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風街道具店の写真

なじみの品もここなら輝く。レアアイテムと定番品が共存する風街道具店の店づくり

全国の人気アウトドアショップのリアルな魅力にせまる連載「愛せるお店に出会おう」。オーナーの店づくりへのこだわりやアウトドアに対する想いを聞き、「つい訪れたくなる」「ずっと通いたくなる」理由を探ります。第1回目は、ガレージブランドの品ぞろえで有名な京都の「風街道具店」オーナー米良慎平さんに話を聞きました。めずらしいガレージブランドを扱う一方で、どこでも買える「定番」にこだわる米良さんの真意とは?

アウトドア好きが足繁く通う京都「風街道具店」

風街道具店
今やキャンプギアの一大ジャンルとなったガレージブランド。大手メーカーとは異なり、個人や小規模で製作しているブランドを指し、ユニークかつ高品質なギアの数々が人気を博しています。流通量が少ないため、コアなファンが多いのも特徴的です。 そんなガレージブランドにいち早く目をつけ、その魅力を発信し続けているのが「風街道具店」。京都市内から車で30分ほど、大阪との県境の大山崎町に店を構え、地元のキャンパーから、全国のガレージブランドファンまで、多くのアウトドア好きから支持される人気ショップです。 2023年2月で5周年を迎えた風街道具店はどのように生まれたのか。お店のこだわりや今後の展望も含めて、オーナーの米良慎平さんに聞きました。

価値観が変わったキャンプ体験

風街道具店
ーー「風街道具店」を開く以前、米良さんは何をされていたんですか?
米良慎平さん(以下「米良」):もともと京都の烏丸でネットショッピングの運営会社で働いていたんです。商品の仕入れからマーケティング、配送までECに関することは一通り担当していました。子どもが生まれ、将来についていろいろと考えるきっかけがあり、個人でネットショップの事業を行うようになりました。
ーーもともとアウトドアは好きだったのでしょうか?
米良:30代のときにサーフィンに出会って、波乗りは今でも大好きです。そのほかにも登山やサッカーなどアウトドアや体を動かすことは好きでした。でも、キャンプを積極的にしていたわけではないんです。ネットショップも、開業当時はキャンプ道具は扱っていなかったんですよ。
風街道具店
2023年春にはフロアを拡充予定。イベント・ワークショップなどに使われる見込みの2Fスペースには米良さんお気に入りのサーフボードが鎮座。
ーーでは、キャンプと出会うきっかけは?
米良:友人に誘われたキャンプで価値観が変わったんです。これまで見たことのないテントがあって…そう、ノルディスクのテントでした。場所は広大な緑が広がる滋賀県のマキノ高原で、ノルディスクのテントも相まってまるで遊牧民になった気分になったのをよく覚えています。
ーーそれは思い出深い経験ですね!
米良:そうなんです。そこからキャンプへの興味が湧き、instagramでキャンプ関連の投稿をよく見るようになりました。いろいろ見ていくと、ガレージブランドというものがあり、それがめちゃくちゃかっこいい!でもなかなか流通していないので、ここには大きなニーズがあるのではと考えてガレージブランドを扱うことを思い立ちました。ガレージブランドの取り扱い自体は、2018年2月の実店舗オープンとともに開始したんです。

試行錯誤の店づくり

風街道具店
ーー風街道具店さんといえばガレージブランドですが、そのような理由があったのですね!ネットショップから実店舗オープンまでの経緯も教えてください。
米良:そうやってキャンプ道具を扱い始めたのですが、メーカーに問い合わせるとネットショップだけでは信用がないので取引できないと断られることが多くなってきたんです…。そこで実店舗を立ち上げることになりました。
風街道具店
シンプルで味わいある店先の看板。お店の雰囲気をよく表しています
ーー最初からここ大山崎町でお店を始めたんですか?
米良:はじめは隣町の島本町というところからスタートしました。最初のお店は9坪くらいしかない小さなところで、トイレもありませんでした。僕が近所のスーパーにトイレを借りに行き、帰ってくるとお客さんが待っているなんてことも(笑)。 お店を開く少し前からブログを始めたり、insagramで投稿をしたりしていくうちに口コミでお客さんが増えていきました。そのときからガレージブランドの認知も少しずつ上がってきたように思います。お客さんが増えるのはありがたかったのですが、駐車場もないし、商品を置く場所も限られていたので大山崎町の物件に移ることになりました。今のお店の一つ前の場所ですね。
ーー現在のお店では、奥にある芝生スペースが印象的ですね。
風街道具店
お店の奥にある芝生スペース。テントなどを展示してあり、実際に使うイメージがわきます。
米良:あの場所ではイベントを開催したこともあるんです。アシモクラフツさんとネルデザインワークスさんとのポップアップイベントだったのですが、ありがたいことにびっくりするくらいお客さんが集まってキャパオーバーでした(笑)。
ーーアシモクラフツさんとネルデザインワークスさんといえば大人気のガレージブランドですね!お付き合いは長いんですか?
米良:どちらのブランドも、風街道具店が実店舗としてオープンする際に商品として置かせてもらったんです。当時は知る人ぞ知るブランドでしたが、今やガレージブランドの代名詞的存在になりましたね。アシモクラフツさん、ネルデザインワークスさんのおかげで僕のお店も知られるようになってとても感謝していますし、大切な仲間です。

