【Outdoor Director's File#2】ネイタルデザイン 後藤 伸介
2022.08.04ファッション
アウトドア文化の作り手に話を聞くインタビュー企画、「Outdoor Director's File」。第2弾は、NATAL DESIGN(ネイタルデザイン)の後藤氏にインタビューを敢行し、ご自身のことや、ブランドについて語ってもらいました。
制作者
fuji
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第2弾は、ネイタルデザイン 後藤氏
前回までのあらすじ
「Outdoor Director's File」は、友人のアウトドアディレクターを紹介してもらいhinata編集部がインタビューに伺う連載企画。前回お話をお聞きしたアールディーズのAQZAWA氏には、お友達のアウドドアディレクターとして、ネイタルデザインの後藤氏に連絡してもらいました。
ネイタルデザインと言えば、特徴的なのがこのトリコロール。ネイタルデザインでは、他とは一味違う、ほどよくレトロでおしゃれなものづくりをしています。決して安くはないものの、遊び心が満載で、長く愛用できるものばかり。
ネイタルデザインは物作りに真摯に向き合ってる印象。僕は、ドメスティックブランドは作り手の顔が現れてるブランドが売れていると思うんですけど、作ってる後藤さんはすごくいい奴で、ネイタルデザインにはそれがしっかり表れてますね。
そう話してくれた、AQZAWA氏。物作りに真摯な後藤氏と、そんな後藤氏たちの手がけるネイタルデザインについて、さっそくご本人にお話を聞いてきました。
バトンを渡されたのは、この人!
後藤 伸介 (ごとう しんすけ)
ネイタルデザイン、スキャターブレインのディレクター。
東京都多摩市出身。大学生時代は経済学を学び、卒業後は精力的にバンド活動をしながら職人をしていたという独特の経歴を持つ。中学の同級生だった塚田氏の立ち上げたネイタルデザインで、デザイン以外の仕事をこなしているオールマイティーディレクター。
公式はこちら:NATAL DESIGN
アイテムの紹介はこちらの記事でチェック▼
ネイタルデザインのアイテムは、遊び心がいっぱいで着心地もいいものばかり!アウトドアでも活躍するリュックやチェアは、他とは一味違うちょっとレトロでおしゃれなアイテムがいっぱいです。ダウンやベストもカジュアルで着やすいです。そんなネイタルデザインのアイテムを紹介します。
━━━バンド活動をされていた、とのことですが、どんなバンドを組んでいたのですか?
後藤:パンクロックが好きで、パンクロックなバンドを組んでいました。小さいころからずっと音楽が好きで、特にバンド活動にのめり込んでいったのは、高校生くらいですかね。今でもバンドは続けてるんですけど、最近は少しスローな音楽が好きですね。
━━━BGMが、少しゆったりしていていいなあと思っていました!それにしてもパンクロックですか。Hi-STANDARDとか、ELLEGARDENとかがイメージと近しいんでしょうか…?
後藤:そうですね、その辺りかな。当時は、音楽とファッションが今よりももっと近い関係だったので、自然とファッションも好きになっていました。
「ネイタルデザイン」の立ち上げ
僕は創設者ってわけじゃないんです
━━━もともと、ネイタルデザインを立ち上げたのは「塚田さん」とのことですが、そこにはどういった経緯があったんでしょうか?
後藤:僕と塚田は、もともと中学からの同級生でした。塚田は、当時からとにかく絵を描くのが好きなヤツだったので「何か作るなら、本当にいいものを作りたい、デザインしたい」というのが立ち上げのきっかけだったんだと思います。だから、僕が創設者ってワケじゃないんですよ。
━━━塚田さんがデザインをしたくてものづくりを始めて、そのあとはどういった流れでお店をオープンしたりブランドを作ったりされたんでしょう…?
後藤:ブランド(ネイタルデザイン)の立ち上げが最初で、後から自分たちの店(スキャターブレイン)を持ちたいよね、って話になって。だから、店を始めた当初は、色んなブランドのアイテムを取り扱っていたんですよ。でも「やっぱり自分たちのものを売っていったほうが面白いよね」と話が進んで、気がついたら、ほぼ自分たちのアイテムだけが並ぶお店になっていました(笑)。
━━━そうだったんですね(笑)。でも、AQZAWAさんが「物作りに真摯に向き合ってる」と仰っていた根っこの部分が垣間見えた気がします!
みんなで同じ方向に向かえているので、いい環境だな、と思っています
ただ、塚田はものすごく恥ずかしがり屋なので、デザイン以外の仕事は僕が請け負う、という感じで僕のネイタルデザインでの仕事が始まって、現在に至ります(笑)。
━━━随分極端な仕事の分け方ですね…?!(笑)その中で、後藤さんは具体的にどんなお仕事されているんでしょうか…?
後藤:僕も、ちゃんと仕事内容を並べようと思うと、わからなくなるんですよ(笑)。ざっくり1日の流れを話すとしたら、午前中はメールをチェックして、午後は打ち合わせに出ることが多いかな。他にも、例えば国内外問わず現地に行って、売ったりルートを作ったり、とか。
━━━恥ずかしがり屋な塚田さんと、本当に対極に位置する業務を担っていらっしゃるんですね(笑)。そして後藤さんは、抱えるお仕事の幅がとても広いんですね…!
