【独自取材】人気焚き火台「ピコグリル」のヒットの裏にあった物語。転売問題に直面して今、伝えたいこと

 キャンプ用品

無駄のない見た目と機能が人気の焚き火台「ピコグリル」。今では多くのキャンパーが愛用していますが、スイスの製品が日本でヒットした裏には、あるショップの尽力があることはあまり知られていません。人気の秘密だけでなく、昨今問題視されている転売と偽物について、関係者への思いを取材しました。


 目次


売り手が語る「ピコグリル」の裏側

出典:Pikari outdoor-shop

YouTubeのキャンプ動画で人気の芸人ヒロシさんが愛用することで知られる焚き火台「ピコグリル」。今では国内でも代表的な焚き火台の一つになりましたが、日本で取り扱っているのは、たったの2店舗しかありません。

そのうちの1店舗である、アウトドア用品専門のオンラインショップ「Pikari outdoor-shop」に、ヒットの裏側とキャンパーの間でも話題になっている転売・偽物の苦悩を取材。「全てのお客さんに知ってもらいたい」と熱く語られた言葉の数々は、キャンパーとして知っておくべき内容ばかりでした。

「Pikari outdoor-shop」オーナー・光山さんとピコグリルとの出会い

大雨でもハマった!キャンプの魔力

今回お話を伺ったのは、ピコグリルの正規販売店となっている「Pikari outdoor-shop」のオーナー光山さん。会社勤めのご主人が設立したショップを、ご主人の協力のもと運営しています。そんな光山さんご家族と、キャンプとの出会いは10年前。

友人夫婦に誘われたことをきっかけに、当時3歳だった子供の野外教育のためにと、キャンプへの一歩を踏み出しました。あいにくデビュー初日は土砂降りの大雨。にもかかわらず、「なぜかまんまとその楽しさにハマってしまった」という光山さんは、その後もキャンプへと繰り出し続けました。

本当に好きなものを広めたいという想い

ショップを始める構想は、キャンプを始める以前から温めていた光山さん。もともと「自分が本気で売りたいものを売る仕事に就きたい」と考えていた夫と、何かのショップを始められないかと考えていたところ、「これだ!」と思ったのがキャンプ用品の販売でした。

「どうせ売るなら日本にまだないものを」と考え、目を皿のようにしながらインターネットの海をさまよった日々…。慣れない英語に苦戦しながら、片っ端からキーワードを検索していきました。そして偶然にたどり着いたのが、「ピコグリル」。見つけてから実際に販売するまでに至ったのは、キャンプを始めてわずか1年ほどの頃でした。

販売者目線で感じる「ピコグリル」の良さとは

焚き火をもっと手軽なものへ

出典:Pikari outdoor-shop

キャンプを始めた当初から、焚き火に魅了されていた光山さん。ただ、当時はキャンプスタイルにそれほど多様性もなく、「キャンプといえばファミリーキャンプで、どこのブランドでも大きくて重い焚き火台が主流でした」。どうしてもかさばって、持ち運びがおっくうになってしまう光山さん自身の悩みもありました。

そう考えていた光山さんが、ピコグリルと出会ったのは宿命でした。448gという革新的な軽さと、A4サイズに収まるコンパクトさ。それにもかかわらず、小型のスキレットやダッチオーブンを載せられる耐久性。何よりも、どんな焚き火台にも負けない美しさがありました。光山さんは確信します。

「これなら焚き火をもっと手軽に、多くの人に楽しんでもらえる」

迷いはありませんでした。慣れない英語に悪戦苦闘しながら、ブランド本国であるスイスの担当者に熱意を伝え、当時どこにも輸出されていなかったピコグリルの販路を開きました。

作り手と売り手が一緒に行う、より良い製品づくり

取り扱いの開始から8年。ピコグリルを手がけるSTC社とは、スイスと日本という距離のため、メールでやり取りしながら、時折、お互いの家族の写真や、休日に出かけた旅行の写真などを送り合い、親交しています。

