
エバニューがついにテントをつくった。軽量ギアの名門が挑んだ“ブランド初テント”とは
2026.06.27キャンプ用品
クッカーやストーブなど、登山者に愛される軽量ギアを作り続けてきたEVERNEW。そんな同社が2026年6月、ブランド初となるテント「Ledge highat / carbon」を発売しました。なぜ今テントなのか。そしてなぜ、軽量化競争が続く山岳テント市場で、あえて「自立式ツェルト」という独自の答えを選んだのか。開発担当者へのインタビュー動画から、その思想を紐解きます。
なぜ今、エバニューはテントをつくったのか
実はEVERNEWは、これまで一度もテントをつくったことがないブランドではありません。
過去にはテント開発にも携わってきた歴史があります。しかし近年はクッカーやストーブなどの軽量ギアを中心に展開し、テントカテゴリーからは距離を置いていました。
そんな中で2026年5月に発売されたのが、ブランド初の山岳テント「Ledge highat / carbon」です。
担当者によると、その背景には「総合アウトドアブランドとして、もう一度テントをつくりたい」という想いがあったそう。
登山を楽しむ人にとって、テント泊は大きなウェイトを占める遊び方のひとつ。だからこそ今なら、自分たちなりの答えを形にできると考えたといいます。
エバニューが掲げる「自立式ツェルト」という考え方
Ledge highat / carbonを語るうえで欠かせないキーワードがあります。
それが、「自立式ツェルト」。
一般的なツェルトは軽量性を優先する代わりに、居住性や設営性を犠牲にすることも少なくありません。
一方でLedge highat / carbonは、自立式のクロスポールドームを採用。設営しやすく、撤収も速い。それでいて重量も抑える。
日本の山岳フィールドで本当に使いやすいテントを目指した結果、この「自立式ツェルト」という考え方にたどり着いたそうです。
軽さより大切だったのは「回復できる空間」
このテントで最も印象的だったのは、担当者が何度も口にした「回復」という言葉でした。
テント泊は、寝ることが目的ではありません。“翌日も歩くために寝る”。2泊、3泊と縦走が続けば続くほど、その重要性は増していきます。
そこでEVERNEWが重視したのが居住空間でした。担当者は、「テントにおいて回復させるのは圧倒的な居住空間」と語っています。
Ledge highat / carbonは軽量テントでありながら、全長220cmという広い室内長を確保。
高さや横幅にも余裕を持たせることで、軽量性だけを追求したモデルとは異なる快適性を実現しています。
重量を削るために空間を削るのではなく、「軽いのに広い」を本気で目指したテントなのです。
シングルウォールなのに、結露対策に本気だった
Ledge highat / carbonはシングルウォール構造を採用しています。軽量化には有利ですが、同時に結露という課題も抱えているのも事実。
そこでEVERNEWがこだわったのが換気設計です。
本体・フロアともに耐水圧1,500mmを確保しながら、高低差を利用した空気の流れをつくり出す構造を採用。
さらに複数のベンチレーションを配置することで、効率よく湿気を排出できるよう設計されています。
見た目はシンプルですが、その裏側にはかなり緻密な計算が隠されていました。
カーボンポールを選んだ理由は「軽いから」だけじゃない
モデル名にも入っている「carbon」。
もちろん軽量化も理由のひとつです。同サイズのアルミポールと比較すると、およそ50g軽量になるそう。
しかし開発者が評価しているのは、それ以上に「しなり」の性能でした。強風を受けた際、柔軟に力を逃がしてくれるので、結果として高い耐久性につながるといいます。
軽量化だけではなく、山での実用性まで考え抜かれた素材選びだったことがわかります。
「やりすぎたのは値段」
インタビューの中で思わず笑いが起きたのが、この一言でした。「やりすぎたのは値段でしょ」。
軽量山岳テントの価格は年々上昇しています。高性能な素材や複雑な構造を採用することで、10万円を超えるモデルも珍しくありません。
そんな中、EVERNEWが目指したのは「必要十分」。
本体には10Dリップストップナイロン、フロアには15Dリップストップナイロンを採用し、特殊な専用素材には頼らない。
さらに、シンプルなクロスポール構造によって製造工程も最適化しました。
軽量化は追求する。でも、価格まで登山者から遠い存在にはしたくない。そんな開発陣の考え方が見えてきます。
これは“寝るためのテント”ではなく、“次の日を歩くためのテント”
Ledge highat / carbonを見ていると、EVERNEWがつくりたかったものは単なる軽量テントではないことがわかります。
軽さも欲しい。設営のしやすさも欲しい。でも、居住空間だけは妥協したくない。
その結果として生まれたのが、「自立式ツェルト」という独自の答えでした。
担当者は最後に、「今まで行けなかった距離を歩くためのギア」という言葉を残しています。
Ledge highat / carbonは、単なる宿泊装備ではありません。新しい景色を見に行くための相棒なのかもしれません。
開発秘話を動画でチェック
この記事で紹介した内容は、hinataTVで担当者本人が詳しく解説しています。
なぜ今テントなのか。なぜ居住空間にこだわったのか。記事だけでは伝えきれない開発者の想いを、ぜひ動画でもチェックしてみてください。
制作者

キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
公式Instagram:@hinata_outdoor
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