「4WAY車中泊アイテム」をDIY【実践!ゼロから始める犬連れ車中泊 その2】
「SUVの日産ジュークで愛犬と車中泊がしたい!」そんな思いでクルマの中を快適空間にカスタムし、実際に車中泊をしてみようというこちらの企画。第2回は、愛犬にも人間にもうれしいものをDIYでつくります。手持ちギアを改めた結果、あと必要なのは食事に使えるテーブルと収納。ここに愛犬のための付加価値もプラスして、さて、どんなものができるでしょうか?
車中泊で「犬と人が兼用できる」アイテムをDIY!
犬用箱階段があれば、小さな愛犬でも自分での乗車が簡単。爪でクルマのリアにキズが付くこともありません
筆者が乗っている日産ジュークはコンパクトSUV。天井が低く(ざっくり測ると68cmくらい)、助手席をギリギリまで前に出して確保した荷室の奥行きは約160cm。
なおかつ、倒した後部座席と前部座席の間に隙間ができて、そこを埋めないと最大スペースが取れません。取ったとしても愛犬とキャンプ道具を積むと寝る場所が危ういです。そこで、これからつくるものは省スペースも兼ねて「犬人兼用」にしようというルールを設定しました。
さらに、材料はホームセンターと100均で手に入るもののみとします。女性でも簡単につくれ、犬のプロ目線で考えた「愛犬の快適な旅にも役立つ工夫」を盛り込んだアイテム、さっそくつくっていきましょう!
hinata編集部
舟橋 愛
房総半島で7匹の甲斐犬と田舎暮らしを満喫中。編集ライター兼、愛玩動物飼養管理士・ペット共生住宅管理士。大工の棟梁である祖父の血を受け継いだのか、DIYが大好き。今回は、愛犬も人もうれしい車中泊アイテムも自作しようと思います!
#hinataいぬ部
たまこ
見た目はりりしいけれど中身はべたべたに甘い甲斐犬の女の子(2歳)。#hinataいぬ部のドッグプール編ではモデルもこなしています。車酔いしやすいので遠出が苦手なのに、山梨1泊車中泊をすることに。果たして道中いかに?
就寝スペースの「スキマ」と格闘した前回の記事は以下リンクから!
隙間埋め+テーブル+犬用階段+収納!鬼兼用の箱階段収納をつくる
まずは「前部座席と荷室の間に隙間ができる問題」と「テーブルがない問題」を同時に解決。なおかつ、犬が荷室から出入りする際の階段や収納にもなる!そんなオールマイティなアイテムを簡単レシピでつくります。
収納箱階段「TALL」&「LOW」
左側が隙間埋めにも使う箱階段「TALL」。右側が細かいギアを収納するための「LOW」。どちらもテーブルや椅子としても使います
【所要時間】
約3時間(ペイントも含め、TALLとLOW両方をつくった場合)
【TALL材料】
- 1×10材 33cm×8枚(側面)
- 25×38mm角材 46.8cm×4本(柱)
- 1×3材 33cm×6本(フタ)
- 1×3材 32cm×2本(フタ裏の下駄部分)
- 9mm合板 33×36cm 1枚(底板)
- 滑り止め用マット(セリア) 1枚
- 強粘着面ファスナー(セリア) 1枚
※お好みで
- リードかけ(セリアの壁かけ用フック使用)
- 持ち手用のひも(セリアの綿ロープ6mm使用)
- 仕切り板…1×10材の端材適宜
【LOW材料】
- 1×10材 41.7cm×2枚、33cm×2枚(側面)
- 25×38mm角材 23.4cm×4本(柱)
- 1×3材 42cm×6本(フタ)
- 1×3材 32cm×2本(フタ裏の下駄部分)
- 9mm合板 42×36cm 1枚(底板)
※お好みで
- 中に入れるかご(セリアの取っ手付き金網かご使用)
- かごを引っ掛けるフック
【TALL・LOW共通】
- ミルクペイントforガーデン お好みで。今回は4色使用
- 木工用ワックス
【材料費】
約15,500円(税込)
※ミルクペイント含む金額。ビス、合板、紙ヤスリなどは自宅にあるものを使用。木材は長いものを買って自宅でカットしています。木材加工に慣れていない人はホームセンターでカットしてもらうのがおすすめです
つくり方
※TALLとLOWは基本的なつくり方が同じなので、材料の多いTALLの方で説明します。
【1】写真のように、柱となる角材の25mmの面に1×10材2枚をビス止め。同様のものを2つつくります。
【POINT】
角材と1×10材の端がずれたり1×10材同士に隙間があかないように気を付けましょう。また、1×10材などに使われるSPF材は木割れが起きやすいので、細めのビスを使うのがおすすめです
【2】1でつくった2つを向かい合わせに立て、残りの側面にも1×10材をビス止めしていきます。ビスは1枚の板につき2カ所ずつで充分。
【3】4方向の板を張って上の写真の状態まできたら、一度クルマの隙間にはめてみてサイズを確認!
