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家族総出でDIY塗装!54万円のトヨタ・プロボックスがキャンプなクルマに大変身

2022.03.30ノウハウ

最近街でも多く見かけるキャンプなクルマ。いきなりの購入や専門店でのカスタムはコストがかかりそうですが、そこまでお金をかけずとも、愛車を理想の形に近づける道はあります。それはDIYで車をカッコよくカスタマイズしていく方法。今回、初心者でもできるクルマのDIY塗装の手順を解説。54万円で手に入れたプロボックスが、男前に仕上がっていく様子をご覧ください!

ファミリーカーの買い換えで、プロボックスを選んだワケ

前回までのあらすじ

塗装編
中古で購入したウォルクスワーゲン・ゴルフトゥーランを、キャンプ車として4年間、愛用していた朝倉ファミリー。しかし、その別れは突然に…。車検のタイミングで、エンジンまわりの故障の修理をふくめ、100万円近くかかることが判明したのです。 そこで、維持費や燃費のいい国産車への買い換えを検討。自動車税などのコストを大幅に下げられる商用ライトバン、トヨタ・プロボックス(約10万キロ)を約54万円で手に入れました。さらに「乗っていてワクワクする車」という条件をクリアするため、DIY塗装で、男前なクルマづくりに家族で挑むことを決意。
▼車の維持費を5分の2にできたワケを知りたい方はコチラ

DIY塗装を教えてくれるのはこの人!

東京リペア株式会社 代表取締役 長谷川 憲一(通称:ケン)さん

塗装編
関東周辺で、住宅や店舗に付いた傷や劣化を出張でリペア(補修)・再生塗装する東京リペア株式会社を経営。木工や金属加工、彩色や繊細な塗装技術など、住宅建材の幅広い知見と美的センスを生かし、DIYクリエイターとしても活躍中。ヒルナンデス・めざましテレビ・NHKなど、テレビ出演歴も多数。 最近ではプライベート車のランドクルーザープラドと、軽商用バンをDIY塗装した経験から、初心者向けに車塗装のアドバイスも。「なるべくコストをかけず、理想に近づくDIYのお手伝い」がモットー。

塗装前のプロボックス(Before)

ツヤのある淡いグリーンの車体

塗装編
2017年式のトヨタ・プロボックスCM DXコンフォート。ボディはメロンソーダを彷彿させる淡い緑色で、街でもよく見かけるツヤのあるカラーです。全塗装の前に、前後のエンブレムは外しておき、バックドアなどに付いているシール類は、市販のスクレーパーと脱脂剤で剥がしておきます。こうすると、すぐ作業に入れるのでスムーズです。
塗装編
車の表面にホコリや砂が付いていると、きれいに塗れないので直前に水洗いします。ローラーと刷毛塗りのため、塗料飛散の心配はほとんどありませんが、念のため大きめのブルーシートを下に敷いておきます。

傷があっても修復可能!

塗装編
購入したプロボックスは、左右のフロントバンパーの下部分と、車体の側面にすり傷のようなものがありました。この傷は塗装前にパテ塗りの下処理をすることにより、修復が可能です。
塗装編
【傷の下処理手順】 ・まず150番の荒いやすりで傷をならす ・バンパー用のうすづけパテで傷を埋める(パテ塗り) ・パテを乾かす(30分~1時間程) ・320番のやすりでパテ部分を削る あとは他の部分と同じように、塗装の作業を進められれば傷は見えなくなります。

用意しておくものはこちら!

材料はすべてオンラインショップで購入

塗装編
【ボディ部分】※3人での作業を想定 ・マスキングテープ 8個くらい ・布マスカー(50mm/1100mm各一本ずつ) ・SOFT99 (99工房) 脱脂剤 シリコンオフ300 300g 09170 ・耐水サンドペーパー600番(24枚入り) ・耐水サンドペーパーホルダー×3 ・タカラ塗料 刷毛塗用水性(L29-80H)4kg ・バケット型ローラートレイ×3 ・ローラー×3 ・刷毛(大・中・小各1本ずつ) ・バケツ ・ウエス ・ゴム手袋×3 【塗り分け(マットブラック/オレンジ)部分】 ・染めQ ミッチャクロン マルチ 420mlアサヒペン 高耐久ラッカースプレー 300mlツヤ消し黒×4 ・NX483ラバーチッピングブラック 420mlタミヤ スプレー No.73 TS-73 クリヤーオレンジ 85073アサヒペン高耐久ラッカースプレー 300ml クリヤ 材料は車のDIY塗装を得意とするタカラ塗料のHPとケンさんのアドバイスを参考に、タカラ塗料・Amazonで用意。総額約3万円。

