春のキャンプは強風に注意!ベテランキャンパーがサイト設営の必須テクニックを伝授
春のキャンプは一年の中でも過ごしやすく、虫も少ないことからデビューにピッタリの季節です。ただ、気になるのは春に吹く強い風。山の天気は変わりやすく、湖畔や海沿いでも強い風はつきもの。今回は風の中でも快適に過ごせるキャンプのテクニックをベテランキャンパーに伝授してもらいます。ぜひ参考にしてみてください!
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キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
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風を制する者が春キャンプを制する!
ポカポカだけではない春キャンプ。実は風が大敵
春は寒すぎず、暑すぎないため、キャンプデビューに最適な季節です。また虫が少ないため、アウトドアに不慣れな人でも気にせずゆったりと快適なキャンプが楽しめます。ただ一点、注意が必要なのは「春風」。穏やかな風だったらいいですが、キャンプ場がある山の中や海沿いだと春風は強風に変化します。風が強いとテントが暴れ、張るだけでも一苦労。またしっかり設営しないとポールが折れたり、テントが飛んでしまう可能性もあります。
キャンプの達人に風対策を学ぶ
そこで今回はキャンプの達人として知られる山田昭一さんに、風対策についてご教授いただきます!山田さんは大手アウトドアメーカーのPRを長年務め、現在はフリーでさまざまなアウトドアブランドのPRを手がけています。年間50回以上キャンプ場を訪れ、キャンプ歴20年以上のベテランキャンパーです。
風に備えて快適な春キャンを楽しもう
春は風さえ制すれば、快適に過ごせる季節。今回は風に強いサイトの作り方から風に飛ばされやすいアイテムの対策、風と火との上手な付き合い方について一つずつ山田さんに教えてもらいます。
STEP1. 風に強いサイトの作り方
風に強いペグの打ち方は?
まずはペグの打ち方について。ペグは打ち方を間違えると抜けやすく、ケガやテントの破損のもとになります。風に強いペグの打ち方は、①ペグと張り綱の角度を90度にすること②ペグをなるべく深く打つこと―です。ペグは地面に90度の方が深く打てますが、強風などでロープに荷重がかかった時、抵抗が小さく簡単に抜けてしまいます。
柔らかい地面へのペグ打ちのコツ
次に柔らかい地面でのペグの打ち方です。どれだけペグを正確に深く刺しても、砂浜など柔らかい地面ではペグがすぐ抜けてしまうことも。そんな場合に、山田さんがおすすめするのが、「クロス打ち」です。
山田さんによると、クロス打ちはペグを2本一緒に打ちこむ手法。まず1本目のペグを地面に対して60~80度の角度で打ちます。そして2本目のペグを反対方向から同じように打ちます。これでクロス打ちが完成!2つのペグの間の角度は45~60度くらいがおすすめ。クロス打ちを行うことで強度が倍になり、地面が柔らかい場所で強風が吹いてもペグが抜けづらくなります。
人気のツールームテント。風対策のポイントは?
最近流行りのトンネル型ツールームテント。寝室に加えてリビングのスペースが確保されており、タープいらずのために家族やグループに人気のテントです。
「とても使い勝手のいいテントですが、横風には注意が必要。トンネルツールームテントはポールがアーチ状になっているため、対策をしないとポールが真ん中で折れてしまうことがあります」(山田さん)。
対策はシンプルで、しっかり側面のガイロープを張ることで解決します。トンネルの両面を外に引っ張ることで、横からの風に対して強くなり、ポールが折れづらくなります。
STEP2. 風に飛ばされがちなアイテム対策
風に飛ばされがちなアイテムその1
ついつい忘れがちなテントの収納袋。「いつの間にか風に飛ばされてなくなっていた…」という経験はありませんか?また風で飛ばされないようどこかに収納して、いざ撤収する時に袋が見つからないこともよくあります。収納袋は確実に、テント内のポケットにしまっておく習慣をつけましょう。
風に飛ばされがちなアイテムその2
次に飛ばされがちなアイテムはチェア。チェアは軽いものが多く、座っていないと風に飛ばされ焚き火にダイブしてしまうリスクもあります。そこで山田さんが風対策として披露したのが、チェアにガイロープを結び、ペグダウンする方法。いちいち移動の時にペグを抜いたり打ったりと不便かもしれませんが、大事なチェアが焚き火で燃えてしまう心配から開放されます。
STEP3. 風と火との上手な付き合い方
焚き火中は風に注意。諦める決断も…
風が強い日の焚き火は、火の粉や炎が飛ぶリスクがあるため注意が必要です。衣類やチェアが焦げたり、穴が空くだけでなく、最悪やけどをする可能性もあります。焚き火を行う際は、すぐに消火ができるように、そばに消火用の水を用意しておきましょう。
山田さんは「強風のときは近隣のサイトに迷惑をかけることもあるので、焚き火を諦めるのもマナーです」と注意を呼びかけています。
風が強いときの料理はどうすればいい?
風が強い日はバーナーの炎が安定せず、湯沸しや調理が上手くいかないことも…。そんな時のために、風防は用意しておいてください。また熱が伝わりやすいアルミ製のクッカーなら、調理時間を短縮できます!
難燃タイプのテントなら安心
一般的なナイロンテントは火の粉に弱く、焚き火の跳び火で大きな穴が開いてしまうこともあります。「人気のキャンプ場では混んでいることも多く、テントのそばで焚き火をしなければいけないこともあるので、難燃タイプのテントがおすすめです」と山田さん。今回使用したテントはナイロンながらも難燃コーティングがされており、火の粉が燃え広がりにくい素材を採用してます。
さいごに
今回はキャンプの達人、山田さんに風対策について教えていただきました!ペグの初歩的な打ち方からアイテムの対策、火との付き合いなどすぐできる対策ばかりです。ぜひ山田さんを見習って、安心安全かつ快適なキャンプを楽しんでください。