コーヒーはどういれるのが正解?キャンプカフェTARP to TARPで実践編【NO coffee, NO camp】
「キャンプでの最高の一杯は、ビールよりコーヒー」。そんなキャンプとコーヒーをこよなく愛する5人を紹介する連載企画「NO coffee, NO camp」。前回は、横浜のセレクトショップ&カフェ「TARP to TARP」のバリスタ・金子敦史さんにキャンプとコーヒーのこだわりを聞きました。今回は、実際にコーヒーのいれ方をレクチャーしてもらいます。
キャンプで飲む最高の一杯は、ビール…とは限らない?
「コーヒーはちょっと手間がかかるけど、それも悪くない…」。キャンプで飲むのはもっぱらお酒だった筆者をすっかりコーヒー党にしてしまった5人のキャンパーがいました。連載企画「NO coffee, NO camp」では、彼らの濃いキャンプ&コーヒーライフをお届けします。
TARP to TARPバリスタの金子さんが実践指導
横浜の馬車道にあるキャンパーのためのセレクトショップ&カフェ「TARP to TARP」。バリスタを担う金子敦史さんに、キャンプとコーヒーへの思いを余すところなく語ってもらいました。
▼かなりの「沼」にハマっている金子さんの前回記事はこちら
今回は、金子さんが実際にキャンプでコーヒーをいれる際の作法を伝授。「初心者大歓迎!」というだけあって、初心者が戸惑いそうなポイントを1から徹底的に解説してくれています。
金子さん流「初めてでもおいしいコーヒーのいれ方」
教えてくれたのは、一般人にもなじみ深いハンドドリップコーヒーのいれ方。おいしくいれるために気をつけておくポイントがいくつかあります。きちんと自分で豆を挽き、コーヒーを抽出しているのに、「理想の味が出せない…」と戸惑うのには、理由がありました。
今回金子さんが選んだ豆は?
金子さんがチョイスしたのは、TARP to TARPで仕入れて提供・販売されている、ブラジルの中深煎り豆。ブレンドをしていない単一農園の「シングルオリジン」と呼ばれるコーヒー豆です。なかでもスペシャリティコーヒーという生産過程や品質の管理が徹底されているものを使っています。
今回の豆はブラジルにある「サンタカタリーナ農園」だけを産地としたシングルオリジン。育った農園まで同じだと、より育つ環境が近いため、味に個性が出やすくなります。
豆の煎り方はその種類次第ではあるものの、一般的には浅煎りならあっさりと軽い飲み口、深煎りならしっかりとした重めの飲み口になります。
①お湯を沸かす
当たり前!と思うかもしれませんが、まずはお湯を沸かすところから。
前編で紹介のあった「Beasty Coffee ケトル」を使うかと思いきや、金子さんはスノーピークのケトルでお湯を沸かし始めました。
まずは鍋やヤカンで水を沸騰させてから、本命のケトルに移し替えます。お湯が空気に触れるため、コーヒーをいれるのにちょうど良いとされる85度から95度前後に温度が下がってくれる、というわけです。
②豆を計る
お湯を沸かしている間に、飲む分の豆を計ります。今回は18gの豆で230mlのコーヒーをいれます。好みや豆、煎り具合によりますが、この割合ならどちらかというと少し濃いめの味わいになります。
ちなみに金子さんが使っている「ドリップスケール」は、バリスタなどコーヒーに携わる仕事の関係者はたいてい持っているはかり。重さと時間が同時に計れる必需品です。
③豆を挽く
お待ちかねのコーヒーミルで豆をひく時間です。まずはミルのひき具合の調節をしましょう。粒の小さい細びきにすると濃いく、粒の大きい粗挽きにすると薄くなります。今回は、中粗びきに設定。豆をミルに入れてひいていくと、ガリガリと豆をひく音が心地よく店内に響きます。
④フィルターを湯通しする
ちょうどお湯が沸いたところでフィルターを設置し、豆を入れる前にお湯をまんべんなく注ぎます。こうすることでフィルターの「紙くささ」を取ります。
⑤豆を入れて、抽出する
湯通しが済んだらいよいよコーヒーの抽出です。抽出時間は全体で2分半から3分。フィルターに豆を入れ、豆を平らにならします。これによって、お湯をかけた際、味が均等に出てくれやすくなります。
まずは一度、豆全体にお湯をひと回しかけて、30秒待って蒸らします。お湯を注ぐと、コーヒー豆に含まれていた炭酸ガスが抜けてもこもこと膨らみます。実はよく膨らむほど、焙煎から時間のたっていない新鮮な豆である証拠です。
蒸らし終わったら、中央めがけて何度かに分けながらお湯を注いでいきます。細かく分けて注ぐと、何度も豆がお湯に浸るので濃いめの味になり、一気に注ぐと薄めの味わいになります。
⑥コーヒーはまずサーバーへ
コーヒーはそのままカップへ抽出…ではなく、金子さんのおすすめはサーバーにいれてからカップに移すこと。サーバーとしての役割だけではなく、一度攪拌(かくはん)することで味を均等にできます。コーヒーが全て落ち切る前にドリッパーを外し、サーバーを軽く振ってからカップへ注ぎましょう。
⑦飲んで一言「おいしい!」
ついにマグカップへ注ぎ、あとは飲むだけ。…ではなく、飲んだ後に「おいしい!」と言ってあげるのが重要なポイント。
もっとコーヒーを楽しむには?チェックするべき3つのポイント
①その豆、いつ購入しましたか?
