【僕たち「無人島」キャンパーです】まるでトム・ソーヤの冒険!「何もない」から楽しい、仲間と挑む究極のサバイバルキャンプ
2022.08.11ライフスタイル
他とは違う、「尖ったスタイル」でアウトドアを満喫するキャンパーを紹介する連載企画「僕たち○○キャンパーです」。4回目となる今回は、究極のサバイバル体験を楽しむ「無人島キャンパー」を深掘り!街を離れ、大自然に身一つで挑む2日間。絶景あり、ハプニングあり、でも「何もない」環境が教えてくれたのは、「自分に本当に必要なもの」でした。憧れの無人島キャンプのリアルと、その深い魅力をお届けします!
制作者
hinata編集部 松本璃子
登山、キャンプ、温泉が大好き。父から譲り受けた30年もののギアと新作ギアを織り交ぜつつ、アウトドアを楽しんでいます。自然の魅力をたくさんの人にお届けできるよう、頑張ります!
もっと見る
もくじ
連載企画「僕たち○○キャンパーです」
キャンパーの数だけ、独自のキャンプスタイルがあります。そんな個性にあふれたキャンプスタイルの中でも、特に「尖った」スタイルでアウトドアを楽しむキャンパーを紹介する連載企画「僕たち○○キャンパーです」。毎回1組のキャンパーに密着し、気になる「実際どうなの?」や、ユニークなキャンプの魅力を探ります。
「自分とは違うスタイルだけど、楽しそう!」そんな誰かのキャンプを知ることが、まだ見ぬ新しい世界への入り口かも!?あなただけのキャンプスタイル、教えてください!
サバイバルな「無人島キャンプ」を楽しむキャンパーを発見!
出典:PIXTA
誰もが人生で一度は憧れるもの。その代表格とも言えるのが、「無人島」ではないでしょうか?その響きは、成長して大人になった今もなお、子どもの頃の純真な気持ちを思い出させてくれます。
そんな無人島ですが、実際に行くとなると何とも現実感が薄いもの。最初から「難しそう」と諦めてしまいがちです。今回紹介するのは、とある無人島でサバイバルなキャンプを経験したキャンパー。「無人島キャンプ」の秘める魅力や、行ってみないと分からない現場のリアルをお届けします。
2日間の大冒険の始まり!
取材に応じてくださったのは、縫製作家の高橋ヤンさん。
2022年の4月上旬、3人の仲間と一緒に、和歌山県の無人島・地ノ島を訪れました。
縫製作家
高橋ヤンさん
家で使えて旅に持って行きたくなる小物を制作する、縫製作家。元々はウェディングドレスやカメラバッグのようなオーダーメイド品を作っており、2014年にブランド「Baltic Amber(バルティックアンバー)」を立ち上げる。
まさか無人島に行く日が来るとは!
乗船前、港にて。一度無人島に渡れば、迎えが来るまで帰れない。
――なぜ、無人島へ?
高橋さん:友人からの誘いがきっかけです。テレビの「無人島サバイバル」のような番組や、雑誌の「無人島に3つだけ持っていくとしたら?」といった企画を見る事はありましたが、まさか自分に行く機会が巡ってくるとは思わず…。「おもしろそう!」と、飛びついてしまいました。
――向かった先は、和歌山県の地ノ島。決め手は何だったのでしょう?
高橋さん:無人島は景色や雰囲気を重視していたので、ウェブサイトの写真が決め手でした。無人島とはいえ、誰かの所有者物ですので、ツアーのようになっていたのも手軽で魅力的でした。
気になる無人島キャンプの装備
意外にも身軽?
荷物は、かばん1つに収まる分だけ!
――無人島へは何を持って行きましたか?
高橋さん:持ち込んだのは、自作のタープ(3×3mくらいのもの)、タープ用のロープ、ダウンシュラフ、ウレタンマット(リュック等に使う1cm厚くらいのウレタン資材)、折りたたみ式焚き火台、焼き網、ライター、火吹き棒、アルミの鍋、トング、スパイスソルト、シェラカップ、コーヒーミル、焙煎豆、コーヒードリッパー、スポーク、LEDランタン(ゴールゼロ)、ヘッデン、釣具、ナイフ、サンダル。以上ですね。
――食料はどのくらい?
高橋さん:予備のカップラーメンを1つだけ。あとは現地調達するつもりでした。飲料水はプランに含まれる20リットルのタンクを持たされましたので、自分で持って行ったのはビール2缶です(笑)。
――4月上旬に行かれたとのことですが、どんな服装だったのでしょうか?
