ベルモント(belmont)の焚き火台「TOKOBI」と「TABI」の違いを徹底解説
良い物を安く!チタン製品が安い純国産のベルモントに注目
2022.07.13キャンプ用品
キャンプの料理ではどんなクッカーや食器をお使いですか?やはり軽量コンパクトなものが欲しいですよね。それにオシャレさも兼ね備えていればなお嬉しいですよね。でもそんなクッカーや食器は高くて手が出ない?そこで今回は純国産のチタン製品を作っているメーカー、「ベルモント」に注目し、本社と生産現場の取材をしてきました。
制作者
Harry The Dad
長いブランクを経て最近スローなブッシュクラフトにカムバックしました。
もろもろのストレスを森の木々に吸い取ってもらうためにアウトドアに出かけてます。
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ベルモント誕生
ベルモントは2000年に設立された、新潟県三条市に本社を構える金属製品のメーカーで、アウトドア調理器具や食器類のほか、釣り具アクセサリーも創り出しています。
先代の創業者は某大手アウトドア製品メーカーで、創設時から数々のヒット製品を世に送り出してきました。先代は退社後、それまでの経験から使いやすい製品をより安く消費者に届けるため、ベルモントを設立したとのこと。
現在は2代目が社長を務めていますが、御年76才を過ぎた先代は現在も山岳スキーに出かけ、自社製品の性能を常に検証し、現在も製品の昇華に貢献されています。
アウトドアブランドとしてのベルモント
ベルモントの理念
アウトドア用品を作り出すベルモントでは、「より良いものをよりリーズナブルに」をモットーとしており、より高度な技術を駆使して最善の製品を製作し、そこに余計な経費や独善的な付加価値などを付けずに、少しでもアウトドアライフに貢献することを理念としています。
もちろん企業である以上利潤を生みださなければなりませんが、それは良質な製品を理解する顧客が増えることで達成できると信じています。
燕三条という立地
新潟県のこの地域は世界的にも金属加工で有名な土地ですが、燕市と三条市は隣り合った自治体で、昔から燕は職人の町で三条は商人の町とされているとのこと。つまり燕の職人が物を作り三条の商人が売るというわけですね。
写真のボトルの底の形状は、世界中にある金属ボトルのほとんどがこの形をしているのでよく見かけると思います。これは金属に熱が加わると膨張して歪み膨らんでしまう性質を抑制するためのデザインです。実はこのアイデアはここ燕の職人が生み出し、世界中に広まったものの一つなのです。
ベルモントのチタン製品
チタンは軽量かつ丈夫で、近年アウトドア用品に多用されてきています。しかし原材料が高価であるのと、溶接や曲げ加工などに高度な技術が必要なため、どうしても製品価格が高価になってきます。ベルモントはそうしたコストを少しでも抑えるため、燕市を含む地元の協力工場と緊密な関係を持ちながら、企業努力により少しでも安価で、より良いチタン製品を提供しています。
各製品のデザインは、先代が前職から培った経験と顧客の要望や意見を活かし、さらに洗練させているため、大手メーカーのそれらと何らそん色なく、むしろさらに使い勝手の良いデザインのものさえあります。
チタンの特性を活かす
ベルモントでは主にコッヘルやクッカーなどの調理器具、シェラカップやマグカップ、お椀やディナープレートなどの食器類、またカトラリーなどにチタンを多用しています。
チタンはステンレスなどに比べて大変丈夫な金属なので、同じ強度のものならより薄く作ることができ、よって重量も軽くなるわけです。しかし金属を薄く加工するには高度な技術が必要なため、他社では比較的厚手に作っているところがあります。これを、薄いチタン製品はペコペコしていて安っぽいと誤解している人もいるようです。
チタンは熱伝導率が他の金属に比べて低いので、厚く作ると調理がし辛くなるのです。ベルモントではこの熱の伝わり方も研究し、チタンの特性をより引き出す工夫を凝らしています。
チタン製品の加工技術
ヘラ絞りという超高度な職人技
ベルモント社のチタン製品の成型は「ヘラ絞り」という高度な職人技で造り出されます。現在は機械化により生産性を高めていますが、この工作機械へのプログラミングにはヘラ絞りを実際に行う職人の感覚が必要で、ベルモント製品を作る工場にはそうした熟練工がいるということです。
