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【大分のバルンバルンの森】廃園寸前から九州有数の人気キャンプ場に!笑顔満点の夫婦が創る森で、笑顔になって帰れる場所

2022.02.28キャンプ場

頭の中をからっぽにして、森で楽しんでほしい──。管理人夫婦の描く世界観がそのまま反映された場所が、大分県中津市にある人気キャンプ場「バルンバルンの森」です。年間の利用者が120人という廃園寸前の状態から、夫婦が自費で20年かけてセルフリノベーション。今では2人が生みだす手づくりの森を求めて約5000人が来場するようになり、「読書室」でうたた寝をしたり、星を眺めたりと、思い思いにくつろげる空間がキャンパーの間で話題になっています。

夫婦が廃園寸前のキャンプ場に魅せられたワケ

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▲たしろさんが一目惚れした桜の風景
大分県の代表的な景勝地、耶馬渓(やばけい)で知られる中津市。1979年から町営(現在は市営)のキャンプ場として運営されていたのが「洞門(どうもん)キャンプ場」です。現在も、市営のまま、通称「バルンバルンの森」として運営されています。 その運営・経営・管理に携わるのが、1999年に中心部のJR日豊本線・中津駅周辺から森の周辺に引っ越してきたたしろかずのりさんじゅんこさん夫婦。アウトドアに精通していると思いきや、もとはインドア派。この森との出会いは、引っ越してきた当初、突然地元の方にキャンプ場をやってみないか、と話しかけられたことだったといいます。 当時は、赤字経営でキャンプ場の手入れや整備が全く行き届いておらず、草木が生い茂り、廃園寸前。そんな状態にもかかわらず、たしろさんの心をひきつけて離さなかったのが、満開の桜でした。この桜を見上げながら、2人で自由に、何かできると感じたそうです。

雑巾がけからスタートして手づくりの森を整備

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▲5,000円で「森の巣箱オーナー」に登録可能。森の整備などの資金にあてられます
赤字経営だったキャンプ場の運営を町役場に交渉しに行きましたが、すぐには許可はおりませんでした。それでも、あきらめず何度も通った結果、3年後の2002年にアルバイトとして携わるように。当時の時給は700円、それも一人分だけ。雑巾がけや新しい看板づくりなどの雑務からのスタートでした。 「それでも続けられたのは、大好きな場所を2人でつくっていくことに楽しさを感じられたからです」。じゅんこさんはこう振り返ります。2006年にようやく町から正式に委託を受け、2017年に指定管理者になりました。 「バルンバルンの森」という名前は、じゅんこさんが2011年に命名。「~の森というのは決まっていました。バルンバルンというのは、音が良くてつけちゃいました」。

根底にあるのは笑顔になってもらえる場所づくり

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▲2022年春完成予定のツリーハウスのイラスト図。じゅんこさん作
森に出会ってから今でも意識しているのが、訪れた人が「笑顔」になる森づくり。頑張らないキャンプ、一日何もしなくても良い環境を提供しています。森の時間で、自然と笑顔が生まれる、森から家に帰った後でも、森の時間を思い出して笑顔になる──。そんな各々が自由に過ごす空間を創りあげています。 お客さんの中には、中津駅まで電車、駅からサイクリングロードを通って、森まで約14kmの道のりを一輪車で来る方もいるそうです。一輪車を漕いでくることが一番の目的で、森はただの目的地。「お客さん、それぞれの時間の使い方で、好きなことをして笑顔で帰ってもらうのが一番です」(じゅんこさん)
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▲ツリーテラスから橋をつくり、ツリーハウスとつなげる予定。デッキからは耶馬渓が臨めます
森はじゅんこさんが主にアイデアをだし、かずのりさんが実際に形にする、という流れ。石窯やツリーハウス、鳥の巣箱など、一枚のキャンバスにスケッチするような感覚で森を創りあげてきました。それでも2人のアイデアはとどまるところを知らず、現在も新しい挑戦を続けています。
その一つが、クラウドファンディングで資金を募って改修し、2022年春に完成予定のツリーハウス。進行形で次々に、森の新しい姿が創造されているのです。ツリーハウスのあとは、フリーサイトを森っぽく仕上げるために木を植える予定です。

読書室やカフェ、家族風呂まで整備!

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▲フリーサイトは、地面の土の状態が良ければ、車の横付けも可能
バルンバルンの森は、日帰りと宿泊利用ができます。開放感あるフリーサイトは20張ほどのテントが張れる広さ。満天の星を見上げながら、キャンプを楽しめます。宿泊エリア「森の小屋」には、9棟の宿泊小屋が整備。森の空間を存分に体感できるのが特長です。寝具や焚き火セットなどのレンタル用品はそろっているため、キャンプ初心者でも安心。バーベキューの食材は地元のもの。シャワー室はもちろん、家族風呂もあり、手ぶらで訪れても問題ないサービス内容になっています。
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▲読書室「ヨムネルの巣」。キャンプ場全体として、22時以降はクワイエットタイムとなり、静かな空間に
そのほかにも、読書室「ヨムネルの巣」やカフェ「うたうように。」が完備されています。ハンモックでうたた寝したり、読書に没頭したり、コーヒーでホッと一息ついたり、自由な森時間を過ごすことができるのです。これらはすべて手づくり。ペンキを塗ったり、扉をつくったり、2人が頭に描くワクワクするような世界観が反映されています。
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▲カフェでホッと一息つくこともできます
じゅんこさんのお気に入りは、カフェからツリーハウスを眺める席。秋にはツリーハウスと紅葉を眺めながら、コーヒーを飲める特等席です。

カフェ巡りや美術館巡りの感覚で森巡りを

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笑顔が絶えないたしろかずのりさんとじゅんこさん夫婦
九州はもちろん、山口や広島、シーズンになると、関西や関東からくるお客さんもいるほどの人気っぷり。2人で始めた1年目は年間約120人の来場者だったのが、現在では、年間5000人ほどまで伸びています。 じゅんこさんが願うのは、「カフェ巡りや雑貨巡り、美術館巡りをするように森を巡りに来てほしい」。これからも新しく創造されていくバルンバルンの森で、深呼吸をしながら、ゆっくりと森を巡ってみてください。
【基本情報】 住所:大分県中津市本耶馬渓町曽木459‐9 電話:0979-52-3020 営業期間:通年(冬季は限定営業) 料金:[テントサイト]3,500円~ [森の小屋]9,500円~ [木製キャンピングトレーラー]24,000円~ チェックイン/チェックアウト:テントサイト13:00 森の小屋15:00/10:30 公式はこちら:バルンバルンの森


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