極地冒険家の荻田さんに聞いた!今冬に販売される限定モデルの魅力
2018年に日本人で初めて南極点無補給単独徒歩に成功した、極地冒険家の荻田泰永さん。国内アウトドアブランドのポールワーズはこの偉業を記念し、南極で荻田さんが着用した防寒着をモデルにしたダウンジャケットを今冬に限定販売します。アウトドアの愛好家が気になる荻田さんの極地遠征での装備のほか、冬の街中でも着られる仕様にしたウェアの魅力を語ってもらいました。
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キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
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南極の単独踏破に成功した荻田泰永さん
極地冒険家の荻田さんの極地の出会いは2000年。冒険家大場満郎氏が主宰した遠征に参加し、カナダ北極圏のレゾリュート村から北磁極までを歩いたことに始まります。それ以降、毎年のように北極各地を訪れ、20年間で16回の北極行を経験しています。
2012年に日本人初の北極点無補給単独徒歩に挑戦したほか、2018年1月には、日本人初の南極点無補給単独徒歩到達に成功しました。TBS系で放送されていた人気バラエティ番組「クレイジージャーニー」などにも出演し、日本で有名な冒険家の一人として活躍しています。
極寒の環境で過ごすために
極寒のイメージが強い南極。そこでアウトドアに親しむ愛好者が気になるのは、氷点下30度を下回る中で、どのようなアイテムで防寒しているかです。
「極地に持っていくアイテムは、基本的に市販の物は少なく、テントやソリ、ウェアなどの主要な装備はほとんどが特注品です」と荻田さん。やはり一般人では立ち入れない過酷な環境を一人で生き抜くには、一般人が買えるような並大抵の道具ではないようです。
テントは、日本国内で体感できない寒さに耐える保温性や、吹雪への耐風性を考えて三重幕のものを使用。「フライシートで被せる作業はなく、六角形状に交差させたポールを立てるだけでテントが自然と立ち上がる簡易な設計になっています」。
もう一つ気になるのは、荻田さんが南極で50日間、約1100kmの行動で使用したウェア。どのような防寒の工夫があるのか聞いてみると、荻田さんからは意外な答えが返ってきました。
「極地というと寒さ対策に目が行きがちですが、それが全てではありません」
自分の身体を守るウェアの目的を果たすために、発汗への対策や防風なども必要になってくる極地のウェア。特に極地では長距離を歩いて体は発熱するため、「汗をいかに身体から近い部分で凍らせないようにするかが重要です」。
太陽光が強く汗が蒸発しやすい南極では、蒸発した汗を外に逃がす透湿性に優れたウェアを重ね着。一方、太陽光が弱く、汗が蒸発する前に凍ってしまう北極では、透湿性を備えたアンダーウェアと透湿性のないアウターの間のミドラーで凍らせ、身体に触れることなく落としてしまいます。極地であっても、南極と北極でウェアと着用方法を使い分けています。
各アイテムは日本のメーカーから特注
海外でも極地で使える高性能アイテムを作っているメーカーはあるものの、ウェアやソリなどの特注品は日本メーカーにこだわる荻田さん。「厳しい環境の中で過ごすため、ウェアやソリも、車で言うところのF1のレベルの機能性にする必要があり、自分でアイデアを出してより良いものを作りたいという思いから、日本メーカーとより良いギアの開発に励んでいます」。妥協のないもの作りに協力する日本企業への厚い信頼が垣間見えました。
荻田モデルが一般仕様となって限定販売!
荻田さんの特注品の中で、ウェアを手がけているのがポールワーズ。同ブランドから、南極点無補給単独徒歩を成功したことを記念し、「荻田モデル」のダウンジャケットを限定で販売されます。南極点無補給単独徒歩に到達した際に着用していたダウンジャケットをモデルにして、2019年冬に登場!
オリジナルのワッペンとタグを付けて272着の限定販売。首元のタグには、荻田さんが南極で撮影してきた写真と南極の地図が載っており、荻田さんが単独徒歩で挑んだ南極点までの歩行経路が見られるようになっています。ウェアの細かい部分までこだわっているのは、限定品ならではの仕様です。
実際に荻田さんが南極で着用していたウェアは、極寒の環境で行動するときでも快適に過ごせるほど。今回販売される限定モデルは、南極で着用したダウンジャケットのデザインはそのままですが、運動をして汗をかくことを想定していないため、逆にダウンの量を増やし、日常生活に合わしたアウタージャケットに仕上がっています。南極での耐久性と機能性を証明したポールワーズが作っていることもあり、保温性の高さと使い勝手の良さは折り紙つきです。
保温性が高い理由は、ダウンへのこだわりにあり!
また保温性が非常に高い理由は、ダウンの量のだけでなく、質にもあります。通常のダウンジャケットの羽毛は、若い鳥のものを使用。これは一般的に食用になりやすいからです。一方、ポールワーズは成長した鳥にこだわっており、成熟した鳥を好む文化圏で羽毛を調達。この羽毛は若い鳥より膨らみがあり、保温性の高いダウンジャケットが実現できるといいます。
限定モデルだけじゃない!ポールワーズの保温性抜群ウェアをご紹介
荻田モデルは限定品なので、手に入らなかったという方も出てくるかもしれません。そんな方のために、同じくポールワーズから販売されている保温性に優れたウェアを紹介します。
第一次南極観測隊の記念モデル
1956年に砕氷船「宗谷」で出発した第一次南極観測隊が使用していたウェアのデザインを、現代風にアレンジした復刻版のモデルが「SYOWA STATION 1957」。観測隊の拠点となる昭和基地の名を冠した当時のモデルから、ボタンやポケットのデザインに変更が加えられています。当時はまだポールワーズというブランド名はなく、ウェアも単にダウンジャケットと呼ばれていました。半世紀にわたって極地で培われた防寒性と機能性がこの1着に凝縮されています。
左腕の外側には、出発年と南極大陸の地図が描かれているワッペンが縫い付けられています。こちらも記念モデルということで、特別感のあるウェアです!
タウンで活躍するスタイリッシュな見た目のロングコート
次に紹介するのはロングコートの「MAKALU QUILTING LONG COAT」(マカルー・キルティング・ロングコート)。スタイリッシュでアウトドアやスポ-ツ観戦はもちろん、タウンユースでも活躍してくれます。ロングコートでありながら、ポールワーズの他のコートとの価格差はそれほどないのも魅力です。
アクティブなアウトドアで着たいダウンジャケット
こちらのダウンジャケット「WATER PROOF SHELL DOWN JACKET(ウォータープルーフ・シェルダウン・ジャケット)」は、街着(ス-ツの上に羽織る)として、またアクティブなアウトドアでも動きやすい機能が高いデザインです。縫い目にシームテープ処理がされ、雨でも水が入ってこないようにする防水仕様になっています!
最後に
極地冒険家の荻田さんが愛用するポールワーズの防寒、保温性に優れたウェア。どのウェアもタウンユ-ス、アクティブアウトドアと言ったシ-ンで重宝します。全国のアウトドア・スポ-ツ専門店・一部百貨店の各店舗で12月中に発売されるので、これからの寒い季節のお供として検討してみてはいかがでしょうか。