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コーヒーを挽く様子

全てのビギナーへラブコールを。キャンパーカフェTARP to TARPの想い編【NO coffee, NO camp】

2020.05.26ノウハウ

「キャンプでの最高の一杯は、ビールよりコーヒー」。そんなキャンプとコーヒーをこよなく愛する5人を紹介する連載企画「NO coffee,NO camp」。1回目は、キャンパーのためのセレクトショップ&カフェ「TARP to TARP」(横浜)でバリスタを担う金子敦史さんです。全てのコーヒービギナー、キャンプビギナーに贈るラブコールとは?

キャンプで飲む最高の一杯は、ビールか、コーヒーか?

tarptotarpの店の前
キャンプで飲むのはもっぱらお酒。「コーヒーは嫌いじゃないけれど、手間がかかるから家だけでいいや」。そう考えていた筆者をすっかりコーヒー党にしてしまった5人のキャンパーがいました。連載企画「NO coffee,NO camp」では、そんな彼らの濃いキャンプ&コーヒーライフをお届けします。

今回語ってくれるのは、TARP to TARPの金子さん

TARP to TARPの金子さん
初めの1人は、横浜の馬車道にあるセレクトショップ&カフェ「TARP to TARP」の金子敦史さん。コーヒー&キャンプ好きが高じて幼稚園の先生から一転、このカフェのバリスタになってしまった方です。

熱い湯気を浴びる幸せをキャンプでも

tarptotarpの店内
━━━ 焚き火があるなんて、キャンプ好きにはたまらない店内ですね。もちろん、金子さんもアウトドアが好きなんですよね。 金子:キャンプを始めてだいたい2年弱ほどで、今は年に15〜20泊ほど行きます。もともと休日を外で過ごすのが好きで、ピクニック、バーベキューとステップアップし、「これはもうキャンプに行った方がいいな」と始めました。 ━━━ いきなりじゃなかったのですね。徐々に外遊びをステップアップさせていたなら、出だしからスムーズにキャンプできそうです。 金子:いや、まあまあ試行錯誤はしました(笑)。妻と行くことにしたのですが、2人ともキャンプ経験がなくて、お財布とインターネットと相談しながら、一式そろえました。
金子さんのコーヒー器具
━━━ それはそれで楽しそう!この気品漂うアウトドア向けのコーヒー器具も、当時お二人でそろえたのですか? 金子:これは比較的最近になってそろえたものです。キャンプで本格的なコーヒーを飲み始めたのは2018年秋ごろ。最初は皆にならって、キャンプの定番アイテムを使っていました。 ━━━ もともとコーヒーは好きだったんですよね?意外に最近で驚きです。 金子:学生時代にスターバックスでアルバイトをしていたころから本格的に好きになりました。ピクニックをしていたころも、朝から有名なコーヒー店に並んで一杯を飲むところから1日をスタートしていました。 ━━━ キャンプで本格的にコーヒーを飲み始めたのが最近なのはなぜなのでしょうか? 金子:一番はキャンプで時間ができたからです。コツをつかんできたら、設営や料理の時間が短縮できるようになり、よりゆっくりとコーヒーを味わえるようになりました。
tarptotarpの金子さん
━━━ 当時、コーヒー器具はどんなものを使用していましたか? 金子:スノーピークのフィールドコーヒーシリーズをずっと使っていて、直火にかけられたり、おしゃれな袋がついていたり、とにかく外に持ち出すのにすごく向いているんですね。ただ仕事でコーヒーをいれている身としては、だんだんコーヒーに特化したアイテムを使って自分好みの味を出したくなってしまって…。 ━━━ 余裕ができたら、こだわりも出てきてしまったんですね(笑)。 金子:そうそう!「より良い味を出すために良い道具を」という物欲も止まらなくて。「これは危険な沼にハマってしまった」と思いました。(と言いながら、まんざらでもなさそうにニコニコしている金子さん)

