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テンプラサイクル

【自転車キャンプのいろは】世田谷の名店テンプラサイクルに聞く、クルマにない快感と持ち物一式

車、バイクに次ぐ、第3の勢力として定着している自転車でのキャンプ。自転車は「エンジン」が己の肉体なので、車やバイクより過酷なのは当然。しかし、自転車でのキャンプだからこその楽しみや達成感があり、多くのファンがいるのも事実。今回は東京・世田谷にある人気自転車ショップ「テンプラサイクル」で、その魅力と、持ち物などのノウハウについて聞きました。

自転車でもキャンプにいける!

オートキャンプやバイクキャンプにはない楽しみ

バイクパッキング
オートキャンプやバイクキャンプに並ぶキャンプスタイルとして定着している、自転車キャンプ。キャンプギアをトランクに詰め込む代わりに、自転車に取り付け、人力でキャンプ場までペダルを漕いでいくスタイルです。決して楽ではありませんが、他のスタイルにはない多くの楽しみがあります。

東京・世田谷の自転車ショップ「テンプラサイクル」

テンプラサイクル
今回は、自転車ショップでありながらキャンプギアを取り扱い、自転車×キャンプのスタイルを提案する東京・世田谷の「テンプラサイクル」を取材。テンプラサイクルは自転車ショップとしては12年の歴史があり、かつて、競輪などで使われるスポーツサイクル「ピスト」のブームの火付け役となった人気ショップです。

自転車キャンプについて教えてくれるのは店長の澤邊稔さん

深澤さん
話を聞いたのは、店長の澤邊稔さん。もともとお店のお客さんでしたが、自転車好きが高じ、テンプラサイクルの店長に就任。お店がお休みの日は自分でカスタムした自転車でキャンプを楽しんでいます。そんな専門家に、自転車キャンプの魅力やノウハウについて教えてもらいました。

自転車キャンプの魅力は車やバイクにはない自由さ

深澤さんインタビュー
──自転車でキャンプするのは、車やバイクより明らかに過酷ですが、自転車キャンプならではの魅力とは何でしょうか。 澤邊:自転車キャンプの魅力の一つが車やバイクにはない自由さだと思います。現地のキャンプが1番楽しいのは車でも同じですが、自転車だと道中を自由に過ごして楽しめるのが魅力です。ちょっと寄り道するとか、目的地を変えるとか、その時の気分で自由にできます。例えば、東京だったら、若洲海浜公園などが近くて行きやすいですが、途中で築地によって魚介を買ったりできます。駐輪する場所にも車より困りません。 ──確かに高速も使えないし、いろんな場所に寄れて道中も楽しそうですね。でも自転車を漕ぎ続けるのはしんどくないですか? 澤邊:しんどさはもちろんありますが、それも魅力のひとつ。自転車を漕ぐのも運動なので健康にいいのはもちろん、疲労感を乗り越えてキャンプ場に到着する達成感も味わえます。僕の場合は自転車そのものや、サイクリングが好きというのは大前提です(笑)。

自転車キャンプのやり方

自転車の選び方

自転車 説明
キャンプ自転車
──自転車キャンプに向いている自転車はどのようなものですか? 澤邊:昔は、自転車フレームにラックやキャリアなどのパーツを取り付けて、そこにバッグを装着して荷物を運べる、ランドナーと言われる自転車が主流でした。でも、今はキャンプギアの軽量化が進み、荷物も少なく済むので、クロスバイクやロードバイクでもキャンプができますよ。バイクパッキングシステムという、自転車にバッグを直付けする方法で、必要なギアを持ち運べます。
ストームチェイサー
──澤邊さんもバイクパッキングスタイルの自転車ですね。なんという自転車ですか? 澤邊:僕が乗っているのは、アメリカの自転車メーカー「SALSA CYCLES(サルササイクル)」のストームチェイサーという自転車です。この自転車はグラベルロードと言って、ロードバイクよりはタイヤが太く、多少のオフロードでも走れる自転車です。ハンドル、フレーム、サドルに付けた3つバッグと、フォーク部分(前輪が付いている自転車フレーム)に荷物を装着してキャンプに行っています。
フォーク
──実際、自転車キャンプでは、皆さん、荷物の重さはだいたい何kgぐらいなのでしょうか。また目的地となるキャンプ場までの走行距離は何kmぐらいがいいのか教えてください。

 澤邊:荷物の重さは軽いに越したことはありません。どんな方法で積載するかにも大きく左右されますが、僕の感覚的には10kg以内で抑えられたらいいと思います。走行距離も乗る人の体力や自転車の走行性能によりますが、だいたい40kmが初心者でも無理のない範囲です。それだけ走れば、都内だと、都心から奥多摩あたりまで行けます。