目指すのは「定番」を買ってもらえるお店

風街道具店
ーーガレージブランドとともにお店を歩まれてきたんですね。米良さんがガレージブランドを扱う理由は何ですか?
米良:「ガレージブランドだから扱う」という訳ではないんです。お客さんが安心して使い続けられるかが僕の中では重要でなんです。「良い道具を売る」という感覚ですね。
ーーそれはいったいどういうことですか?
米良:例えば、大手メーカーのギアであれば、故障したとしても手厚いサポートがありますよね。一方で、全てのガレージブランドにそのようなサポートがあるわけではないですよね。大手メーカーにしろ、ガレージブランドにしろ、お客さんが将来にわたって使い続けることを想像して、扱う商品を決めているんです。
ーー「使い続ける」ことが重要なんですね。では、どんなギアを仕入れるか基準はありますか?
米良:扱うギアを選ぶときは、お店に来るお客さんが何を欲しがるだろうかを想像します。 例えば、チェアを買ったお客さんがいたとします。そうすると、「次はテーブルを欲しくなるだろうな」とイメージして、買ってもらったチェアやそのお客さんに合うようなテーブルを仕入れるんです。「誰が何を欲しがるか」を具体的にイメージして仕入れるものを決めます。そうすることで多くの人にとっても役立つ品ぞろえになるのではないかと思っています。
風街道具店
ネルデザインワークスの「ネルシュラフ」。なかなか手に入らないレアアイテムも風街道具店なら手に入るかも。
ーーそう言われてみるとたしかに、めずらしいものだけでなく誰でも使いやすいようなギアも豊富ですね。
米良:誰でも使えるもの、つまり「定番」を置くことを常に心がけています。
ーー「定番」?意外な言葉が出てきてびっくりです。どういうことですか?
風街道具店
キャンプ前に消耗品の補充で立ち寄る方も多いのだとか。
米良:Amazonや大手量販店でも買えるような定番商品を、あえて風街道具店で買ってくださること。それこそが僕が目指すお店のあり方なんです。例えば、ここに並べてあるガス缶類。アウトドア用のアイテムとしては定番でAmazonやホームセンターでも買えます。これをあえて僕のお店で買ってくださるのは、そこに他のお店にはない魅力を見出してもらえているのではないかと思っています。
ーーたしかに、そのお店で買うことで生まれるストーリーや次に何を揃えようかというワクワク感も生まれますね!お店に並ぶレアアイテムとの相乗効果も期待できますね。
米良:そのために、展示の仕方、説明、接客などを日々考えているんです。どこでも手に入るものを買ってもらえることこそが、そのお店の存在意義なんです。これはまだまだ達成できていない課題ですが、お店を続けるうえでの大切な思いとして持っています。
ーーちなみに、今米良さんがおすすめしているギアはありますか?
風街道具店
商品名:テント チョップレート/サイズ:直径220mm/カラー:ブラック
米良:そうですね…この「チョップレート」はとても便利でおすすめです。まな板として使えて、そのままお皿にもなるので使い勝手がいいんです。軽くて丈夫なところもアウトドア向きといえますね。