写真では隙間にピタッとはまっていますが、実は、横に入れたかったのが助手席のスライドレールにわずかに引っかかって縦に入れることになってしまいました…。
角材の面の長さが違うので、その分誤差が出ます。が、大勢に影響がないので今回はそのままGO!
横に入れたい人や、正方形でつくりたい人は
角材の誤差も考慮して1×10材の長さを決めてください。ただ、「フタが1×3材6本でつくるとちょうどいい幅」「折りたたみクーラーボックスとスタックできる」など、
カット工程の少なさや使い勝手も考えてのサイズなので、とりあえず簡単につくってみたい!という人は今回のレシピ通りがおすすめです。
【POINT】
底板やフタをつくるまえに目的の「隙間埋め」ができるか確認します。今ならまだ柱に板を張っただけなのでやり直しも簡単
【4】持ち手用の穴を開けます。幅が長い方の内側には荷物をかけるフックをはめる予定なので、短い方の面に、高さや横からの距離が向かい側の板と同じになるように測り、印を付けてからドリルで穴を開けましょう。
【POINT】
今回持ち手として使用するのはセリアの綿ロープ太さ6mmですが、そんな大きな穴を開けるドリルビットがない!という人は、ドリルで下穴を開けてから、ドライバービットを使えばOK。1×10材などに使われるSPF材はやわらかいので、下穴さえあればドライバーでもぐいぐい穴が広がります
【5】合板で底板を張ります。筆者の場合、家に端材がたくさんあるので底板も余っていた合板を組み合わせて張ることにしましたが、最初からやる人は
きっちりサイズで新しい板を購入する方が強度も割れにくさも高いです!
【POINT】
このあたりで一度、全体に紙ヤスリをかけておくと滑らかで触り心地がよくなります。特に合板は1×10材と違って表面がガサガサしているので、トゲ防止のためにもヤスリをかけておきましょう。
【6】フタをつくります。33cmにカットした1×3材を6本並べて、32cmの1×3材で留めていくだけ。このとき、横に渡した木材がフタを閉めたときに本体のフチに引っ掛からないよう、印を付けてから留める場所を決めましょう。
【POINT】
写真のように、並べた木材の頭を壁などに押し付けてビス止めすれば、ずれずに綺麗な仕上がりに
【7】同じ要領でLOWをつくります。LOWは、側面の板が1枚になるだけ。ただし、サイズは
TALLよりやや長方形にしています。TALLの中にはセリアで買った小物かけを、LOWの中には同じくセリアで買ったカゴをかけて、こんな感じになりました。
【POINT】
LOWの方をやや長くするのは、愛犬が階段として使って降りるとき、見えやすくするため。人間よりずっと目線が低い犬は、段差の先が見えにくいのです。長くすることで2段目から1段目が見えて、安心して降りてくれます
塗装する
無垢材のままでも素敵なのですが、今回は室内に敷いたレジャーシートに合わせてカラフルに塗ってみることにしました。「ミルクペイント」という水性塗料のガーデン用を使います。
【1】フタは1×3材に1本ずつマスキングテープを貼り、トリコロールに塗ります。
【2】本体も同じカラーを面ごとに使い分けてペイント。TALLとLOWでグリーンとピンクはそろえつつ、TALLにはチョコレートブラウンを、LOWにはバタークリームをアクセントカラーとして使いました。
【3】ステンシルで柄入れ。専用スポンジも売っていますが、筆者は掃除用のメラミンスポンジを使っています。お子様がいる人は、ぜひ一緒に楽しんでやってください。
【POINT】
ステンシルは、ペイント液を薄くスポンジに含ませて何度もぽんぽんと叩くのが綺麗に仕上げるコツ。また、ステンシルシートはメルカリでゲット。気に入るものがなく、ここだけは100均・ホームセンター縛りを破ってしまいました
シートを外すとこんな感じに。自由に遊んで模様を散りばめてください
【4】保護用のワックスを塗ります。タオルや古布(汚れていないもの)にワックスを取り、全体にしっかりなじませながら塗り込みましょう。
【POINT】
ワックスにも色々なカラーがあり、筆者はアンティーク調になるものを選んでいます。ペイントの色を生かしたい場合は、透明なワックスを選んで。アンティーク調にしたい場合は、角や端を濃く塗るとよりそれらしくなります
完成です!しかし、愛犬のためにもう一工夫いってみましょう!