後藤:そうですね(笑)。忙しいし大変なこともあるけれど、でも、それって僕だけではないですから。チームの中で役割分担がちゃんとあって、それをこなしながらみんなで同じ方向に向かえているので、いい環境だな、と思っています。秋には、ネイタルデザイン×キャンプ場×地元ショップの共済で「HELLO NEW DAY」というイベントを主催していたりもするので、その企画運営なんかもしています。
━━━なんと…!そうなると、準備期間は通常業務にプラスαで、ますますお忙しいのでは…!
後藤:そうですね、嬉しい悲鳴です(笑)。でも、「HELLO NEW DAY」は僕の音楽仲間であったり、この業界の友人であったりが快く協力・参加してくれているので、企画しながら僕自身も楽しませてもらっているんですよ。あとは、イベントを通して子供たちの世界観を広げられたらな、とも思っています。
━━━それは素敵な輪ですね…!イベントもすごく気になります!
後藤:ありがとうございます(笑)。「HELLO NEW DAY」は、キャンプを軸にワークショップや音楽、食べ物を参加者みんなで楽しめるイベントになっています。鳥取県での開催となるので、もし来ていただけるならぜひ来てください(笑)。
━━━嬉しいお誘い、ありがとうございます!(笑)
2018年のインベントの様子はこちら:「HELLO NEW DAY」
今までにないアイテムづくりがしたい
とんでもないこだわりの強さが、僕たちの強み
━━━ネイタルデザインとは、どんなブランドなんでしょう?
後藤:こんなブランド!とは一概に言えないかな。でも、例えば「この服のポケットがもっと深かったらな」とか「このファスナーがここについていたらな」とか、自分が欲しいアイテムに対して「もっと」を求めてしまうことってないですか?塚田は、それが溢れたヤツで「本当に欲しいもの」を貪欲に追求してものづくりをするタイプの人間なんです。だから他で売れてるものをリプレイスして売るのではなく、自分が本当に欲しいと思えるものを作って、本当に欲しいと思ってくれる人に買ってもらいたいブランド、ってことになるんですかね。
━━━なるほど!今聞いたお話だけでも、商品へのこだわりの深さがわかります…!
後藤:ありがとうございます(笑)。僕たちは、基本的に流行り廃りには乗っからずに、その時自分たちが欲しいもの・興味のあるものを反映させてものづくりをしています。みんながやっていることをやる、というのとは違うかな。例えばこのサルエルパンツはうちで一番人気の商品なんですが、コンプレックスをよく見せるシルエットにすることで、着心地や着ている人の気持ちを楽しくできたらと思って作っています。
━━━芸人さんやバンドマンさんなんかも、そのパンツを履いているそうですね!SNSを拝見していても、その人気ぶりがうかがえました!
後藤:そう言ってもらえるのは、純粋に嬉しいですね。
━━━AQZAWAさんが仰っていたように、ものづくりに対して「真摯」でいらっしゃることも伝わってきます!
後藤:真摯といえば聞こえはいいかも知れませんが、本当にこだわっているので、予定していた納期より遅れてしまうことも度々あるんですよ…。普通だったら、仕上がって来たものが多少イメージと違ったとしても、少し安く売るとかして捌いてしまうんですが、うちはそうじゃないので、楽しみにお待ちいただいているお客様には申し訳ないのですが、作り直しなんてこともあるんです。お客さんをガッカリさせてしまうのは一番避けたいですからね。だから、とんでもないこだわりの強さが、僕たちの強みです。
━━━ちなみに、お客さんはどんな方が多いのでしょうか…?
後藤:男性が8割を占めます。でも、年齢層は幅広いですよ。それこそ、僕たちぐらいの世代の方や、僕たちの先輩にあたる世代の方なんかも多いので、いつもありがたいなぁと思っています。海外の方が来てくれることもあります。直接店頭に来て、自分の目で確かめてから購入してもらえるのも、僕たちの想いに呼応してもらえている気がして嬉しいですね。
━━━確かに、商品の良さを理解してから購入してくださる方がいるというのは、とても嬉しいですね!
唯一無二のブランドへ
400年続くブランドにしたい
━━━今後の展望についても、お話を聞かせてください!
後藤:展望と言うか、イコール僕たちのやりたいことになってしまうのだけど、これからも「最高のものを最高の人たちと作りたい」かな。
━━━具体的におうかがいしても…?
後藤:そうだな、短期的な部分で言えば「釣り」や「野球」に紐づくアイテムを作りたいと思っています。それこそ、僕たちの好きな分野のことだからね。長期的な部分で言えば「もっと面白いものを作って、着実にレベルアップしていきたい」かな。
━━━今でも、ものづくりに対して直向きで真摯でこだわっていらっしゃるのに、まだまだ足りないということですね…?!
後藤:うーん、そうなるのかな(笑)。塚田としては唯一無二のブランドにしたい、という想いが強いみたいです。それから、400年は続くブランドにしたい、と言ってたかな。僕たちネイタルデザインのものづくりは「楽しい時に着て欲しい」という想いが根底にあります。だから、シルエットや着心地をこだわり抜いているので、これからも「感情をくすぐるものづくり」をしていきたいですね。
まとめ
今の時代、お店やネットで商品を気軽に見ることはできますが、どんな人がどのような思いでその商品を作っているかは、なかなか知ることができません。今回お話を聞かせてくれたネイタルデザインの後藤氏は、創設者・塚田氏の想いを交えつつ、ものづくりに対する姿勢を教えてくださいました。素敵なものづくりには、素敵な人たちが携わっています。お買い物の際は、そんな作り手の想いを少しでも気にしてみると、これまでとはまた違った愛着が湧いてくるかもしれません。