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【取材】“新しいものづくり”が斬新で面白い!粋なブランド「HALF TRACK PRODUCTS」

「HALF TRACK PRODUCTS(ハーフトラックプロダクツ)」をご存知ですか?作り手の「あったら便利だな」「喜んでもらえるといいな」が詰まったアイテムが魅力的な、インスタグラムでも話題のブランドです。今回は、ハーフトラックプロダクツの中の人 土屋雄麻氏に、知られざるブランドの素顔をうかがって来ました!

「HALF TRACK PRODUCTS」って?

もともとはセレクトショップだった「tempra garage」をたたみ、新たにブランドとして立ち上げられた「HALF TRACK PRODUCTS(ハーフトラックプロダクツ)」。痒いところに手の届くアイテムが揃った、じわじわと人気を集めているブランドです。 ハーフトラックプロダクツのアイテムに散りばめられたこだわりである「本当に必要なもの」や「ありそうでなかったアイテム」ってどういうことだろう?また、生みの親である「土屋さん」ってどんな方だろう?と、気になることが山ほどあったため、hinata編集部が突撃取材に行ってきました!

「HALF TRACK PRODUCTS」の中の人

土屋 雄麻 氏 ってどんな人?

━━━知りたいこと山盛りで来てしまいました、本日はよろしくお願いします! 土屋:僕でいいのか不安なままですが、よろしくお願いします(笑)。 ━━━もちろんです!さっそくガシガシお聞きしていきますね!ハーフトラックを立ち上げる以前のお話からお聞きしたいです!まずは土屋さんご自身について、どんな少年時代を過ごされていたのか教えてください!

愛読書がB-PALだった父

出典:ゲッティイメージズ / Kristina Kohanova / EyeEm

土屋:僕の場合、幼少期からアウトドアな環境に身を置けていた訳ではなかったかな。ただ、父親が家にB-PALを置いている人で、それを見ているのが当たり前の環境だった感じです。家には父がいないのに、B-PALは常にあったなぁ(笑)。 ━━━それは、何というか斬新なお父様ですね…。では、父代わりのB-PALを読んでいてアウトドアに興味を持たれたのですか? 土屋:そういうわけでもなくて(笑)。あるから読んでいたけれど、好きだった記憶はないんです(笑)。 ━━━そういうものなのでしょうか…(笑)。では、アウトドアが好きになったきっかけはどこにあったのでしょう? 土屋:フェスかな。そもそもフェスが好きになったきっかけは、大学の後輩が声を掛けてくれたことでした。フェスに行くことで音楽も聴くし、キャンプしてお酒を楽しめるし、ギアも面白いし、と思っていたらグイグイハマっていきましたね。

もともとはサラリーマンだった

━━━「楽しいし面白い」って、最高ですね!では、フェスにハマったことが、のちにハーフトラックを生むきっかけになったのでしょうか? 土屋:遡ってみると、原点はそこにあったのだと思います。ただ、僕、大学を出た後は普通に就職していまして。いわゆる、サラリーマンをしていました。 ━━━そうだったのですか!? 土屋:勤めていた会社の近くに、友人のグラフィック事務所があって、同じ建物のガレージでいつもバイクをいじっている人がいたのが気になっていたんです。僕も当時バイクに乗っていたので、通っているうちにだんだん話すようになり、次第に飲みに行く仲になっていきました。 ━━━共通の話題で盛り上がれるのは、嬉しいですし楽しいですよね! 土屋:そうですね。それで、僕が「空いてるスペース貸してよ」と言って、それに対して彼が「一緒に何かやろう」と言ってくれたことで始まったのが「tempra garage」でした。もう14年前の話ですけど、それがきっかけで、今に繋がる全てが始まったんです。

「何屋」という括りはない

アウトドア業界にいるわけでもない

━━━14年も前…!なかなかない、貴重なご縁ですね。 土屋:ありがたいですね。でも、お店をたたみたくなってしまって(笑)。 ━━━え!そんな!(驚) 土屋:もともと、アウトドア業界にいたわけでもなく、何屋とくくれるようなことをしていたわけでもないので「何でもなかった」んです。 ━━━土屋さんの、のびのびとした、自由な様子が垣間見えます…。 土屋:(笑)。サラリーマンに戻ろうかな、と思ったりして、お店をたたもうと友人に話していたら「辞めない方がいいよ」「雄麻は絶対に作り続けるべきだよ」と止められることがあって。「何か作り続ける道」を示唆してもらうことがあまりにも多かったので、じゃあ何かやろうかなと思い、ものづくりを始めました。

聞き間違いから始まった「HALF TRACK PRODUCTS」

似て非なる「二番煎じ」と「20,000cm」

━━━聞き間違いから始まった「HALF TRACK PRODUCTS」…見出しが、なんだか曲のタイトルみたいですね(笑)。 土屋:(笑)。ある時、大学時代の友人が、何かの真似をしたので「え、なに、二番煎じ?」と僕が言ったら「え?20,000cm?」と聞き返されて。そのやりとりがなぜか続いて、わちゃわちゃして、それが楽しかったのかな(笑)。その時「将来、自分で何かやるときに“20,000cmでやる”」という話になったのを、いざ名付けようという時に思い出したんです。 ━━━学生時代特有のノリでしょうか…(笑)。でも、当時のことを今でもこうして覚えていられるのは素敵ですね。そして名付けのとき…! 土屋:個人事業主の登記をしに行こうと足を向けたとき、領収書に「ニマンセンチ」って書かれるの恥ずかしいな、いやだなと思って(笑)。そこで改めて20,000cmってどんな大きさだろうと思って調べてみたら、200m→トラック1周の半分→ハーフトラックだな→!(閃いた)→ハーフトラックにしよう、と、決めました。 ━━━とてもわかりやすい経緯を、ありがとうございます(笑)。

