【武山店長の辛口ジャッジ!vol.11】ニーモとMSR、ソロテント二大巨頭はどちらを選ぶ!?
今回は、キャンプマスターであるエルブレス名古屋みなと店の武山店長が、イチオシのソロテントを紹介!なぜ今ソロテントなのか。その比較の裏には、この時期ならではのワケが!テント界の中でも衰え知らずの人気を誇るMSRと、国内でますます注目度の高まるニーモのソロテントを、独自の目線で包み隠さずズバッとジャッジ!
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キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
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連載企画「武山店長の辛口ジャッジ!」
キャンプギアの疑問にズバリ答える「武山店長の辛口ジャッジ」第11弾!どっちつかずな紹介をされがちなキャンプギアを比較し、キャンプマスターである名古屋みなと店店長、武山さんにズバリ本当のおすすめギアを教えていただきます。どのアイテムを買えばいいかわからない...。と悩んでいるキャンパーさん必見です。
今回のテーマは、ソロテント!
秋こそ最適!ソロキャンプデビュー
━━━ 今回のテーマはソロテント!とお聞きしてこの時期…?と少し疑問に思っていたのですが、そこにはどのような理由なのでしょうか?
武山:ソロキャンを始めるなら、ズバリ今ですよ、今!もうすぐ秋になるじゃないですか。涼しくなってくると、夏の虫が苦手というキャンパーさんや気候に耐えられないというキャンパーさんがひょっこりキャンプを始めだすんです。
━━━ 確かにそうかも!?季節柄、ソロに限らず始めやすいですものね。
武山:と、いうことで今回はソロキャンに必須なソロテントを徹底比較させていただきます!ソロテントがあればそのあとグルキャンにも参加しやすいですし、行動の幅が広がりますよ!
━━━ 初心者にもキャンパーさんにも一石二鳥なお話ですね!
武山:それに今回選んだのは、ソロ用と言えど2名は寝られる仕様のソロテント!完全にソロではなく、いざというときはデュオできるようアイテム選びにもこだわりました。
━━━ ソロキャン需要が高まる一方で、デュオ移行にも備えられるなんて嬉しいですね!それでは、さっそく主役のテントたちの紹介をお願いいたします!
おすすめソロテントはMSRとニーモ
MSR「エリクサー」vs ニーモ「アトム2P」
━━━ 今回は、なぜこの両ブランドに白羽の矢が刺さったのでしょう?
武山:両者とも人気のブランドのテントですし、そのラインナップにはこれまでにも錚々たるものだった、というのがひとつ。そしてもうひとつが、僕が頑張ったからこそ店頭に並べられることになったニーモをご紹介したかったから、です!
━━━ おや…?!始まる前からニーモ推しが透けて見えるような気もしますが…!?
武山:それは誤解です!実は、東海エリアでの取り扱いが少なく、お客様からの問い合わせも多かったニーモブランドをこの秋から名古屋みなと店で取り扱い始めることになりまして。だから、ワクワクしてしまっている部分もありますが(笑)。そんなニーモとMSRは同規格、同価格帯、有名ブランドということを鑑みても一体どっちがいいのかパッとはわからず、決着をつけさせたいがために今回チョイスしました!
━━━ なるほど…。東海エリアでの取り扱い開始を、今か今かと待ち遠しく思っている方も多いのですね!一方のMSRは、いつから入荷されているんでしょう?
武山:名古屋みなと店オープン当初から入荷していましたよ。だから、今回は古株と新参者対決ということになります。
━━━ これはまた名勝負な予感です…。では、贔屓目なしで、いつもの辛口比較からお願いします!
武山店長の辛口ジャッジ!!
比較ポイント1:重量感、サイズ感
━━━ まずは持ち運ぶのに重要な重量感、サイズ感からズバッとお願いします!
武山:収納時のコンパクトさは、言わずもがなニーモの圧勝。高さも幅も見比べてしまうと、MSRの方が意外とかさばってしまいます。
━━━ 確かに、こうして並べてみると一目瞭然ですね…。設営していただいた状態を見たときは同じサイズ感に見えたのに、不思議です。
武山:それは、生地の違いですね。あとは前室のサイズ感というか設計というか。その辺りはあとでお話ししますので、次は重量感の具合を見ていきましょう!
━━━ 持っていただいた感じ、いかがですか…?
武山:うん、ニーモが断然軽い!見てもらったサイズの通り、コンパクトな分その重さも控えめ。
━━━ なるほど…。この重さやコンパクトさは、ソロテント購入には必須条件なのでしょうか?
武山:そうですね。ソロテントですから、基本は一人で使用することを念頭にするとなるとひとりで持ち運ばないといけません。だから、テント選びの基準の中でも大前提です。
━━━ ソロテントといえば、登山される方やバイクパッキングしてツーリングキャンプされる方が多いですもんね。コンパクトで軽量というのは、荷物としてもありがたい条件ですね。
武山:そういうことです。サイズが小さければその分他の荷物にそのスペースを活用できますし、軽ければ身体の負担も減らすことができるので、自分のためにも考慮しておくといいポイントです。
比較ポイント2:設営しやすさ
━━━ 持ち運びの重さ、サイズ感の重要性はしかと理解できました!次に気になるのは設営のしやすさなのですが、甲乙つけられるものなのでしょうか…?
