【武山店長の辛口ジャッジ!vol.13】キャンプの新定番「難燃ウェア」を徹底比較!
今回は、焚き火人気の高まりとともに、各アウトドアブランドが相次いで新作を発表している「難燃ウェア」を比較!キャンプマスターであるエルブレス名古屋みなと店の武山店長に、人気アイテムの特長や選び方の注意点を教えてもらいました。独自の目線で、包み隠さずズバッとジャッジ!
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キャンプ・アウトドアWebマガジン「hinata」編集部。年間に制作・編集する記事は600以上。著書に『ひなたごはん』(扶桑社ムック)など。
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連載企画「武山店長の辛口ジャッジ!」
キャンプギアの疑問に答える好評連載「辛口ジャッジ」の第13弾。どっちつかずな紹介をされがちなキャンプギアを比較し、キャンプマスターのエルブレス名古屋みなと店の武山店長が独自の目線で本当におすすめギアを紹介します。各アイテムごとにさまざまな種類がある中、「違いがよくわからない…」と悩んでいるキャンパーは必見です。
今回のテーマは「難燃ウェア」
━━━ 最近の難燃ウェアの人気を受けて、今回は連載で初めてのアパレルの特集です。
武山:いつものギアとは違って今回はファッションセンスも問われるので緊張しますね…。近年の焚き火人気の高まりを受け、難燃ウェアもこの2、3年で急速に商品が増えました。最近では大手ブランドのノースフェイスやコロンビアなども積極的に展開しています。
━━━ エルブレス名古屋みなと店でも売れ筋なのでしょうか。
武山:当店でも涼しくなり始めた今年9月ぐらいから、徐々に売れ始めてきました。キャンパーの間でも定番アイテムとして広く知られるようになっていますね。特に小学校に入る前ぐらいの小さな子供がいる20〜30代のお父さんたちが、ファッションへの意識も高いこともあって多い印象です。
ライターぐらいの火では燃え広がらない!?
━━━ キャンプ初心者のためにも、そもそも難燃ウェアとは何かを教えてください。
武山:もともとは、コットン(木綿)も難燃といえば難燃です。ただ最近は特殊な溶剤を染み込ませたりして、より燃えにくい加工をしたものが増えています。「難燃」「防炎」などとメーカーごとに表現は色々あるのですが、ライターの火を近づけたぐらいでは燃え広がりにくいという点で共通しています。アウトドアのウェアには化学繊維を使ったアウターやフリース、ダウンなども多いため、焚き火をするキャンパーにとって、安全という点でも1着はあった方がいいと思いますよ。
難燃ウェアを選ぶ基準、伝授します!
━━━ 難燃ウェアにはどのような種類があるのでしょうか。
武山:基本的には一番外側に身につける服なので、ジャケットやベスト、エプロン、ポンチョ、オーバーオールなどがあります。最近ではキャンプだけでなく、家からそのまま着ていけるようなおしゃれなデザインのウェアが多く出ています。特に今注目のベストは男女を問わず、街中でもよく見かけるようになりました。
━━━ 色々とある難燃ウェアですが、ジャケットを選ぶ上ではどんなことに注意すればいいのでしょうか。
武山:裏地にフリースや中綿が入ったものがあるのですが、個人的には裏地なしのものがおすすめです。裏地があると着用する時期が秋冬に限られてしまいます。裏地がないモデルであれば春でも着られ、寒い時期には中で重ね着をして体温調節するのがおすすめです。重ね着をするので、普段よりやや大きめのサイズを選んでみましょう。
人気の難燃ウェア2アイテムを徹底比較!
エルブレス名古屋みなと店でも多くの難燃ウェアを入荷。武山店長がおすすめ2点として持ってきてくれたのが、アメカジ風のデザインで知られる「grn outdoor」(ジーアールエヌ アウトドア)の「HIASOBI CAMPER JACKET(ヒアソビ キャンパー ジャケット)」(写真右)と、グリップスワニーの「ナンネンGS-65 ジャケット」(写真左)。武山店長に両アイテムを比較してもらい、長所や短所を一刀両断してもらいました。
細部まで至れりつくせりのgrnジャケット!
