【専門家に聞く】安全に川遊びを楽しむには?行く前に必ず知っておきたい川遊びの注意点
自然の美しさや偉大さを肌で感じられる川遊び。夏のキャンプでも定番のアクティビティで、川を目的にキャンプに行くという方も多いでしょう。しかし、安全に気をつけないと大きな事故にもつながりかねないのが川の怖さ。今回は、安全に楽しくキャンプでの川遊びを楽しむ方法を「川に学ぶ体験活動協議会」のインストラクターらに取材。川に遊びに行く前に、一度は目を通してみてください。
夏のキャンプと言えば…川遊び!
夏キャンプのアクティビティとして定番の川遊び。敷地内や周辺に川の流れるキャンプ場も多く、キャンパーたちにとって川遊びは身近な存在です。さらに近年は、さまざまなアクティビティやアウトドアの需要の高まりから、川遊びを楽しむ人が増えています。川遊びには多くの学びや成長がありますが、同時に危険もあります。予備知識なく「自分は大丈夫だろう」と過信して川に入ると、事故にあってしまう可能性も。
安全に川遊びを楽しむ方法を専門家に取材!
そこで今回は、川での教育サポートや指導者育成を行うNPO法人「
川に学ぶ体験活動協議会」(東京)にご協力いただき、インストラクターを務める
橘 昌憲さんと事務局長を務める
大井 里美さんに取材。安全に川を楽しむために持っておきたい知識や、川遊びの効果・魅力についてお聞きしました!
川に学ぶ体験活動協議会 インストラクター
橘 昌憲さん
インストラクターとして活躍。アクティビティ好きで、川の楽しさを伝えたい!という思いで活動しています。
川に学ぶ体験活動協議会 事務局長
大井 里美さん
川遊び体験を通しての学びをサポートする「川に学ぶ体験活動協議会」で事務局長を務めています。
【その1】川の魅力を知ろう!
川遊び人口増加中!
コロナ禍での需要の高まりもあり、近年、川でのアクティビティを楽しむ人が増えています。特にSUPなどは、隅田川など都心でも手軽に楽しめるため、大人から子供まで人気が高まっています。大井さんいわく、人気の理由は川の身近さにあるのだとか。
川遊びは、学びと成長の場!
インストラクターとして、10年近く子どもたちに川の楽しさを伝えてきた橘さんは「川には大きな学びと成長がある」と言う一人。
橘さんによると、実際に川に入ってみることで、自然の中での自分の無力さや危険を知ることは大きな学びになります。子どもの頃から川の自然に触れておくことも大切な学習です。川遊びは、安全にさえ気をつけていれば、キャンプのアクティビティとして楽しめるだけでなく、成長の場としてもってこいです。
【その2】川に入るときの服装を知ろう
流されない靴を選ぼう
キャンプで川に入る際、ついつい裸足やビーチサンダルで入っていませんか?足元の不注意で事故を起こす可能性があります。足を怪我して動けなくなってしまった場合、自力で川から上がるのが難しくなってしまいます。足元の安全を守ることは、川遊びをするうえでとても大切なことなのです。
川遊びをする際は、かかとが固定できる・つま先がカバーできる・滑りにくいという点を意識して靴を選びましょう。上履きやクロックスなど、脱ぎ履きがしやすいものは、川の中だとすぐに脱げてしまいます。しっかりと固定されて脱げにくいものを選ぶことが大切です!
ライフジャケットを用意!
インストラクターの方たちの中で、一番強く呼びかけているのはライフジャケットの装着。川で起こる事故の中では、ライフジャケットを着ていれば防げたのに…というものがほとんどです。Amazonや楽天に売られている2000円ほどのものでも、十分機能します。川に沈んでしまう危険を防ぐだけでなく、クッションとしての役目も果たしてくれるので、ぜひ持っておきましょう。
【その3】川の危険について知ろう
見た目では意外とわかりにくい
▲川底がはっきりと見える川ですが、実は成人女性の肩ほどの深さがあるのがわかります。
みなさんも川に入っていて「あれ、見た目より意外と深い!」と感じたことはありませんか?川が濁っていて川底が見えないという場合だけでなく、透明度が高くきれいな川も、深さが分かりにくいのです。流れの速さも目視で把握することが難しく、入ってみて初めて速さに驚くということも。
▲一見穏やかそうに見える川ですが、岩の周りは流れが速くなっています。
川の流れる速さや方向も、遠くから見ただけではわかりにくくなっています。岩の周りだけ流れが速くなっていたり、川の奥と手前で流れる速さが違ったりと、それぞれ特徴はさまざま。
天気は要チェック!
現地の天気は、キャンプの際に事前にチェックしている方がほとんどですが、川に行く際はより入念に天気を調べておきましょう。場所によっては、雨が降るとすぐに増水してしまう川もあります。雨が降ったら慌てずに土手まで避難。川の近くから離れましょう。
堰(せき)の近くでは遊ばない
▲一見穏やかそうに見えますが、よく見ると堰周辺の流れが強くなっているのがわかります。
堰(せき)とは、水の流れを制御するために上流の水位を高くした構造物のこと。堰より上流の川は比較的流れがゆっくりでおだやかなため、一見遊ぶのに適しているように見えます。しかし、堰の段差の真下は深く、漂流物も多くなっています。万が一流されてしまうと大変危険です。
【その4】しっかり準備すれば大丈夫!
遊ぶ川の下見が欠かせない
危険な面もある川ですが、しっかりと準備すれば安全に楽しむことができます。キャンプでは、軽く足だけ浸かるつもりで、よく知らないまま川に入ってしまうことがほとんどですが、橘さんは下見が大切だと言います。
予備知識をしっかりと持っておこう
川の安全について知っているだけで防げる事故はたくさんあります。川に学ぶ体験活動協議会も参加する河川教育活動を行う「子どもの水辺サポートセンター」では、川や水辺で活動するための安全ハンドブックを無料でダウンロードできます。大人も子どもも関係なく、正しい予備知識をもって川遊びを楽しみましょう。
正しく安全に、川遊びを楽しもう!
川の中では、わからないことも多く、うまく泳げないこともあります。そんなときに、ライフジャケットとしっかりとした予備知識があれば、焦らず落ち着いて対応できるでしょう。川には、普段見ることのできない生き物との出会いや、四季の変化、自然の美しさを感じることのできる体験がたくさんつまっています。正しく安全に気をつけて、みなさんもぜひ川の楽しさを感じてください!
川に学ぶ体験活動協議会についての詳細はこちら:
川に学ぶ体験活動協議会