春も朝までぐっすり!テント泊で熟睡できる寝床づくりのテクニック特集
満足に寝返りが打てなかったり、腰が痛くなったり…。テントでの快眠を「外だから仕方ない」と諦めていませんか?上手な人は寝床づくりにも、きちんとテクニックを持っています。これから気温も徐々に上がり、キャンプ場が混み始める春シーズン。地面が整った「寝やすい」サイトが必ず取れるとは限りません。砂利や凸凹の地面でも家のように熟睡できる、丁寧な寝床作りの基本を紹介します。
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キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
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そのキャンプ疲れ、睡眠が原因かも?
寝ているつもりでも、じつは熟睡できていないケース多数
日頃の疲れをリフレッシュするためにキャンプに行っても、寝られずに余計に疲れてしまっては元も子もありません。翌日に疲れを残さない一番のポイントは、「いかに睡眠の質を上げるか」。普段自宅のベッドで眠るのとは違う環境でも熟睡できるよう、テント泊で眠りを妨げる原因と対策を今一度おさらいします。
熟睡できない原因①気温
睡眠を妨げる一番大きな原因は寒さです。自宅で眠るときも布団の枚数やエアコンで快適に眠れる温度に調節すると思いますが、テント泊では普段以上に気温対策が必要。今の時期は日が落ちると氷点下に下がる場所もまだ多いので、ブランケットなどの防寒アイテムは多めに持っていって損はありません。
今の時期はテント内にストーブを持ち込む人も多いと思いますが、寒くて眠れないからと夜間もつけっぱなしにするのは厳禁。一酸化炭素中毒や火災の危険性があるので、寝るときはストーブに頼らず、他の防寒方法を考えましょう。
熟睡できない原因②:地面の凹凸
地面の状態でも寝心地は左右されます。当然ながら、自然の中では地面が傾いていたり凸凹していたり、眠るのに適した土台とは言えません。平らで比較的柔らかい土や芝でもこの時期は冷気に悩まされますし、川沿いのサイトに多い砂利の地面では、マットを敷いていても、寝るとゴツゴツ感が伝わってくることもままあります。「床のあるテントだし、シュラフがあれば何とかなるでしょ」と満足に準備して行かずに「背中が痛くて眠るどころじゃなかった…」という失敗経験のあるキャンパーも少なくありません。
熟睡できない原因③:窮屈さ
シュラフで寝ると、どうしても家の布団よりは窮屈。寝袋本来の保温効果を発揮するために、体との間に隙間ができないものを選ぶのが基本とはいえ、慣れないと満足に寝返りが打てず、寝づらく感じる場合も多いです。手持ちのシュラフが窮屈に感じる人は、少しゆとりのある大きさのものに変えてみるのもアリ。
熟睡できない原因④:枕がない
意外な落とし穴が枕です。普段枕を使って寝ている人がキャンプのときだけ枕なしで寝ようとすると、不自然な体勢になってしまって眠りが浅くなってしまう可能性も。上着やブランケットを丸めたり、エアピローを使ってみると快適具合がアップします。
「地面感」を減らすだけで快適指数がグンとアップ!
グランドシート&インナーマットのダブル使いで冷気と湿気をシャットアウト
寝心地を追求するための下準備は、テント設営の段階から始まっています。インナーテントを張る前に、下にグランドシートを敷くところからスタート。グランドシートはインナーテントに汚れや傷がつきにくくする役割もありますが、テントの底が直接砂利などに触れないため、テントを直接張るより地面の凹凸が気になりにくくなります。
テントの内外で気温差が大きくなる今の時期は、結露対策としても効果的。耐水性のあるシートを使えば、地面の湿気がテントの床に染み込まず、快適に過ごせます。
グランドシートの上にインナーテントを張ったら、床全体にインナーマットを敷くと地面の影響をさらに抑えられます。テントの形に合った専用マットが販売されていれば、それを使うのがベスト。無ければ手持ちのブランケットや、ホームセンター・通販などで買えるアルミマットでも代用できます。
寝るスペースにはさらに個人用マットを追加
床全面にインナーマットを敷いた後、寝床となるスペースには、スリーピングマットを追加。こうすることで地面の凹凸や冷気をあまり感じず、まるで敷布団を敷いたように快適な寝床ができ上がります。
シュラフマットにはいくつか種類があり、代表的なものとしては
・EVAフォーム(ポリエチレンなどの発泡素材)のマット
・エアーマット
・インフレータブルマット
などがありますが、睡眠時の快適さを求めるならインフレータブルマットがおすすめ。
インフレータブルマットとは、中に圧縮されたスポンジが入っているマット。バルブを開けると空気が入って、フカフカと寝心地のいい敷布団のようにふくらみます。
今回使ったホールアースの「HEALING INFLATABLE MAT SINGLE JYUKUSUI6」は名前に「熟睡」と入っているとおり、キャンプや車中泊でも自宅のベッドのような寝心地を追求して開発されたもの。厚さ6cmまでふくらむので、断熱・クッション性ともに言うことなしです。
収納時はこんな感じ。空気を抜きながらクルクル丸めていくとコンパクトになるので、かさばらないのも大きなメリットです。軽さはEVAマット、収納時のコンパクトさはエアーマットにやや劣るかもしれませんが、柔らかな寝心地と断熱性を持ってこのコンパクトさと考えると、インフレータブルマットは非常に優れものです。
シュラフと自宅ベッドの「ギャップ」をどう埋める?