キャンプギアは少なく、軽く、コンパクト

クッキングシステム
修理キット
──自転車キャンプのギアや持ち物はどんなものが良いですか? 澤邊:僕は心配性なので、わりと荷物が多い方ですが…(笑)。理想はできるだけ少なく、軽くてコンパクトなものがいいですね。荷物の積載量にも限りがあるし、軽いほうが漕ぐのも楽になるので。そして、自転車キャンプでは走行中のトラブルに備え、携帯工具とパンク修理キットは必須の持ち物ですね。
アイテム
▲左上:山と道のULPad15、右上:レッドレンザーのヘッドライト、左下:ベッドロックのサンダル、右下:フェアウェザーの輪行袋
澤邊:他は、非常に軽量な山と道のマット、レッドレンザーのヘッドライト、自転車を漕ぐ時はビンディングシューズという自転車専用シューズを履くので、キャンプ場などで過ごす時のサンダルも必ず持っていきます。あとは、自転車で走れなくなっても、電車に乗れるように輪行袋も重要。他にも、レインウェアや防寒具、ゴープロなど、結構たくさん持っていきますね(笑)。

澤邊さんお気に入りのアイテム4つ

ナンガ×テンプラサイクルの寝袋「ミルシュラフ ファントム」

ナンガ寝袋
ナンガ
──ここからは、澤邊さんのお気に入りのアイテムを教えていただいてもいいですか? 澤邊:一つ目は、日本のダウンメーカー「ナンガ」とテンプラサイクルのコラボ寝袋「ミルシュラフ ファントム」です。これはナンガの「UDDバッグ 380 DX」をベースにしていて、羽毛自体に超撥水加工が施され、ダウンの暖かさを損なわないことが特徴です。 コラボモデルでは、カラーがオリジナルなのと、胸にポケットとワッペンベースが付いています。ポケットに携帯などを入れておけば、朝起きて携帯が見当たらなくなることもなくなります。

マウンテンハードウェアのソロテント「ゴーストUL1」

ゴーストUL1
ゴースト 1
──自転車キャンプで使うテントはとても気になるところです。何を使われているのですか? 澤邊:僕が使っているのはマウンテンハードウェアの「ゴーストUL1」です。僕は虫が大嫌いなので、ダブルウォールでメッシュインナーがあるものにしています(笑)。テントに出入りの際も、虫が入らないようスピーディーにジップを開け閉めします。あとは、とても軽いし、コンパクトになるのもうれしいポイントです。

ジンダイマウンテンワークスのアタックザック

ジンダイマウンテンワークス アタックサック
ジンダイマウンテンワークス アタックサック
──バックパックも自転車キャンプに持っていくのですか? 澤邊:そうですね。これはジンダイジマウンテンワークスのアタックザックです。荷物の中に入れておいて、いざ必要になった時につかいます。僕は出先で荷物が増えることが多くて、出先で買い物をしたり、着替えももともと入っていたところに入らなくなったり。そんなときにパッと出してバッグに入れられるので便利です。このバッグには下部にジップがあって、そこからも荷物が出し入れできるのが便利で気に入っています。

マニカファクトリーの焚き火台

マニカ 焚き火台
マニカファクトリー
──これは焚き火台ですか?荷物の中では結構大きいですね。 澤邊:これは持って行ったり、なかったりなんですけど、マニカファクトリーの焚き火台です。焚き火台はこれより軽くて小さいものもたくさんありますが 、僕は焚き火は豪快にしたいと思っていて、ちょっと大きいですけど組み立ての簡単さや使い勝手の良さが気に入って、持って行っています。軽くてコンパクトなギアを選ぶのは大事ですが、物によっては自分の好きなデザインのギアを選ぶのもいいと思います。
【基本情報】 店名:テンプラサイクル 住所:東京都世田谷区下馬6ー18ー8,1F 電話番号:03-6453-2655 営業:全日 11:00~19:00 / 毎週水曜日定休 公式はこちら:テンプラサイクル

この夏は、自転車×キャンプに挑戦しよう

天婦羅
今回はテンプラサイクルで、自転車キャンプのノウハウやおすすめのギアについて聞きました。自転車でキャンプに行くことはオートキャンプにはない楽しみがあります。もちろん自転車やギアの準備は必要ですが、比較的チャレンジしやすいキャンプスタイル。ぜひこの夏は、自転車キャンプにチャレンジしてみてください。 取材協力:テンプラサイクル

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