キャンプの虫除け対策ハンドブック!やるべき&やってはいけないこと
【話題】虫除けグッズ“おにやんま君”の実力を検証!トラロープと比較の結果は!?
2024.07.09ノウハウ
夏のアウトドアでは、ハチやアブ、蚊などの虫に悩まされますよね。虫の天敵・オニヤンマの形を模した「おにやんま君」は近年人気の虫除けアイテム。殺虫剤や忌避剤を使わないのが魅力ですが、SNS上では「トラロープで代用できる」との声もあります。はたして効果のほどはいかに。今回は条件の違う3カ所で比較検証してみました。
制作者
葛西リョウ
登山歴は10年ほど。日本百名山のほか、関東近辺の山々を中心に登っており、最近、高所恐怖症を克服しつつあります。ときどきテント泊もしていて、仲間との山クックが最大の楽しみです。安全で快適なアウトドアライフを共有できるような記事をお届けしていきます。
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「おにやんま君」の虫除け効果をおさらい
虫除けグッズとして人気の「おにやんま君」は、ハエ・蚊・アブ・ハチなどの天敵でもあるトンボの王様「オニヤンマ」を精巧に模したアイテム。おにやんま君を見た虫たちは、捕食される恐怖で遠ざかっていくとされ、薬剤を一切使わない人体に優しい防虫グッズとして、子どもから大人まで、帽子やザックにつける登山者やキャンパーが多くいます。
SNS上では「トラロープで代用できる」との声も
おにやんま君(左)と、トラロープでつくった虫除けグッズ(右)
おにやんま君が人気を集める一方、SNS上では黒色と黄色のストライプが特徴の安価な「トラロープ(標識ロープ)」で代用できるという声もあります。トラロープがオニヤンマ腹部のしましま模様と似ているため、虫たちが錯覚して近寄ってこなくなる効果を狙ったものです。
作り方も簡単で、トラロープを約15cmの長さにカットし、両端をほどけないようにビニールテープで結びつけるだけ。製作費は2本で10円未満でした。1,000円以上するおにやんま君と比べるとかなり安く、お手軽なのが魅力的。手づくりの“虫除け用トラロープ”が通販アプリで販売されているケースもあり、実際に使った人からは「蚊に刺されなくなった」「効果があった!」との声も複数上がっています。
【検証方法】「虫ペタッと粘着紙」についた虫の数を比較!
身体に優しい虫除けグッズとして人気を集めるおにやんま君と、安価でだれでもつくれる虫除け仕様の“トラロープ”に、果たしてどれだけの効果と違いがあるのでしょうか?
そこで、川沿いのキャンプ場、山間部の登山口、都内の公園の駐輪場でそれぞれ、短冊のようにぶら下げて虫を捕獲する「虫ペタっと粘着シート」(縦22×横10cm)を用意。「おにやんま君」「トラロープ」「何もつけない」の3パターンを一定の間隔で並べて、数時間後に何匹虫がついたかを比べる簡単な検証をしてみました。
【検証1】川沿いのキャンプ場
まずは川沿いのキャンプ場で検証します。川のせせらぎを聞きながら楽しくバーベキューをするときに、虫が寄ってくるのは避けたいところ。検証当日の気温は26℃。平日の9:00にテントサイトに3m四方のタープを張り、四隅のうち3カ所に「おにやんま君」「トラロープ君」「何もつけない」粘着シートをそれぞれ取りつけました。
待つこと4時間。結果発表です!
【検証結果】
- 何もつけない:数mm程度の小さな虫14匹
- おにやんま君:数mm程度の小さな虫11匹
- トラロープ:数mm程度の小さな虫23匹
たしかに、おにやんま君のすぐそばに置いた虫ペタっと粘着シートは、虫の数が一番少ない結果になりました。しかし、シートについていたのはほとんどがユスリカなど、蚊柱をつくるような数mm程度の虫。オニヤンマを天敵とする蚊やハチよりも小さく、偶然シートにくっついてしまった可能性も否定できません。これだけで虫除け効果を判断するのは正直難しい…。
ということで、次は山間部の登山口付近で検証することにしました。
【検証2】標高1,300mの登山口
次の検証場所は、長野県にある「日本百名山」の登山口付近。標高は約1,300mあり、当日の気温は28℃。周囲には草花もあり、ハチや蚊などオニヤンマを苦手とする虫もいそうな環境。虫除け効果の違いが期待できそうです。週末の9:00に、2m間隔で虫ペタっと粘着シートを3パターン用意。登山をしている間の7時間、設置して様子をみました。
下山後、ソフトクリームを食べる時間を惜しみながら、すぐに確認します!