特別感がさらに味を引き立てる

コーヒーをひく金子さん
━━━ 実際に良い道具を使って、キャンプで飲むコーヒーに変化はありましたか? 金子:もちろん、コーヒーの味とともに、より幸せを感じる場面は増えました。でも一番の幸せは、最初にキャンプでコーヒーを飲み始めたときから変わってません。 ━━━ つまり、どういうことでしょうか? 金子キャンプでコーヒーを飲むことそのものです。わざわざ道具を出して、手間をかけて、コーヒーをいれているとき「なんか特別なことしてるな」っていう良い気分に浸れる。そういう瞬間が好きだから、キャンプでコーヒーを飲んでいる部分が大きいですね。
インスタを見せてくれる金子さん
金子:それで味がおいしかったり、好きな道具に囲まれたり、写真映えしたりするとさらにうれしい。でもキャンプでコーヒーっていう特別感だけで、すでにどんなコーヒーでもおいしく感じるようになります。 ━━━ 道具や豆にこだわった方がいいのかなと、なんとなくハードルが高いように感じていましたが、そんなことはないんですね。 金子:そうそう、初心者大歓迎です!

「本物」と「映え」を意識した金子さんの3つのおすすめギアとは?

コーヒー器具がテーブルに広がっている様子
━━━ とはいえ、金子さんが使っている道具はおしゃれなものだらけ!少し紹介してもらってもいいでしょうか? 金子:もちろんです!どれからプレゼンするか迷いますね。

バリスタ界のトレンド「ORIGAMI ドリッパー」

オリガミドリッパーを持つ金子さん
金子:イチオシが3つあって、まずは日本のコーヒー器具メーカー「ORIGAMI JAPAN」(@origami_cup)が手がけるORIGAMIドリッパーですね。 ━━━ 名前の通り、折り紙のようなデザイン。 金子:そうなんです。他にないカラーとか、一風変わったデザインも好みなのですが、一番いいなと思うのは2種類のフィルターに対応しているところですね。
オリガミドリッパーが乗ってる様子
━━━ フィルターは、円錐形のほかにも種類があるのですか? 金子:他に台形とウェーブのフィルターがあります。そのうち、ウェーブと円錐型が、どちらも使えます。僕はウェーブでいれるのが好きなのでうれしいですね。実はこれ、大きなバリスタの大会でチャンピオンが使っていたこともあって、今すごく話題なんです。 ━━━ バリスタ界ではトレンドのアイテムなんですね!

一点コーヒー特化「Beasty Coffee ケトル」

金子さんのコーヒーケトル
金子:お次は、コーヒー器具メーカー「Beasty Coffee」(@beastycoffee)のケトルですね。 ━━━ 注ぎ口がこんなにほっそり! 金子:そこが重要なんです!コーヒーを抽出するときに、ちょっとだけお湯をいれたりまんべんなく回しかけたり、微妙な調整で味が変わってきます。普通のヤカンでドバッとお湯が入ってしまうと、その微調整ができず思っていた味が出せなくなってしまうので、コーヒーをいれるときには、この細い注ぎ口が重宝します。 ━━━ 他のケトルでは難しい部分を助けてくれるのですね。
コーヒー用のケトル
金子:コーヒーに特化したこのケトルがなかなか、かわいいヤツで。ちょっとケトルのふたを見てください。 ━━━ 温度計の目盛りが入っていますが、よく見ると、60度以上しか測れないようですね? 金子:そうなんです。コーヒーを抽出する最適な温度は、人によってまちまちですが、60度を下回ることは基本的にありません。だからそれ以下の目盛りが入っていません。 ━━━ コーヒーをいれるためだけにつけられた温度計とは、なんともぜいたくですね!