「みんなでハーフトラックなのかな」と思う

━━━「個人事業主登記」ということは、1人で始められたのでしょうか…? 土屋:そうですね、基本的には1人です。だから、普通のブランドさんだとたくさんアイテムを作っているけれど、ハーフトラックのアイテム総数はざっくり20個くらいです。 ━━━正直なところ、その数が多いのか少ないのかは判断できかねます…。それでも、20個ものアイテムを1人で作っているのはすごいことですよね!? 土屋:それにはちゃんと、理由があるんですよ。アイデアを出すのは僕でも、それを形にしてくれるのは友人たちなんです。自分1人では何もできないけれど、友人がいてくれることで何かができる。だから、最近思うのは、みんながハーフトラックなのかな、って。 ━━━うわあ、とってもいいお話ですね…。 土屋:我ながら、友人にとても恵まれていますよね。頼もしい人ばかりで、幸せ者です。

味気ないものに、ちょっとしたアイデアを

ハーフトラックを支える三銃士

━━━アイデアは、ふと湧いてくるタイプなのでしょうか?それとも、考えて生み出すタイプ? 土屋:どちらかと言うと、前者ですね。思いついたものをそのまま形にしてもらう方式なので、生み出すのに時間はかかりません。 ━━━その思いつきで生まれたアイテムの中で、思い入れのあるものを教えてください! 土屋:ランプシェードと、ノンスリープクッション、ウェットカバーポケットが、ハーフトラックを支えてくれているTOP3なので、それらかな。 ━━━では、それらの誕生&製作秘話をぜひ聞かせてください!

case1:Lampshade

土屋:LEDランタンとかって、意外と無機質で冴えないことがあったりすると思うんですが、それがどうにかなる、というかちょっとしたアイデアを足すことで絶対売れると思って作ったのがランプシェードでした。 第3弾目くらいを出したタイミングと、ベアボーンズのビーコンライトが発売されたタイミングが同時期だったことがあったんですが、ランプシェードとビーコンライトとが大きすぎず小さすぎずジャストサイズでして。それが、ヒットのきっかけだったんじゃないかなと思っています(笑)。

case2:nonsleep cushion

土屋:カバーが収納になれば、すごく役に立つものになるなあと思ったことがきっかけで生まれたアイテムです。寝袋は普通、ストレージバッグに入れて収納しなければならないけれど、場所をとってしまうからとキャンプで使うまで圧縮したまま眠らせてしまいがちです。ただそうすると、ダウンのロフトが閉じたままになってしまって、いざ使う時にも潰れたままになってしまいます…。出したままにしておくわけにもいかないし、、そうだ、クッションにすればいい!と形にしたのが、クッションカバーでした。 うちが出した商品で、一番評価していただいているアイテムです。いろんな同業者の方に「いいね」と言っていただけていて、「作りたいけど雄麻が作っているから作れない」なんて言葉までいただけるほどです。ありがたいですね。

case3:wet cover pocket

土屋:ウェットティッシュカバーもそうです。最初は、ネオプレーンというウェットスーツ素材を使用してカバーだけ作ってみて、ポケットをつけてみたくなって、ティッシュを入れたり絆創膏を入れられるようにと考え、その結果この形に仕上がりました。コラボ商品を展開してもいますが、ハーフトラックで生まれた、ハーフトラックの珠玉の逸品なんですよ。

「そこにしかないもの」の必要性

喜んでもらえることが原動力

━━━アイテム誕生秘話を聞かせていただき、ありがとうございました!そうして数々のアイテムを世に出してきた土屋さんの、嬉しいとき・楽しいときがどんな時なのかも、ぜひ教えてください! 土屋:「喜んでもらえるかな?」という思いでアイテムを縫って、その後肯定的な反応が返ってきたときは、すごく嬉しいです。自分しか作ってないものなので、商品を褒められると自分が褒められたような気持ちになるし、仕事を認められると自分自身が認められたような気持ちになります。 ━━━そのお気持ち、わかる気がします。いくつになっても、褒められたり認めてもらえてりするのは嬉しいものですよね。では、今後のことはどうお考えですか…? 土屋:具体的には…。どうしていこうかな・何をやろうかな、と考えています。ブランドを大きくしたいわけではないので、大きくしすぎずやっていくんだろうな、という感じです。ただ、売れることによって友達が幸せになってくれるならそれでいいな、という気持ちが強いです。 ━━━土屋さんとご友人たちは、お互いを思いあって仕事もプライベートも楽しんでいらっしゃるのですね。貴重なお話をたくさんお聞きすることができて、楽しかったです!今回は、どうもありがとうございました!

まとめ

土屋さんが生んだ「HALF TRACK PRODUCTS」は、今やたくさんの友人や仲間に支えられ、その認知度やファンを増やしつづけています。常に、他にはないオリジナルなアイデアで新しいものづくりをしている「HALF TRACK PRODUCTS」。これからも、その活躍から目を離せません!

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