高橋さん:服装は寒くても暑くても大丈夫なようにという事と、海に入ってもすぐ乾く事を意識しました。船での往復時はカーゴパンツにドライ長袖・フリースパーカーを、水着代わりにドライ素材のハーフパンツを、防寒着として薄手のダウンを持っていきました。
いざ、無人島上陸!サバイバルキャンプスタート
ここに決めた!無人島生活の拠点
――まず、拠点を作ることが重要ですよね。
高橋さん:実際に無人島へ行ってみると、貸切サバイバルエリアと呼ばれた場所は島の一部に閉ざされており、想像よりも狭かったのと、ゴツゴツした岩場か、低木の茂みがほとんどだったんです。木が無くて平らで石がゴツゴツしていない場所を…と思うと2箇所ほどにまで絞られました。選んだ場所は島の山と海の中間あたりでしたね。
――拠点が寝床でもあるわけですが、テントを建てたのでしょうか?
高橋さん:テントは持ってきていなかったので、簡易的なタープ泊でした。漂着した流木をポール代わりにタープを張って、下にウレタンマットを敷いて寝るだけです。昼間の日差しを避けるような高い木が生えていなかったので、タープは助かりました。暑さと日差しで体力を奪われてしまいますからね。
目指せ、海で食料調達!釣果はまさかの・・・
澄んだ海に向かい、竿を振る。
――食事はどんな感じだったのでしょうか。
高橋さん:食料は釣った魚を食べるつもりでした。「魚介類くらい簡単に獲れるだろう!」と。でも大間違いだったんです。4人で1日中竿を振ったり、冷たい海に入ったりと粘ったものの1匹の魚しか釣れず・・・。岩場についていたカメノテなんかを持って行ったスポークで削り取る様にして採りました。
「サバイバル」と言っても、タイムスリップした訳ではないので、密漁にならないように獲っても良いものを調べ、魚も毒魚では無いかネットで確認してから食べましたね。
岩に群生するカメノテ
――1匹の魚と貝だけとなると、なんとも寂しいですね・・・。
高橋さん:持参したカップラーメンとビールには本当に助けられました。いくら食料を見つけたとしても、もちろん炭水化物やお酒は手に入りません。人が農耕しないと味わえないものなので、ありがたみがすごかったです。
無人島での過ごし方
無人島のマジックアワー。誰にも邪魔されない至福の時間。
焚き火を眺めつつ、採れたての貝をつまみにビールをごくり。
――食事以外の時間はどのように過ごしていたのですか?
高橋さん:空いた時間は釣りをしているか、食べれるものを探して、疲れたら友人と話したりしていました。1泊2日なので何かを作ったりするつもりは無かったです。通常のキャンプのようにやる事がたくさんあって時間が過ぎていくかと思いきや、出来ることがほとんどなく、正直暇でビックリしました(笑)。
外に出ていた皮膚が蚊の餌食に・・・かゆい!
――タープ泊だったとのことですが、夜はよく眠れましたか?
高橋さん:夜は風がかなり吹いていて、石に結びつけたタープのロープは突風により何度も外れ、ポールは倒れて倒壊してしまいました。最後は諦めて、風で地面に張り付くタープの下に潜り込む形で寝ました。ペグでしっかりと固定していればこんな事にはなりませんでしたね。
風が止むと、今度は蚊が襲いかかってきて眠れませんでした。長袖長ズボンから出ている手首や足首が狙われて、耳元でも羽音がしていました…。
無人島で迎える朝。仲間と迎えの船を待つ。
持参した調味料で、朝ごはんは簡単に調理!