一昨年の春には、念願叶って、ついにピコグリルの創設者Bruno Wanzenried(ブルーノ・ワンゼンリード)氏が来日。光山さん夫婦を含む日本での正規販売店2社と、スイス大使館の通訳も入り、製品のことや日本での販売など、ピコグリルについて熱く語り合いました。

そんな密なやりとりをしている光山さんは、ピコグリル 398の発売から約1年後、メールのなかで新商品のアイデアを提案しました。それをブルーノ氏が試行錯誤しながら設計、製作。できあがったのが、ソロキャンプの定番「ピコグリル398」より一回り大きいファミリーサイズの「ピコグリル 760」でした。

出典:Pikari outdoor-shop

「ファミリーやグループでのバーベキューやキャンプ料理がまだまだ盛んな日本では、きっと大きいサイズも需要があるはず」

売り手であり、キャンパーでもある光山さんにしか出せないアイデア。瞬く間に光山さんのショップには「ピコグリル 760」がラインナップされることになりました。お互いの親密な交流や信頼感、そして製品への想いがあったからこそ、実現した出来事です。

流行りを受けて起きた弊害…

人気による品薄、そして転売や偽物の横行

じわじわと売れていたピコグリルが、ある日を境に注文が殺到するようになりました。YouTubeで人気のキャンプ芸人ヒロシさんが、愛用の焚き火台として紹介したためです。それをきっかけにブログやSNSで注目の焚き火台として紹介する人も増え、注文数は増加の一途。

ただ、そんな中で想定外の事態が起きました。急な注文で生産と輸入が追いつかなくなり、在庫切れが発生。その間に、高額での転売と、廉価で質の良くない偽物が目立つようになりました。

今でも光山さんが思い出すのは、購入者が送り先を途中で変更し、「納品書は不要」と求めてきた連絡。送料の負担や梱包の手間さえかけずに転売していることは明白でしたが、発送しないわけにもいかず、苦渋の思いで発送の作業を続けていたそうです。

今、ショップとして伝えたいこと

出典:Pikari outdoor-shop

転売品が出回り始めた頃、Amazonや楽天などに対して、出品停止を求めた光山さん。しかし数多くあふれる商品を、個人で一つ一つ監視するのも難しいのが現状。さらにその後、転売品に加えて模倣品も多く出回りました。

そのため、本国にも事情を伝え、今は在庫を十分に確保し、いつでも販売できる態勢を構築。在庫切れになったとしても、1週間あれば必ず入荷するようにしています。こうして現在は、STC社と正規販売店2社で、こうした製品の販売がなくなるよう対策をしています。

これから購入する方には「正規販売店にあるものこそが定価だと知ってほしい」というのが光山さんの思い。「偽物を取り寄せてみたけれど、重さや組み立てのスムーズさなどの点で、やはり本物とは比べ物にならない」。正規の価格を超えるものは転売品、下回るものは模倣品。また、注意したいのが、現時点までにおいてはAmazonや楽天では販売していないことです。(※2020年3月10日現在、Pikari-outdoor-shopでは、協議の結果「ピコグリルの正規の価格をより広く知ってもらいたい」という想いから、Amazonでピコグリル398とスピット2本のセットのみ販売しています。)

本国スイスのピコグリルの開発には、少なくとも4年の月日が費やされています。開発者のアウトドア経験をもとに改良に改良を重ねてある今のピコグリル。もし今、ピコグリルが気になっている方は、その商品が本当に思いのこもった本物か、確認してみてください。

取材を終えて

実は昨年11月に開かれたアウトドアイベントに初出店した光山さん。これまでオンラインショップだけの販売だったため、お客さんの声を聞く機会があまりありませんでした。特に多かったのが「持ってる!」という愛用者の声。「数多くの焚き火台が世に出ている中で、それでもピコグリルを良いと思ってくれているのがうれしい」と顔をほころばせていました。多くの人の想いが詰まった「ピコグリル」。今日も各地のキャンプ場で薪を載せ、キャンパーの思い出を作り続けています。

ショップはこちら:Pikari outdoor-shop

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