滑り止め用マットを付ける
愛犬が階段として使う際に慌てて駆け降りたり登ったりすれば、滑って事故になることもありえます。そこで、愛犬が滑らないよう、天板に着脱できるマットを着けることにしました。
【1】セリアのマットの裏面に強粘着面ファスナーのオス(硬い方)を、収納のフタの裏にはメスを付けます。
【POINT】
マットの長さは、フタの長さ+11~12cm程度のものを選びましょう。今回は、フタの長さ38.5cmに対して長さ50cmのマットを使っています
【2】フタを巻くようにくるりとマットを着けて面ファスナーで留めます。
完成!フタと本体でマットを挟む形になるのでずれません。また、テーブルにも使いたいことを考えると、愛犬の足についた土や泥が天板にこびりつくのは避けたいところ。泥よけにもなって一石二鳥!
【POINT】
面ファスナーのオスをマット側に付けることで、マットそのものをくるくる巻いて留められるので収納にも便利です。
使わないときはくるくる巻いて収納箱の中に入れておけばOK!
隙間埋め収納の「TALL」には愛犬のお泊りグッズを!
完成した箱階段収納TALLが座席の隙間に完全フィット。この上にインフレータブルマットを敷いてからレジャーシートを敷けば快適な寝床ができそう!
箱階段ができたところで、持って行きたいものがすべて入るのかチェック。愛犬用アイテムは、前述のすべり止めマットや犬用リード、水飲み用ペットボトルなど背の高いものが多いため「TALL」にまとめることにします。
セリアの小物掛けにリードや首輪をかけ、端材で仕切りを付けてすっきり収納できました!実際には、上がデッドスペースになるので
角材を避ける切り欠きを入れた板を乗せて上の部分も活かせるようにしています。
ドライブ中はTALLを座席の隙間に入れておくので、後部座席ドアを開いてすぐに中身が取り出せるのも便利。最終的に、
途中休憩でよく使う水の入ったボトルやペットシーツ、うんちを取り出す袋などを上部に入れておくようにしました。
【POINT】
仕切りは、いったん両面テープで板同士をくっつけて入れるもののサイズに合わせてからビス留めするのがおすすめ。筆者は入れるもののパターンが完全に決まるまでは両面テープの仮留めで様子を見ることにしています
クーラーボックスとスタックもできる「LOW」には人間のアイテムを
実は、手持ちの折りたたみできるクーラーボックスのサイズにも合わせていた「LOW」。こちらも重ねてテーブルになるし、クーラーボックスをたたんだ状態なら車中のテーブルにもなります
人間用の持ち物は、主にクッカーとお菓子、コーヒーパックや調味料でした。中に入れたカゴは、効率的な収納はもちろん、目的地で洗い物をした後の水切りにも役立ちます。
持ち物を入れる際に迷いが生じてあれもこれもとなってしまったのですが…。「食器は引き出しに入る分しか持って行かない」という引き算の美学を実践している先人(1話に登場の@vw1303takeさん)の言葉を思い出し、「LOWに入っていく分しか荷物は持って行かないぞ!」と決意。
最終選抜に残ったのこがこちらです。
- kotoホットサンドメーカー
- ライクイット鉄カップ×2
- バーベキュー用の串
- フォーク・ナイフセット
- 料理用トング
- 銀閃華(福善のナイフ)
- ミニまな板
- シリコン鍋敷き
- マグカップ
- ポット
- お皿2種類
- アルミホイル
- THEキッチンスポンジ
- サラダオイル
- コーヒー
- ほりねーず(ほりにしの新製品)
- マシュマロ
- お菓子…
いや、結構あるな!
思いのほか容量たっぷりな「LOW」。ソロには充分な収納量で、一泊なら問題なく荷物が入りました。でも、食品以外のスタメンギアをいつもここに入れておけば、今後も
キャンプに行きたくなったらこのボックスをひょいとクルマに積めばいいのか…と思うと、普段の収納場所としてもとても優秀です!
車酔いを軽減させるクレートカバー兼車内テーブルもDIY
もう一つ、絶対つくろうと思っていたのがクレートカバー。よくある犬用のクレートは、軽い代わりにドライブ中に車内でガタガタ揺れるんです。なんならカーブで転がってしまうことも…。
車酔いに弱いワンちゃんにとって、これは地獄。筆者宅のたまこもクルマが苦手なので、揺れを軽減するクレートカバーはマストでチャレンジするつもりでした。そしてもちろん、「犬人兼用」。車内のテーブルとしても活躍するものをつくります!
