目指せ100年選手!?コールマン「PEAK1 Model400」【アウトドアおやじが100回使ったギアvol.7】
アウトドアおやじが100回使ったギア vol.7 では、わが家で親子二代に渡って活躍しているコールマンのガソリンバーナー "PEAK1 Model400"、通称「ツーレバー」をご紹介します! いまだに愛用しているのにはそれなりのワケがあるんですよ。
連載企画「アウトドアおやじが100回使ったギア」
キャンプの相棒となる道具選びで意外と大事なのが、自分のキャンプスタイルに応じた「妥協と割り切り」。どんなシーン、どんなスタイルにも合う万能ギアはそうそう見つかるものではありません。
登山やバイクツーリングでのテント泊を入り口に、キャンプ歴は40年ほどになる筆者。ファミリーキャンプや夫婦キャンプを経て、現在はもっぱらソロキャンプに勤しむ、自他ともに認める「アウトドアおやじ」です。
いろいろな失敗も経験してたどり着いた「完成形」とも言える現在の装備は、「使いまわしやすさ」を追求した精鋭ぞろい。自信を持っておすすめできるアイテムを紹介します!!
アウトドアおやじ/ライター
丹羽孝之
キャンプ歴40年。登山(クライミング、沢登り、縦走)、ヒマラヤ山域や北インドでのトレッキングとバイクツーリングなどなど、アウトドア全般を愛する。 年間のキャンプ泊数は約20泊。2021年はバイクでの北海道一周と九州一周のソロキャンプツーリングに繰り出し、50泊を達成。
ビンテージバーナー "PEAK1" ってどんなアイテムなのか?
おやじライター丹羽の愛用しているバーナーの中で最も古い物がコールマンの「PEAK1 Model400」です。
1980年の製品で、父親から引き継いでから約40年使っているのですが、気がついたら世間ではビンテージストーブと呼ばれるようになっていました。読者の多くの皆さんがまだ生まれてなかったかもしれませんね…(苦笑)。
第一次キャンプブームと言われた1990年代は、キャンプギアと言えばコールマンが代表格でした。ファミリーキャンパーの多くはコールマンのガソリンツーバーナーを使っていたんです。当時はそれがステータスみたいな…。それ以前から活躍していたシングルバーナーがPEAK1 Model400、今回の主人公です。
40年使い続けるに足る理由がある!
燃料は主にホワイトガソリンを使用します。ガソリンバーナーの多くは、点火の際にプレヒートが必要ですが、PEAK1はこの手間が不要。ポンピングして点火すればOKなんです!後継機種としてさまざまなガソリンストーブが登場しましたが、筆者の愛用しているModel400は通称「ツーレバー」と呼ばれています。
コールマンのガソリンストーブは、元々はアメリカ軍の軍用ストーブなのでシンプルかつタフな構造なのが特徴。ランタンと同様にコレクターの人も多く、製品仕様の詳細はキリがないのでコレクターの方達にお任せしたいと思います。
筆者はとことん使い込むので、長年使ってて実際どうなのかと言う観点でお伝えしていきますね。
今でも人気が高いのはなぜなのか?
現在ではガスバーナーが主流ですが、筆者の時代はガソリンバーナーが主流でした。ガソリンは引火性が高いので点火方法を間違えると炎上する事もあり、怖い印象を持っている読者も多いのでは?
