京都のコテージおすすめ10選!日帰りなんてもったいない
米ポートランドから京都へ〜引き継がれたコロンビアのメッセージ〜
2022.07.07ファッション
人気アウトドアブランド「コロンビア」が、京都で築100年の町家を改装した直営店を今秋にオープンしました。ショップのテーマは古都らしい「歴史と文化とアウトドア」。コロンビアファンの間でも注目されていますが、誰もが思うのが「なぜ京都の古民家を店舗にする必要があったのか」という疑問。京都出身の筆者が同店を訪ね、仕掛け人に聞いてきました。
制作者
近藤みのる
hinata編集部のみのるです!
月2回は必ずキャンプに行くhinata編集部きってのキャンパー!グルキャンと、チャリキャンプが好き。
キャンプギアオタク。新しいもの大好きです!
車→カスタムプロボックス 自転車→オーダーメイド テント→いろいろ
もっと見る
もくじ
京都に新しいコロンビアのショップが誕生
ショッピング街に突如現れる、一軒の町家
出典:zenjapan / 写真AC
歴史と文化の町、京都。今でも室町時代から続く景観を守る世界的な観光都市である一方、京都市内の中心部である四条河原町の周辺は、観光客だけでなく、地元の若者も集う日本有数のショッピング街となっています。新しいファッションビルが立ち並び、モダンな表情も持ち合わせているのが京都の魅力です。
コロンビア京都店があるのは、ショップが立ち並ぶ街中の一角。六角通り沿いに位置しています。近隣には多くの有名ブランドのショップがあります。通りを進むと見えるのは、ひときわ異彩を放つ本物の町家。周りにビルが立ち並ぶ中で、突如として現れる町家は目をひきます。
京都店立ち上げに関わった衛藤さんに話を伺いました
普段は、コロンビアのマーケティングを担当している衛藤さん。京都店の立ち上げに関わり、町家改装の際にも立ち会っていました。今回は衛藤さんに、古民家を再生して店舗にする「Columbia KYOTO Project(コロンビア京都プロジェクト)」発足の経緯やコロンビアにおける京都店の役割を伺っていきます。
Columbia KYOTO Projectとは
コロンビアとして、ブランドの姿勢を提示
━━━━ まずプロジェクトが立ち上がったきっかけは何でしょうか
衛藤さん:コロンビアは、アメリカのアウトドアブランドの中でも古くからあるブランドです。アメリカで80年以上、日本でも20年以上の歴史があります。そこで、あらためてコロンビアという伝統あるブランドの姿勢を見せたいという思いから、このプロジェクトが発足しました。
出典:Sean Pavone / ゲッティイメージズ
━━━━ プロジェクトの舞台として京都が選ばれたのはなぜですか?
衛藤さん:コロンビアの発祥地がアメリカのポートランドなんですけど、創業から一歩も動かず、そこで今までやってきたんですね。ポートランドは古き良きアメリカの街。それを日本の街に置き換えたとき、どこで表現できるかを考えた結果、京都が合っているとなりました。
━━━━ 具体的に「Columbia KYOTO Project」とはどういったプロジェクトなのですか。
衛藤さん:「歴史と文化とアウトドア」をテーマに、京都らしい古い町家に最小限の手を加え、コロンビアのショップへと生まれ変わっていくところを、コロンビアのサイトやインスタ、YouTubeなどで紹介したのがColumbia KYOTO Projectです。
町家の良さを存分残した店内
町家建築の大きな特徴は、非常に長い奥行き。うなぎの寝床とも呼ばれる町家は、通常正面の狭い間口から入ると、手前から奥にかけていくつかの部屋に分かれていますが、コロンビア京都店では部屋の壁を取り払い、細長いひと部屋となっています。
━━━━ お店のいたるところに、歴史を感じます。これら全てがもともともあった町家から引き継いだものなのでしょうか。
