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NATIVE CARAVAN

「キャンピングカーレンタル」で、仕事と遊びの境をなくす。新しい「旅」の形とは?

家族や仲間とくつろぎながら移動できる、夢のような乗り物キャンピングカー。公共交通機関で遠出するのもためらわれるこのご時世だからこそ、キャンピングカーをレンタルして、プライベート空間で「移動」そのものを楽しむのもひとつの楽しみではないでしょうか。神奈川県茅ヶ崎市でキャンピングカーのレンタルサービスを営む「NATIVE CARAVAN」代表の滝島さんに、多様化するキャンピングカーの活用法について教えてもらいました。

広がるキャンピングカーの可能性

キャンピングカーはキャンパーをはじめ、アウトドアや冒険、旅が好きな人、大人も子どももみんなの憧れ。「動く家」として、車内には基本的な住環境設備が整えられ、冬は凍える心配なく、夏はエアコンで快適に出かけられます。そんなキャンピングカーに、一度は乗ってみたい!と思っている人も多いはず。 とはいえ、キャンピングカーを購入するというのは、費用やメンテナンスの手間などを考えてもなかなかハードルが高いもの。そこで、キャンピングカーのレンタルサービスを仕事とし、プライベートでもキャンピングカーを愛用するNATIVE CARAVAN代表の滝島さんに取材。 キャンピングカーを「持つ」のではなく「シェアする」選択に切り替えることで、夢を叶えた人たちのエピソードとともに、これからのキャンピングカーライフについて語っていただきました。
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NATIVE CARAVAN代表取締役

滝島大介

都内や湘南のウェブ制作会社を経て、2017年神奈川県茅ヶ崎市でNATIVE CARAVANを創業。キャンピングカーやアウトドアレンタル事業から開始し、2019年ウェブ・動画制作事業をスタート。ローカルからローカルへ、常に時代の変化をキャッチして、いまの時代に合わせたクリエイティブを提案しています。趣味は旅や登山、野外フェスへとアクティブに活動すること。

キャンピングカーを仕事にしながら遊ぶ。夢のようなバンライフ

もともと、WEB制作の仕事をしていた滝島さん。湘南・茅ヶ崎に引越し、「単純に、自分がキャンピングカーに乗りたいから」という理由でキャンピングカーのレンタルサービスをはじめたといいます。 滝島大介さん(いか「滝島さん」):キャンピングカーは欲しいけど、自分が所有するのは維持費やコストの面でハードルが高いなと思って。Airbnbの登場でバケーションレンタルやシェアハウス・シェアオフィスが普及して、人に貸したり、人と“シェアする”という概念が定着しつつあるじゃないですか。 そこで、キャンピングカーのレンタルも需要があるなと感じて。銀行にお金を借りて友人と貯金を出し合い、キャンピングカーを2台買って、キャンピングカーレンタルサービス“NATIVE CARAVAN”をスタートさせました
そうして、手に入れた念願のキャンピングカー。お客さんからの予約がない日は、滝島さんやスタッフの方たちが利用しています。キャンピングカーやアウトドアの撮影で収益を得ながら、プライベートでも仲間とともにフル活用。NATIVE CARAVANで働くスタッフの方たちは、みんな生き生きとしていて幸せそうにみえました。 滝島さん:スタッフは割引きでキャンピングカーを借りれるので、宮崎までサーフトリップに行った人もいます。うちで働いてもらっている特権ですね。

キャンピングカーで、移住先を決める旅

そんな滝島さんが代表を務めるNATIVE CARAVAN(以下NC)。通常のキャンピングカーレンタルショップとは違う、少し変わった取り組みをしています。 滝島さん:以前、下北沢のある音楽バーの店長さんから、キャンピングカーで移住先を探す旅がしたいと相談を受けて。最終的に、熊本でいいところが見つかったので移住されたのですが、そういった相談、うちの会社は大歓迎。全力で応援したいので、格安で貸しましたね。 湘南の人気美容師さん夫婦から、人の髪を切って全国を旅する「CUTRIP」という企画を提案されたときも、キャンピングカーを協賛として使ってもらった、と楽しそうに話します。
滝島さん:昨年は、ヨガのインストラクターをしている知り合いが、キャンピングカーで自分の活動を広める旅がしたいと話してくれて。コロナ禍でみんなが外出しづらいとき、自分から訪ねていって、みんながリフレッシュできるようなイベントを開催したいと。そういうことであればぜひにと、うちは協賛してキャンピングカーを貸したんです。
滝島さん:協賛する代わりに、“#NATIVECARAVAN”とハッシュタグつけてSNSなどでPRしてもらう。そういった活動のおかげで、フォロワー数がすごく増えたり、「〇〇さんが借りていたキャンピングカーだ!」といって、口コミで広がったりします。結果、全国に友達が増えて、借りてくれる人も増える。うちとしてもプラスになっているんです。

ピンチをチャンスに変え、さらにファンを増やす

キャンピングカーを媒介に、全国に友だちも増える!と、順風満帆のように思われるNCですが、もちろん、いいことばかりではありません。 滝島さん:キャンピングカーのレンタルは、交通事故が多いんです。うちの場合、1年間で2~3件くらいは事故が起きています。事故が起きてしまったあと、修理期間中その車が貸せなくなります。うちは車の台数が少ないので、提携している他の店舗に代車を用意してもらえるか、相談しなければなりません。そして用意できない場合、すでに予約いただいているお客さんに、止むを得ずキャンセルさせて頂く場合もありました。
滝島さん:修理費や営業ができなくなってしまうダメージよりも、キャンピングカーでの旅を楽しみにしてくれている、お客さんの信頼を裏切ってしまうダメージの方が大きい。 なので、車を貸せなくなってしまったお客さんへ、お詫びに別の旅のプランを考えて提案してあげたり、NCで有料レンタルしているアウトドア用品を無料で貸してあげたり。 そういう対応をすることで、非常に残念に思われてたお客様にも、逆に『ありがとう』と言ってもらえることも多いです。
NCは地元・湘南のローカルイベントや催事に積極的に出展したり、手描きのイラスト付きチラシを友だちのお店に配って歩いたり、またSNSを駆使したりと、口コミで少しずつその名を広めていきました。 ピンチのとき、一人一人に寄り添うきめ細かな対応ができるのも、ファンを増やすゆえんに違いありません。

1年で340日間眠っているキャンピングカー。僕らの手で元気にしたい

この勢いで、キャンピングカーのレンタル事業を拡大するかというと、規模自体は継続していくつもりだという滝島さん。どうやらそのエネルギーの矛先を、方向転換するようです。 滝島さん:今、日本全国で所有されているキャンピングカーのうち、年間の稼働率は平均で20日間ほどと言われています。1年のうち、約340日は駐車場に眠っているキャンピングカーがほとんどなんです。 僕らに空いているキャンピングカーを貸してもらえれば、おもしろい事業へと展開できます。個人でも法人でも、眠っているキャンピングカーのオーナーさんたちと手を組んで、今後はそれを活用するビジネスのプラットフォームを作っていきたいと思っています。
ネイティブキャラバン
NCは、今月からキャンピングカーの販売も開始しました。さらに地元茅ヶ崎に、キャンプ場を作る計画中なのだとか。 自分の好きなキャンピングカーを、ビジネスにもプライベートにも応用し、仲間とともに人生を謳歌し続ける滝島さん。今後も目が離せません!
撮影・取材協力:NATIVE CARAVAN

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