熱い物語がひそむ「鉄男のヒトフデ」

フィルターホルダー
金子:最後はこのフィルタースタンドです。 ━━━ こんな道具があるのですね。テーブルにちょこんと置いてあったらかわいいですね。 金子:絶対必要かと言われると、正直必須ではないのですが、つい買ってしまいまして…。 ━━━ やっぱりデザインの良さが決め手ですか? 金子:見た目も好きなのですが、このアイテムができるまでのストーリーなしに、その良さは語れません。
フィルタースタンド
こういう工芸や金属加工がすごくうまく、物作りをしてインスタグラムで販売されている方がいるのですが、その知人のことを「師匠」と慕う鉄男さん(@gehehehegen)といういわゆる“弟子”がいて。2人はよくインスタグラムでやりとりしていて、弟子のアップした作品を、師匠がコメントしていたり、実際に会って鉄曲げを直接指導していたりと、そのやりとりは数ヶ月にもわたりました。 鉄男さんが初めて納得のいく作品を作ったものの、販売を尻込みしていた時、そこでダメ出しを多く重ねていた師匠が初めて太鼓判を押したんです。そして商品化されたのがこの鉄男のヒトフデなんです。 ━━━ 裏側のストーリーを知れば、鉄男さんを応援するためにも買いたくなってしまいますね。
フィルターホルダー
金子:インスタで直にやりとりする様子を見てきた分、商品が完成したときの感動はひとしおです。販売の開始とともに、気づいたらすぐに購入していました。このきれいな鉄の曲がり具合とか、コーヒー豆みたいなレザーのストッパーとか、本当に芸が細かくて気に入っています。

マインドは「なんか、おしゃれ」でいい

金子さんの横顔
━━━ 実を言うと、自分はキャンプでコーヒーをいれたことがありません。やっぱりお酒が好きで、コーヒーよりもビールを手に取ってしまいます…。 金子:その気持ちも分かります!僕もチェックインが遅い日は、設営後にそのままお酒を飲んでしまいます。夜は仲間と一緒ならすぐにカンパイ!ですね。 ━━━ そうそう!金子さんはどのタイミングでコーヒーを飲むのが好きなのですか? 金子:そうですね。僕の場合、朝はたいてい飲んでいます。早起きしてキャンプでコーヒー飲むのは、なんか、おしゃれだなと思っています(笑)。
▲金子さん流の「なんか、おしゃれ」。
━━━ 「なんか、おしゃれ」って、意外ですね。 金子:いやいや、これくらいでいいんですよ!こだわりの一杯を〜とか、意識高いことだけ言っていても疲れたりするので。「富士山を眺めながら飲むコーヒーはおいしいな」とか「ボーッと香りを楽しむのが心地良いな」とか、そんな簡単なところから楽しさを見つければ良いんです。そしたら、だんだん「ミルをガリガリ回すのが楽しそう」「道具にちょっとこだわってる自分、カッケー」って、勝手に楽しみが広がっていきます。
tarptotarpの金子さん
━━━ 想像するとワクワクしてきました。私は、初めについ気合が入ってしまうタイプなので、良い道具はどれだ、最適ないれ方は、って自分でハードルを高くしがちです。 金子:気負う必要はありません。なんなら缶コーヒーからでも大丈夫です!そこからもっと自分が楽しくなりそうな方向を見つけたら、そっちに進んでいけば良いんです。 ━━━ すごく気軽にできそうなところと、金子さんの「初心者歓迎!」な雰囲気がなんだか良いなと思えてきました。キャンプ初心者にも同じことが言えそうですね。
TARP to TARPのコーヒー
金子:そうなんですよ!「最初は誰かにくっついて、人のテントに寝泊りしてみるくらいで良いんだ」って分かれば、キャンプをしたことがない人でも、きっとすごく気楽に感じるはず。そうやってコーヒーのことやキャンプのことをだんだん好きになってもらえたらうれしいです。 ━━━ 同感です!それじゃ、私はとりあえず次のキャンプで、朝のコーヒーくらいは用意してみようと思います。 金子:ぜひぜひ!でも本当にハマると沼なので、そこは気をつけてくださいね!

次回は実践編!金子さん流「最高の一杯」のいれ方

コーヒーを挽く金子さん
全てのビギナーに優しいラブコールを送ってくれた金子さん。次回は実際に、金子さん流のおいしいコーヒーのいれ方を教えていただきます。コーヒーをいれる手順で欠かせない「あの言葉」とは…? 【基本情報】 店舗:TARP to TARP 住所:神奈川県横浜市中区太田町6-70 井上ビル 2F 営業時間:11:30-17:30 ※定休日:月曜日・火曜日 公式はこちら:Instagram(@tarptotarp)

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