塗料用色見本からカラーを指定

塗装編
「日本塗料工業会 色見本帳 塗料用標準色 2021年 L版 ポケット版」2,700円(税抜)
肝となるカラーは、タカラ塗料の提案色から選べますが、より細かく好みのカラーを指定したかったので、塗料用の色見本を購入。家族で好みの色など意見を出し合い、散々悩みました。最終的にカッコ良すぎず・かわいくなりすぎない、薄い抹茶色のようなカラー「L 29-80H」に決定。

作業スタート!<塗装前の準備>

ステップ1.マスキング(養生)

塗装編
DIYベテランのケンさんいわく、「塗装は、準備が8割」。窓やドアハンドルなど、塗装しない部分に塗料がつかないようマスキング(養生)する作業が、一番大変で時間がかかると前置きされました。まずは窓枠やドアハンドルなど、細かい部分をマスキングテープで養生していきます。
塗装編
塗装編
窓ガラスには新聞紙よりも、マスキングテープと養生シートが一体となった「布マスカー」を使うと作業効率がアップ。マスキングを綿密にやらないと余計なところに塗料が入ってしまい、きれいに仕上がりません。友人も助っ人に入り、ケンさんに指導してもらいつつ、大人3人で作業して2時間ほどで完了。結構しんどいです。

ステップ2.足つけ(やすりがけ)

塗装編
塗装部分を耐水サンドペーパー(紙やすり)600番で削り、荒らします。車を削るなんて、はじめはためらってしまいますが、表面を荒らすと細かい凹凸ができ、塗料が定着しやすくなります。
塗装編
面積が広い部分を削るときは、ホルダーにサンドペーパーを巻きつけてムラが出ないようにします。ホルダーは手のひらサイズのスポンジのようなもの。専用のものをネットで購入しましたが、100円均一に売っている食器洗い用スポンジでも代用できます。
塗装編
ひとつ前のマスキングは細かい作業になり、少し難しいですが、足つけは子どもできます。車に傷をつけるなんてふだんは決して許されないので、この日限りの特別な経験でした(笑)。やすりがけは、全体が白っぽく曇る程度になれば大丈夫。大体40〜50分ほどで完了。

ステップ3.脱脂

塗装編
シリコンオフスプレーで、表面のワックスを落としていきます。今回は液体タイプより施工性のよい、スプレータイプを使用。ゴム手袋をし、スプレーした車体をウエスでふき取ります。足つけの手順で出た削りカスやホコリも一緒に除去。脱脂をすることで、塗装をした塗料の密着がよくなり、はがれにくくなります。
塗装編
毛くずの出るタオルを使うと、ホコリを車につけることになってしまうので、紙ウエスなどを選びましょう。いよいよ塗装目前!ということで気合が入ります。大人3人で手早く全体をふき取り、30分ほどで完了。

お待ちかねの塗装作業!

塗料の準備

塗装編
開封前に缶を振り塗料をよく混ぜてから、必要な分だけローラートレイに移します。今回は水性塗料なので、5〜15%程度の水で薄めて使います。

子どもでも簡単&たのしい。ローラー&刷毛塗り

塗装編
待ちに待った塗装の時間。塗料はぜんぶで3度塗りします。1回目は全体を薄く塗っていきます。ローラーに塗料がたっぷり付いているとムラになりやすいので、トレイの縁で塗料をよく拭ってから使います。この段階では、元の色が透けるくらい、塗料がかすれている程度でOK。
塗装編
パーツのキワや隙間など、細かい部分は大・中・小の刷毛を使い分けて塗ります。
塗装編
軽く乾いてきた部分から重ね塗りしていきます。ムラの原因になるので、塗料をよく混ぜ、ローラーに塗料を付けすぎないよう注意して、とにかく薄く塗り延ばしていくこと。3月上旬で気温15℃くらいのため、大体20〜30分程度で乾きました。前方から塗りはじめ、後方が塗り終わるころには、前方が乾いているので、待機時間はありません。2回目の塗装で、元の色はほぼ見えなくなりました。