武山:これは正直、立てて比べてみないことにはわかりません。なので、サクッとたててみましょう!
━━━ いつもに増して行動力の凄まじい武山さん…頼もしいです!
武山:まずはMSRから。ポールは全部で3本の仕様になっていて、色ごとに分けられているので設営しやすいのが特徴です。
━━━ 本当だ!いい意味であからさまに色分けされているので、初心者でも簡単に設営できそうですね。
武山:そうなんです。そしてポールにおけるポイントはもうひとつ、これ。
武山:このポールがクロスしたところにあるクリップは固定されていて、2本なのに1本として扱えるんです。
━━━ む、固定されているんですね!2本なのに1本とは一体…?
武山:ソロテントにおいてはそんなに珍しくない設計なんですよ。ポール同士がバラついて絡むことがないので、その点が設営のしやすさに繋がっています。このポールは自立式なので四隅さえしっかり押さえておけば、あとはテントを吊るすだけ。2本のポールが交差する点で固定されているので、負荷のかかる場所が左右で均一になりバランスよく自立してくれるというワケです。
━━━ なるほど。もう一方のニーモは、構造や設営の手順が異なるのでしょうか?
武山:実際にこちらも設営して見ていきましょう!
━━━ あ、MSRと違ってクロスしていますね!これはこれで手順が単純で気軽に設営できそうです。
武山:そうなんです、クロスしている分MSRより作業工数は少し減りサクサク設営が可能になっています。初心者でも大きめのテントを持っているキャンパーさんなら、設営のしやすさは断然ニーモ。
━━━ 一般的なテントと作りが似ているから、ということでしょうか?
武山:その通りで、スリーブの有無がミソです。通したあとでピンに固定する、というのがテントの基本的な構造、設営手順の大多数を占めます。だから、説明書を読まなくてもするっと設営しやすい。あ、でももちろん説明書は読んでから設営してもらうに越したことはありません!
━━━ 確かに説明書いらずかもしれません…。ソロテントということも相まって、設営自体は初心者一人で気軽に行えてしまいそうですね。
武山:設営してみたところ、正直その差はほとんどありませんでした。ただ、一般的なテントと設営手順が似ているといった観点で言えば、ニーモの方が設営はしやすいですね。
比較ポイント3:居住性の高さ
━━━ つづいては居住性の高さがいかがなものか、それぞれ確認&ジャッジをお願いします!まずはMSRから。
武山:僕1人でもこんなにゆとりがあります。最大2名まで横になれるので、1人で過ごすには十分な広さです。むしろ、寂しい(笑)。
━━━ そこまで広いと、かえって寂しくなってしまうものなのですね(笑)。
武山:MSRは、設営したとき横に1本多かったポールのおかげで、テントの側面が垂直に起き上がっています。だから、テント特有の三角錐型ではなく台形に近い。横になって天井を見上げてみると如実にわかりますよ。
━━━ 出入り口からのぞいてみても、広さがわかります…!そして、やたら明るい!
武山:いいところに気づきましたね。おっしゃる通り、MSRは上下で配色が異なっており光を取り込みやすい白が上部を占めていることからテント内が明るく感じられる仕様になっています。
━━━ しかも、やたらメッシュが多い気がします…。
武山:それもMSRならでは。メッシュの面積が広いということ=通気性抜群なので、一般的なソロテントより圧迫感が感じられにくく、開放感満載な環境で伸び伸びと過ごせます!ただ、夏場は良くても冬場は注意が必要。よっぽど頼れるシュラフや防寒対策を施しておかないことには、翌朝大変なことになっていしまいます。
━━━ 快適そうだったのに、季節によって難点があるとは…。各比較ポイントで接戦が繰り広げられている気がします…。
━━━ つづくニーモの空間、寝心地はいかがですか?
武山:MSRの後だと、やはり多少狭く感じてしまいますね…。ポール2本で設営するドーム型テントと同じ構造なので、天井がMSRに比べてすぼまっています。
武山:それが見慣れていて落ち着くというキャンパーさんもいるでしょうし、広さを少しでも求めるキャンパーさんには物足りないかもしれません。ただ、メッシュにするか閉め切るかは自由に調整できる仕様になっているので、汎用性の高さはニーモかな。
━━━ シーンによって環境を少しでも変えられるのはとてもいいですね。では、武山さんらしくズバッと言っちゃってください!
武山:居住性の高さは、お察しのとおりMSRに軍配です!メッシュと3本目のポールの存在が生み出す広々とした天井が最高ですよね。
比較ポイント4:耐久性
武山:いくら広くて快適だったとしても、そもそも耐久性がなければテントとしての役割を果たせません。フライシートが厚手なMSRの底面生地は、思っていたよりやや薄め。
━━━ 床部分はもう少し厚手の生地を採用している印象でしたが、そうでもないのですね。
武山:と、思わせておいて、実はMSRは本体とは別でグランドシートをセット内容に組み込んでくれています。この点はとても頼もしいのですが、かさばりの原因でもあります。
━━━ なんと世知辛い…。
武山:一方でニーモは、フライシートやインナーテントがとても軽量なわりに、底面にはやや厚手の生地が採用されています。
━━━ MSRの逆パターンですね…。
武山:そのため、別でグランドシートがあるわけでもなく、コンパクトさ、軽量さは維持したまま。両者とも大雨にも耐えうる機能を備えていますが、インナーテントの頼もしさだけでみると、ここはニーモに軍配です!
