米ポートランドから京都へ〜引き継がれたコロンビアのメッセージ〜
最終更新日:2019/12/02
ファッション

人気アウトドアブランド「コロンビア」が、京都で築100年の町家を改装した直営店を今秋にオープンしました。ショップのテーマは古都らしい「歴史と文化とアウトドア」。コロンビアファンの間でも注目されていますが、誰もが思うのが「なぜ京都の古民家を店舗にする必要があったのか」という疑問。京都出身の筆者が同店を訪ね、仕掛け人に聞いてきました。
目次
京都に新しいコロンビアのショップが誕生
ショッピング街に突如現れる、一軒の町家

出典:zenjapan / 写真AC

京都店立ち上げに関わった衛藤さんに話を伺いました

Columbia KYOTO Projectとは

コロンビアとして、ブランドの姿勢を提示
衛藤さん:コロンビアは、アメリカのアウトドアブランドの中でも古くからあるブランドです。アメリカで80年以上、日本でも20年以上の歴史があります。そこで、あらためてコロンビアという伝統あるブランドの姿勢を見せたいという思いから、このプロジェクトが発足しました。

出典:Sean Pavone / ゲッティイメージズ
衛藤さん:コロンビアの発祥地がアメリカのポートランドなんですけど、創業から一歩も動かず、そこで今までやってきたんですね。ポートランドは古き良きアメリカの街。それを日本の街に置き換えたとき、どこで表現できるかを考えた結果、京都が合っているとなりました。
衛藤さん:「歴史と文化とアウトドア」をテーマに、京都らしい古い町家に最小限の手を加え、コロンビアのショップへと生まれ変わっていくところを、コロンビアのサイトやインスタ、YouTubeなどで紹介したのがColumbia KYOTO Projectです。
町家の良さを存分残した店内


衛藤さん:この建物は大正時代に建てられた築100年を超える伝統的な京町家です。建物の柱や中庭、表の松に至るまで、ほぼ元の姿にとどめています。中庭は光を取り込むために設けられたもので町家の特徴です。入口の松の木も当時からあったもので、オーナー様が小さい頃から登っていたようです。

この和ダンスは偶然にもオーナーの友人のおじい様の家にあったもので、大正から昭和初期に作られたものです。どれも、同じくらいの時代にあったものでそろえています。他にも、インテリアで使われている材料は基本、京都近郊で使われていたものを使用しています。ギャラリースペースのフィッシングベストが掛けられているバック板は、もともとは古い船板でした。
理想のお店を探すには大きな苦労が

衛藤さん:このプロジェクトの構想自体はかなり長くて、だいぶ昔から町家を探していました。でも、なかなかいい空き物件が出てこないんですね。もともとたくさんあるわけでもなく、出てきても、壊して立て直してしまったりするので、物件を見つけるのには苦労しました。
衛藤さん:その中で、この建物はオーナーさんもできれば残したいという意図があったので、町家の構造を残しています。周りのお店は、新しいビルを町家風に見せていますが、このお店は本物の町家を使っている点は強みですね。
ブランド姿勢を表現する舞台としての京都
コロンビア発祥の地、ポートランドとの接点


衛藤さん:ポートランドにもフラッグシップストアがありますが、それも古い建物を改築しています。そういった経緯もあり、京都店も古い建物に最低限の手を加えて再生したいという思いがありました。
━━━━ 町家の再生は、ポートランドから引き継いでいる考え方なんですね。
衛藤さん:古いものを壊して新しいものを作るのではなく、価値あるものは残すという考え方。それは自然を守るという意味にも通じています。自然がなければ、僕たちのブランドは成り立たない。大切なものを守っていくブランドの姿勢を見せる店でありたいと思っています。実際は、完全に立て直した方がが簡単で、安くできたそうです(笑)。
京都店が醸すブランドの価値

衛藤さん:そうですね。やはり普通の商業施設に入っていたりすると、ブランドメッセージは表現しにくいので、やはり外観、雰囲気、匂いなどからも、コロンビアの姿勢を感じ取ってほしいですね。
京都店としての今後の展開
京都店ならではの展開

衛藤さん:京都は周りを山が囲っていて、アウトドアのフィールドが非常に身近にあります。京都でアウトドアを楽しもうとしている人が、お店に来てもらえたらと思っています。意外と京都のアウトドアは周りの人に知られていませんので、具体的な方法は決まっていませんが、京都のアウトドアの楽しみ方もこのお店を通して発信していけたらと思っています。

衛藤さん:こちらこそありがとうございました。
京都発の新たなアウトドアカルチャーに期待

コロンビア京都の詳細情報

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