火の英才教育を受けた店主!埼玉の焚き火・薪ストーブ専門店の魅力とは?

 キャンプ用品

国内でも珍しい「火」をテーマにしたアウトドア専門店が、埼玉県三郷市にあるのをご存じでしょうか。その名は「iLbf(イルビフ)」。気温も涼しくなって焚き火シーズンが本格化するのを前に、多くのキャンパーが詰めかけています。オーナーの堀之内健一朗さん(43)に、気になる焚き火に魅せられた理由や、オープンの経緯についてお聞きしました。

幼少期から薪を扱っていたオーナー

JR武蔵野線の新三郷駅から徒歩7分。大型商業施設が立ち並ぶ地域を抜けて見える団地の一画に、「iLbf」はあります。所狭しと焚き火台やアウトドアアイテムが並ぶ店内で、オーナーの堀之内健一朗さんがにこやかに出迎えてくれました。

焚き火好きのための店

   

堀之内さんは脱サラして始めた車中泊グッズの通販事業を経て、焚き火や薪ストーブなどの火を専門とする現在の店を2016年10月にオープンしました。現在のキャンプ人気に先立ち、大手アウトドア店が扱わないガレージブランドを先駆的に取り扱い、多くのファンを獲得。「I Love the bonfire(私は焚火が大好きです)」の頭文字に由来する店名にふさわしく、焚き火や薪ストーブに強い専門店としてキャンパーに知られるようになりました。

なぜ焚き火なのか

   

実は堀之内さんが焚き火に傾倒するきっかけは、意外にもパラグライダーでした。もともとは東京でシステムエンジニア(SE)だった堀之内さん。仕事で疲れていた28歳のとき、ふと眺めたのは、ビル街の上に綺麗に広がる青空。「飛べたら楽しいだろうなあ」と思い、パラグライダー挑戦を決意。空の中で見えない風を読む面白さに一気にひかれました。

パラグライダーを始めて問題だったのが、宿泊。「風は条件がころころと変わるため、ホテルを予約するわけにはいきません。そこで車中泊とキャンプの道に入ることになり、同時にはまったのが焚き火でした」。

よみがえった少年時代

   

堀之内さんがパチパチと燃える焚き火で気づいたのが、懐かしさでした。思い出したのが、山々に囲まれた宮崎県小林市にあり、3歳から12歳まで過ごした家。五右衛門風呂のあった平屋でした。

「気がついたときには薪で風呂を沸かしていて、身近なところに火がありました」

薪を買うとそれなりの負担になるため、「学校の帰りに自発的に木を拾っては燃料にしていました」。窯の中で薪が燃える様子を眺めていた日常。堀之内さんにとって火とは、家族がお風呂に喜んで入ってもらった良い記憶でした。

「今思えば火の英才教育を受けていました」という堀之内さんですが、家族は宮崎市内に転居して風呂はガス釜に。さらに都内の大学に進学。そのまま就職したため、薪を燃やす炎からはしばらく疎遠になっていました。そんな時に、忙しい日々で忘れかけていた火の原体験を思い出すことになるのが、車中泊やキャンプでの焚き火でした。

「火を専門にした店は聞いたことない」

夏の見通しがつかないままオープン

   

バラグライダーを始めてからもSEの仕事は常に多忙を極め、終電近くまで残業する日々。家に帰る時間も惜しく、カプセルホテルで寝ることも多くなりました。そんな忙しい日々に見切りをつけ、自分の好きなことを生かした車中泊グッズ通販での起業を決意することになります。

転機は、通販事業をしながらプライベートでストーブ用の薪を探していた2014年。「どこにいるかは秘密」という薪づくりの達人との偶然の出会いが、堀之内さんの火への情熱を燃え上がらせることになります。

乾燥に2年をかけるなどの徹底した管理で、太さに関係なくすぐ火が付いた達人の薪。この薪にすっかり魅了された堀之内さんは車中泊グッズの通販事業を営みながらも、「火を専門にした店は聞いたことがない」と焚き火台や薪ストーブなどの火をテーマにした専門店を考え始めるようになります。