比較ポイント5:デザイン性
━━━ 一口でデザイン性とは言え、この点に関してはどうしても好みが先立ってしまうものなのでは…?
武山:そうですね、こればっかりは好みの問題です。単体の見た目だけでは、単純に僕個人の意見にもなりかねません。そこで今回は、少し特別なレイアウトでデザイン比較してみようと思っています!
━━━ ソロテント単体のデザインではなく、特別なレイアウトで…?
ワクワクした表情の武山店長に連れられて行ったのは、ツールームテント設営エリア。これはまさか…?!
武山:そのまさか、カンガルースタイルでデザイン戦の決着をつけましょう!ニーモと言えばグリーンと連想するキャンパーさんが多い中で、今回このカラーを推したかった理由はこれです。ogawaとニーモがこんなに相性がいいなんて、なかなか面白いなと思って。
━━━ うん、面白いです!意外性がすごいですし、なにより違和感がどこにもない…。そしてオリーブカラーの統一感が絶妙!策士ですね、武山さん!
武山:それほどでも(笑)。でも、このスタイルであれば、もともとのインナーテントにソロテントをプラスして寝床を設けられますし、ファミリーであれば大人と子供で部屋を分けてそれぞれの時間を楽しむ、なんてことも可能になります。過ごし方のレパートリーが増えるので、ソロテントをソロでなく活かしてみてほしいですね。
━━━ とても名案ですね、試してみたいです…。
武山:一方で、MSRはやや自己主張のあるデザインでもあるので、カンガルーさせにくくて…。
━━━ …武山さん、思いついてしまいましたよ、MSRのグッドパートナー!
武山:本当ですか!?あれ、そんなテントあったかな…?
━━━ コールマンのダークルームシリーズ、配色が似ていませんか…?
武山:!!!!!
━━━ MSRもカンガルースタイルさせてしまいましょう!
━━━ ということで、予想外なこともありながらMSRでもカンガルースタイルにしたデザイン性を見てみましたが、いかがですか?
武山:これは、まさかの相性ぴったりカンガルースタイルですね。店舗内にダークルームを展示していてよかったです(笑)。MSRは差し色の赤がとの相性が問われる部分があるので、単体でもカンガルースタイルでも問題なく相性がよいことはわかりましたが、相性の幅広さで言うとニーモに軍配です!
━━━ 幅広さ…確かに、MSRでは上記のようにピンポイントな組み合わせになってしまいますもんね…。
武山:それもありますし、ニーモがトレンドカラーを抑えているというポイントが高いことも一因です。最近流行っているサンドカラーはどのブランドでも取り入れ始めており、既に手持ちのギアとの相性も高いことが多いという声をよくお聞きしますし、おすすめしたいとも思っています。
━━━ おっしゃるように、ogawaをはじめ様々なブランドでサンドカラーを見かける機会は増えたかもしれません。流行を鑑みつつ、オリジナルなサイトづくりを目指すキャンパーさんにはもってこいですね。
「ソロテント」辛口ジャッジの結果は…?
最終的な軍配はどちらに…?!
━━━ ここまで比較ポイントに準じてお話をお聞きしましたが、改めてどちらのソロテントがおすすめなのか、辛口ジャッジをお願いします!
武山:悩ましいのですが、ここまでの内容で薄々お気づきかもしれません…
武山:やはり今回おすすめしたいのは、多く軍配の上がったニーモのアトム2Pです!ソロキャンプデビューにおすすめな設営の楽チンさ、デザインの秀逸さを兼ね備えていながら、軽量性もピカイチな点がどんどん加算さこの結果になりました。
━━━ 今回の比較ではソロキャンプデビューする人にフォーカスしていたこともあったかと思いますが、MSRの敗因はどこにあったのでしょう?
武山:耐久性の部分は底面の生地がもっと肉厚だったらよかったですね。でも、「これがダメだった」というのは無くて、単純にニーモと比べた時に僅差で競り負けてしまっただけなんです。
━━━ では、ならではの魅力を教えてください!
武山:MSRは、別売りのパーツを揃えればシェルターとしても活躍してくれるので、用途に合わせてアレンジが効かせられるのが魅力です。他で言えば、夜空のもとランタンで照らされたMSRは写真映えする点かな。
━━━ なるほど…どちらも魅力がいっぱいながら、ソロキャンプデビューにはニーモがおすすめな訳がわかりました!今回もありがとうございました!
まとめ
いつぞや作ったピザ窯でお子さんとそのご友人のためにピザを作って1日が終わることもあるという武山店長に、今回は、これから需要の高まりが予想されているソロテントを辛口ジャッジしていただきました。ソロテント購入にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。次回もお楽しみに!