窮屈に感じない、ゆったりしたシュラフを選ぼう
ひと口にシュラフと言っても、形も機能も千差万別です。一般的には「マミー型シュラフ」が体と密着するので保温性が高く、寒い時期のキャンプには適していると言われていますが、体に密着しているということはその分シュラフ内にゆとりが少ないということ。窮屈さが原因で熟睡できない人には封筒型シュラフをおすすめします。
封筒型は文字通り封筒のような形状で、長い布団を二つ折りにした間に入って寝るようなイメージ。体への密着度がマミー型に比べて高くない分、首元から冷気が入ってくる可能性はありますが、シュラフ内のスペースに余裕があり、ゆったりと寝られます。手足を動かしたり、寝返りも打てるので、自宅で布団で寝ているのと同じような感覚でリラックスできます。
シュラフの「温度表示」は必ずチェック!
シュラフには一般的に「快適使用温度」と「限界使用温度」があり、どの温度、どのシーズンに向いているかがメーカーによって定められています。限界使用温度はあくまで「この温度までならギリギリ耐えられますよ」という目安。基本的には快適使用温度を参考に。寒がりな人は実際に行くキャンプ場の気温から、「快適使用温度」が+5~10℃高いものを選ぶと安心です。
温度表示はシュラフについたタグや箱にほぼ必ず書いてあるので、表示をチェックしてから選ぶようにしましょう。
テント内に常に広げておくものではないので、収納時の形状もシュラフを選ぶ一つの基準。できるだけコンパクトなものを選んで邪魔にならないように置いておくのもいいですし、こんな風に畳んでクッション状になるものなら就寝時以外も使えて便利です。
仕上げに枕をセット!
地面の影響を感じづらい土台を作り、布団感覚で寝られる心地いいシュラフを敷いたら、仕上げとなるのは枕です。普段から枕を使っていない人はシュラフでそのまま寝ても違和感がありませんが、首の角度や肩まわりの窮屈さが気になる人はキャンプにも枕を持ち込んでみてください。
空気で膨らむエアピローならかさばらず、自宅と同じように自然な体勢での睡眠が叶えられます。
【注意】寒いからといって着込みすぎると寝苦しい
意外と見落としがちなのが寝るときの服装です。今の時期は特に冷え込むため、「とにかく寒くないように」と寝る時も厚着をしすぎるのはNG。せっかく快適に寝られるように寝床を整えたのに、着込みすぎると結果温度調節がうまくいかなかったり、窮屈さを感じたりと寝苦しさの原因になるので注意するように。
ぐっすり眠って、朝の時間を満喫しよう
澄んだ空気の中で飲む朝のコーヒーは最高!
キャンプ場で迎える朝は、空気が澄み切って最高です。太陽と鳥の声を感じながらスッキリ起きて、温かいコーヒーを一杯。睡眠の質が上がるだけで、チェックアウト前にそんな贅沢時間が過ごせます。
テント泊にも快適な睡眠を
キャンプに行ってもなぜか疲れが取れず、家に帰るとクタクタ…。そんな場合は「睡眠」に難ありかもしれません。来たるキャンプのハイシーズンに向け、今のうちにテント内の寝床を万全に整えておきましょう!