ヒット作誕生の秘訣を探る。TheArth・大熊規文さんの「発想力と実現力」が叶える理想のモノづくり【Jeep meets Camp vol.05】
ヘキ男やヘキ子などのヘキサテーブルも代表作に数えられる「The Arth(ざぁ~ッス)」。独創的な商品はもちろん、Instagramを活用した情報発信も好評で、多くのキャンパーが憧れるガレージブランドです。そこで今回は、アイデアマンとしても知られる代表の大熊規文さんにインタビュー。ヒット作を生み出す原動力や大切にする想いとともに、キャンプの楽しみ方も教えてもらいました。
制作者
キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
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もくじ
Jeep×hinata がキャンプの本当の楽しみ方を探る
キャンプの楽しみ方は千差万別ですが、こと「道具(ギア)選び」においては強く関心を寄せるキャンパーも多いはずです。機能性の高さはもちろん、使いやすさや自分らしさを求めるのも楽しいところ。
そこで当連載では、多くのキャンパーが憧れるブランドのキーマンに、そのアイテムを手にするべき理由をインタビュー。モノづくりへのこだわりやキャンプの楽しみ方などとともに、キャンパーに支持される「Jeep」に見る共通項も教えてもらいます。
記事の最後には大人気キャンプギアが当たるキャンペーン情報も。ぜひ最後までチェックしてキャンプライフをもっと豊かなものにしてみてください。
TheArth・大熊規文さんの「実現力」とは
連載5回目にお話を伺ったは、六角形の「ヘキサテーブル」の生みの親でもあり、ヘキサタープ「幕男」のプロデュースなどでも話題をさらい続ける「TheArth」の代表・大熊規文さんです。あふれ出るアイデアを具現化する実行力の秘密や、キャンプの楽しみ方を教えてもらいました。
【大熊規文さん】
内装業を営みつつ、木工加工の「ビッグベアー」や、キャンプ用品の製造・販売を手掛ける「TheArth」も設立。独創的なアイデアを落とし込んだ製品が注目され、2019年には埼玉県にショールーム「TheArth-six」をオープンした。
キャンプを始めたきっかけは「思いつき」
——大熊さんとキャンプの出会いをお聞かせください。
大熊さん:今から9年ほど前です。たまたまテントを譲ってもらったので、「よし、キャンプに行ってみよう」と家族で出かけました。それが本当に楽しくて、キャンプを続けるきっかけになったんです。
——どのようにしてアウトドアにハマっていったのでしょう。
大熊さん:そもそも道具が好きなのでいろいろ調べるうちに、「こんなモノがあるんだ」「あんなモノもあるんだ」と、どんどん興味がわいてきたんです。道具が増えたらそれを使いたくてキャンプに行く。そんなこんなで気がつけば、いわゆるギア沼に落ちていました。
仕事で付き合いのあった38exploreの宮崎さんと同時期にキャンプを始めたのも幸運だったのかもしれません。彼に教えてもらったInstagramでいろんなキャンパーさんの投稿をチェックすると、「本当にすごい」と驚かされたんです。それからはキャンプの目的に「写真に残してみんなに見せること」も加わりました。
ヘキサテーブルの開発は「自分のため」
——商品開発について教えてください。
大熊さん:キャンプを始めてしばらく経ったころ、焚き火を囲うテーブルが欲しくなりました。はじめのうちは四角い焚き火テーブルを使っていたのですが、四隅が火から遠く、円卓のようなものが欲しいなと思うように。けれど丸いテーブルってつくるのが大変なんです。
大熊さん:その中で三脚に目がいきました。3点での接地にすると地形に合わせてレベル(平行)が取りやすいんです。この「3本」にこだわってデザインしてみたら、結果的に六角形に行き着いたというわけです。それがヘキサテーブル誕生のストーリーです。
Instagramで「こんなテーブルできました」と発信したら、思った以上に反響がありました。当時のフォロワーさんは100〜200人程度でしたが、1年も経たないうちに購入してくれる人がどんどん増えていったんです。
モノづくりでこだわっていることは
——オリジナル製品はどのようにして生まれているのでしょう。
大熊さん:デザインと機能にこだわっています。特にデザインは単純にカッコよくないとダメだと。
例えばヘキサテーブルでは、脚の長いバージョンの要望をいただくこともあります。しかし自分の中でそれはカッコよくないと思っているので、これまでつくっていません。
ちなみに、製品開発時にはCGに起こす前に落書き程度のスケッチを描きますが、脚の長さや天板の広さなどはこのときにほぼ固まっていたりもします。
——商品名がユニークに感じていますが、どのように決めていますか?