でも正しく使えば意外と簡単なんですよ。キャンプ経験を積むにつれてガソリンバーナーの愛用者が多くなる理由は、メンテナンスや修理などをしながら使い続けられる趣味性の高さだと思います。いわゆるギアに対する "こだわり" ってやつですかね。
見た目の無骨さ
唯一無二の無骨な見た目も、PEAK1の大きな魅力。
ガソリンタンクと一体式で見た感じはずんぐりむっくりしてるけど、ごつい印象ですよね。五徳は動くし、レバーは二つ、3本の脚も折り畳み。英文の使用方法もタンク側面に記載されています。
さらに別売のアルミケースはアルミ一枚物から成形されています。「緊急時はクッカーとしても使える」…という謳い文句ですが、実際は洗剤で綺麗に洗わないとガソリン臭くて使えません(笑)。
聞いた話だと、このアルミケースもオークションなどでは1諭吉以上するらしいです…。筆者のケースは凹んだりして何回もハンマーで板金修正してます。そういうタフさはとても助かっています。
とにかく寒さに強い
冬場の早朝などだと、ガスバーナーが寒さでドロップダウンして使い物にならない…なんて場面もしばしば。
そんな時でも、PEAK1は何事もなく独特の燃焼音とともに働いてくれるんです。これぞガソリンバーナーの安心感。こういう場面ではPEAK1がドヤ顔してるようにさえ感じます。たぶん筆者もドヤ顔してるかもしれません(笑)。
火力調整が効く
トロ火が使えるガソリンバーナーなんて筆者の知る限りではほとんど無いのですよ…。が、PEAK1は黒レバーで火力調整ができます。
ワンレバーのモデルでも調整すれば弱火も使えるらしいのですが、レバーが火口に近い位置(Model400の赤レバーの位置)なので、クッカーや鍋がが乗ってると鍋底が近くてちょっと使いづらいのです。ツーレバーはレバー位置が低いので使いやすい!
このオヤジが今も使い続けてるワケ
PEAK1は正直重いし、かさばるので今では登山に持ち出すことはありません。ではなぜ使い続けてるのか、どんな時に出番となり実力を発揮するのかご紹介しますね。
その1. 寒い時期のバイクでのキャンプツーリング
バイクでのキャンプツーリングは荷物の積載に限りがあるので、バーナーは一つしか積めない事も多いのです。ガスバーナーのドロップダウンが起きそうな季節、天気や標高などでは信頼できるPEAK1の出番です。寒い朝に湯沸かしに手間取るのは辛いものですよね。
キャンプツーリングでの朝食はサッと食べてサッと撤収して走り出したいので、お湯も沸かせないなんて出鼻を挫かれてしまいますからね…。あと、ガスバーナーだとガス缶の空き缶ゴミが増えて積載に困るという悩みも解決します。
車でのキャンプならば秋から春まではPEAK1を満タンにして積んでおけば急な気温低下にも安心。
その2. 大人数での鍋料理をしたい
2023年の忘年会キャンプでも実際にあった事なのですが、直径40cmの大鍋でおでんを作った際にガスバーナーでは火力が足りず、いつまでたっても煮立たず…。仲間からPEAK1の出動要請があり、オヤジ共々ドヤ顔で登場。あっという間に調理できたとさ!
ちなみにPEAK1の五徳に大きな鍋を乗せるのは危ないので、コンクリートブロックを二つ使って鍋を置きました。おでんや鍋料理の大鍋調理だとPEAK1のトロ火は本当に助かります。煮立ってからはトロ火にして、みんなのペースで思い思いに熱々の物が食べられます。
その3. 暖房器具として使いたい
ヒーターアタッチメントを取り付ければ暖房に早変わり
焚き火ができない状況が想定されるキャンプでは、PEAK1にコールマンのヒーターアタッチメントを乗せれば雰囲気の良い暖房器具にもなります。PEAK1の「シュシュシュシュ」っていう燃焼音と赤熱した姿がなんとも心強くていいんですよ!
ただ、これがあるから暖かさが倍増するなんて感じは正直しません。見た目効果が大事です(笑)。
それと、乾き物のつまみをちょっと炙るには都合が良いのです(これがメインかも?)!
ただし、一酸化炭素の発生量が増えるという話もあるので、もしテント内で使うなら自己責任で!くれぐれも一酸化炭素中毒には気をつけてくださいね。換気口の確保はとても大事です。
PEAK1 Model400が欲しくなっちゃった方へのアドバイス
現在の入手ルート
40年ほど昔の製品なので、コンディションの良い物を入手するには焦らずに情報収集して判断しましょう。焦りは禁物です!