(武山店長がgrnのキャメル色のジャケットを着て笑顔で登場)
━━━ これまでになく、おしゃれを意識した辛口ジャッジになりそうですね。このジャケットを着た武山店長は全く違和感がありません。
武山店長:grnのウェアはアメカジを意識したデザインが特徴です。正面、脇、胸にポケットやループがついている機能性もありながら、街着でもいけます。何よりも「ヒアソビ キャンパー ジャケット」というネーミングが、難燃ウェアと分かりやすくていいですね。
━━━ 各所に色々とポケットやループがついていますが、何のためにあるのでしょうか。
武山:grnは、胸ポケットには別売り「SOTO ガストーチ」が収納可能です。ペグをぶら下げられるループもついていて至れり尽くせり。ポケットもいっぱいあるので、料理の時の調味料を手元に入れられて便利です。お腹のポケットにはジッパーがあるので、かがんでもスマートフォンが落ちにくいのも助かる気遣いです。
完璧に見えた難燃ウェアの弱点とは!?
━━━ 脱ぎ着するのに使うジッパーが正面にありません。使いづらくないのでしょうか。
武山:アゴの部分にジッパーが当たらないように、右肩から脇部分にスライドするデザインになっています。脱ぎ着もしやすいですね。お腹のポケットにも起毛素材が使われているので、寒い日にポケットに手を突っ込んでくつろげます。これはかなり細かい部分まで考えられています!
━━━ もう結果はgrnの難燃ウェアで決まってしまいそうですね!
武山:いえいえ、判断はまだ尚早です。実は斜めにスライドさせるジッパーを採用したからこその大きな弱点も見つけてしまいました…。お腹のポケットに腰回りを絞るドローコードが入っているのですが、それが左側にしかありません。
━━━ ということはつまり?
武山:正面にジッパーが付いている通常のジャケットでは両サイドにドローコードがついているので、バランスよく絞りを調節できます。ただ、このgrnのウェアは片側だけしか引っ張れないため、絞りが片方に寄ってしまってしまいます。風が強い日は、冷気が入るのを防ぐためによく使う機能ですが、この点は残念ですね。
グリップスワニーは万人受けするシンプルさ
━━━ 次に比較するグリップスワニーのオリーブカラーのジャケットは、grnよりだいぶ落ち着いた印象ですね。
武山:グリップスワニーのこの商品は、ポケットも最小限にとどめたシンプルなデザインで万人受けするアイテムではないでしょうか。grnは20~40代が主な対象になりそうですが、こちらは世代を問わない落ち着いた色です。
ポリウレタン2%がポイント!
(武山店長が肘を曲げてみる)
━━━ grnのウェアと違って、だいぶ伸縮しているように見えます。どこに違いがあるのでしょうか。
武山:綿98%で、残りの2%にポリウレタンが入っていることが重要です。grnは綿100%でストレッチ性はほとんどありません。こちらは多少動いても伸びるのでテント設営などの作業も楽にでき、着心地も良いかもしれません。
━━━ 機能的にはだいぶシンプルな見た目です。
武山:胸元に大きなポケットがついているだけの最小限の機能で、フードも嫌いな人が意外と多いため、首元に収納できる点も大事です。オーバースペックにならず、最小限に機能をまとめていている点は評価できます。
━━━ そういえば、grnのジャケットはポリエステルの裏地付きでしたが、こちらは違いますね。
武山:グリップスワニーの内側はフリースや中綿も使われていないので、重ね着のしやすさはこちらに軍配が上がります。1着で季節を問わずに着用できる利便性があります。
難燃ウェアのジャッジの結果は?
━━━ ここまで比較をしてきましたが、最後に辛口ジャッジをお願いします!
武山:いつものギアと違ってファッションセンスも問われるので、緊張しますね。ただ今回は…。
武山:やはり、手元に何でも収納できる機能性という点で、grnのウェアが便利でした!カラーも豊富にあり、デニムカラーもおすすめです。ただ今回はアパレルということで個人の好みに左右されるので、評価が難しかったです。グリップスワニーもゴテゴテしていないシンプルな点は評価でき、単純に劣っていたというわけではありません。
━━━ そういえば、武山店長も昔はキャンプ中に火で失敗してしまったことがあるそうですね。
武山:焚き火ではなかったのですが、調理中に火に近づきすぎてノースフェイスの愛用していたダウンの表面が熱で溶けてしまったことがありました…。安くはないものだったので、ショックだった記憶があります。読者の皆さんもお気に入りの服をダメにしないように、難燃ウェアを着てキャンプを楽しんでみてください!
まとめ
焚き火人気を受け、今やキャンパーの必須アイテムになりつつある「難燃ウェア」。辛口ジャッジでアパレルを取り扱うのが初めてとはいえ、しっかりと機能性にフォーカスして評価していた武山店長は、さすがはキャンプマスター。街中でも着られるおしゃれな難燃ウェアが充実してきたので、火の粉でお気に入りのウェアに穴を開けてしまう前に1着持っていても損はありません!