大熊さん:すごく特別なこだわりがあるわけではなくて、結構そのままネーミングしていますね。幕男、ヘク男…、わかりやすいですよね?
38exploreの「38灯(MIYABI)」って実は自分が名付け親なんですよ。宮崎さんには「変な名前にしないでよ」って諭されましたが、「38(explore)」と「灯す」で「ミヤビ」。良い名前ですよね。
——今後の展望を教えてください。
大熊さん:ヘク男(テント)のTroiaや、幕男(タープ)でコラボするURBAN FORESTの製品販売に関しては、今後もアイデアを提案するなど連携を続けていきます。また、新たにキャンピングカー製造の事業もスタートしました。
まずはベースになる車両を購入して、内装づくりを試してみています。本気で取り組んでいくので、製造などを行う専用建屋を設ける計画もしているところです。
ゆっくり過ごす中で生まれるものも
——大熊さんは普段どのようなキャンプを楽しんでいますか?
大熊さん:なかなかプライベートでキャンプに行く時間がとれていないのですが、それでも年に1回は家族で楽しむようにしています。
調理器具はイワタニの「焼き上手さん」がメイン。これで焼く・煮る・蒸す・温めるの全てができるので、手軽で簡単なレトルト食品で時短して、空いた時間で可能な限りのんびり過ごすようにしています。ゆっくりお酒を飲みながら過ごす中で、新しいモノが思いつくこともあったりするんです。
大熊さんが選ぶ、使い続けたいギア
独自の審美眼で選び取られるセレクト商品の数々や、デザイン性と機能性に優れるオリジナル商品で人気の「TheArth」。カッコよさに強いこだわりを持つ大熊さんが選ぶ、本当に良いギアとは?
URBAN FORESTのテント「BELOMONTE」
TheArthの人気アイテム「幕男」を製造するURBAN FORESTの新作テント「BELOMONTE」(税込363,000円)です。
——特徴を教えてください。
大熊さん:縫製がしっかりしていたりと、つくりが本当に良いです。フロアシートが付属して、薪ストーブの煙突用スリーブもあるので冬キャンプにもおすすめ。チャコール(写真)とサンドの2色展開でどちらも落ち着いているので、大人なキャンプスタイルにもマッチします。
大熊さん:スカートがインナー側にレイアウトされているのもポイントです。ここには4cm幅のメッシュも施されているので、流れ落ちた結露が溜まりにくいのもいいところ。
このメッシュの幅にもちゃんと意味があって、一般的な5cm幅のガムテープや養生テープで塞いで寒さを和らげることもしやすいんです。
伝説的な人気を誇るタープ「幕男」の4thモデル
こちらは、TheArthでも特に爆発的な人気で入手困難なタープ「幕男」の4thモデル(税込57,200円)です。2023年8月1日から予約受付が開始されています。
——これまでのモデルとの違いを教えてください。
大熊さん:大幅に仕様変更しました。まず、前モデルに比べて生地が薄くなりストレッチ性が増しています。1kg以上の軽量化も実現していますが、引き裂き強度は変わりません。
大熊さん:サイド中央にポール穴を追加したので、設営時のアレンジ幅が広がりました。また、サイド4点の内側にDカンも設置したので、LEDライトなどを掛けやすくなったのも注目してもらいたい点。カラーはグレー、サンド、フォレスト(カモ柄)が増えて、合計13色を展開しています。
イワタニ・焼き上手さん専用の「テーブル天板」
焼き上手さんをこよなく愛する大熊さんだからこそ生み出せた、焼き上手さん専用の「テーブル天板」(税込16,500円〜)です。
——こちらはどのようなアイテムでしょうか?
