャンプをする「ベースキャンプ」のスタイルについて、次のように語ってくれました。
「登山をするときは、山小屋やテントに泊まることが多いですが、今日は普通にキャンプを楽しもうと思います。明日行く八方池は4時間ほどで往復できるので、時間にも余裕がありますね。同じキャンプでも、山の上ではあくまで、山登りを目的とした休憩。食事と睡眠が最低限できるくらいの装備ですし、決して快適とは言えません(笑)」
麓からゆっくりながめるのも山の楽しみ方
キャンプの準備が終わり、2人は椅子に座って小休止。白馬アルプスオートキャンプ場は、雄大な北アルプスを一望できる絶景スポットです。翌日に登る山を下から眺め、期待をふくらませます。
「下から眺める北アルプスもきれい!私、山登り久しぶりなんだけど大丈夫かな?」。大極さんは目の前にそびえる北アルプスに少し心配げな様子。
しかし、五十嵐さんはきっぱり。「大丈夫ですよ!実際に歩くのは少しだけなんで、初心者でも簡単に登れますよ。むしろアウトドアに携わる人間だったら登れて当たり前ですね!」。
「すごい嫌な感じですよね〜」。後輩の挑発的な返事に苦笑いする大極さんでした。
キャンプ場近くにはアルプス以外にも美しい眺めが
白馬アルプスキャンプ場に来たら、キャンプ場沿いを流れる松川を見に行くのがおすすめ。雪解け水をたくわえた白馬連峰からの流れはとても透き通っていてきれいです。2人も川をながめて過ごします。
「きれいな水の流れを見ていると、とても清々しいです。仕事上いろんなフィールドに行きますが、このキャンプ場は山あり川あり、かなりロケーションに恵まれていますね」。大極さんは川の石に腰掛けてリラックス。
雪解け水が流れる松川は季節によって水量が変わり、違う姿を見せます。夏から秋にかけては水量が少ないため、川の岩場をつたって散歩を楽しめます。
ゆっくりキャンプを楽しんで、明日へ備える
川の散歩が終わった後は、夕飯の準備。大極さんはアクアパッツァをつくります。
「しっかりと料理と食事ができるのはいいですよね。やはり山だと凝った料理はできませんから。山で食べるカップ麺もそれはそれでめちゃくちゃおいしいですけどね〜」。
食事の準備が終われば、お待ちかねの乾杯。2人が飲むのは白馬の醸造所「Hakuba Brewing Company(ハクバ・ブルーイング・カンパニー)」で作られたクラフトビールです。
家の冷蔵庫には、さまざまな種類のビールが常備してあるという生粋のビール党の大極さん。「やっぱりキャンプに来たら、その土地の食材やお酒をいただくのは醍醐味ですよね。私はビール好きなので、白馬にはクラフトビールがあってラッキーです!」。ハクバ・ブルーイング・カンパニーのフルーティーなIPAにご満悦です。
ゴンドラがある山なら簡単に絶景と出会える
たった40分で標高1830mまでハイカーを運ぶ「白馬八方アルペンライン」
朝7時。キャンプ場を早々に後にして2人がきたのは白馬八方尾根スキー場のゴンドラ乗り場。「今日はゴンドラとリフトを使い絶景スポット『八方池』を、サクッと半日で見に行きたいと思います!」。
八方池は唐松岳(2696m)に向かう尾根道沿い、標高2060m地点にある池。晴れた日には、目の前に見える白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳の白馬三山が池にも映り、とても幻想的な風景が広がります。道中にも、八方の名がつくハッポウワレモコウなど多くの珍しい高山植物。平地でのキャンプでは味わえない体験と感動があります。
八方池より先の唐松岳方面は道が険しくなり、登山装備なしでは登れません。八方池は登山届け不要で短時間かつ軽装備で味わえる、お手軽な絶景トレッキングです。
八方アルペンラインの八方ゴンドラリフト「アダム」、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトの3つを乗り継げば、標高差1060mを一気に登り、わずか40分ほどで標高1830mのリフトの終点、八方池山荘に到達できます。山の種類によりますが、初心者が徒歩で1060mを登ることは至難の業。ゴンドラやリフトの力を借りることで初心者でも簡単に登れます。