最も味を左右するのが「豆の鮮度」。時間がたつと、だんだんと香りが弱まり、酸味や苦味が強くなり、えぐみのある味になってきます。豆は購入後、密閉容器で保存し、1〜2週間で飲み切るのがベストとされています。
②後片付けで楽しよう
キャンプでコーヒーをいれる際、ちょっと面倒なのが洗い物。コーヒーかすや飲みかけを放置しておくと、汚れが落ちにくくなってしまいます。金子さんは、キャンプでコーヒーをいれるときは、フィルターと一緒にコーヒーかすを捨てられるペーパーフィルターをチョイス。さらに
クリーナーを持参し、洗い場に行かずともすぐにカップやサーバーの汚れを落とせるようにしています。
③自分だけの楽しみを探してみよう
キャンプで飲むコーヒーにはさまざまな楽しみ方があります。絶景を前に一杯飲んだり、映える写真を撮ったり、とにかく道具にこだわったり。もちろんコーヒーの味も、一ついれ方が分かれば、豆を変えたり、お湯の量を変えたりしながら、好みの味を探れます。楽しみを探すうちに、いつの間にかコーヒーの世界に入り込んでいるかもしれません。
コーヒーは「自由」な飲み物だ!
「コーヒーのいれ方に正解はない」と語る金子さん。セオリーから外れて、60度のお湯でいれるような人もいれば、「お湯は一気にたくさん注ぐべきだ」という人も。「そんな人たちが大きなバリスタの大会で優勝することもあるため、一概にこれが正しいいれ方だ、とは言えません。だからこそ、自分にとっての正解を探す楽しみがコーヒーにはあります」。
キャンプの楽しみを知っている方が、コーヒーを知ればさらに楽しみが広がるはずだと考えている金子さん。その架け橋になろうと、「キャンプ×コーヒー」の良さを発信するメディアをインスタグラムで展開しています。(
@buna_kamipi)
「キャンプもコーヒーも、なんとなく敷居が高そうなものだと思われていることが多いですが、実は全くそんなことはないですよね。どんな人でも歓迎!なので、そのことをぜひ多くの方に知ってもらいたいです」。あらためてキャンプとコーヒーへの思いで締めくくってくれました。
分からないことは全部、TARP to TARPが教えてくれる!
1人目は、生粋のキャンプ&コーヒーフリークな金子さんに、初心者でもキャンプでコーヒーをいれてみたくなる熱い思いと、おいしいいれ方の丁寧な解説をしていただきました。金子さんがコーヒーをいれるTARP to TARPでは、コーヒー一杯の値段で店内のコーヒー器具を全て試せる「お試しドリップ」を行っています!キャンプ好き、コーヒー好きはぜひ立ち寄ってみてください。
【基本情報】
店舗:TARP to TARP
住所:神奈川県横浜市中区太田町6-70 井上ビル 2F
営業時間:11:30-17:30
定休日:月曜、火曜
公式はこちら:Instagram(
@tarptotarp)
次回「そもそもコーヒーが苦手な人」まで必見!?
次回の2人目は、大のキャンプ好きで「もっとキャンプを広めたい!」という強い気持ちからダイニングバー「CAMPERS PARADISE TOKYO」をオープンした小松優介さん。「実は昔コーヒーが苦手だった」とのことで、その転機はお楽しみにしてください。