テーブルにもなるクレートカバー
【所要時間】
約1時間半
【材料】 ※幅36×奥行56×高さ32cmのクレート用
- 1×3材 60.5㎝×14本(天板と床、サイドストッパー)
- 1×3材 32㎝×2本(後部ストッパー)
- 幅2.5cm×長さ32cmの端材×2本(前部ストッパー)
- 綿ロープ(太さ4mm) 3mほど
- タイルマット 2枚
- 蝶番(セリア)8個
- ワックス
【材料費】
約2,200円(税込)
※ワックスやミルクペイントをこのためだけに購入する場合は+約3,300円
つくり方
【1】60.5㎝の1×3材の幅3分の1くらいのところに線を引き、そのライン上に10cm程度の等間隔にドリルで綿ロープが通るくらいの穴を開けます。これがケージを固定するサイドストッパー。同様のものを4つつくります。
蝶番を留める位置が重要!2本の1×3材の角同士で留めます。この写真を参考にしてください
【2】穴を開けた1×3材と、同じ長さの穴を開けていない1×3材を蝶番で2カ所ずつ留めます(A)。これも同様のものを4つつくります。
【3】(A)2つの間に60.5cmの1×3材を3本入れ、穴の開いていない真ん中の5本を32㎝の1×3材で固定します。これが底板や天板を留めるブリッジであり、クレートを動かないようにする後ろ側のストッパーになります。
【POINT】
このとき、両端の穴を開けた1×3材が蝶番でちゃんと立ち上がるかを確認してください
【4】タイルマットを入れて、はみ出す部分はカッターやハサミでカットし、両面テープでタイルマットを固定します。前にも2.5cm幅のストッパーが入るので、微調整しながらカットしてください。
【POINT】
犬の車酔いの原因には、揺れが大きくあります。下にタイルマットを敷き、クレートそのものもストッパーで固定することで揺れを防止。下からくる振動も緩和することができます
【5】クレートを後ろ側のストッパーに合わせて置き、前側も細く切った端材でクレートの幅に合わせてストッパーを入れ、クレートを固定します。この時は、1×10材の余りがあったので
斧で縦にカットして前のストッパーにしました。細い端材で、それほどシビアに真っすぐじゃなくていいときはノコギリより斧が早い場合も。
【POINT】
前側のストッパーをあえて細くする理由は、後ろと同じ1×3材にしてクレートがその分奥に引っ込むと、水のボトルがドアのメッシュに付けられなくなるからです。2.5cmがぎりぎりでしたが、鳥の止まり木のような丸い細い材でもいいかもしれません
【6】天井の板もタイルマット以外は同様につくります。並べるとこの状態。実は、これでもうほぼ完成!
【7】天板と床板でクレートを挟み、穴に綿ロープを通してスニーカーを結ぶ容量で片側ずつ上下の板をしっかり固定します。結び目の最後は玉結びにして固定してしまっていいのですが、どちらか片側の一カ所だけ解きやすいようにもやい結びなどにしておくと収納に便利です。なぜなら!
使わないときはこのような感じで、紐を解いて薄くできるから。筆者はクレートに装着しっぱなしにしているのですが、TPOで使い分けてください。
【8】脱線しましたが、こちらにもステンシルで模様を付け、ワックスを塗れば完成です。今回はペイントせず、無垢材の雰囲気を生かしてみました。
最後に、クルマに積んだら
ロープをカラビナでクルマの後部座席を受ける金具などに固定。これでほとんど揺れません。ワンちゃんが車に酔う原因はさまざまありますが、揺れを軽減できるだけでもかなり楽になるのでは…と思います。
【POINT】
クレートは愛犬が自分で回転はできる程度の余地は残し、ほぼ体にぴったりのものがおすすめです。体に対してクレートが広すぎると、いくらクレートを固定してもワンちゃん自体が中で転がってしまうからです。転がりそうになっても壁にもたれて止まる、くらいのイメージで選んでみてください
…というわけで!DIYも無事に終え、荷室の中が完成です。クレートの手前にはやはり100均で購入した犬用足ふきマットを敷いて、階段からダイレクトにクレートへ入れば車内も汚れにくくしました。
奥には収納箱階段LOWと折りたたみクーラーボックスを重ねて、クレートケースとほぼ同じ高さのテーブルに。スッキリして見えますが、収納ボックスと前部座席との隙間を利用して荷物もすべて積めました!
準備完了!いよいよ犬との車中泊旅行へ出発(続く)
狭いながらも、試しに寝てみたらインフレータブルマットを敷いたおかげで寝心地もよく、脚を少し曲げれば寝ることに支障はなく、それとなく形になった気がします。これで本当に犬が酔わないのか?階段は使えるのか?筆者は安眠できるのか?次回、いよいよ実際の車中泊旅行へ!
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