【EEEFL】考え抜かれた機能美がもたらすシンプルで心地良い余白
「気楽で、より手軽に、最高なくつろぎを」を掲げ、感度の高いキャンパーの間で注目されているガレージブランド「EEEFL」。そのギアは、シンプルで美しいだけでなく、使い手の動きまでていねいにデザインされています。ものづくりへのこだわりと、アイテム一つひとつに込められた視点を深掘りしてみました。
理想の“くつろぎ”を追い求めてブランドをスタート
「EEEFL(イーフル)」は、2022年1月にSNSで情報発信を開始し、2024年からイベントや製品リリースを本格的に稼働。まだまだ「知る人ぞ知る」ですが、その洗練された機能美でじわじわとファンを獲得している新進気鋭のブランドです。
アルミコンテナの上部に収納できる「ALC-Table」。アルミコンテナと同時に運搬でき、持ち上げてブラブラ振れば伸びた脚が固定され、あっという間にミニテーブルの設営が完了!
ブランド名は「Easy Easier Easiest Field Laboratory」の略で、「気楽で、より手軽に、最高なくつろぎを得るためにフィールドを研究し考え抜く」という意味が込められているのだそう。
そのコンセプト通り、イーフルのギアはシンプルで「気負わず使って快適さにアクセスできる」という共通点があり、その心地良さがキャンパーを魅了しています。なぜこのコンセプトに行きついたのか?どんな発想や視点が根底にあるのか?オーナーの木寺 均(ひとし)さんにお話を聞きました。
「快適さ」と「手軽さ」を両立できるギアをめざして
イーフルのコンセプトである「Easy Easier Easiest Field Laboratory」。この考え方が生まれた経緯は、木寺さんのキャンプ経験にあります。
大学生のころからデイキャンプを始めたという木寺さん。快適さを求めるうち、大きくて重い家具のようなギアが増えていき、比例して疲労も増えていったのだそう。それならと、軽くてコンパクトなギアに目を向けましたが、持ち運びが楽になった反面、現地では組み立て工程が多くなり、今度は設営時間が増えたのだとか。
ゼロからの独学でものづくりをスタート
とはいえ、プロダクトの製作も販売もまったくしたことがなかったという木寺さん。まずはプロダクトデザイン検定1級を取得して全体を俯瞰できる視野を身に着け、図面の作成や製造者の選定まで、わからないことは一つひとつ調べてていねいに経験を積み重ねていきました。
シェラカップのハンドルに装着されている黒いタグがSierraTongue。3色あり、色違いで使えばグラスマーカーならぬシェラカップマーカーの役割も果たしてくれます
そうして生まれた最初のギアが「SierraTongue(シェラタン)」。シェラカップのハンドルの熱さを防ぐための小さなギアで、人差し指が当たる部分だけをカバーする“舌(Tongue)”のような形が特徴です。
「見た目はシンプル、でも実は理にかなっている」。そんなイーフルらしさが、最初のギアからすでに表れていました。
使えば感動!「コロンブスの卵」を思わせるイーフルのギア
イーフルのプロダクトは、見た目先行ではなく、「設営や撤収のプロセス・使い方において実現させたいこと」をあらゆる角度からデザインし、落とし込んでいるのが大きな特徴。
たとえば、クルマから荷物を下ろすときには「どこをどう持つのか」「どう運んで」「どう設営するのか」「設営の手順を簡略化するにはどうすれば良いか」といったことを徹底的に考察し、構造を考えていきます。
「Arch Stand」は、一見、アールを描いたただの金属の板。でもこれが、ポイッと地面に設置するだけで置きたい道具に合わせたスタンドになるんです
いわば、今あるプロセスを分解し、再構築してより快適で身軽になれるギアを新たに生み出すという作業。ものすごい勢いでキャンプ文化が成長し、さまざまなスタイルが生まれたこの数年、確かに「キャンプ」と「昔からある道具」にはギャップがあるのかもしれません。
そのギャップを埋めて、使う人に「おお!なるほどね!」という感動をくれるのがイーフルなのです。
「収納袋は使わない」もならではポイント
もうひとつ、「収納袋を使わない」というのもユニークなこだわり。
たとえば、傷が付いても気にならないようにヘアライン仕上げにしたり、スタッキングして片手で握って持ち運べるようにしたりと、「とにかく収納袋が必要なくなるような工夫」は毎回必ずしているのだとか。
使い方のプロセスもそうですが、この収納袋を省略することも踏まえ、「必要な機能を詰めたらこんな形になった」という姿勢こそイーフルらしい機能美の源なのです。
「イーフルマジック」を体感できる2つの注目アイテム
直感的に使えるイーフルのギアは、キャンプで感じる小さなストレスやいつの間にかかかっていた時間をさりげなく省略してくれる、ちょっとした魔法道具みたい。「まさか」と思った人にぜひ手に取ってほしい、hinataストアおすすめの2アイテムを紹介します。
【ArchStand】ポイポイッと地面に置いたら設置完了なマルチスタンド
まずは1つあたり約149gという軽さながら、包容力が半端ない「ArchStand(アーチスタンド)」!
「スノコ」から着想を得たアイテムで、アルミ合金でつくられたU字型をしています。これを、地面に「ポイポイ」と投げて並べ、その上にものを載せるだけという、なんとも簡単で自由度の高い、まさに「マルチスタンド」。
2本セットなので、間隔や並べ方次第でさまざまなものに対応でき、スタッキングできるので持ち運びも簡単。調理器具などの「ちょっとだけ置いておきたい!」というものから、どっしり置き場を決めたいクーラーボックスやコンテナまでおまかせ!
【L.D.Disk】小型LEDランタンをシーリング化できるディスク型シェード
もうひとつは、ゴールゼロの光源の下側に取り付けるシェードの「L.D.disk(エルディーディスク)」。
特殊アクリル製の円盤が光を吸収し、面光源となることで、下側には柔らかな拡散光を、横側には直接光を、そして天井側には反射光を届け、まるでシーリングライトのように効率的に空間全体を優しく明るくすることが可能です。
「便利だけどタープや大きめのテント内を照らすにはちょっと力不足…」と感じることもあるゴールゼロが、このシェードを着けることでさらに手放せなくなりそう!
プロダクトを通して「発想の転換」を届けたい
「まるでマジック」「発想が変態」――。
実際に手に取った人からは、そんな言葉が飛び交うというイーフルのギアは、まだまだ氷山の一角。木寺さんの頭の中には、「組み立て不要なソフトコンテナ一体型スタンド」や「使い勝手とくつろぎを両立するチェア」など、現在も10案ほどのアイデアがあり、今後はそれを少しずつ形にしていきたいと思っているそう。
ゆくゆくはファニチャーも網羅し、「自分のプロダクトだけでキャンプができるようにしたい」と木寺さん。アウトドアギアが飽和する中でも、「発想の転換」で新たな体験を生み出し続けるイーフルから、今後も目が離せません。