しかし、壁にぶつかったのが、「夏はどう経営すればいいのか」という課題。その後、構想から2年がたってもその答えが出せませんでした。

インスタですぐ解決

   

サラリーマン生活を辞めたことで、東京にいる必要がなくなった堀之内さん。パラグライダー遠征でよく使う常磐道の入り口があり、妻の実家から近い埼玉県三郷市に転居します。近隣で店舗を探していたところ、団地内に家賃が安く、内装も自由にいじれる空き店舗を発見。他に決まりそうになったことから、夏の経営のすべを見つけられないままに「崖から海に飛び込むつもり」で開業を急きょ決めてしまいました。

「意外にも、早々に夏の問題を解決できました」

その答えは、抜群の保冷力とツウ好みのデザインで知られるアイスランドのクーラーボックス。インスタグラムで豊富なカラーバリーションがあることを紹介したところ、普段の倍以上の「いいね!」がつき、店の認知度が一気に向上。「これをきっかけに、オープンした初年から黒字を達成できました」。

1シーズン過ごした人が楽しめる店づくり

人と火、自然をつなぐ

   

大型アウトドア店が扱うような大手ブランドはなるべく置かず、ガレージブランドのアシモクラフトや笑'sなどを積極的に取り扱うことで、県外からも多くのファンが来るようになったiLbf。「未経験者には魅力が分からないけど、1シーズンを過ごした初級者がよりキャンプを楽めるアイテムをそろえて経営しています」。

店をやって良かった瞬間は、初級者から中級者に入ろうとするお客さんが、リピーターになってくれたとき。「冬のキャンプの初心者に薪ストーブを提案し、そのお客さんが喜んだ様子で『思いのほか楽しかった。もっと寒くなってほしい』とまた来てくれたときは、店をやっていて本当に良かったと思いました」。

人と火、自然をつなぐことで、サラリーマン時代にはなかった充実感があるそうです。

焚き火が人気の理由

   

堀之内さんは焚き火の魅力について、「炎の揺らぎが、頭の中でごちゃごちゃしていたものをリセットする力がある」と強調します。また東日本大震災や熊本地震で多くの被災者が外での避難を余儀なくされ、「日本人の外で生活する意識が高まった」とも感じています。

ただ近年の焚き火人気の高まりについては、別の持論も考えるようになりました。「人類を発展させてきたのが『火』。単に非日常や高揚感を感じるだけでなく、もっと意識の深い部分で、火の凄さを思い出すからではないでしょうか」。誰よりも火に魅了されてきた堀之内さんだからこそ、説得力のある表現です。

「火と店はコントロールできる範囲で」

オープンした翌年の2017年には団地の同じ並びの部屋も借り、店舗を拡張。焚き火を楽しみながら買い物ができるようにしました。現在は50ブランド以上、約1600種類のアイテムを用意。焚き火台で20種類、薪だけでも10種類あるこだわりぶりです。売り上げは年々右肩上がりで、今年はオープン初年の4倍の売り上げとなる見通しです。

ただ、堀之内さんは店舗のさらなる拡大は望んではいません。「焚き火と一緒で、自分でコントロールできないほど大きくしてはいけません」。関東圏も一気に涼しくなり、これからが焚き火の適期。iLbfには今日も多くの焚き火愛好家が集っています。

【基本情報】
住所:埼玉県三郷市彦成4-4-17 みさと団地南商店街104
電話:048-951-4949
Email:shop@iLbf.jp
営業時間:午前11時(土・日のみ10時)~午後7時(土曜のみ20時)
駐車場:12台あり
公式はこちら:火とアウトドアの専門 iLbf


あわせて読みたい記事


新着記事

関連するキーワード

焚き火台

おすすめのキーワード

hinataアプリで、アイデア集をいつも手元 トレンドや最新情報を毎日配信!
気になった記事やあとから読みたい記事を保存して、いつでも手元に!
さらにみんなのキャンプ写真からアイデアやヒントをゲットしよう♪