キャンプは1回だけでは楽しめない

風街道具店
ーーさまざまな道具を扱ってきた米良さんにとって、キャンプそのものの魅力とは何ですか?
米良:「不便さ」ですね。キャンプに行くと何かしら不便なことが必ず発生します。雨に濡れたとか、調理に手間取ったとか。そういう不便さを次のキャンプでどう克服しようかと考える、そして道具とともに実践して乗り越える。このトライアンドエラーの過程がとても楽しいのです。だから、キャンプは1回だけでは楽しめない。何度もやることで楽しさが大きくなっていくものだと思っています。
ーー「キャンプは1回だけでは楽しめない」。心に響く言葉です!
米良:子どもを見ているとより痛感しますよ。前はできなかったテント張りや火おこしが、次のキャンプではできるようになっている。どんどん成長している姿をキャンプでは見ることができます。これこそがまさにキャンプの醍醐味だと教えられますね。もちろん、仲間との飲み会も楽しいのですが(笑)。
ーーそれも重要ですね(笑)!
米良:ただ、キャンプの可能性はまだまだあると思っています。例えば、サーフィンや登山であれば体をハードに動かし、その後に食べるご飯や見る景色が最高のご褒美だったりする。でも「キャンプ場で寝泊まりするだけ」ではご褒美を感じづらい。ただその場で過ごすだけでなく、その先にあるご褒美をキャンプでいかにつくるか、それが僕の課題の一つですね。

オリジナルブランドとアメリカへの憧れ

風街道具店
ーー今後はどのようなことに力を入れていくんですか?
米良:オリジナルブランドをつくりたいと思っています。アウトドア需要が高まり、最近ではなかなか思うように売りたいものを置けなくってきました。 じゃあ、売りたいものを自分で作ってしまおう!と思い立ち、2022年からブランド開発に着手しはじめたんです。実は今テーブルを製作中なのですが、あれもこれも詰め込んだらとんでもないコストになってしまって…まだまだ試行錯誤しています(笑)。
ーー米良さんのこだわりが詰まったテーブル、とても楽しみです!
米良:あとは、情勢的にまだ実現はできていないのですが、アウトドアの本場であるアメリカで現地のメーカーを見て、実際にお店でも取り扱いたいと思っています。アメリカは土地が広大なので、キャンピングカーを使ったダイナミックなキャンプをしたり、逆に極限まで無駄を削ぎ落としたUL(ウルトラライト)スタイルも人気があったりと、本当にキャンプの幅が広い。現地のリアルな体験を日本のアウトドア好きにも伝えていきたいですね。

自分だけの「定番」を手に入れよう

ガレージブランドの取り扱いで有名なお店でありながら、「定番を買ってもらえるようになりたい」という米良さんの言葉は意外なものでした。しかし、その理由を聞くと非常に納得。道具を使うお客さんのことを一番に考える米良さんの想い、そして風街道具店というお店が存在する理由が詰まったこの言葉に強く胸を打たれます。

編集部員のお買い上げアイテム

モーラナイフの写真
モーラナイフ コンパニオンヘビーデューティー カーボン
キャンプ初心者のhinata編集部員が米良さんの言葉に触発されて購入したのは、アウトドアナイフの定番「モーラナイフ コンパニオンヘビーデューティー カーボン」。「使いやすく、初心者にはぴったりな一本。バトニングもできるので汎用性も高いですよ」という米良さんの説明を聞き、初めてのナイフを手に入れました! 実際に持ってみると想像以上に軽く、ハンドルは手にフィットして握りやすい!これなら初めてナイフを扱うときも安心して手を動かすことができそうです。ナイフを手にするだけで、なんだかアウトドアレベルが上がった気になってしまいます(笑)。 「早くこのモーラナイフを使いたい!」このキャンプへのワクワク感は風街道具店で手に入れたからこそ味わえるもの。ぜひみなさんもお店に訪れて、自分だけの「定番」を見つけてみてください。
撮影:小寺晴雄
【基本情報】 住所:京都府乙訓郡大山崎町大山崎西高田10-1-B 電話番号:075-874-5411 営業時間:平日12:00〜20:00/土日祝10:00〜18:00 定休日:木曜日 他臨時休業あり 詳細はこちら:風街道具店 Instagramはこちら: @kazemachi_tools

愛せるお店と出会おう。

全国の人気アウトドアショップのリアルな魅力にせまるインタビュー連載。オーナーの店づくりへのこだわりや、アウトドアに対する想いを聞き、つい訪れたくなる、ずっと通いたくなる理由を探ります。



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