実は一番ネックになるのが、初めてPEAK1を手に取った人には正常な調子がわからない事なんです。近くにPEAK1に詳しい方がいればアドバイスしてもらえると思いますが、誰もいない場合は果たして調子が良いのか悪いのかが判断できませんよね。自分の操作方法が悪いのか、本当に調子が悪いのか…。困っても、最初はコールマンの修理サービスかプロショップを頼るしかありません。
初めてPEAK1を入手する方は避けた方が無難です。ノークレーム、ノーリターンではどうにもなりませんよね…。最近はオークションの詐欺サイトも多いため、事前にURLの確認なども必須です。
「オークションよりはマシ」程度に考え、自分でメンテナンスする覚悟を持ちましょう。元オーナーがどこまでメンテナンスしているか個体差は大きいかと。ある意味、それが楽しみの一つではあるので、愛着が湧いてくるきっかけとなるとも思います。
キャンプ雑誌やYouTube動画で調べて、信頼できそうなお店を選びましょう。動画なら、視聴者のコメントを確認することもポイントです。
最初は専門店から購入して扱い方のレクチャーを受けるのが安心できると思います。価格差は"調子"の差なのか、ラベルなどの見た目の差なのかも確認しましょう。実用品としてならば "見た目" よりも "調子の良さ" を優先すべきだと思います。
まずは説明書通りの使い方をマスターする
コールマンのガソリン機器については「ポンピング回数がわからない」という悩みが多いようです。赤ランタンでもPEAK1バーナーでも、機器に記載されてる手順の指定回数は燃料を満タンにした状態が想定されています。
ちなみに、筆者のModel400では25回となっていますが、これはあくまで目安。使っていくうちに25回ポンピングした際に指先に伝わる圧力感覚がわかってきます。ここが大事なんです!!
タンクの燃料が半分しか無い場合のポンピング回数は当然増えます。そういう時に"この位でOK"という感覚が身に付いてきます。たまにポンプが押し込めなくなるまで鬼ポンピングすると言う方もいますが、そこまでやる必要はありません。
ビンテージ品なので個体差があることを覚えておこう
前述もしましたが、古いバーナーですから個体差は確実にあると思います。実用品としてはいつも完璧な状態に保つ手間を割けないとも思いますしね。一つの判断基準は説明書通りの手順で着火できるかどうかです。入手ルートを問わず、ジェネレーターをライターやバーナーで炙って点火するのは調子が悪い可能性大です(筆者は、このやり方は氷点下で一発着火させたい時などの緊急手段だと思ってます)。
なぜだかわかりますか? ジェネレーターを温めるにしても、炙る程度がわからないでやると熱しすぎてロー付け(溶接部)を溶かしてしまったり、一点集中の加熱で部品を痛めてしまったりするからなのです。
メンテナンスについて
長く使うには適切なメンテナンスが必要ですが、分解・組み立てに自信がなければ、バーナーリングの吹きこぼれの汚れ掃除とポンプカップのオイルアップ程度にで十分。本格的な分解メンテナンスは、コールマンの修理サービスなど、プロに任せるのが賢い選択です。
徐々にバーナーの構造や、どうして燃焼するのか理屈を勉強すると、それがまた楽しみにつながることもあるでしょう。
ちなみに、PEAK1 Model400(ツーレバー)の交換用ジェネレーターはずいぶん前に生産終了して廃盤になってしまいました。そのため、掘り出し物の新品ジェネレーターは2諭吉に近い価格になってきています。部品供給があれば中古市場のPEAK1も"ジェネレーター交換済み" という良品が出回ると思うのですが…。
筆者のPEAK1のジェネレーターは新品購入時のままです。使い方もしかりですが、大事にメンテナンスしながら使ってます。赤ガスを使わないのは、ジェネレーターを長持ちさせることを優先しているからです。
現行モデルで似たものを買うならコレ
PEAK1そのものを手にいれるには、中古品のためどうしてもそれなりの下調べや知識が必要。「それだと手を出しづらい…」という人に向けて、現行モデルでおすすめできるものを紹介します。
使い続けて世代をつなぐビンテージバーナーの虜!
PEAK1ついて語っているとキリが無いので、このあたりまでとします。
「やっぱ面倒くさい」と思った人、「チャレンジしたい」とムズムズしてきた人、さまざまだと思いますが、一つの時代を築いたガソリンバーナーであることは間違いありません。
以前に赤ランタン(Coleman Model200A)の記事もご紹介しましたが、このPEAK1も父親から引き継いだ我が家の主力ギアです。自分の娘たちに引き継げるように大事に使っていきます。