この技術のおかげで製品の洗練されたデザインが実現されるのです。ヘラ絞りのような職人技を必要としないプレス加工では、生産コストは抑えられるものの、カップ類などの側面に金属を引き伸ばした時にできる立てじわが目立ち、製品の美しさが損なわれてしまいます。ですからベルモントは仕上げの美しさにも妥協を許さないのです。
ヘラ絞りは高度な職人技で、1枚の金属板を微妙な力加減で慎重に曲げ加工を進めます。この特殊技術は大型のものでは航空機の先端部やパラボラアンテナ、果ては宇宙開発でも必要不可欠とされるほどの技術なのです。
高度な溶接技術
チタンの溶接はチタン同士を溶かして接合するTIG溶接と呼ばれる技術で、溶接中は200度以下になるまで空気に触れさせないよう、シールドガスを必要とします。そして材料の厚さや形状により、溶接時間やタイミングを合わせるのに熟練の技術が必要になります。
他社にない溶接部の研磨工程
ベルモントのチタン製品はこの溶接部分を一つ一つ手作業で研磨し、デザイン性と口に当たる感触を極限まで最適化しています。この溶接部の丁寧な研磨工程はベルモント独自の高度な技術で、大手他社では省略するところが多く、目には見えないベルモントの隠れた品質です。
溶接部分の研磨では、研磨個所をわずかながらも常に動かしながら研磨機に当てる微妙な技が必要で、回転する研磨材の上で少しでも製品を止めてしまうと修復不可能な穴が開いてしまいます。
チタンの研磨時に出る金属粉は、空気と水に触れると反応を起こし燃焼や爆発を引き起こしますので、加工場の管理はとても厳重にされています。
ベルモントさん訪問動画はこちら▽
そのほかの製品
ベルモントではチタン製品のほかステンレスやアルミ製品も数多く製作しています。またそのどれもがアウトドアでの使い勝手を研究しているので、利用者は使用目的に合わせた製品のセレクトが可能となっています。
中でも厚みが3mmあるステンレス製のダッチインダッチオーブンは、それ自体でも調理できるのは勿論、鋳物のダッチオーブンの中に入れ、繊細な料理も作れる優れものです。(ダッチインダッチオーブンについては別途レポートします)
スタッキング製品
アウトドアで使う食器やクッカーには携帯性能も要求されます。クッカーはもちろん食器類も同デザインのものであれば大小を合わせて重ねると、小は大の中に完全に収まるよう設計されています。
ダブルウォール製品
高温または低温の調理品を入れた場合、金属の器は手に持てないものです。この問題を解決してくれるのが二重構造になっているダブルウォール製品です。ベルモントのダブルウォール製品は、前述の優れた溶接と研磨工程により、口当たりが滑らかで美しい仕上げになっています。
アウトドアアクセサリー
ベルモントでは調理器具や食器、カトラリーのほか、アウトドアで役に立つ多くの製品を生み出しています。
焚火に便利な五徳、ナイフや鉈、アイゼンやスノーシューも揃います。これらの中で筆者が注目したのはステンレス製の小さいクロスで、金属食器の油汚れを洗剤無しで洗い落とせるばかりか、ガスバーナーの強烈な炎を柔らかい熱源に変換する緩衝材としても使用することができる便利なアイデア商品です。(ステンレスクロスについてはベルモントの調理器具と食器についてのレポートで詳しく紹介します)
釣り用品
釣り用品
アウトドアアクティビティの中でも釣りは人気ですね。ベルモントでは竿やリール以外の釣りに必要なアクセサリー用具も数多く扱っています。ここでも金属加工の技術を生かしたチタン製品が活躍しています。
便利グッズも数多く取り揃えているので、釣り好きにな方は是非一度チェックしてみてください。
まとめ
今回のベルモント訪問で最も印象的だったのは、社長をはじめとする生産者の誠実さと温かさでした。同業大手他社がブランディングや人気度アップに注力するところを、製品の品質と機能性を追求することに力を注ぎ、日本の技術力を惜しみなく消費者に提供しようとする企業姿勢にとても感動しました。そうした誠実な企業が送り出すアウトドア用品は、今後私たちのアウトドアライフをさらに豊かにしてくれること間違いなしです。ベルモントでは各種イベントにも積極的に出展していますので、皆さんも是非一度ベルモントのブースに立ち寄ってみてください。
(ベルモントの製品レポートを近日掲載します)