――無人島で目覚める朝は特別そうです。
高橋さん:風や蚊と戦ったこともあり、夜中の眠りが浅かったのか、明け方から逆に熟睡してしまって、朝日で起きる事もありませんでした。おかげでしっかり朝寝坊。よく寝ましたね。コーヒーを沸かそうと、持参したアルコールストーブを出したのですが、風がありすぎて10分、20分といくら待っても沸かせませんでした。「焚き火で沸かすしか無いかな…」と思っていたら、友人が登山用のバーナーを持ってきていて、貸してもらったのですが、お湯が沸く速さに本当に感動しました。次はちゃんとガス缶とバーナーを持ってこようと思いましたね。
あとは迎えの船を待つのみ!荷物をまとめ、4人で記念撮影。
――2日目は迎えの船に乗って帰るだけと。
高橋さん:帰る間際、タープは撤収して、魚が釣れても仕方ないよなと思い、釣り道具もしまって。散歩をするにも、ひと目で島のほとんどが見渡せるくらいの広さの島。本当に何もする事が無かったんです。お腹も空いていますし、炎天の下、石の上に座り、授業のようにいつか来るであろう船を待つ。正直、暇でした。
何も無いので何もできる事が無いんです。この状況が大変というのとははまた違うんですけど、新鮮というか。「何もないから何もできない」って、ものに囲まれて都市で暮らしてると全く味わう事が無いんですね。ハッとしました。
無人島サバイバルキャンプを振り返って。
反省点もある。でもそれが楽しい。
無人島より無事帰還!コーラで乾杯。
――無人島キャンプを振り返って、持って行って良かったもの、持って行くべきだったものはありますか?
高橋さん:道具でいうと、日よけに役立ったタープと、貝を岩から剥がすのに使ったチタン製のスポークは持って行って良かったですね。
持って行くべきだったものは、ガス缶とバーナーのようなすぐ使える火器と、蚊帳、ペグ、虫除け、かゆみ止め、あとはトランプのようなコンパクトで娯楽として楽しめるものです。
――ずばり、無人島の魅力は何でしょう!
高橋さん:1度体験してみないと分からない不自由さと、自分の無力さ。それが無人島の魅力だと感じました。
なんだか不満ばかりお話ししているようですが、これが自分の中のキャンプの醍醐味でもあって。この不便な感覚が非日常で、楽しい。トライ&エラーで、少しづつ快適にしていくのが好きなんです。
海岸にて。1食分の食料を確保するのも、無人島では簡単にいかない。
高橋さん:そして課題や自分が本当に求めるものが見えてくるのも無人島での1泊2日でした。何もない状況で、どの程度の不自由だと自分が楽しいと思えるのか。ボーダーラインはどこか。何もない所で楽しむためには何が必要か。それが見えた旅でした。
今後も挑戦を続けたい!
カリフォルニア州、ヨセミテ国立公園のジョン・ミューア・トレイルにて
――これからやってみたいことはありますか?
高橋さん:次はこうしようとか、いろいろ考えてワクワクしている自分がいます。また新たな島に行きたいですね。
あとは、3ヶ月~6ヶ月程かけて道を歩くアメリカの「ログディスタンスハイキング」をやってみたいです。年に1回、2泊3日程度の尾瀬やヨセミテ国立公園でのトレイルは歩いたりしますが、ロングトレイルと言えるほどの長距離には挑戦した事がなく、憧れがあるんです。
今回は自分の中での裏テーマとして、「ロングトレイル中に寄る離島」というイメージで、リュック1つに入る分だけの道具を選びました。ネットで情報収集をし、現地での自分を想像してパッキングしている時からワクワクして楽しめました。
今回紹介した無人島はこんなところ!
和歌山県・地ノ島キャンプ場
出典:PIXTA
今回高橋さんたちが2日間を過ごしたのは、和歌山県有田市の無人島・地ノ島。
東京ドーム10個分ほどの大きさで、漁港から船で10分足らずの位置に浮かぶ島です。エメラルドグリーンの透き通った海は、訪れる人々を魅了する絶景。
そんな地ノ島でサバイバルなキャンプを楽しめるのが、1日1組限定の貸し切り、「サバイバルプラン」です。定期船も来ない秘密のエリアにチャーター船で乗り込み、究極のプライベートキャンプをスタート。徹底的な自給自足生活に挑戦するも良し、景色を眺めてもの思いにふけるも良し。綺麗な海や満点の星空を、ひとり占めにできます。キャンプに必要な最低限の道具をレンタルすることもできるので、本格的なサバイバル体験にも手軽に挑戦可能。
普段のキャンプに物足りなさを感じている方、日々にもっと刺激が欲しい方、ぜひ一度、無人島キャンプに挑戦してみてはいかがでしょうか。まだ見ぬ世界と新しい自分に、きっと出会えるはず!
【施設詳細ページ】
この記事で紹介したスポット
キャンプ場画像 | |
---|---|
キャンプ場名 | 無人島・地ノ島 |
リンク | キャンプ場の情報を見る |
僕たち◯◯キャンパーです
他とは違う、「尖ったスタイル」でアウトドアを満喫するキャンパーに取材をする企画です。