衛藤さん:この建物は大正時代に建てられた築100年を超える伝統的な京町家です。建物の柱や中庭、表の松に至るまで、ほぼ元の姿にとどめています。中庭は光を取り込むために設けられたもので町家の特徴です。入口の松の木も当時からあったもので、オーナー様が小さい頃から登っていたようです。
━━━━ 商品が置かれている和タンスももともとこの家にあったのでしょうか。
この和ダンスは偶然にもオーナーの友人のおじい様の家にあったもので、大正から昭和初期に作られたものです。どれも、同じくらいの時代にあったものでそろえています。他にも、インテリアで使われている材料は基本、京都近郊で使われていたものを使用しています。ギャラリースペースのフィッシングベストが掛けられているバック板は、もともとは古い船板でした。
理想のお店を探すには大きな苦労が
━━━━ 当プロジェクトを立ち上げるにあたり、どのような経緯や苦労があったのでしょうか。
衛藤さん:このプロジェクトの構想自体はかなり長くて、だいぶ昔から町家を探していました。でも、なかなかいい空き物件が出てこないんですね。もともとたくさんあるわけでもなく、出てきても、壊して立て直してしまったりするので、物件を見つけるのには苦労しました。
━━━━ 町家のままで使える物件はなかなか見つからないものなんですね。
衛藤さん:その中で、この建物はオーナーさんもできれば残したいという意図があったので、町家の構造を残しています。周りのお店は、新しいビルを町家風に見せていますが、このお店は本物の町家を使っている点は強みですね。
ブランド姿勢を表現する舞台としての京都
コロンビア発祥の地、ポートランドとの接点
お店の2階にある違い棚には、ハットメーカーとして誕生した当時のコロンビアの商品と、ポートランドにあるフラッグシップストアの写真が飾られています。
━━━━ 古き良き建物が残っている。確かにポートランドと京都は似ていますね。
衛藤さん:ポートランドにもフラッグシップストアがありますが、それも古い建物を改築しています。そういった経緯もあり、京都店も古い建物に最低限の手を加えて再生したいという思いがありました。
━━━━ 町家の再生は、ポートランドから引き継いでいる考え方なんですね。
衛藤さん:古いものを壊して新しいものを作るのではなく、価値あるものは残すという考え方。それは自然を守るという意味にも通じています。自然がなければ、僕たちのブランドは成り立たない。大切なものを守っていくブランドの姿勢を見せる店でありたいと思っています。実際は、完全に立て直した方がが簡単で、安くできたそうです(笑)。
京都店が醸すブランドの価値
━━━━ 商売だけを考えると、すぐ近くの商業施設にもコロンビアの店舗はありますよね。
衛藤さん:そうですね。やはり普通の商業施設に入っていたりすると、ブランドメッセージは表現しにくいので、やはり外観、雰囲気、匂いなどからも、コロンビアの姿勢を感じ取ってほしいですね。
京都店としての今後の展開
京都店ならではの展開
━━━━ 今後、京都店の独自の取り組みなどはありますか?
衛藤さん:京都は周りを山が囲っていて、アウトドアのフィールドが非常に身近にあります。京都でアウトドアを楽しもうとしている人が、お店に来てもらえたらと思っています。意外と京都のアウトドアは周りの人に知られていませんので、具体的な方法は決まっていませんが、京都のアウトドアの楽しみ方もこのお店を通して発信していけたらと思っています。
━━━━ たしかにアウトドアショップから発信することで、京都の新たな一面を知ることができそうですね。今日はお話を聞かせていただきありがとうございました。
衛藤さん:こちらこそありがとうございました。
京都発の新たなアウトドアカルチャーに期待
京都には、市内を囲む山々があり、ハイキングコース「京都一周トレイル」をはじめとして、山登り、サイクリング、キャンプなどを楽しむことができる場所が非常に多く存在します。市内にはコロンビア京都店をはじめとした、アウトドアショップが次々と開店。次に京都に訪れる時は、市内観光ではなくアウトドアを楽しんでみてはいかがでしょうか。