大熊さん:焼き上手さんをカッコよく使うための天板です。焼き上手さんの脚をホールドするための穴も設けているので、ズレることなく確実に調理できるんです。三脚を組み合わせる仕様なので、天板の高さを任意に調整できるのもポイント。
また、スノーピークのテーブル(エクステンションIGT)との相性がぴったりなのも特徴です。天板を左右に開いたときに、その間にちょうど収まるサイズにしています。フタのハンドル部分で引っ掛けておける穴もデザインしています。
初公開の最新アイテム「薪男」
こちらはイベント「FIELDSTYLE JAMBOREE 2023」(2023年11月開催)で新登場予定の、TheArthのオリジナルの最新アイテム「薪男」(税込6,600円の想定)。薪を模したLEDライトで、大熊さんらしい遊び心のある新商品です。
——アイデアがとてもおもしろいですね。
大熊さん:薪らしいディテールを実現すために100本ほど試作を繰り返した力作です。ふざけているように見えるかもしれませんが、本物の質感に近づけるようこだわりました。
光りの強弱や揺らぎなどもリアルなので、キャンプに行けないときもお家でこれを眺めればキャンプ場にいる気分に浸れますよ。
Jeepに見る、上質なキャンプの「共通項」とは
——本日、撮影で使用したのは「Commander Limited(コマンダー リミテッド)」です。
大熊さん:以前、5年ほどラングラー(JK型)に乗っていたこともありました。兄がJeep好きで乗っていたのを見て影響されたんです。ちょうどキャンプを始めたころだったので、「Jeepでキャンプ、カッコいいじゃん!」と。なので、いまでもJeepには思い入れが強い方だと思っています。
——デザインやインテリアなど気に入ったところはありますか?
大熊さん:ラゲッジスペースの広さが気に入りました。2列目と3列目のシートを全て倒せばフラットになって、楽に横になれるのもいいところ。室内高にも余裕があるので、荷物を乗せたままでの車中泊もストレスがなさそうですね。
大熊さん:運転席の座り心地も良く、内装にも高級さを感じます。自分がラングラーに乗っていたころよりも、デザインがかなり美しくなった印象です。
モノづくりをする際にも「カッコよさ」は何より大切にしているファクターの一つなので、細部までデザインにこだわっているJeepのクルマには親近感を覚えますね。
——大熊さんの車に対するこだわりとは?
大熊さん:古いクルマを何台か所有していますが、Jeepのようなたくさん荷物を乗せてキャンプに行けるクルマも好きです。このコマンダーはその点で言うと、キャンプにも似合うし、街で乗ったらとてもサマになると思います。それでいて四輪駆動の安心感やタフ感もあるので、とても気に入りました。
——もしCommanderを手に入れたらどんなシーンで使いたいですか?
大熊さん:妻とキャンプを楽しみながらの旅行に出かけたいですね。キャンプで何泊かした後に、ちょっと贅沢な宿で温泉を満喫しておいしいご飯を食べる。そんな大人なデートにも似合うクルマだと思いました。
Jeep「Commander LIMITED」
Jeep伝統の7スロットグリルを継承しつつ、流れるようなプロポーションを与えられたエクステリアも特徴の、3列7人乗りのミドルクラスSUVです。
2.0Lターボ直列4気筒DOHCディーゼルエンジンを搭載。9速オートマチックトランスミッションと相まって、粘りのある厚いトルクと爽快な高速域の走りが堪能できます。
Jeep アクティブドライブが路面状況に応じて駆動力を自動配分。高速走行中のボディロールを抑えるエレクトロニック・ロール・ミティゲーションや、トラクションコントロールシステムなども快適なドライブをサポートしてくれます。
また、さまざまなデータを表示するフルカラー10.25インチマルチビューディスプレイや、Apple CarPlay・Android Autoに対応する10.1インチのナビゲーションシステムも搭載されています。
【主要諸元】
- 全長×全幅×全高:4,770×1,860×1,730mm
- 車両重量:1,870kg(サンルーフ付:1,890kg)
- 乗車定員:7人
- エンジン種類:ターボチャージャー付直列4気筒 DOHCディーゼル
- 総排気量:1,956cc
- 使用燃料:軽油
- 最高出力:125kW(170ps)/3,750rpm(ECE)
- 最大トルク:350N・m(35.7kg・m)/1,750-2,500rpm(ECE)
- 駆動方式:4輪駆動(オンデマンド方式)
- トランスミッション:電子制御式9速オートマチック
- 全国メーカー希望小売価格:5,970,000円(税込)
【プレゼント】人気キャンプギアが当る「キャンペーン」も実施中!
今回の連載では、Jeepとのコラボレーションによる「プレゼントキャンペーン」も開催中です。景品には大人気のガレージブランドによるキャンプギア40種が用意されているので、気になる人はJeep特設サイトの応募フォームでお申し込みください。
応募期間は2023年10月31日(火)までなので、チェックをお忘れなく!
撮影/関野温