【検証結果】
- 何もつけない:3cmほどのハチのような虫1匹
- おにやんま君:何もついていない
- トラロープ:3mmほどの小さな虫2匹
何もつけなかった虫ペタっと粘着シートには、3cmほどの大きなハチのような虫がついていました。刺されたら痛そうな、なるべく近づきたくない虫です。全体的に捕獲した虫の数が少ないのは残念ですが、おにやんま君の周辺にはどの虫も寄りつかなかったことだけは明確です。おにやんま君とトラロープには、ハチやアブが一切ついていないことから、一定程度の虫除け効果があったという印象です。
【検証3】夜の公園近くの駐輪場
夜行性の虫は暗闇でも平気で行動するといわれていますが、おにやんま君やトラロープは、夜間でも効果があるのでしょうか?
今回は、街灯がわずかに届く東京都内の公園近くの駐輪場で検証します。平日の21:00に、2m間隔で3パターンの虫ペタっと粘着シートを設置。公園の周辺には花壇があり、多数の虫が生息していそうな様子。設置時点の気温は25℃前後。どの程度虫がつくのか、7時間後の翌朝4:00に確認します。
結果は以下の通りでした。
【検証結果】
- 何もつけない:3mmほどの虫1匹、0.5mmほどの虫6匹
- おにやんま君:3mmほどの虫1匹、0.5mmほどの虫2匹
- トラロープ:蚊1匹、3mmほどの虫1匹、0.5mmほどの虫8匹
ハチやアブのような大きな虫はついていませんが、トラロープには蚊が1匹ついていました。何もつけなかった虫ペタっと粘着シートには、虫のほかに、木からしたたり落ちたのか露(水滴)がついていました。そのほか3枚ともに小さな虫が数匹ずつ付着しており、日中と夜間に大きな違いはないという印象でした。
【結果】「おにやんま君」には一定の虫除け効果があった!
【検証結果】 | 何もつけない | おにやんま君 | トラロープ |
---|---|---|---|
キャンプ場 | 数mm程度の小さな虫14匹 | 数mm程度の小さな虫11匹 | 数mm程度の小さな虫23匹 |
登山口 | 3cmほどのハチのような虫1匹 | 何もついていない | 3mmほどの小さな虫2匹 |
夜の駐輪場 | 3mmほどの虫1匹 0.5mmほどの虫6匹 | 3mmほどの虫1匹 0.5mmほどの虫2匹 | 蚊1匹 3mmほどの虫1匹 0.5mmほどの虫8匹 |
3カ所で行った比較検証の結果、おにやんま君に関しては、数mm程度の小さな虫のみ、2カ所で付着が確認できました。トラロープや何もつけていないシートでは蚊やハチのような“刺されたくない害虫”が捕獲されているので、それを踏まえれば、おにやんま君には一定の虫除け効果があるといえそうです。
一方、トラロープは「虫除け効果がある」とまではいえない結果となりました。ただ、条件やシーンによっては虫を寄せつけない可能性もあるので、試してみる価値はあるかもしれません。
防虫対策をして楽しいアウトドアを!
今回、検証に使用したおにやんま君やトラロープは、薬剤を使用しないため、子どもやペットでも安心して使えるのがメリットの虫除け対策です。薬剤のように使用期限が定められておらず、ずっと長く使える「コスパの良さ」もうれしいところ!気になった人は、虫除けアイテムとして取り入れてみてはいかがでしょうか。しっかりと防虫対策をして、より楽しいアウトドアライフを過ごしてくださいね。
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