仕上げ

塗装編
3回目は、少しムラになってしまっている箇所や、塗り残しが見られるところを、丁寧に塗って仕上げていきます。大人3人、子ども2人でローラーや刷毛を順番に使って作業し、ー度目の塗装から、2〜3時間で完了。仕上げは大人が行うのは理想ですが、小学生くらいの子どもなら、無理なく楽しくできる作業です。 塗り残しがないか確認できたら、マスキングを外していきます。完全に乾いてしまうと、塗料も一緒にはがれてしまうことがあるため、乾く前に行いましょう。

ボディ以外の塗り分けでイケメン度アップ!

ウインカーをカスタム市場で人気のオレンジに

塗装編
ヘッドライトのウインカー部分とサイドマーカー(車側面の小さなウインカー)を、オレンジ色に塗装。北米仕様のデザインは、街でも目を惹きます。この部分は、刷毛塗りよりも自然な仕上がりにするため、『タミヤ スプレー No.73 TS-73 クリヤーオレンジ 85073』を使ってスプレー塗り。
塗装編
基本的な手順「マスキング→足つけ→脱脂→塗装」は同じですが、塗装の部分で、塗料の密着性を高める『染めQ ミッチャクロン マルチ 420ml』で下地をつけた後にオレンジスプレーで色付け。さらに、より耐久性を高めるため、クリアコーティング『アサヒペン高耐久ラッカースプレー 300ml クリヤ』で仕上げました。

マットブラックの塗り分けにより、引き締まった印象に

塗装編
塗装編
塗装編
フロントバンパー、ピラー、ホイール、エンブレム部分を、『アサヒペン 高耐久ラッカースプレー 300mlツヤ消し黒』を使い、ウインカーと同じ手順でマットブラックに塗り分け。 【手順のおさらい】 ①マスキング ②足つけ ③脱脂 ④『染めQ ミッチャクロン マルチ 420ml』 ⑤『アサヒペン 高耐久ラッカースプレー 300mlツヤ消し黒』 ※マットな仕上がりにするため、ここではクリアコーティングを行いません。 ※足つけ→脱脂→『染めQ ミッチャクロン マルチ 420ml』の工程は省いても大丈夫です

チッピング塗装で、存在感をアピール

塗装編
塗装編
フロントバンパーの一部とエンブレムは、スプレーでマットブラックに塗装した後、『NX483ラバーチッピングブラック 420ml』を使い、チッピング塗装で仕上げました。目立つパーツに施すことで、ざらりとした質感になり、重厚感が引き出せます。

男前に生まれ変わったプロボックス(After)

塗装編
日が当たると、黄色がかったクリーム色に見える塗装後のプロボックス
色見本では薄い抹茶色のように見えた「L29-80H」ですが、ひなたでは黄色がかったクリーム色、日陰ではレモンイエローと黄緑色の間のように見える、不思議で魅力的なカラーに着地。紙に印刷された色見本と、車に塗装した色とではだいぶ印象が違うものの、我が家では「ピスタチオカラー」と納得し、とても気に入っています。街でも駐車場でもとてもよく目立ち、まさに乗っていてワクワクする理想の愛車に変貌しました!
塗装編
日陰ではレモンイエローと黄緑色の間のような色味
ケンさんのような経験者の指導があっても、マスキングのところなどは手こずったので、初心者が丸1日で全塗装を行うには人数と下準備、予習がかなり必要になると思います。実際今回9時〜18時近くまで、大人3人、子ども2人で休憩を挟みながら作業しましたが、日が暮れてしまい、塗り分けの一部は別日に行いました。 しかし、完成したときの喜びと感動はひとしお。家族や仲間とワイワイ車に色を付け、見違う姿を目の前にしたときは、下準備の辛さなど一気に吹き飛びます(笑)。

初心者でもできる!プロボックスのカスタム

塗装編
塗装の次はシートカバーをキャメルにし、車中泊ができるようにトランク部分を快適に、荷物を載せるルーフラックを取り付け、タイヤをオフロード用に履き替え、ゆくゆくはリフトアップも…。夢はどんどん広がります。今回の経験で、私たちのような初心者でも、低コストで理想のクルマを作り上げられるとわかりました。興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください!

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