この日は平地は暑い日でしたが、2人の格好は長袖長ズボン。五十嵐さんはゴンドラに乗っている時からすでにライトシェルを着ていました。「ふもとは暑いくらいでしたが、1000mも登るとかなり涼しいですね。基本的に100m上がるたびに気温は0.6℃下がるので、計算上は6℃くらい低くなっているはず。暖かい日でも上着は必須ですね。新しい秋冬モデルを着ておいてよかったです」
整備された山道は軽装備でも快適
八方池山荘からはじまる山道は、ほとんどが木道や石階段など、整備されていて歩きやすい道が続きます。一部岩場もあるものの、八方池までの道のりであれば、本格的な登山装備は不要。
2人が履いていたのはローカットシューズで、荷物も20~30リットルほどのデイバッグに上着と水分、補給食が入っているだけの軽めの装備で臨みます。大極さんは「今日私が履いてきたのは、ライトなスニーカータイプのトレッキングシューズ。このくらい整備された道のりなら、本格的なレザーのトレッキングブーツでなくとも十分登れますね」。
歩き始めて1時間半。標高2000m超えの絶景に到着。
2人はついに八方池に到着。標高1830mの山荘をスタートし、2060mの八方池まで標高差230mを、道中話しながら1時間半で登ってきました。残念ながらこの日は白馬三山に雲がかかり見えにくい状態ではありましたが、山間に突如現れた池は、それだけでも十分幻想的。「ちょっと見えにくいけど、キャンプ場では遠くに眺めていた白馬三山が目の前にあるようで、迫力がすごいですね!」。大極さんは、キャンプ場では小さく眺めていた山の本来の姿に感動。
普段からトレイルランや登山を嗜む五十嵐さん。「本来なら、このくらいの標高にくるためには3〜4時間歩いてもおかしくない。それがたった1時間半で登れてしまうのはとても驚きです。道のりも全然厳しくないし、子どもでもチャレンジできると思います」とお手軽さに驚いている様子。
▲晴れた時の八方池からの景色
「今日はあいにくの天気で白馬三山は見えませんでしたが、八方池だけでもとてもきれい!標高2000mに池があるのは不思議な感じです。ここまでくるのも全然大変じゃなかったので、また白馬三山を見るためにまた来たいと思います。過酷な山だったらそう思わなかったかもしれませんね(笑)」と大極さんは次回へのリベンジを誓います。
スタートから約4時間で下山
午前7時15分にゴンドラに乗りこんで、八方池に到着したのは午前9時。下山して、午前11時にはスタート地点のゴンドラ乗り場に戻りました。スタートからゴールまでの全体の所要時間は約4時間。午前中だけで絶景を楽しめました。1泊2日の白馬旅行もここでおしまい。それぞれ帰路につきます。
五十嵐さんは「キャンプ場を出た時間は少し早かったですが、午前中だけでも余裕で登れました。1泊2日という短い時間でしたが、キャンプとトレッキングをしてもそこまで忙しくなかったですし、充実した時間が過ごせました」と充実した表情で語ってくれました。
「白馬は、ウォーターアクティビティとか熱気球とか、他にもできることがいっぱいある場所。次に来るときはもっとゆっくり滞在し、キャンプ、トレッキングとさらにもう1アクティビティ体験できたらと思います」。大極さんは早くも次の白馬旅行の計画を考えていました。
1泊2日でも山とキャンプを存分に味わえる
大自然の中でのアクティビティに、大極さんと五十嵐さんも大満足。1日目のお昼頃にキャンプ場に到着してから、トレッキングを終えて白馬を出るまで丸1日。この限られた時間の中で無理なくキャンプのち、絶景山旅ができるのは白馬ならではの体験です。ぜひ、短時間で気軽にアウトドアを味わいに白馬を訪れてみてください。
▼白馬ならウォーターアクティビティも楽しめる!山登りよりも水遊びが好きな方はこちら!